日本経済ここだけの話

日本経済ここだけの話 (山口正洋)

慶應義塾大学経済学部卒。

丸紅に勤務した後、86年からモルガン・スタンレー、
ABNアムロ、ベアー・スターンズなど欧米の金融機関を経て、
ブティックの投資銀行を開設したぐっちーさんこと
山口正洋さんの著書です。

どうしたら
本物の経済状況を
見抜けるのか?

巷には全く出ていない「自己防衛専門」、
まさに「自衛隊」の発想に基づき、
どう「魔の手」から逃れていくか、
を心から考えて書いた本…

目次

第1章 メディアも評論家もウソつきだらけ
第2章 「強い通貨」を持ってはいけない?
第3章 日本の財政に増税は必要ない
第4章 アジア経済を読み解くコツ
第5章 日本企業が生き残る道
第6章 日本再生=地方再生これが処方箋だ

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book476

MEMO

◆日本は財政破綻するのウソ!

投資の世界では、
いかにももっともだと思っているところに
つけこんで、それらいし数字を見せると、
相手が簡単に納得する。

日本の財政に関する問題はまさにこれである。

日本の債務がGDPの190%以上にも達しており、
先進国は軒並み70%にもいかず、
イタリアでさえ120%だから日本はギリシャ並に危なく、
財政再建が急務だ、というわけだ。

諸外国と較べて日本の債務比率が
ダントツに高いのは事実である。

しかし、それが財政破綻を招くというなら、
債務がGDP比で増えれば増えるほど国が破綻するという
正比例の関係であるはずである。

逆にGDP比で債務比率が少なければ破綻しないはず。

ところが、第二次世界大戦中にイギリスの
債務比率はGDPの270%に達していたが破綻しなかった。

逆に、アジア通貨危機で破綻した韓国、タイのそれは
せいぜい20~30%程度に過ぎなかった。

歴史上、GDPに対する国家の債務比率が上昇することと
財政破綻することには何ら相関関係がない、
という反証がこれだけあるのに、
専門家は平気でウソをつく。

国の債務に関してGDP比で見ること自体無意味で、
実は対外借り入れの比率こそがキーポイント。

過去に破綻した国は、この比率が50%以上で、
アルゼンチンのように70%も
対外借り入れがあったケースもある。

ギリシャもこれも該当する。

日本は国債の95%を国内で調達しているので
対外借入比率は限りなくゼロに近い。

過去の事実に即せば、破綻しようがない。

◆メディアの数字を信じてはいけない!

メディアは数字を使って惑わせることが多い。

経済では直感が極めて大事である。

つまり、直感と数字をしっかり突き合わせることが、
金融市場で勝ち残る秘訣である。

たとえば、
「アメリカ人は日本人よりはるかに
野菜を多く摂取している」と言われたらどうか。

まさか、と思うが、統計としては正解である。

それで新聞などで、
野菜をもっと食べようキャンペーンが始まる。

しかし実は、この野菜にあのジャガイモが含まれているのだ。

あの、たっぷりの油で揚げたマクドナルドの
ポテトを食べても、野菜摂取量に入るのである。

これで「アメリカ人は日本人より野菜を食べている」
と言い切っていいのか。

まだある、現代は飽食の時代で、
食べ過ぎると「メタボ」になるのでカロリー摂取を
控えるべきだ、と言われている。

ではどれだけカロリーを減らすべきなのか?

