ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 by リンダ・グラットン

リンダ・グラットン

ロンドンビジネススクール教授。
経営組織論の世界的権威で、英タイムズ紙の選ぶ「世界のトップビジネス思想家15人」のひとり。

英ファイナンシャルタイムズ紙では「今後10年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論家」と称され、英エコノミスト誌の「仕事の未来を予測する識者トップ200人」にも名を連ねる。
組織におけるイノベーションを促進するホットスポットムーブメントの創始者。

現在、シンガポール政府のヒューマンキャピタルアドバイザリーボードメンバー…

下流民か、自由民か?

地球規模で人生は二極分化する!

2025年、私たちはどんなふうに働いているだろうか?
「漫然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ち受け、
「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある。

どちらの人生になるかは、
「ワーク・シフト」できるか否かにかかっている。

ロンドン・ビジネススクールを中心とした、
「働き方コンソーシアム」による、
世界規模の研究が生々しく描き出す2025年のに働く人の日常。

働き方を変える! 〈3つのシフト〉

▶ゼネラリスト→連続スペシャリスト
▶孤独な競争→みんなでイノベーション
▶金儲けと消費→価値ある経験

「食えるだけの仕事」から意味を感じる仕事へ、
忙しいだけの仕事から価値ある経験としての仕事へ、
勝つための仕事からともに生きるための仕事へ。

覚悟を持って選べば、未来は変えられる…

目次

働き方の未来は今日始まる
働き方の未来を予測する
第1部 なにが働き方の未来を変えるのか?
第2部 「漫然と迎える未来」の暗い現実
第3部 「主題的に築く未来」の明るい日々
第4部 働き方を“シフト”する
未来のために知っておくべきこと

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025

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MEMO

◆孤独で貧しい未来を迎えないための3つの転換

  1. ひとつの企業の中でしか通用しない技能で満足せず、高度な専門技能を磨き、他の多くのたちから自分を差別化するために「自分ブランド」を築くこと。
  2. 難しい課題に取り組むうえで頼りになる少人数の盟友グループと、イノベーションの源泉となるバラエティに富んだ大勢の知り合いのネットワーク、そしてストレスを和らげるための打算のない友人関係という、3種類の人的ネットワークを育むこと。
  3. 大量消費主義を脱却し、家庭や趣味、社会貢献などの面で充実した創造的経験をすることを重んじる生き方に転換すること。

◆充実した職業生活を送るための3つの課題

  1. 職業人生を通じて、自分が興味を抱ける分野で高度な専門知識と技能を習得し続けること。
  2. 友人関係や人脈などの形で人間関係資本を育むこと。
  3. 所得と消費を中核とする働き方を卒業し、創造的に何かを生み出し、質の高い経験を大切する働き方に転換すること。

◆消費より経験に価値を置く生き方へ

おカネを最大の目的に働くのではなく、
充実した経験を味わうために働くという
発想に転換する必要がある。

◆カリヨン・ツリー型のキャリアを築く

私たちの職業人生は次第に、
伝統的なキャリアの道筋と異なるカーブを
描くようになる。

それは「ダウンシフティング」
(収入より、ゆとりを大切にする生き方への転換)を選ぶ人たちの
「釣鐘型」のキャリアのカーブとも違う。

今後主流になるのは、
いくつもの小さな釣鐘が連なって職業人生を形づくる
カリヨン・ツリー型」のキャリアだ。

精力的に仕事に打ち込む期間と、
長期休業して学業やボランティア活動に専念したり、
仕事のペースを落として私生活を優先させたりする期間を
交互に経験し、ジグザク模様を描きながら仕事の
エネルギーや技能を高めていくのである。

◆他の人では代わりのきかない高度な専門技能の
持ち主でないと引っ張りだこの人材になれない。

ごく平凡なIT関連技能をもつ人材は世界中のいたるところにいて、
報酬の水準も下がりはじめている。

高い報酬を受け取っている人材は、
顧客のニーズに徹底的にこたえるなり、
極めて高度な知識を備えるなりして、
ライバルから自分を差別化している。

◆キャリアの脱皮を成功させるコツ

  1. 新しいチャンスが目の前に現れたとき、未知の世界にいきなり飛び込むのではなく、新しい世界を理解するために実験をする。意図せずして実験する場合もあるし、意識的に計画して実験を行う場合もある。新しい可能性を見出すために実験する場合もあれば、自分の直感の正しさを確認するために実験する場合もある。
  2. 自分と違うタイプの大勢の人たちと接点をもち、多様性のある人的ネットワークを築く。潤沢な情報や視点が手に入るだけでなく、ほかの専門分野で活動している人の生き方を見ることにより、自分がその分野に脱皮できるかどうかを判断するヒントを得られる。
  3. はじめのうちは本業をやめず、副業という形で新しい分野に乗り出す。既存の仕事をフルタイムで続けて収入を確保しつつ、新しい分野の経験を積み、専門技能や知識を磨き、信用を築き、同時に新分野での自分の適性を試す。

