JALの奇跡

JALの奇跡 (稲盛和夫の善き思いがもたらしたもの) by 大田嘉仁

大田 嘉仁

昭和29年鹿児島県生まれ。
53年立命館大学卒業後、京セラ入社。
平成2年米国ジョージ・ワシントン大学ビジネススクール修了(MBA取得)。

秘書室長、取締役執行役員常務などを経て、22年12月日本航空(JAL)会長補佐・専務執行役員に就任(25年3月退任)。
27年12月京セラコミュニケーションシステム代表取締役会長に就任、29年4月顧問(30年3月退任)。

現在は、稲盛財団監事、立命館大学評議員、日本産業推進機構特別顧問、鴻池運輸社外取締役ほか、新日本科学、MTG等、数社の顧問を務める…

本書は2010年に経営破綻に陥ったJALが、
いかにして再生の道筋を辿り、
奇跡の復活を果たすかまでの一部始終を綿密に描いた渾身のノンフィクションである…

目次

第1章 縁に導かれて
第2章 稲盛経営哲学 成功方程式とは何か
第3章 なぜJALは経営破綻したのか
第4章 意識改革
第5章 リーダーから変える
第6章 全社員の意識を高め、一体感を醸成する
第7章 フィロソフィと正しい数字で全員参加経営を実現する
第8章 JALで生まれた社員の変化
第9章 愛情と真剣さ――稲盛さんのリーダーシップ
第10章 甦った心

JALの奇跡

JALの奇跡

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MEMO

JALの奇跡

稲盛和夫 日本航空 会長 2011.2.8
https://www.youtube.com/watch?v=LrXO5XomGAo

日本航空・大西会長が語る「破たんしたJALをV字回復させた意識改革・組織改革とは?」
https://www.youtube.com/watch?v=2NSt8zcYtbI

◆成功も試練であり、
神様は人間に成功という試練を与え、
それに驕り油断するような人間なのか、
それとも、
成功に惑わされることなく
いつまでも誠実に真剣に生きる
人間なのかを試されている。

だからこそ
謙虚にして驕らず、
さらに努力

することが大切なのだ。

◆一度何かに染まった心は簡単には
元には戻らないと思いがちだが、
それは間違っている。

人の心は甦ることができる

そうなりたいと思い、
努力を重ねるなら、
本来の美しい姿に戻ることは可能なのだ。

◆全員参加の経営を実現するためには、
幹部を含め、会社員の心の在り方、
心の様相をまず変える必要がある。

◆和顔愛語(わがんあいご)

笑顔で他人と接し、
思いやりのある言葉を発する。

◆人間の本質は真善美に満ちたもの、
つまり、正しいもの、
善きもの、美しいものであり、
人間の心の奥にある魂のレベルでは、
人間は愛と誠と調和を追い求めている。

「愛」とは他人の喜びを
自分の喜びとする心、
「誠」とは世のため、
人のためになることを思う心、
「調和」とは自分だけでなく、
周りの人々みんなが
常に幸せに生きることを願う心である。

