世界が完全に思考停止する前に

世界が完全に思考停止する前に by 森 達也

森 達也

1956年生まれ。
ディレクターとして、テレビ・ドキュメンタリー作品を多く制作。
98年オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画「A」を公開、ベルリン映画祭に正式招待され、各国映画祭でも高い評価を受ける。
2001年「A2」を公開し、山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞する…

9.11から3年、
イラク戦争から1年半、
地下鉄サリン事件から9年…

あらゆる現実に葛藤し、
煩悶し続けるもっともナイーブな
ドキュメンタリー作家・森達也がこの国に問いかける。

目次

世界は今、僕らの同意のもとにある。(作られる聖域/戦争は嫌だという「感情」 ほか)
いつになったら、日本は大人になるんだろう。(タマちゃんを食べる会/で、何だったんだろう、あの牛丼騒ぎって。 ほか)
メディアは、どこまで無自覚に報道し続けるのだろう。(メディア訴訟は黒星続き/消された五分間 ほか)
二十一世紀のメディアを生きる人々(戦場のフォトグラファー/精神科救急研修医。 ほか)

世界が完全に思考停止する前に

世界が完全に思考停止する前に

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MEMO

世界が完全に思考停止する前に

◆人間は根っから残酷であるわけではない!

「心が弱くて、優しくて、
善意溢れる生きもの」なのだ。

だからこそ、互いにに殺し合い、
憎み合い、過ちを犯すのだ。

だとすれば、「私たちが本当に対峙すべき相手は、
悪意ではなく、一人称の主語を失った善意や優しさ」
ではないのか。

◆時流に乗り、
多数派に身を置けば不安はなくなるかもしれない。

しかし、それこそ思考と感情が麻痺した状態ではないのか。

にもかかわらず、
一人称による他者への想像力を口にするだけで、
「非国民」と罵られかねない淀んだ空気が
この社会に蔓延している。

◆世界の思考を停め、
私たちの身を現在も脅かし、
そして私たちが本当に対峙すべき相手は、
邪気や悪意などでは断じてなく、
一日の主語を失った善意や優しなのだ。

◆人は皆が思っているほど賢くない!

でも皆が思っているほど残虐でもない。

だからこそ過ちを繰り返す。

心が弱くて、優しくて、
善意あふれる生きものだからこそ、
人は互いに殺し合う。

これを本気で認めることは辛い。

なぜか?

主語を一人称にしなくては
ならないからだ。

◆過ちは繰り返さない!

その決意はもちろん間違っていない。

でも過ちを繰り返さないためには、
何をどう誤ったのかを知らなければならない。

いつのまにか私たちは、
同じ過ちを繰り返している。

なぜなら過ちを犯したのは「誰か」ではなく、
「自分たち」一人ひとりなのだということを、
私たちはいつの間にか忘れてしまっているからだ。

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