医者には絶対書けない幸せな死に方

医者には絶対書けない幸せな死に方 by たくき よしみつ

たくき よしみつ

鐸木能光。
1955年、福島市生まれ。
原子力政策の闇をテーマにした「マリアの父親」で第4回小説すばる新人賞(1991年)。
作曲、小説、デジタル文化論、狛犬研究など幅広い分野で活動…

「看取り医者」「死に場所」「お金」「お墓」etc。
本人も家族もハッピーになる逝き方に技術。

目次

はじめに
第1章 死に方の理想と現実
第2章 医師・病院と正しくつき合う技術
第3章 癌で死ぬという解
第4章 本当にアルツハイマーなのか?
第5章 認知症の親と向き合う
第6章 大切な老後資金を奪われないために
第7章 老後破産しないための経済学
第8章 死に場所としての施設を見つける技術
第9章 「ここで死んでもいいですか?」
第10章 死に方・死に時は選べるのか
おわりに──愛する技術と死ぬ技術

医者には絶対書けない幸せな死に方

医者には絶対書けない幸せな死に方

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MEMO

医者には絶対書けない幸せな死に方

◆死ぬ前の「チェックリスト」

  • 病気の場合、本当に回復の見込みはないのか、担当医師と徹底的に話合う
  • 肉体的な痛みだけなら、担当医に鎮痛剤やモルヒネなどの苦痛緩和療法を依頼する
  • 担当医が自然死についてどこまで理解し、協力的かを確かめる
  • 最後の時は極力自宅で迎える。入院していたら強引にでも退院する
  • 医師や家族の協力が得られず、自分で安楽死を選ばなければならないような場合も、殺人事件と紛らわしいような死に方は選ばない。そう疑われないよう、周囲の人には自分の死に対する考え方や予定行動を打ち明けておく
  • 完全に死にきるまで絶対に邪魔が入らないような状況を作る
  • 安楽死を理解してくれる人がそばにいる場合、完全に死ぬまでは決して身体に触れない、死後も余計なことを言わないよう徹底する。そうしないとその人が罪に問われる可能性がある
  • 自分の死を自分で選ぶことが書いた遺書を残す
  • 遺産相続や葬儀、埋葬などで親族が揉めたり迷ったりしないよう、希望する具体的な方法を書き残す
  • 生命保険などを再確認する。死に方によって保険金が出ない種類のものではないか、など
  • お世話になった人などに、さりげなく感謝と別れの言葉を伝えておく

◆延命処置は一旦始めるとやめられない

よく「延命治療は望みません。
でも、できる限りのことをしてください」
と医師に告げる家族がいるが、
病院での「できる限りのこと」とは、
ありとあらゆる延命治療を意味する。

つまり、
「できる限りのこと」
というのは、
絶対に口にしてはいけない言葉なのだ。

◆日本では「積極的安楽死」は殺人罪

◆日本では死にゆく本人が意思表示できなくなった後は、
「主役」の尊厳よりも延命処置や家族の意向が
尊重されてしまう。

◆入所可能な(介護)施設が見つかったら、
契約前にこう訊いてみよう。

「ここで死んでもいいですか?」
「ここで死なせてくれますか?」と。

その問いにどれだけしっかりした
答え方をしてくれるかで、
その施設のポリシーや姿勢が見えてくる。

◆介護施設は特養の他に、
養護老人ホーム、ケアハウス、有料老人ホーム、
サービス月高齢者向け住宅(サ高住)、
認知症高齢者グループホームなどがある。

でも、いろんな条件を考えると
結局介護が必要となった老人が自宅(家族宅)以外で
暮らせる場所としての現実的な選択肢は、
有料老人ホーム、サービス月高齢者向け住宅、グループホーム
ということになる。

◆介護保険の適用は連続30日が限度なので
31日目は全額自己負担になるが、
32日目からはゼロリセットで30日間介護保険が適用できる。

結果、これを繰り返すと介護保険上は
「在宅利用」でありながら、
事実上特養に入っているのと
同じという状況が生まれる。

◆特養でも月に20万円!?

