遅刻してくれて、ありがとう

遅刻してくれて、ありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方 by トーマス・フリードマン

トーマス・フリードマン

1953年ミネソタ州生まれ。
ブランダイス大学卒業後、オックスフォード大学で修士号取得(現代中東研究)。
UPI通信に入社し、1979年から81年までベイルート特派員。

その後ニューヨーク・タイムズ社に移り、ベイルート、エルサレム両支局長を歴任。
その間、ピュリツァー賞を2度受賞。

89年に帰国し、ホワイトハウス担当首席記者を経て、95年からニューヨーク・タイムズ紙の外交問題コラムニスト。
2002年、テロ問題に関する執筆活動により、3度目のピュリツァー賞を得る…

「何かとてつもないこと」
が起きている―社会のめまぐるしい変化を前に、
多くの人がそう実感している。

だが、
飛躍的な変化が不連続に高速で起きると、
理解が追いつかず、
現実に打ちのめされた気分にもなる。

何より私たちは、
スマホ登場以来、
ツイートしたり写真を撮ったりに忙しく、
「考える」時間すら失っている。

そう、
いまこそ「思考のための一時停止」が必要だ。

「平均的で普通な」人生を送ることが
難しくなった「今」という時代を、
どう解釈したらいいのか?

変化によるダメージを最小限に抑え、
革新的技術に対応するにはどうしたらいいのか?

常識が崩壊する社会を生き延びるヒントを教えてくれる…

目次

Part 1 熟考 (Reflecting)

1 遅刻してくれて、ありがとう (Thank you for Being Late)

Part 2 加速 (Accelerating)

2 2007年にいったい何が起きたのか? (What the Hell Happened in 2007?)

3 ムーアーの法則 (Moore’s Law)

4 スーパーノバ (The Supernova)

5 市場 (The Market)

6 母なる自然 (Mother Nature)

Part 3 イノベーティング (Innovating)

7 とにかく速すぎる (Just Too Damned Fast)

8 AIをIAに変える (Turning AI into IA)

遅刻してくれて、ありがとう

遅刻してくれて、ありがとう

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MEMO

遅刻してくれてありがとう

◆ほとんどの企業が従来やってきたのは、
望みの物を造るために、
天然資源を掘り起こすことだった。

現在の新プラットフォームは、
「私たちが望む人々になるために」
人間の可能性を掘り起こすことだ。

◆人々の最大の資産は、
家ではなく、
彼らが持っている時間と潜在力である。

◆これからの時代は、
大きな格差は、

やる気の格差

になる。

セルフモチベーション、気概、忍耐力のある人間は、
無料もしくは低コストのオンライン・ツールで、
一生ずっと創造し、協力し、学び続ける。

◆「大人になったら何になりたいか?」
と質問するのは時間の無駄である。

それよりも、

・大人になったらどんなふうになるか?
・大好きなことは何か?(進化する質問)
・大好きなことを生産的にするのに、どうするつもりか?

と質問すべきだ。

つまり、
大好きなことや目標を新規起業の
ビジネスチャンスに変えるには
どうすればよいのか?

職を見つけるだけでなく創り出すには、
どうすればよいか?

と問いかける。

◆現在の若者や大学生に聞いてはならない
質問が3つある…

それらの質問をすれば、
彼らの考え方が凝り固まってしまうとともに、
質問した人が無知であることがばれる。

Q1:大人になったらなにになるつもりですか?

彼らがやることになるかもしれない仕事の多くが、
まだ存在していないかもしれないのだから、
これほど馬鹿げた質問はない。

Q2:専攻はなんですか?

高等教育機関が学生に、
彼ら自身と彼らがこれから住むことになる世界の
状況やリスク度合いや知識とは無縁の専攻を
選択させる傾向が強まっている。

Q3:生活のためになにをやりますか?

これでは自意識が決まり切った役割に固着してしまう。
いまのように多くの産業が内部崩壊したり、
変容しているとき、
そういう自己認識では共倒れになりかねない。

◆今中高年の人たちが大学を卒業したときには、
職を探さなければならなかった…

でも、これからは、
若者たちは職を創り出さなければならない。

そして、
変化のサイクルのたびに、
創り続けなければならない。

◆AmazonがAIアシスタントのアレクサを売るのは、
消費者をより賢く、
迅速にするだけではなく、
Amazon自身を貸しこく、迅速にして、
消費者がほしがっている本や衣服にくわえて、
消費者が必要としているかどうか、
ほしがっているかどうかが
わからない新製品も売れるようにするためだ。

