考える脳 考えるコンピューター

考える脳 考えるコンピューター by ジェフ・ホーキンス, サンドラ・ブレイクスリー

ジェフ・ホーキンス
1992年にパームコンピューティング社、1998年にハンドスプリング社を設立、現在はパームワン社のCTO(最高技術責任者)を務める。
ハンドヘルドコンピューター“Palm”やスマートフォン“Treo”の生みの親として、シリコンバレーでもっとも成功したエンジニア/起業家の一人に数えられる。
そのかたわら、長年興味を持っていた脳についての研究をつづけ、2002年には記憶と認知の研究を専門とするレッドウッド神経科学研究所を設立した。全米工学アカデミー(NAE)会員、コールドスプリングハーバー研究所科学評議員

サンドラ・ブレイクスリー
科学ライターとして、30年以上にわたりニューヨーク・タイムズ紙で科学と医学の記事を執筆してきた

パームコンピューティング社とハンドスプリング社を設立し、
数々のPDAを世に送り出してきたジェフ・ホーキンス。

IT業界で大成功を収めるかたわら、
彼はもう一つの情熱を追い続けてきた。

脳を知りたい、
脳と同じようにはたらく機械をつくりたい。

そして今、
大脳新皮質の「記憶」と「予測」の機能から、
“真の知能”の姿が描きだされる。

脳科学、コンピューター科学を揺るがす新たなビジョン…

目次

第1章 人工知能
第2章 ニューラルネットワーク
第3章 人間の脳
第4章 記憶
第5章 知能の新しい定義
第6章 新皮質の実際の働き
第7章 意識と創造性
第8章 知能の未来

