がん治療革命 「副作用のない抗がん剤」の誕生

がん治療革命 「副作用のない抗がん剤」の誕生 by 奥野 修司

奥野 修司

1948年大阪府生まれ。
立命館大学卒業。
78年から南米で日系移民調査。

帰国後、フリー・ジャーナリストとして活動…

全身転移のがん患者が治った!

末期なのになぜこんなに元気なのか?

常識を覆す、希望の治療法とは…

奇跡の抗がん剤は、
忘れられていた薬である。

その秘密は意外にも、
薬の運び屋「トロイの木馬」であった。

ノーベル賞候補と目される独創的な医学者、
前田浩の執念が実った…

目次

第1章 奇跡
いきなり「全身がん」で余命三カ月/奇跡的な「完全寛解」/がん研究のトップランナー/畑仕事に精を出す末期がん患者/がんが縮小しないのに元気なのはなぜか?/……

第2章 抗がん剤の限界
人類は「対がん戦争」に敗北した/化学療法の父シドニー・ファーバーとの出会い/世界初のタンパク質抗がん剤/六〇年代アメリカは抗がん剤の揺籃期/……

第3章 魔法の弾丸
「魔法の弾丸」の理論/タンパク質の抗がん剤/カーワックスのポリマーにつないでみた/余命三カ月の女性に起こった奇跡/市場に出回ってわずか九年間で販売中止/……

第4章 副作用のない抗がん剤
患者第一号レポート/何度も抗がん剤に苦しんだ挙句に余命三カ月/「あっ、歩いてトイレに!」/久住の看護日誌/「おれはまだ生きてるんだ」/……

第5章 体の中のエイリアン
正常細胞とがん細胞の違いはたった一文字/がん化のメカニズムは複雑怪奇/一日三万回のコピーミス/高齢者にがんが多い理由/がんは活性酸素が原因/……

第6章 予期せぬ生 快適な死
余命二カ月の前立腺がんから生還/がんになってから一度も仕事を休まなかった/併用療法で胃がんと肺転移が消えた/肺が真っ白なのに苦しくない/……

第7章 カオスの世界
なぜ複雑系なのか/酸素なしでも生きる多様性/今もよくわからない転移の謎/がんと生命の不思議/P-THPに次ぐ革新的治療法の開発/……

附録1 がんを予防する食事
附録2 ある臨床心理学者の証言

がん治療革命 「副作用のない抗がん剤」の誕生

がん治療革命 「副作用のない抗がん剤」の誕生

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MEMO

◆アメリカ産の牛肉を買うことのリスク!

乳がんの発生率は日本人を「1」とすれば
アメリカの白人は「2.5」にもなる。

この差は食事に関連しているといわれている。

とくに差が大きいのが牛肉の消費量なので、
牛肉に残留するエストロゲンが原因では
ないかと言われている。

1989年、このエストロゲンの問題で
EUはアメリカ産牛肉を輸入禁止にした。

これに対してアメリカは、
報復としてEUの農産物に課徴金をかけた。

これがいわゆる「ホルモン戦争」で、
今も続いている。

では、アメリカから牛肉を輸入していた
日本ではどうかというと、
旧厚生省はエストロゲンといっても
アメリカ産牛肉は国産牛に比べて、
2, 3倍程度であり、
「人の健康には問題ない」として
輸入を続けてきた。