データを見ると、1947年、終戦後のまだ食うや食わずのころと
現在の日本人のカロリー摂取量は、ほとんど変わらない。

しかし、そんなはずは…が実際にある。

これは、ダイエット産業により完全な刷り込みが成功した例で、
冷静に数字を見る必要がある。

円高が日本経済を壊滅させると言う人がいるが、
日本のGDPのうち輸出が占める割合は、
高度成長期も、同時より倍以上円高になったいまでも10%台。

経済を回復させるには、輸出の問題としてではなく、
残り約80%の内需の問題と考えるべきなのである。

メディアが言う数字は信じではいけない、ということである。

◆今日より明日の方が悪くなる国(日本)

日本経済の潮目はとっくに変わっている。

ここ10年を見てみると、
あらゆる小売りや消費のデータは頭打ちから
下落に転じている。

労働人口の減少の影響で、
これが自然に上昇することはもうない。

別の言い方をすると、
日本はこれまで昨日より今日、
今日より明日が絶対に良くなる国だった。

しかし潮目が変わり、
昨日より今日、今日より明日の方が悪くなる
可能性が高い国になった。

もし放置するなら、限りなく沈んでいく国…
これが日本が直面する現実である。

ではどうすればいいのか。

まさにトヨタが体現しているように
成長している国に出て行って稼ぐこと。

たとえば、トヨタが約350億円を投じて
第二工場を建てるインド。

25歳以下の人口が70%を超えているので
消費量は圧倒的である。

ここで勝負できなければ負けである。

◆日本の進むべき道、ヒントはイタリアに!

欧州債務危機が続いており、
イタリア経済の話をあちこちで聞く。

日本の新聞で
「日本がイタリアとそっくりだ」
なんて書いてあるものを見ると、
この人たちは本当に大丈夫なのかと思う。

GDPに対する政府債務の比率だけを較べて
日本がイタリアと同じになる?

イタリアは、「食べて歌って愛して」を謳歌することが
人生であり、はっきり言って国や仕事なんかどうでもいい。

しかし日本は、まだに仕事がすべてにおいて優先するし、
それを良しとする国民性である。

同じ経済状況になるはずがない。

重要なのは、そのイタリアが日本に対して貿易黒字国であること。

資源国を除くと、日本に対して貿易黒字が出せる国は限られている。

中国は金額の高い日本からの輸出品がすべて香港経由で入るので、
香港も合わせれば、日本の黒字。

サムスン電子にやられる、
などと散々言われる韓国も対日貿易は先方の大赤字。

それなのに、遊びまわって国が倒産しかけている連中が
日本に対して貿易黒字とはなぜか?

そう、ブランドモノを日本が圧倒的に、
一方的に買いまくっているからである。

たとえば、高級ブランド「ブリオーニ」のスーツは
平気で100万円くらいする。

車が買えるくらいの値段である。

でも、原価は?

スーツはどんな高級品でもウール(羊の毛)が原材料。

一方の車は、デザインからエンジンまで何万人もの
人の手をかけている。

原価はどう考えてもスーツのほうが安い。

しかし付加価値だけで見れば、
日本が誇る自動車にも勝るものがあるということである。

実は、日本がこれからどう進むべきか、
という答えがここにある。

日本人の仕事にどれだけすごい価値があるのか、
一番理解していなのは日本人だ、
と海外では不思議がられる。

結果的に、日本の価値の総体である円という通貨が強いのは当たり前。

なんで騒ぐのか理解できないという人が海外にたくさんいる。

世界で認められる日本人や日本の技術はすさまじい勢いて増えている。

日本人なしでは成り立たない、
という業界が多数出てきている。

◆マイクロソフトの情熱が、なぜ日本にない

米シアトルは、マイクロソフト(MS)が生まれた町であり、
その経済力が引き続き大きいのも事実である。

しかし、MSが誕生した後の展開を考えて見ると…

アマゾンのあの発注システムもMSの協力なしではできなかった。

老舗百貨店ノードストロームは、
MSが開発した在庫管理システムで急成長した。

会員制量販店コストコもMSが開発した、
受注システムがなければ存在していなかった。

スターバックスもそう。

シアトルにMSという超優良企業がなかったら、
これだけ成長できたのか、かなり疑問である。

トヨタ自動車などは、年商1兆円を超えるような自分たちのための
子会社をたくさん作り、それで名古屋は潤っているかもしれない。

しかし、MSのような自分たちの技術を使った
全く別の分野の独立した会社が、
それをもってグローバルに成功した例、
というのは日本では見られない。

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