“町内会”は義務ですか?

“町内会”は義務ですか? ~コミュニティーと自由の実践~ by 紙屋 高雪

紙屋 高雪

1970年愛知県生まれ。
京都大学法学部卒。
“9時5時”で勤務する夫でありつつ、残業ばりばりフルタイムで働く妻と、小学生の娘、一家三人の家事をほぼ一手にひきうける育児パパ。

自らのブログで軽妙な文体にて漫画評論や育児論等の社会時評を綴り、朝日新聞社運営の言説サイト「WEBRONZA(ウェブロンザ)」、ニュースサイト「The Huffington Post(ハフィントンポスト)」日本版でも転載紹介されるブロガー…

地域コミュニティーは大切…
でも面倒は極力避けたい…
そんな建前と本音が現実になる場が、町内会・自治会。

団塊Jr.世代の著者は町内会長(自治会長)をついひきうけてしまい、
その仕組みと実態に驚きつつ、
てんてこまいに。

ちょっとした成果に充実感をえたりもしたが、
最後は“つるしあげ”にあった末、
一風変わった「ミニマムで楽しくラクな町内会」の創生へと至った。

体験を通し、歴史や、法的な位置づけ、統計データも踏まえ、
町内会・自治会の今後のあり方を提言する…

目次

序章 町内会って入らなくてもいいの?
第1章 町内会は必要です!
第2章 町内会は要らない?
第3章 ゆるゆるな新町内会をつくってみた
第4章 町内会は今後どうしたらいい?
終章 親睦だけでもなんとかなる

町内会"は義務ですか?

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MEMO

“町内会”は義務ですか

◆新しい自治会の原則

会費なし、義務なし、手当なし

◆団地の自治会などで清掃や草刈りに
出てこなければ罰金を課すケースがあるが、
そこに生きづらさがある。

タダ乗り者の排除は、
ある意味で現代的な村八分だが、
こうした「無言の圧力」というのは、
古くからある同調圧といってよい。

◆班長や役員になったときの拘束時間の目安を示す

仕事や生活優先であって、
事情を伝えて、無理なときはちゃんと断っていいんだという
ルールを確立する。

◆「会長は無理です」
「会長するくらいなら班長はしません」
「班長をしなきゃいけないなら町内会をやめます」
というパターンが多い。

横浜市の調査では、
町内会長に6年以上在職しているという人が28%あり、
11年以上が1割を超えている。

◆住民にとって町内会への加入が
任意であることは、ゆるぎない。

戸建て住宅に住もうが、
民間アパートに住もうが、
町内会加入および町内会費の支払い
そのものが義務になることはない。

◆ある公営団地の自治会は、
毎週団地の中の広場、前の道路、共用の廊下などを掃除している。

当番で回ってくるが、
休むと罰金、というか出たくない人は1000円お金を払う。

それを元手にして、別の人に日当として渡し、
不足する労働力を補う。

他方、あるURの団地自治会は、掃除をしない。

理由は簡単、
UR側が業者に委託して団地内をほぼ毎日清掃してもらっている。

除草や剪定は年4回、これも業者に頼んでいる。

業者に頼む元手は、
住民の共益費である。

URの共益費は、
自治会に入っている・いないにかかわらず、
UR側が必ず徴収する。

つまり、自分たちの人手でまかなうか(労働)、
金銭で業者に委託するか(金銭)…

某公営団地とUR団地は考えがきっぱり分かれている。

労働でまかなうメリットは、
まず共益費が安くなる。

そして自分たちで掃除することによって、
自分たちの団地に愛着がわく。

また、みんなで掃除する中で、
お互いが親しくなる。

金銭でまかなうメリットは、
何よりもわずらわしくないこと。

他人がやってくれるのだら、
面倒な当番もないし、
「草取りに出てこい」「出ません」というトラブルもない。

掃除の質にムラがなく、確実である。

そして、タダ乗りする人がいない。

町内会に入っている・いないにかかわらず、
共益費から取られる。

◆町内会には関わりたくないな
と思っている逃げ腰の人にとっては、
このルールがいかに役立つかはとてもわかりやすい。

でも、それだけではない…

町内会の加入や会費の集金で苦労している人たちにとっても、
実はこの判決が確立したルール
町内会は強制加入じゃないよ、任意なんだよ)を
出発点・原点にしなければならないことにある。

言い方を変えると、
どんなに活発で、参加者が多い町内会であっても、
「加入は自発的意思であり、任意だ」ということ。

それはこれからの時代に町内会を発展させるというか、
生き残らせて、
リニューアルしていくために欠かせない大原則である。

◆問題は裁判にまでなってしまい、
最高裁判所にまで争いがもちこまれた。

最高裁が下した判決がある。

それは、
町内会は強制加入団体ではなく、脱退は自由
という判決だった。

この裁判は、県営団地に入った人が、
団地自治会の役員方針に不満で退会を申し入れ、
以後の自治会費を払わなかった。

そのために団地自治会側は裁判を起こし、
自治会費を払うようにもとめた。

この裁判は、地裁と高裁では被告側が負けた。

しかし、最高裁で逆転勝利した。

判決を一部引用する…

団地自治会は会員の親睦を図ること、
快適な環境の維持管理及び共同の利害に対処すること、
会員相互の福祉・助け合いを行うことを目的として設立された権利能力のない社団であり、いわゆる強制加入団体ではなく、
その規約において会員の退会を制限する規定を設けていないのであるから、
団地自治会の会員は、いつでも団地自治会に対する一方的意思表示により
団地自治会を退会することができると解するのが相当であり、
本件退会の申し入れは有効であるというべきである。

肝心なのは、自治会っていうのは
強制加入団体じゃないよね、
と断じている点である。

◆連番で班長をやれという。

仕方なく引き受けて班長の集まりに出るが、
班長の中から今年の会長と副会長を選ぶことになる。

もちろん率先して手をあげる人はいない。

そこでくじ引き。

「運悪く」会長になってしまう。

「いや、今年私は、
会社で重大なプロジェクトのリーダーになっていてとても無理!」と叫ぶが、
「忙しいのはみんな同じなんです」と、
パッと見て引退してヒマそうなおじさんが静かにたしなめる。

まあ、会長はいつも同じ人がやっていて、
副会長とか会計がこんなふうに決まる場合もある。

そこから怒涛の日々が始まる。

◆加入は減り、高齢化もすすむ一方。

役員などの担い手は固定化。

どんどん活動がきつくなり、
「成功例はわかったけど、
それ、うちの町内会でいったら、
誰がやるんだ? オレ?」と心中、
不安を抱えているのではないか。

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