◆あくまでも「好きな仕事」を選ぶ

未来が予測どおりになる保証がないことを
考えれば、自分が好きなこと、
そして、情熱をいだけることを職業に選ぶことが賢明だ。

ましてや70歳代になっても働き続けるとすれば、
本当に楽しめる職業を探したほうがいい。

自分の道を決めた後は、
生半可な気持ちで臨んだり、
ゼネラリストのままでよしとしてはならない。

高いレベルの専門技能や知識を身につけるために
精力的に打ち込むべきだ。

◆高い価値を持つ専門技能の3条件

  1. その専門技能は、価値を生み出せるか?
  2. その専門技能には、希少性があるか?
  3. その専門技能は、まねされにくいか

◆連続スペシャリストへの道

  1. まず、ある技能が他の技能より高い価値を持つのはどういう場合なのかをよく考える。
    未来を予測するうえで、この点は極めて重要なカギを握る。
  2. 次に、未来の世界で具体的にどういう技能が価値を持つかという予測を立てる。未来を正確に言い当たてることは不可能だが、働き方の未来を形づくる5つの要因に関する知識をもとに、根拠のある推測はできるはずだ。
  3. 未来に価値をもちそうな技能を念頭に置きつつ、自分の好きなことを職業に選ぶ
  4. その分野で専門技能に徹底的に磨きをかける
  5. ある分野に習熟した後も、移行と脱皮を繰り返して他の分野に転進する覚悟を持ち続ける。

◆専門性の低いゼネラリスト的なマネジメント技能は、
特定の企業以外で通用しない場合が多い。

しかも専門性の低い技能は、
ウェキペディアやグーグル、アナリティクスのような
オンラインサービスによって急速に取って代わられつつある。

終身雇用や長期雇用が揺らいだ世界では、
こういうタイプの技能しかもっていないと、
袋小路にはまり込みかねない。

要するに、未来の世界で成功を収めたければ、
高度な専門技能と知識を身につけるべきなのだ。

そのためには、まず未来にどういう技能と知識が
価値を持つかを見極める必要がある。

そのうえ、リスクを回避するために、
複数の専門分野に習熟しなくてはならない。

ひとことで言えば、
連続スペシャリストになることが不可欠なのだ。

◆いま必要とされているのは、
昔の職人のように自分の専門分野の技能と知識を深める一方で、
他の人たちの高度な専門技能と知識を生かすために
人的ネットワークを築き上げることだ。

ひとことで言えば、私たちには、
産業革命前の職人のような専門知識と、
産業革命以降の分業体制の両方が求められる。

◆ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ

▶専門技能の連続的習得

未来の世界でニーズが高まりそうなジャンルと職種を選び、
浅い知識や技能ではなく、
高度な専門知識と技能を身につける。
その後も必要に応じて、
ほかの分野の専門知識と技能の習得を続ける。

▶セルフマーケティング

自分の能力を取引相手に納得させる材料を確立する。
グローバルな人材市場の一員となり、
そこから脱落しないために、
そういう努力が欠かせない。

◆仕事の世界で必要な3種類の資本

  1. 知的資本
    知識と知的思考力のこと。多くの国の社会では、キャリアの面でこの資本が重んじられており、学校教育は概ね、この種の知識と思考力を養うことを目的としている。その人がどういう分野で能力を発揮するかは、どのような知的資本をどの程度備えているかによって決まる。未来の世界では、キャリアで成功を収めるうえで知的資本の役割が益々大きくなる。
  2. 人間関係資本
    人的ネットワークの強さと幅広さのこと。そこには、生活に喜びを与えてくれる深い人間関係も含まれるし、さまざまなタイプの情報や発想と触れることを可能にする広く浅い人間関係も含まれる。未来の世界では、そういう人間関係を意識的に築く必要がある。私たちは、専門知識と技能を磨いて他の人たちとの差別化を図る一方で、高度な専門知識と技能を持つ人たちと一緒に価値を生み出さなくてはならない。
  3. 情緒的資本
    自分自身について理解し、自分の行う選択について深く考える能力のこと。そしてそれに加えて、勇気ある行動を取るために欠かせない強靭な精神を育む能力。自分の価値観に沿った幸せな生き方をするために、この種の資本が必要となる。

◆「漠然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ち受け、
「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある。

◆なぜおカネを稼ぐために働いてはいけないのか?

これまでは「おカネを稼ぐために働く」という
考え方が主流であった。

しかし未来に向けて、この前提を問い直す必要がある。

本当に、仕事の目的は、おカネを稼ぐことだけなのか?