600倍と2,3倍ではあまりにも違いすぎるが、
なぜこれほど差があるかというと、
計測する機械が違うからである。

エストロゲンはpg(ピコグラム)、
つまり1兆分の1グラム単位で作用するため、
精度の高い計測機器でなければ
正確な数値がだせない。

日本の旧厚生省やアメリカは
精度が2桁から3桁も落ちる
機器(RIA法)で計測したのである。

おそらく日本はアメリカと貿易戦争を
したくないために、RIA法でごまかして
アメリカに追従したのであろう。

スーパーなどで安いからといって
アメリカ産の牛肉を買うときは
がんのリスクも考える必要があることを
忘れないように。

EUがアメリカ産の牛肉をなぜ輸入禁止
にしているのかもう一度考えてほしい。

◆活性酸素を中和してくれる食べ物

抗酸化成分のカロテノイドは、
トマト、ニンジン、カボチャ、ホウレン草、
あるいはエビやカニなど鮮やかな赤色、黄色、緑色などの
天然色の総称で、油によく溶ける。

これらは、とくに紫外線によって生じる
活性酸素を効率よく抑えてくれるので、
植物はカロテノイドで降り注ぐ紫外線から
身を守っている。

人間の体内でも同様の抗酸化作用を発揮するので、
強い紫外線などで細胞が傷ついたりするのを
防いでくれる。

カロテノイドは油に溶けやすい性質を持っているので、
ニンジンやカボチャは油で調理すると
吸収されやすい。

活性酸素を中和するもうひとつの成分は
フラボノイドやポリフェノール。

フラボノイドやポリフェノールというと
赤ワインを思い浮かべるが、
実は野菜の他に果物やお茶にも含まれている。

多く含まれているのは紅茶、タマネギ、リンゴ。

果物の中でもとくにリンゴは昔から
「医者いらず」と言われるように、
フラボノイドがたくさん含まれている。

◆「がん」を予防するには?

がんは活性酸素によって作られるというなら、
活性酸素を消去できればがんを予防することも
不可能ではない。

野菜や果物こそ活性酸素の消去物質であり、
普段の食事でこれらを摂取することで
がんを予防できる。

活性酸素は英語で
Reactive Oxygen Species、
つまり反応性酸素分子。

電子が一部欠けて反応性が高くなった
酸素分子とその化合物のことをいう。

反応性が高いために、
DNAに触れると酸化して傷を
つけてしまう。

体内ではマクロファージのような
食細胞も活性酸素を作ってるし、
細胞内のミトコンドリアからも出ているが、
人間は呼吸によって取り入れられた酸素の
3~4%が活性酸素になるといわれ、
年間に体内では2~10キロ生成される。

地球上で活性酸素はどこにでも存在する。

たとえば、酸素分子に紫外線が当たれば
活性酸素が発生するように、
海水浴での日焼けにも紫外線によって
活性酸素が発生している。

太陽光と水があれば必ず活性酸素が生まれる。

植物は常に強い太陽光に照らされているから、
大量の活性酸素が発生して障害を受けるはずだが、
実際はそうならない。

なぜ植物は人間が日焼けするように
活性酸素で細胞に傷がつかないのかというと、
大量の抗酸化成分を持っているからである。

この野菜の抗酸化成分を利用してがんを予防できる。

活性酸素を消去してくれるもの(抗酸化成分)には、
ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類、
カロテノイド、フラボノイド、ポリフェノール
などがある。

これらを含むものは野菜や果物である。

一般的に緑が濃い野菜ほど活性酸素を中和してくれる。

たとえば、よもぎ、ほうれん草、春菊などが多く、
大根やネギの白い部分などはそれほど多くない。

ただ、大根やニンジンなどの根菜類は根より
葉のほうに抗酸化成分が50倍も100倍も多く含まれている。

また根菜類ではレンコン、里芋、サツマイモ、ジャガイモなど、
切ると褐色に変色するものが良い。

これは活性酸素を中和する物質以外にも
セルロースなどの含有量が高く、
別の有用性もある。

同じ野菜でも環境条件によって含まれる抗酸化成分が
大きく違う。

ほうれん草を例にすると、
太陽の下で露地栽培したものと、
ハウス栽培したものと、LED電球で水耕栽培されたものでは
抗酸化力が大きく違う。

また、生の野菜を食べても抗酸化成分は
ほとんど吸収されない。

抗酸化成分は細胞と細胞の間質にも含まれているが、
ほとんどは細胞壁の内部に入っている。

だから、細胞の外壁が壊れないと外に出てこれない。

ところが、牛や馬と違って、
人間は植物の細胞壁の成分であるセルロールを
消化する酵素を持っていないので、
細胞壁を壊すことができない。

ではどうすればいいのか?