特養は経済的負担が少なくて済むといういわれるが、
実際にはいくらかかるのか。

横浜市の場合…

いちばん高額なのは住居費5000円/日、
食費1870円/日の施設で、
30日だと20万6100円となる。

いちばん安い施設でも
住居費1970円/日、食費1500円/日で、
月10万4100円かかる。

平均すれば、
ざっと4500円/日で月13万5000円くらい。

これはあくまでも何もしなくても
かかる住居費と食費の「基本料金」であって、
介護費用や医療費は別となる。

衣類、トレットペーパーなどの消耗品は
自前で用意しなければならない。

さらに、
光熱費のうち、
電気毛布は月にいくら、
ラジオはいくら…
と細かく追加費用を計上する施設もある。

比較的安価な施設でも、
トータルで月20万円は覚悟しておいたほうがいい。

月20万円以上の年金をもらっている人は
少ないでしょうから…
運良く特養に入れたとしても、
蓄えと持っていないと老後破産してしまう。

◆特養の入所条件

介護施設の中でも、

  • 介護療養型医療施設
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 特別養護老人ホーム(特養)

の3施設は公的施設で
「介護保険3施設」と呼ばれている。

このうち介護療養型医療施設は「病院」であり、
24時間医療処置が必要な重度の要介護病人ものである。

老健は「自立復帰をめざすリハビリ施設」であり、
いられるのは原則3ヶ月まで。

特養は、在宅介護が困難な高齢者の
「集金収容介護施設」という位置づけ。

公的な「介護保険3施設」の中で
「生活の場」になる得るのは特養しかない。

しかし、特養の入所対象者は、
65歳以上で要介介護認定「要介護3」以上。

入所は各自治体が定めた受付窓口に申請して、
判定、順番待ちしなければならない。

要介護3というと、
排泄、食事、入浴など、
日常の行動はほぼすべてに介助が必要であり、
認知症の程度も重く、
場合によっては暴言暴行などの
問題行動もあるという状態である。

簡単に言えば、
「全介助で便器まで運んでもらわなければ排泄できない」
とう状態になって初めて特養に入る「権利」を得られる。

◆介護保険申請

施設を探すとき、
一般的には自治体の介護保険や高齢者福祉関連の担当課、
地元の地域包括支援センター、
あるいは社会福祉協議会などに相談することになる。

◆「家で死にたい」親と「家で死なせたくない」家族

おそらく、
本音では家で死にたいけれど、
家族に迷惑をかけるのは嫌だから、
病院や介護施設で死ぬのは仕方がない、
と考えている人が多いように思う。

しかし、
一旦病院に運び込まれたたら最後、
拷問に等しい無用な苦しみの中で
人生最後の時を過ごさなければならなくなる
可能性が高い。

◆墓というやっかいな「遺産」

自分の遺骨をどうするかくらい、
はっきり決めておく。

たとえば、
死んだ時は、
骨は粉々に砕いて山とか海で処分してもらう。

今の火葬炉は性能が高く、
高温で燃やすことが可能なので、
本当は形が残らないところまで
完全焼却することは可能である。

死ぬまで幸せに生き抜くためにはお金が必要だ。

老後の生活水準を保つためには、
今まで常識だとされてきたことや
タブー視されたことについても、
合理的に考え直してみることが必要である。

◆葬儀の負担は極力減らす

葬儀については、
そもそもやるべきなのかどうかということから
考える必要がある。

葬儀というのは、
やるとすれば残った人たちのためのもの。

死んでいく本人が
「葬儀はしなくていい」と言い残しても、
残された人たちが、
世間体があるからと、とか、いろんな事情があると思う。

しかし、多くの場合、
先立つ本人が「葬儀はしなくていい」と言い残せば、
残された家族は内心ホットするはず。

◆「マイナス遺産」から逃れる

相続は放棄も含めて

  • 単純承認
  • 限定承認
  • 相続放棄

の3種類ある。

相続放棄は、
遺産がプラスであろうがマイナスであろうが
一切相続しないという申請。

これは相続開始(普通は被相続人が死んた時)から
3ヶ月以内に被相続人の住所があった書簡家庭裁判所に申請する。

遺産を一部でも処分してしまうと、
遺産相続する意思があると認定されてしまい、
それ以降は相続放棄できなくなる。

遺産相続放棄すると、
その分の相続は法定相続人に移る。

なので、法定相続人すべてが
相続放棄しないとあとで問題になる。

◆住居費を減らす最も現実性・実効性のある方法は
「安い家を探して引っ越す」。

都市部に比べれば、
地方には安い物件が多数ある。

地方都市のマンション物件なども、
家賃相場は大都市郡よりぐっと安い。

たとえば、栃木県の県庁所在地である
宇都宮市には、
宇都宮駅から徒歩10分以内のマンションでも
ワンルーム3万円台の家賃から物件がある。

◆老後生活でいちばん大変なのは住居費

蓄えがない人ほど、
稼げるうちに借家ではない
自分の家を持っておくべき。

住む家さえあれば、
たとえどんなにボロボロになろうとも
最低限雨風はしのげる。

◆稼げなくなった後は預金を切り崩して
生き延びるしかないが、
預金の切り崩しを少しでも減らすために、
完全な無収入状態ではなく、
小銭程度でも稼ぎ続ける努力を
することになる。