おカネが仕事の重要な要素であることは間違いない。

生活していくうえで必要な金額より少ない
給料しか受け取れなければ、仕事を通じてどんなに
素晴らしい経験ができても、率直に言って意味はない。

心理学のエブラハム・マズローが指摘したように、
人間の欲求はいくつかの段階があり、
低次の欲求が満たされてはじめて、
人間は高次の欲求を満たすために行動するようになる。

このマズローの法則に従えば、
途上国の工場で安い給料で働いている労働者たちも、
ほどなく欲求の段階を上がると予想できる。

生理的欲求と安全への欲求が満たされれば、
私たちは所属の愛の欲求を満たすために
行動するようになる。

「私が働くのは、友達と楽しく過ごすためである」

その次は、承認の欲求に移行する。

「私が働くのは、専門技能を高めるためである」

そして最後は、自己実現の欲求を満たしたいと
考えるようになる。

「私が働くのは、自分の潜在能力を開花させる
機会を得られるからである」

おカネは、安全の欲求を満たす手段とみなせる。

その意味で、おカネは欲求のピラミッドの底部
位置する要素だ。

それなのに、仕事に関するこれまでの考え方では、
カネが仕事の中核を占めるものであるかのように
扱われている。

おカネが最重要視されてきた理由はいくつもあるが、
それらの理由はことごとく根拠薄弱なものに見える。

おカネがあれば幸せが増すのではないか、
と考える人は多いかもしれない。

実際、
私が働くのは、給料を受け取るため。
その給料を使って、モノを消費する。
そうすることで、幸せを感じる
というのがこれまでの多くの人の考え方だった。

しかし、多くの人が低次の欲求を満たし
はじめるにつれ、この前提が誤りであることが
明らかになりつつある。

手に入れるおカネが増えても、
それに比例して幸せが大きくなるとは限らない。

高額の宝くじに当選した人は、
当選直後こそ気分が浮く立つが、
高揚感はたちまちしぼんでしまう。

おカネが幸せをもたらすという幻想は、
すぐに冷めるのだ。

宝くじの当選者だけではない。

給料が25%アップすれば、
仕事に対する満足度が高まり、
もっと給料を上げてもらうために
全力を尽くすはずだと思うかもしれない。

しかし実際には、給料が25%増えても幸福感や
仕事への満足度が高まるわけではない。

どうして、おカネが増えても幸福感が
高まらないのか?

ひとつには、収入が増えるほど、
贅沢なライフスタイルを欲するようになり、
多少のことでは幸せを感じなくなるからだ。

宝くじで莫大なおカネを手に入れた人は、
読書やおいしい食事など、
以前は幸せを感じたはずの経験に
心を動かされなくなる。

私たちはご褒美を頻繁に手にしすぎると、
あまり感激しなくなる。

宝くじの当選者の頭の中で起きていることは、
経済学の分野では「限界効用の逓減」という
言葉で説明される。

簡単に言えば、あるものを得る数や量が
増えれば増えるほど、それに価値を感じなくなる
という法則である。

ここで注目すべきことがある。

「おカネ」と「消費」には限界効用逓減の法則が当てはまるが、
それ以外の経験にはこの法則が当てはまらないという点である。

たとえば、高度な専門技能を磨けば磨くほど、
あるいは友達の輪を広げれば広げるほど、
私たちが新たに得る効用が減る、などということはない。

むしろ、私たちが手にする効用は増える。

所得が増えるほど所得増の喜びは薄まるが、
技能や友達は増えれば増えるほど新たな喜びが増す。

おカネに重きを置く発想は、
満足感や幸福感を高めるとは限らず、
むしろ不愉快な結果をももたらす場合がある。

おカネやモノに対する欲求は、
そのほかの経験に対する欲求以上に飽くことがない。

私たちは新しいモノを手に入れても、
すぐに喜びを忘れてしまい、
もっと欲しいと思いはじめる。

しかも、「もっと欲しい」と思い、
物質主義的思考を強めると、
自分を成長させるうえで好ましくない
ゴールを設定しがちになる。

簡単に達成できる目標でよしとしたり、
逆に達成不能な目標を定めたりする。

おカネを稼ぐために働くという考え方は、
私たちにおカネと地位の価値を過大評価させ、
充実した経験がもたらす幸せを過小評価させる

仕事と私生活における喜びの多くは
値段をつけられない。

あなたが幸せや満足、喜びを感じたのは、
どういうときか?

当然、おカネを払って得る経験を通じて愉快な
感情を味わったときもあったかもしれない。

しかし、無償の経験によってそういう感情を
味わったときも多かったのではないか。

友達との関係がもたらす喜び、
仕事をやり遂げたときの達成感、
野山を散策するときに感じるすがすがしさ、
子どもと過ごす楽しい時間、
日の出と日没を眺めて過ごすひと時は、
カネを払って手に入れる経験ではない。

◆孤独で貧しい未来を迎えないための働き方

  1. ひとつの企業の中でしか通用しない
    技術で満足せず、高度な専門技能を磨き、
    他の多くの人たちから自分を差別化するために
    「自分ブランド」を築くこと。
  2. 難しい課題に取り組むうえで頼りになる
    少人数の盟友グループと、
    イノベーションの源泉となるバラエティに富んだ
    大勢の知り合いのネットワーク、
    そしてストレスを和らげるための打算のない
    友人関係という、3種類の人的ネットワークを
    育むこと。
  3. 大量消費主義を脱却し、家庭や趣味、
    社会貢献などの面で充実した創造的経験を
    することを重んじる生き方に転換すること。

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