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MEMO

考える脳 考えるコンピューター

◆心は別個の存在として脳の細胞を支配するものでも、
それと共存するものでもない。

ニューロンはあくまでもニューロンであり、
魔法の力で個別に、
あるいは集団として神秘的な活動をしているわけではない。

◆「現実とは何か?」という質問の大部分は、
新皮質のモデルには現実世界の本質がどれくらい正確に
反映されるのかという問題に帰着する。

自然界の数多くの特徴はかなり安定しているので、
ほとんどすべての人間が同じ内部モデルを持っている。

しかし、脳の中のモデルには、
習慣、文化、親からの教えによって形成される部分も多い。

そのため、これらの部分は安定しておらず、
人によって全く違うこともある。

文化が現実世界のモデルに与える影響は、
生半可なものではない。

文化と家庭での体験は、
人間に固定観念を植え付けるが、
残念なことに、
これは人生の宿命だ。

類推による予測は、
固定観念による判断とほとんど同じだ。

誤った固定観念は、
社会的にとんでもない結果を引き起こす。

◆脳が現実世界をどう理解し、
それにどう対処していくかは、
脳内のモデルからつくられた予測にもとづいている。

いかなる時点においても、
人間が直接に感じているのは、
世界のごく一部にすぎない。

その断片はどの記憶を呼び覚ますかを決定するものの、
それ自身だけでは、
現在の認識のすべてを構築するにはじゅうぶんでない。

人間の認識の大部分は感覚から得られるのではなく、
脳に記憶されたモデルからつくられる。

◆目を閉じてカバを想像すると、
視覚野が、実際にカバを見ているときと
まったく同じように興奮する。

まさに、想像したものが見えているのだ。

◆肉体の死後も心が生き続けるように思うのも、
無理なことではない。

だが、脳が死ねば心も死ぬ。

これは、
身体よりも先に脳が衰えた場合を考えればあきらかだ。

アルツハイマー病や重い脳障害の患者は、
身体が健康を保っていても、
心を失ってしまう。

◆新皮質は身体のモデルは構築できるが、
脳自身のモデルは構築できない。

脳の中に位置する思考は、
身体からもその先の世界からも、
感覚として切り離されている。

心は身体から独立している。

だが、脳からは独立していない。

◆意識とは、
新皮質の存在によってもたらされる作用にすぎない。

意識の概念は、大きく2つに分類できる。

▶ひとつは「自覚」と同義であり、日常ではこの意味に使われている。

▶もうひとつは「クオリア」と呼ばれる概念で、
感覚と結びつけられる感情がどういうわけか感覚器官への入力から
独立しているというものだ。こちらは難しい。

◆問題に行き詰まったら、
しばらく忘れよう。

ほかのことをしよう。

それから、問題をべつの表現に言い換え、
ふたたび取り込もう。

この手順をじゅうぶんに繰り返せば、
遅かれ早かれ、
何かがひらめくはずだ。

数日後かも、数週間後かもしれないが、
いつかは起こる。

そのためには、
過去の経験のどこかに現在と類似の状況を
見つける必要がある。

成功するためには、
問題についてあれこれ考えるとともに、
ほかのことにも目を向けて、
新皮質が類似の記憶を見つける可能性を
高めなければならない。

◆天才の脳とふつうの脳の違いだ何であれ、
あらゆる人間は創造性を備えている。

だから、訓練と勉強によって、
技量を才能を高めることができる。

◆人間の新皮質はほかの動物に比べてかなり大きく、
どんなことでも学習できる途方もない順応性を備えている。

何を学習するかは、
人生で何を経験するかだけによって決まる。

◆社会生活、語学や数学、
駆け引きなどにおいて創造性に差が出るのは、
育った環境の影響が大きい。

人間の予測、
すなわち才能は、
経験の上に成り立っている。

◆創造性とは、
それまでの人生で得られたあらゆる経験と知識を混ぜ合わせ、
同じパターンを見つけることだ。

◆創造性が高い芸術品作品が賞賛されるのは、
じつは、鑑賞者の予測が裏切られるからだ。

◆創造性とは、簡単にいえば、
類推によって予測をたてる能力にすぎない。

新皮質のあらゆる場所で起こっていて、
人間が目覚めているあいだいには、
頻繁に行われている。

類推による予測、すなわち創造的な活動は、
脳があまりにもあたり前におこなっているため、
ふつうは意識されることはない。

◆知能の発達の歴史

▶第1の進化:DNAによる記憶の媒介
▶第2の進化:自然界が柔軟な神経系を発明し、記憶をすばやく形成できるようになった
▶第3の進化:言語の発明と、さらなる新皮質の拡張
—————————————————
◆話し言葉を聞くと
それに対応する対象を自分の中に再現する。

言語は純粋な類推の手段として、
実際の出来事を体験しない人にも、
同じ経験と学習を可能にする。

言語のおかげで、
人間は自分の人生で学習したパターンを記録し、
子孫や仲間に伝えることができる。

書き言葉であれ、話し言葉であれ、
文化に特有な伝統表現であれ、
言葉は人間が森羅万象の知識を
世代から世代へと受け継いでいく手段だ。

◆予測は脳の単なるひとつの働きではない。

それは新皮質の「もっとも主要な機能」であり、
知能の基盤なのだ。

新皮質は予測のために存在する
生体組織といってもかまわない。

◆人間の脳は蓄積した記憶を使って、
見たり、聞いたり、触れたりするものすべてを、
絶えず予測している。

予測はあらゆる場合に行われているので、
もはや人間の「認識」、
すなわち、現実世界がどのように見えるかは、
感覚だけから生み出されるものとは言えない。

人間の認識は、
感覚と脳の記憶から引き出された予測が
組み合わさったものなのだ。

◆人間が何かを見たり、
聞いたり、触れたりしたとき、
新皮質はきわめて具体的で詳細な入力を受け取って、
それを普遍の表現に変換する。

記憶も、それと比較される新しい入力パラメータも、
普遍の表現なのだ。

記録を蓄え、思い出し、比較する作業は、
すべて普遍の表現のレベルで起こっている。

◆人間は、見たり、聞いたり、
触れたりしたものを正確に記憶するのではない。

覚えるときも、
思い出すときも、
完全な精密さには欠ける。

その理由は、
新皮質やニューロンの機能が低く、
誤りを起こしやすいからではない。

脳が現実世界の重要な関係だけを、
細部にかかずらうことなく記憶するからだ。

◆思考と記憶は連想によってつながっていて、
ランダムな思考はけっして現実にはおこらない。

脳は自己連想によって現在の入力を補い、
自己連想によって次に何が起きるかを予測する。

このような記憶のつながりが「思考」の本質だ。

◆騒々しい場所で会話をしているとき、
言葉がすべて聞こえないことがよくある。

だが、問題はない。

脳は聞こえなかった部分を、
聞きたかったように補う。

極端な場合には、
耳に入っていたはずの言葉でさえ、
勝手に置き換えてしまう。

◆いかなる時点にも、
人間が思い出すのは知識のごく小さな断片にすぎない。

ほとんどの情報はただじっとそこにいて、
適切なきっかけによって呼び覚まされるのを待っている。

◆ひとつの出来事しか話せない本当の原因は、
物語が頭の中にシーケンスとして記憶されていて、
それを同じ順番でしか呼び戻せないことになる。

◆新皮質とコンピューターの違い

▶新皮質はパターンのシーケンスを記憶する
▶新皮質はパターンを自己連想的に呼び戻す
▶新皮質はパターンを普遍の表現で記憶する
▶新皮質はパターンを階層的に記憶する

◆考えられる最大の並列コンピューターが
何億、何兆というステップをかけても計算できない難問を、
なぜ脳は100ステップで解くことができるのか?

その理由は、
脳が問題の答えを「計算」するのではなく、
記憶の中から引き出してくるからである。

◆脳の領域がどのような機能に特化するかは、
成長の過程で流れ込む情報の種類に大きく依存する。

◆心と脳はまったく同じものだ。

脳の細胞が心をつくっていることは事実であり、
仮説ではない。

◆人工知能(AI)の研究は
人間の能力をプログラムできないばかりか、
知能の本質も解明できない。

コンピューターと脳は、
完全に異なる原理でつくられている。

コンピューターはプログラムされ、
脳は自分で学習する。

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