しかし、
老人を雇ってくれるところはないし、
あっても労働に対する対価が低いものばかり。

であれば、
「雇ってもらう」という発想は
キッパリ捨てる。

現代のようなネット社会、
デジタル時代では、
「金に換えられるアイデア」が
隠れている隙間(ニッチ)が
昔よりもずっと増えた。

ネットオークションで安く仕入れて
高く売るサイドビジネスだけで、
月に10万円以上の利益を得ている人は
けっこういる。

円高だった時期には、
高級カメラやレンズなどを海外で安く買って
日本国内で高く転売するという商法も通用した。

受注があって初めて調達したりする
オンデマンド方式であれば、
在庫を抱えるリスクもないので、
資金がなくても始められる。

たとえば、
自著を「オンデマンド出版」という方法で売ってみる。

1冊単位で注文があってから印刷・製本するので、
絶対に赤字にならない。

本は数日で注文者に届く。

価格も常識的な範囲で設定できる。

◆厚生省のモデルケースでは、
夫婦2人で1ヶ月の年金支給額が
平均約22万円とされている。

しかしこれは厚生年金などを受給できる場合の話で、
自営業など、国民年金だけの場合は
満額受給でも1人月額6万5000円以下、
夫婦2人合わせて13万円以下になる。

実際には年金ゼロの夫婦世帯もたくさんある。

——————————————-
◆銀行、大手証券会社、保険会社といった、
従来の感覚だと「社会的に信頼できる一流企業」も、
判断力が鈍っている高齢者の資産を
「合法的に」吸い上げる商法を展開している。

合法的である以上、
後から失敗したと気づいても、
訴えることができない。

そういう時代に生きているのだということを、
しっかり肝に銘じておく。

◆認知症の薬として最も有名なのが、
商品名「アリセプト」である。

認知症治療において
アリセプトの処方が様々な悲劇を生んでいる。

アリセプトは、
患者の症状に合わせて服用量を細かく調整することが必須であり、
副作用が強く出たら標準処方より減らすことで
よい結果が得られることがある。

事前に医師に
「標準処方の半分の量から始められないか?」
「副作用と思われる症状が出たら、とりあえず服用を中止して指示を仰いでもよいか?」
といった質問をしてみるのもいい。

それでいきなり怒り出すような医師であれば、
別の医師を探すことをおすすめする。

◆認知症には脳血管性、アルツハイマー型、レビー小体型、前頭側頭型などがある

  • 脳血管性認知症
    脳の血管が詰まったり出血したりして脳細胞に酸素が送られなっている状態。脳細胞を死なせている血管障害を改善させることが治療の第一主義。
  • アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症
    変性性認知症というグループで、脳の神経細胞の異常により起こる。このグループは、原因がよくわかっていない。

実は、
認知症を正確に診断し、
対応できる医師は極めて少ない。

◆老人に何かを言い聞かせても、
行動を変えることはまず期待できないから、
無理に注意することでお互いにストレスを
増やすのは損である。

◆治療のやめ時、
死ぬために家に戻るべきときを逃がすと、
死んでいく本人も、
見送る家族も苦しむことになる。

◆余命宣告というものも、
そのまま信用してはいけない。

医者は必ず短めに言う。

なぜか?

余命半年と宣告して1年生きれば
「先生の治療のおかげで半年も長生きできました」
となるが、
その逆は恨みを買いかねないから。

◆なぜ医者は癌で死にたいと思うのか?

「余命宣告されてから死ぬまでにまだ動ける時間があり、
残務整理やお世話になった人たちへのお礼の言葉が言えるから、
というころもあるが…

いちばんの理由は
「確実に死ねるから」である。

◆医者に頼り切らず、
あくまでも主体は自分なのだと意識した上で、
医者の性格や考え方も観察しつつ、
医者機関をうまく、
利用することが大切。

◆癌にしてもその他の病気にしても、
医者が、というより医学界がすべてを解明しているわけではなく、
わからないことや不確定要素のほうがあるかに多い。

◆50代以上の8割が持っているというピロリ菌を、
わざわざ副作用のリスクを冒してまで殺そうとは思わない。

ピロリ菌保菌者は小児ぜんそくやアレルギーになりにくいとか、
ピロリ菌は食堂を防御しているというよい一面あるのではないか、
といった説もある。

ほぼ間違いないことは、
ピロリ菌単体で胃がんを引き起こすことはなく、
ストレスや喫煙などと結びついたときに悪い方向に働く。

であれば、
薬を使ってピロリ菌を殺すよりも、
ストレスをためない生活をすることのほうが
はるかに大切である。

ピロリ菌の問題に限らず、
ほとんどの病気はストレスと過労が
最大原因になっているのではないか。

◆日本では自殺する人の7割が男性で女性の倍以上

年代別では40代から60代の男性に多く、
これは中高年男性が、
女性や他の年代の男性よりも
ストレスをためていることを示している。

◆医者に丸投げして身を委ねるのではなく、
あくまでも主役は自分だと認識し、
医者に指示する、
あるいは医者を「育てる」くらいの気持ちがなければ、
幸せには死ねない。