◆人生の前半に画一的な学位を苦労して取得しても、
10年とたたないうちに時代遅れになるおそれがある。

大学を卒業するために抱え込んだ負債を返済して、
あらためて自分に投資する前に、
そうなってしまう。

◆着実に賃金が伸びている職業は、
認知と社会的スキルの両方が求められるものだけだ…

◆アメリカの機関は、
かなりの時間をかけて、
金融資本のリターンを最適化する方法を
模索してきた。

そろそろ、
人的資本のリターンの最適化を
考えはじめる時期である。

◆低収入の才能ある学生の、
「コーディング・ブートキャンプ」
15週間の指導料と生活費に、
マイクロ・エクイティ投資を割り当てる。

ソフトウエア開発者として就職できたときに、
それが負債に転換される。

◆現在は
邪魔者テクノロジーが、
集中のテクノロジーを追い抜いている。

私たちは、
これまで以上に集中力を持続する
修練を積まなければならないし、
演習に没頭する必要がある。

◆現在のアメリカでは、
あまり目立たないが、
重要な知的補佐の教育ツールがいくつもあり、
無料で利用できる。

カーン・アカデミー・オンライン
無料SAT準備試験にサインアップする生徒は、
300万人を超えている。

これは1年間に商業的な準備試験の授業を
利用する生徒の4倍に相当する。

◆カーン・アカデミー(Khan Academy)は、
YouTubeの動画を使い、
無料の短い授業を英語で提供している。

科目は数学、アート、コンピュータ・プログラミング、
経済学、物理学、化学、生物学、内科学、金融、歴史など幅広い。

◆今の若者に必要なこと…

まず技術的なスキルを発展させるべきだが、
それだけでは十分ではない。

自分を市場に出す方法を知る必要がある。

マーケティングは市場で事業を展開する
会社だけのものではない。

それが、
仕事を得るのに重要な部分を占めている。

◆タスクラビット vs ギグ・エコノミー

・タスクラビット (Task rabbit)

便利屋のような仕事のマッチングサイトのような雑用的な仕事。

・ギグエコノミー (Gig Economy)

インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方

◆2015年10月にGoogleは、
TensorFlowと呼ばれるプログラムの
基本アルゴリズムをオープンソースで公開した。

TensorFlowは、
高速コンピュータがビッグデータを活用した、
「深層学習」を行い、
人間よりも速くタスクを実行できるようにする
アルゴリズムだ。

そして、
2016年1月には
TensorFlowを学ぶオンライン講座も立ち上がった。

◆教育には2つの市場がある…

1)キャンパスを経験したい人々のための市場

2)手軽なコストで空いた時間にできるような生涯学習を続けたい人々のための市場

◆名刺は毎週変える…

そして、
名刺には次のようなことを書く…

考えている5つのこと

1)多様性と業績の関連性
2)複雑適応系に介在する理論
3)レジリエントなサプライチェインの模索
4)セレンディピティの数理を利用する方法
5)仕事の未来を想定する

◆新しい社会契約

生涯学習をやる覚悟があれば、
生涯社員になれる

———————————————
◆AT&Tは各大学に、
会社の予算に適合するオンライン学習ができる
過程を提案するよう求めた。

この手法によって教育界では
多くのイノベーションが促進された。

たとえば、
ユダシティ、AT&T、ジョージア工科大学が
創出したコンピュータ科学のオンライン修士課程は、
6600ドルで全課程を修めることができる。

ちなみに、
ジョージア工科大学のキャンパスで2年間学ぶと、
4万5000ドルかかる。

◆AIをIAに変える

それはAIを
知的支援(Intelligent Assistance)と知的補佐(Intelligent Assistant)、
知的なアルゴリズムに変えることである。

知的支援とは、
政府、企業、ソーシャルセクターがAIを利用して
高度なオンラインおよびモバイル・プラットフォームを開発し、
すべての労働者が自分の時間を使って
生涯学習に専念するのを可能にし、
なおかつその学習が認めなれて、
昇進に結びつくことだ。

知的補佐は、
AIを使用して人間とツールやソフトウエアのインターフェースを改善し、
人間が速く学習できるようにするだけではなく、
行動も速く、より賢明になるようにしたときに実現する。

私たちはAIを駆使して、
もっと知的アルゴリズムを創出しなければならない。

◆教育システムはツールを更新して、
スキルや特質を最大にしなければならない。

読み、書き、コーディング、
数学の強力な基盤を築き、
創造性、批判的思考、コミュニケーション、
共同作業、セルフモチベーション、
生涯学習の習慣、起業家精神、
その場その場の工夫を、
あらゆるレベルで強めていかなければならない。

◆仕事はなくならないが、
いい仕事に必要とされるスキルが高くなっている。

◆私たちは人的資本への投資を基本とする
成長モデルに集中する必要がある。

では、
どこから手をつければよいのか。

加速の時代には3つの社会契約を
考え直さなければならない。

すなわち、

・労働と雇用主
・学生と教育機関
・市民と政府の社会契約

を考え直す必要がある。

◆農業経済では、
土地が資産だった。

工業経済では、
物的資本が資産だった。

サービス経済では、
方法、デザイン、ソフトウェア、特許
のような無形のものが資産だった。

現在の知識・人間経済では、
人的資本(才能、スキル、ノウハウ、共感、想像力)が資産になる。

◆「あなたの仕事ができる人間が
世界中に100万人いるとわかったら、
どんな気分か?」

1000人なのか、
それとも100万人なのかは、
議論の余地があるかもしれないが、
20~30年前にはひどく馬鹿げた質問だった。

気にするようなことではなかった。

自分はここにいたし、
彼らはどこかべつの場所にいたからだ。

いまはかなり深刻な疑問になっているし、
こうつけくわえてもいい。

あなたの仕事ができるロボットが
100万体いるとわかったら、
どんな気分か?

◆デジタル・デバイドは
概ね解消された。

そうなったときのもっとも重大な格差は、
モチベーション・デバイド」だ。

◆現在では、
ただルーティンの課題をやるのではなく、
「知識をどんどん増やし、
知っていることをより頻繁に情報更新し、
それによって、
より創造的なことをしなければならない。

その循環の輪が、
現在では仕事や学習の範囲を確定する。

だからこそ、
いまはセルフモチベーション
非常に重要なのだ。

◆高給で中スキルの仕事は、
フィルム大手のコダックとともに消滅した。

加速の時代、
もうそういう動物は動物園には
いなくなっている。

高給で高スキルの仕事はいまもある。

中程度の賃金で中スキルの仕事もある。

だが、
高給で中スキルの仕事は
もはや存在しない。

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