単純に加熱するのがよい。

加熱すると細胞壁は簡単に壊れる。

おすすめは、いろんな野菜を小さく刻んで
煮込んだスープを飲むことである。

わずか10分程度煮込むことで野菜に含まれる
抗酸化成分の80%以上が抽出される。

赤じそは抗酸化力が非常に強く、
ムラメといって刺し身のツマに出てくる
赤じその若芽がもっとも強い。

大豆、黒豆、小豆など豆類も抗酸化成分が多い。

各野菜の加熱前・加熱後の抗酸化力

各野菜の加熱前・加熱後の抗酸化力

◆高齢になると「がん」になるワケ!

1個のがん細胞が誕生して、
宿主である人間を殺すまで巨大化するには、
およそ20年から30年かかる。

20年とすれば、60歳で死亡した人は40歳で
がん細胞が生まれたということである。

言いかえれば、人間は40歳を越えると
DNAの修復能力が落ちてくる。

がんになる原因として、

1) DNAのコピーミスによる遺伝子の変異
2) 化学物質など、遺伝子の変異を誘発する環境によってDNAが突然変異を起こす
3) 感染症による遺伝子の変異

などが指摘されているが、
これだけでも算術級数的に遺伝子の変異が
蓄積されていく。

そこへ高齢化で免疫の監視システムが
壊れ始めると、変異は幾何学的に増える。

何もなくても1個の細胞で1日3万回も
コピーミスが起こっている。

ちょっとでも見逃せば、
たちまち細胞が変異してがん細胞が誕生する。

免疫システムがあっても、
ある年齢を超えれば人間はがんから逃げられない。

長寿でがんにならない人がいたとしたら、
それは奇跡なのである。

人は、余分に生きたらがんになるように
仕組まれているのである。

◆肺がんの患者の腫瘍ひとつあたりに
どれくらい変異株があるかを調べたら200から300あったという。

これは肺は酸素が多いので活性酸素ができやすいと考えられる。

活性酸素がDNAに障害を与えたり、
DNAを切断したりしている。

◆製薬会社の方程式 (N x T)

製薬会社にはN(人)× T(時間)という
方程式がある。

たとえば、高血圧や糖尿病は、
がんと比べて患者の数(N)が大きく、
治療期間(T)も長いから、
マーケットは巨大になる。

ところがスマンクス(副作用のない抗がん剤)は、
他の抗がん剤と比べて、
NもTも小さから儲からない。

がん患者にとって喉から手が出るほど
欲しい薬であっても、製薬会社にとって
儲からない薬は販売中止になって
患者は手に入れられなくなる。

◆幸運の女神は、
準備を終えた者のところにしか訪れない
by パスツール

◆EPR効果とは?

分子量(分子の相対的質量)4万以上の
高分子は、正常な血管壁からは漏れず、
腫瘍の血管壁からだけ漏れて腫瘍組織内に
留まること。

これを「EPR効果」と呼ぶ。

このEPR効果を利用したのが、
副作用のない抗がん剤「P-THP」である。

正常血管の隙間をバレーボールぐらいとすれば、
腫瘍の血管は25メートルプールほどもある。

これが正常な組織とがん組織の
決定的な相違点である。

この差を利用して「魔法の弾丸」を開発するには、
バレーボールより大きいボール、
つまり7ナノメートル以上の薬剤を探すか、
薬剤を7ナノメートル以上の高分子に
くっつければいい。

血管は体内のチューブだから、
正常な血管からは漏れず、
体の中をぐるぐる回りながら
巨大な穴が開いた腫瘍の血管で漏れてくる。

つまり腫瘍にピンポイントで集まる。

◆抗がん剤とは?

がんになった人間を生きるか死ぬかの
瀬戸際に追い込んで、
運良くがん組織のほうが先に死んで
くれればラッキーという、
バクチのような「薬」なのである。

がん種によってはよくなる人もいるが、
多くは苦しみながら延命するだけで
治癒することはない。

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