◆「常に」善きことを思わなくてはいけない

どんな事情があろうと、
相手を悪く言ったり恨んだりしてはいけない。

私たちは何か大きな問題に直面したり、
思いがけない不遇なことに遭ったりすると、
「なんで自分だけが…」
「相手が悪いから…」
とつい愚痴を口にしてしまう。

それは絶対にだめだ。

どんなことがあろうと
常に善きことを思い、
まずは自分が一生懸命努力しなければならない

どのような困難に直面しようと、
どんな不運に陥ろうと、
不平不満を言うのではなく、
感謝の気持ちを忘れずに、
前向きでいなければならない。

ここで大切なのは「常に
ということだ。

◆営業利益率10%以上を目指す

◆共通経費や固定費を分解して無駄のチェックをする

細かい経費をまとめた
「共通経費」では無駄の削減はできない。

共通経費はできるだけ分解する

その中で削減できるものはないか
常にチェックできるようにする。

固定費も同じである。

◆どんな理由があっても
予定は100%達成しなくてはならない

そのためには、
細かい数字でも変化があれば、
その理由を徹底して調べ、
対策を考えておかなければならない。

こうすることによって、
数字に強い、
しかも現場のことが手に取るようにわかる
リーダーになれる。

◆いくら経営数字をオープンにしても、
現場の社員が感心をもたなければ、
宝の持ち腐れであり、
意味もない。

◆名称にしろ、その順番にしろ、
すべてに意味がなくてはならない。

新しく何かを決めたのであれば、
どのような意味を込めてそうしたのか、
みんなが納得できるような説明ができるものにする。

◆社員の心理が手に取るようにわからなければ、
採算表のフォーマットは作れない。

◆採算表というのは、
経営者が見てわかりやすいものであればいい
というわけではない。

社員がそれを見て頑張ろう
と思えるようなものでなくてはいけない。

◆アメーバ経営

目的は、
全員参加の経営を実現すること。

組織をできるだけ小さく分けて、
運営をリーダーに任せる。

経営数字はオープンにし、
しかもリアルタイムにわかるようにする。

当然各アメーバーリーダーが
経営責任を負うが、
構成メンバーも日々の実績を見ながら、
売上最大、経費最小」を目指して、
創意工夫を積み重ねていく。

そうすることで
全員参加の経営が実現できる。

◆人間の意識というものは、
時間をかければ変わるというものではなく、
一気呵成に進めた方が、効果がある

何か新しいことをやろうとすれば、
スピート感を大切にして、
期限を区切ることが重要だ。

目安として3年を期限とする。

◆経営の目的は
全社員の物心両面の幸せを追求することである

社員を幸せにしようという会社であれば、
社員はみな自分の会社だと思って
自分の会社を少しでも良くしようと
一生懸命努力する。

資本主義社会では株主価値を最大にすることが
企業の目的だといわれるが、
社員が喜んで仕事をし、
立派な業績を上げれば、
結局は株主価値も上がる。

社員すら幸せにできないで、
会社がうまく運営できるわけがない。

◆JALフィロソフィー

第1部 すばらしい人生を送るために

第1章 成功方程式 (人生・仕事の方程式)
・人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

第2章 正しい考え方をもつ
・人間として何が正しいかで判断する
・美しい心をもつ
・常に謙虚に素直な心で
・常に明るく前向きに
・小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり
・土俵の真ん中で相撲をとる
・ものごとをシンプルにとらえる
・対極をあわせもつ

第3章 熱意をもって地味な努力を続ける
・真面目に一生懸命仕事に打ち込む
・地味な努力を積み重ねる
・有意注意で仕事にあたる
・自ら燃える
・パーフェクトを目指す

第4章 能力は必ず進歩する
・能力は必ず進歩する

第2部 すばらしいJALとなるために

第1章 一人ひとりがJAL
・一人ひとりがJAL
・本音でぶつかれ
・率先垂範する
・渦の中心になれ
・尊い命をお預かりする仕事
・感謝の気持ちをもつ
・お客さま視点を貫く

第2章 採算意識を高める
・売上を最大に、経費を最小に
・採算意識を高める
・公明正大に利益を追求する
・正しい数字をもとに経営を行う

第3章 心をひとつにする
・最高のバトンタッチ
・ベクトルを合わせる
・現場主義に徹する
・実力主義に徹する

第4章 燃える集団になる
・強い持続した願望をもつ
・成功するまであきらめない
・有言実行でことにあたる
・真の勇気をもつ

第5章 常に創造する
・昨日よりは今日、今日よりは明日
・楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する
・見えてくるまで考え抜く
・スピード感をもって決断し行動する
・果敢に挑戦する
・高い目標をもつ

—————————————————
◆稲盛和夫 Official Site
https://www.kyocera.co.jp/inamori/management/devoted/

◆6つの精進

  1. 努力 (Effort) 誰にも負けない努力をする
  2. 謙虚 (Humbleness) 謙虚にして驕らず
  3. 反省 (Reflection) 反省のある毎日を送る
  4. 感謝 (Thankfulness) 生きていることに感謝する
  5. 善行 (Benevolence) 善行、利他行を積む
  6. 感性 (Sensibility) 感性的な悩みをしない

