非正規公務員という問題

非正規公務員という問題――問われる公共サービスのあり方 by 上林 陽治

上林 陽治

1960年東京都生まれ。

85年、國學院大學大学院経済学研究科博士課程前期(修士)修了。

現在、公益財団法人地方自治総合研究所研究員…

市町村合併による合理化、
労働規制緩和の波のなか、
「働かない」と叩かれ「サービスが悪い」と罵倒され、
しかし担うべき仕事は増える一方の公務員。

そのなかでも非正規・有期の公務員は
「官製ワーキングプア」とさえ言われる。

その実態とは?

目次

第1章 「定数内臨時教員」という世界
第2章 DV被害者に寄り添う「婦人相談員」
第3章 生活保護行政と非正規ケースワーカー
第4章 非正規公務員という問題
第5章 問題解決にむけた実践と構想
終章 非正規公務員その終わりのはじまり

book1303

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MEMO

◆非正規公務員の人件費は「物件費」

正規公務員の代わりに非正規公務員を増やしても
人件費は増えない。

なぜなら、非正規公務員に支払われる報酬・賃金や費用弁償は、
地方財政における歳出科目では、
人件費ではなく物件費という費目に計上されるからである。

正規公務員の給与のみ人権費として計上される仕組みになっている。

非正規公務員に支払われる報酬や賃金は、
消耗品的性格で、電気代、ガス代、原材料費と同じものと考えられているのである。

これが今の日本の実態である。

◆非正規公務員増大の3つの要因

  1. 地方における正規公務員の急激な減少
  2. 地方財政の悪化
  3. 行政需要の増大

これらの要因により、
正規公務員を1人増やす代わりに
半額の給与で非正規公務員を2人増やす必要に迫られている。

◆3人に1人は非正規公務員

いまや、地方自治体で働く職員のうち、
3人に1人は非正規公務員で、
その数は推定70万人に及ぶ。

非正規公務員の処遇は、
時給制では900円未満、
月給制では16万円未満が過半数を占め、
フルタイムで年間52週働いたとしてもワーキングプアの
ボーダーラインである年収200万円に届かない。

◆生活保護に依存する非正規教職員

さいたま市の小学校で非常勤講師として
働いてきた50歳代の女性の時給は1210円。

1日5時間、週5日勤務するが、
月収はわずか11万円。

夏休みなどの長期休暇期間は
収入がなくなるため学童保育指導として働き、
週末にはスーパーの試食販売でアルバイトしてきた。

しかし、徒労で授業に集中できなくなり、
いまは月5万円前後の生活保護を受給し、
教員を続けている。

経済的に自立することが困難な非常勤講師に依存し、
かつ、正規職員と同等以上の仕事をしながらその給与は
半分以下の臨時職員という存在を利用する。

日本の公教育は貧困を構造化して維持されている

◆生活保護に依存する非正規教職員

さいたま市の小学校で非常勤講師として
働いてきた50歳代の女性の時給は1210円。

1日5時間、週5日勤務するが、
月収はわずか11万円。

夏休みなどの長期休暇期間は
収入がなくなるため学童保育指導として働き、
週末にはスーパーの試食販売でアルバイトしてきた。

しかし、徒労で授業に集中できなくなり、
いまは月5万円前後の生活保護を受給し、
教員を続けている。

経済的に自立することが困難な非常勤講師に依存し、
かつ、正規職員と同等以上の仕事をしながらその給与は
半分以下の臨時職員という存在を利用する。

日本の公教育は貧困を構造化して維持されている。

◆非正規の教職員

今、それぞれの学校の職に
「臨時教員」「非常勤講師」「非常勤職員」という
名称の非正規の教職員が数多く採用されている。

3人に1人が非正規の教職員になっていることろもある。

そして非正規の教職員の給与は、正規の半分に満たない。

◆非正規公務員という問題

地方自治体の役割は
「住民の福祉の増進を図ること」にある。

この役割を達成するために、
地方自治体は公務員を雇い公共サービスを提供する。

だがその担い手である地方公務員の3人に1人は、
働き続けても、独立して生活できない賃金や報酬しか支払われず、
常に雇い止めの危機にさらされている不安定雇用の
非正規公務員である。

いまや、地方自治体の役割は、
「福祉の増進」から排除された者によって担われている。

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