◆訪問診療をしてくれる医師は非常に少ないが、
訪問看護ステーションはほとんどの自治体に複数ある。

かかりつけ医が「訪問看護指示書」を書いてくれれば、
医師本人が訪問できなくても、
派遣される看護師などによって適切な終末処置をしてもらえる
可能性がある。

しかし、こうしたシステムに精通しておらず、
一度も利用したことのない医師も少なくない。

◆病院の「90日ルール」

日本では病院で死ぬ人がほとんどだが、
入院が必要な患者であっても、
同じ病院には3ヶ月以上はいさせてもらえないという、
いわゆる「90日ルール」がある。

なぜ、90日ルールがあるのか?

それは、
「90日以上入院させていると病院が潰れる」
からである。

病院の一般病棟には「看護ランク」が決められていて、
そのランクによって「平均在院日数」が定められている。

詳しい説明は割愛するが、
入院日数が90日を超えると、
医療業界では通称「まるめ」といわれる
「包括支払制度」に移行し、
点滴をしようが投薬しようが
全部ひとまとめでいくら、
という計算にされてしまう。

したがって、
入院90日を超える患者には
治療をすればするほど赤字を
抱え込んで病院が潰れてしまう。

また、90日で追い出される以上に怖いのは、
むしろ入院初期の病院の対応にある。

入院初期、
特に最初の2週間は、
高額な医療行為をすればするほど
診療点数が稼げる。

病院が新患(末期症状)を受け入れた場合、
入院ゼロからの計算になるので、
いくら本人が楽に死にたいと望んでも、
運び込まれるなり、
エックス線撮影、血液検査、酸素マスク、
ステロイドやら抗生剤やら強心剤やらの点滴…と、
ありとあらゆる医療行為を施したほうが儲かる仕組みになっている。

◆自然死というのは一種の餓死であると言える

老衰や病気で身体の機能が落ちてくると、
人は自然とものを食べなくなり、
健康な人間の食べたくても食べられないという苦しさは伴わずに、
枯れるように死んでいけるので、
理想的な死に方のひとつである。

しかし、
病院ではそうはさせてくれない。

◆今の日本では、
薬を使って死期を早めるなどの
積極的安楽死処置は殺人罪になるから、
医師に頼んだところでやってもらえるはずがない。

◆60代で癌が見つかり、
「まだ若かったのに」と惜しまれて死ぬのと、
80代、90代まで生きたものの、
最後はベッドに縛り付けられ、
脳もまともに働かず、
ただただ「死にたいのに死なせてもらえなかった」
という人生とどちらが幸せか?

◆自然死(老衰死)

老衰死は「自然死」とも呼ばれ、
確かに理想的な死に方のひとつだが、
自然死をするには、
身体が死ぬための準備をすることが必要となる。

栄養や水分を取らなくなると、
意識が朦朧(もうろう)となり、
「脳内麻薬」の異名を持つβエンドルフィンが出て、
恍惚状態の中で死を迎えることができる。

しかし、
自分で食べられない、
飲めない状態になっても、
病院にいればチューブをつながれ、
無理矢理水分や栄養分を補給されてしまうので、
なかなか死ねない。

最後の時を病院で迎えることの怖さは、
本来「老衰」で自然死できたはずの人が、
楽には死なせてもらえず
「拷問」を受ける怖さだといえる。

◆ピンコロはわずか5%

死ぬ直前までピンピンしていて、
ある日突然、苦しむことなくコロリと死ぬことを
「ピンピンコロリ▶ピンコロ」と言う。

しかし、ピンコロで亡くなる人はわずか5%。

ほとんどの人は「終末医療」を受けた後に亡くなる。

◆自力で生きられない期間が10年

日本人の平均寿命は男性が80.8歳、
女性が87.14歳だが、
健康寿命となると、
男性71.19歳、女性74.14歳となり、
死ぬ前に男性で約10年、
女性は12年以上は医療や介護の
お世話になっている。

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