7つの会計原則

  1. 1対1対応の原則
    会計処理では常にモノ(お金)と伝票を1対1で対応させることが必要であり、このことを「1対1対応の原則」と呼ぶ。モノが動けば、必ず伝票が起票されるようにする。そうすることによって常にモノやお金の流れが正しく把握でき、会計データは常に会社の実態を正確に表すことになる。
  2. ダブルチェックの原則
    人は魔が差したとか言いようのない過ちをおかすことがある。こうした人がもつ弱さから従業員を守るために、複数の人や部門がお互いにチェックし、正しい会計処理を行うようにするのが、「ダブルチェクの原則」である。
  3. 完璧主義の原則 
    いかなる曖昧さや妥協も許さず、細部にわたって完璧に仕上げることを目指す。
  4. 筋肉質経営の原則
    売上や利益を生まない余分な在庫や設備をいっさいもたない。
  5. 採算向上の原則
    全社員が経営者意識をもち、創意工夫を重ね、一致団結して、「売上最大、経費最小」を実践し、採算を向上させ強い企業体質をつくる。
  6. キャッシュベース経営の原則
    「お金の動き」に基づいてシンプルな経営を行う。
  7. ガラス張り経営の原則
    経営者だけが会社の実態を把握するのではなく、全社員が経営状況を知ることができる透明な経営を行う。

稲盛経営12ヵ条

  1. 事業の目的、意義を明確にする
    公明正大で大義名分のある高い目的を立てる。
  2. 具体的な目標を立てる
    立てた目標は常に社員と共有する。
  3. 強烈な願望を心に抱く
    潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと。
  4. 誰にも負けない努力をする
    地味な仕事を一歩一歩堅実に、弛まぬ努力を続ける。
  5. 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える
    入るを量って、出ずるを制する。利益を追うのではない。利益は後からついてくる。
  6. 値決めは経営
    値決めはトップの仕事。お客様も喜び、自分も儲かるポイントは一点である。
  7. 経営は強い意志で決まる
    経営には岩をもうがつ強い意志が必要。
  8. 燃える闘魂
    経営にはいかなる格闘技にもまさる激しい闘争心が必要。
  9. 勇気をもって事に当たる
    卑怯な振る舞いがあってはならない。
  10. 常に創造的な仕事をする
    今日よりは明日、明日よりは明後日と、常に改良改善を絶え間なく続ける。創意工夫を重ねる。
  11. 思いやりの心で誠実に
    商いには相手がある。相手を含めて、ハッピーであること。皆が喜ぶこと。
  12. 常に明るく前向きに
    夢と希望を抱いて素直な心で

◆マネージャーではなく、リーダーになれ!

部下をまとめて同じ目標に向けて
引っ張っていくリーダーになれ…

数字で経営するという発想を持て!

◆経営の目的は、
全従業員の物心両面の幸せの追求である。

ところが、
今のサラリーマン経営者は
従業員ではなく株主の幸せのみを追求している。

これが日本の大企業が
稼げなくなった原因である。

◆新しき計画の成就はただ不屈不撓(ふくつふとう)の一心にあり。
さらばひたむきに、ただ想え、気高く、強く、一筋に…

中村天風

◆企業の成功方程式は、

[社員の考え方] ✕ [社員の熱意] ✕ [社員の能力+社員の能力をフルに発揮させる経営システム]

という数式で表される。

この3つの要素の中で、
「考え方」や「熱意」というものは
社風を形作っているものだが、
外からは見えにくく評価しにくい。

一方で、企業の「能力」、
つまり財務力や技術力、生産力はわかりやすく、
評価しやすい。

そのために、
投資家などはこの見える部分で
会社の優劣を評価する傾向にある。

企業経営において本当に重要なのは、
目に見えない社風や文化であり、
経営者を含めた社員の「考え方」や「熱意」なのだ

◆社員の心の動きが手に取るように
わかるようにならなければ、
いい経営者にはなれない。

特に、社員の「熱意」を高めるためには、
社員の深層心理までわかるような洞察力を身につけ、
社員の立場になって考える
ことが必要となる。

◆自分の「考え方」をどのような時でも
揺らぐことのない哲学にまで高め、
その自分の経営哲学を自分の言葉で社員に語りかけ、
浸透させなくてはならない。

すべての社員が、
トップの「考え方」に共鳴し、
それを学びたいと思うようになれば、
組織としての「考え方」は高まる。

◆経営の理念…

経営の目的には経営者の
私利私欲が少しでも入ったものであってはならず、
全社員の物心両面の幸せを願うものでなくてはならない。

ゆえに、経営の理念を
全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、
人類社会の進歩発展に貢献すること

と定める。

◆外から見えないもの(考え方・熱意)が大事…

「能力」という要素は、
外部からもよくわかり、
しかも簡単には劣化しない。

だから、
私たちは、ある程度の「能力」を身につければ
安定した生活が送れると、
少しでも高い学歴を得、
資格を取ろうとし、
またそのような人を評価する。

一方で、
「考え方」や「熱意」は極めて内面的なもの、
「こころ」の中にあるものであり、
外からはわからない。

さらに、人間の「こころ」は極めて弱く、
「考え方」は、油断するとマイナスになってしまうという
恐ろしい現実もある。

「熱意」は時と場合によっては
失ってしまうことさえある。

外から見えない「考え方」と「熱意」が
生きていく上で何よりも重要である

◆人間の能力は、
努力し続けることによって
無限に広がる。

何かをしようとするとき、
まず「人間の能力は無限である
ということを信じ、
何としても成し遂げない」という
強い願望で努力を続けること。
———————————————
◆本物の「熱意」とは、
志と言い換えてもいいものであり、
どんな環境の変化があろうと、
決して変わるべきものではない。

つまり、、
潜在意識にまで透徹する強い持続した願望
とも言える。

そして、そうなるためには四六時中
そのことを考えていなければならない。

◆「熱意」とは「考え方」を実践に導くもの

いくら人間として正しい「考え方」をもっていたとしても、
実践が伴わなければ価値がない。

そのために必要なのが、
熱意」である。

この「熱意」とは、
思い、願望、情熱、意志とも呼べるものであり、
すべての行動の原動力になる。

◆正しい「考え方」を、
どんな環境に置かれようと、
つまり失敗しようと成功しようと、
揺らぐことのない哲学にまで
高めなければならない。

◆「考え方」が少しでもマイナスに振れると、
いくら「能力」が高く、
「熱意」をもっていても、
人生は悪い方向へ一気に進んでしまい、
それまでの努力さえ無駄になってしまう。

それほど人生は厳しい。

◆正しい「考え方」とは?

正しい考え方とは、
子供のころ、親や学校の先生から教えてもらった、
「やっていいこと」「悪いこと」であり…

たとえば、

「ウソをつくな」
「正直であれ」
「人のために役立ちなさい」
「一生懸命努力しなさい」
「弱いものをいじめるな」
「欲張るな」

という初歩的な道徳律のようなもの。

また、

「自分にとって」正しいことでも、
「相手にとって」正しいことでもなく、
「誰から見ても」正しいことであり、

公平、公正、正義、勇気、誠実、忍耐、努力、親切、
思いやり、謙虚、博愛
という言葉で表せるもの。

◆成功方程式

人生・仕事の結果=考え方 ✕ 熱意 ✕ 能力

考え方(-100点~+100点)、熱意(0~100点)、能力(0~100点)

  • たとえ平凡な能力しかもっていなくても、それを補って余りある努力をひたすら続ければ、大きな成功を収めることがいえる。
  • 「能力」や「熱意」と違って、この「考え方」には、マイナス100点からプラス100点までの大きな幅がある。

だから、
人生・仕事の結果をよくしようと思えば、
「考え方」をプラスにしなくてはならない。

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