病気にならない生き方

病気にならない生き方 by 安保 徹

安保 徹

昭和22年10月生まれ。東北大学医学部卒。

新潟大学名誉教授、1980年アラバマ州立大学留学中に「ヒトNK細胞抗原CD57に対するモノクローナル抗体」を製作。

1989年胸腺外分化T細胞を発見。

1996年白血球が自律神経の支配下にあるというメカニズムを世界で初めて解明。

200本以上の英文論文を発表し、国際的に名高い免疫学者として活躍を続けている…

夜更かし夜勤による体調不良、
自己免疫疾患、冬期のうつ病、
運動中の突然死、発がん…

解糖系からミトコンドリア系へ
加齢とともに体質は変化する。

ミトコンドリアなどによる
エネルギー生成系の全体像をとらえると、
体にひそむ謎は次々と解けてくる…

無理を重ねてストレスにさらされると、
体の内部環境は低体温、低酸素、高血糖にさらされる。

この悪化した内部環境が続くと
ミトコンドリア系エネルギーの生成が不利になり、
疲れやすく、やつれてくる。

これが癌をはじめとする多くの病気の発症のはじまり…

目次

第1章 ミトコンドリアって、なに?
第2章 ミトコンドリアから体の謎が解けてくる
第3章 ミトコンドリアと自律神経、免疫の関係
第4章 がんとミトコンドリア
第5章 ミトコンドリアの声を聴きなさい
第6章 こうすればミトコンドリアが活性化できる

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MEMO

◆頭を使うと脳神経のミトコンドリアが活性化

読書などをして頭を使うと
ミトコンドリアが刺激され脳は活性化する。

文章を書いたり、会話するのも良い。

◆インターバルウォーキングは、解糖系とミトコンドリア系の両方を活性化

40代までの働き盛りの人に勧めたいのは、
インターバルウォーキングである。

さっさと速く歩くのと、ゆったり歩きを数分ごとに繰り返す。

さっさと速く歩くと解糖系が刺激され、
ゆっくり歩くときはミトコンドリア系が刺激される。

◆有酸素運動がミトコンドリアを活性化する

ジョギングやウォーキング、エアロビクスなどの有酸素運動が
健康によいといわれるのは、脂肪を燃焼させるからである。

それは細胞内のミトコンドリアが活性され、
通常よりももっと多くのエネルギーを細胞内に取り込むことによって、
それが代謝の促進につながっていく。

20歳から60歳までは、ジョギングでもウォーキングでもよいが、
60歳以上になったら、ウォーキングがよい。

◆太陽の光を浴びると、ミトコンドリアが活性化

太陽はミトコンドリアを活性化する。

太陽光線には紫外線が含まれるが、
太陽の光を浴びると、
ミトコンドリアが刺激され、
ミトコンドリアエネルギーがフル回転する。

太陽の光を浴びると、
体がポカポカと暖まり、
気持ちがよくなるが、
それはミトコンドリアが活性化するからである。

日本人は、日常的に太陽光によく当っても、
皮膚癌になるリスクは非常に低い。

◆ガンを自分で治した人は生き方を変えている

ガンが自然退縮した人の多くは考え方を変え、
生き方を変えている。

その中心は、働き過ぎなど、
無理をし過ぎた生き方を改めることである。

働き過ぎを改めるには、
80対20の法則を適用すればよい。

詳しいことは割愛するが、
成果の80%に貢献している20%の作業に集中する。
そうすれば、残りの80%の作業は不要になる。

日常生活を改善するには、
食事の内容や量を変えたり、
早寝を心がけたり、運動を始めたり、
体を温める努力をする。

考え方を変えるということは、
心の持ち方を変えることでもある。

怒らない、他人を攻撃しない、
物事を否定的ではなく肯定的、
前向きにとらえるなど、
ポジティブかつ、穏やかな気持は、
体の内部環境をよくする。

◆抗癌剤治療でガンが治らないワケ

抗癌剤はからだの負担になり、
低酸素、低体温、高血糖をもたらす。

この3つは、発ガンの内部環境そのものである。

ガンになった人はこの3条件を備えているから、
抗癌剤治療によって、
ますますそれら3条件に拍車をかけることになる。

これでは、ガンが治るはずがない。

ここでは詳細を割愛するが、
抗癌剤が無効なことには、
もっと根本的な理由がある。

癌細胞は遺伝子によってミトコンドリアが削られただけで、
それ以外は正常な細胞とまったく同じである。

だから、ガンを死滅させようとして抗癌剤や放射線で攻撃しても、
それは無意味なのである。

では、ガンを治すにはどうすればよいのか。

ガンの人の内部環境は、
ミトコンドリアが少なくて、低体温、低酸素、高血糖である。

だから、ガンを治すには、その内部環境を変えるしかない。

そして、内部環境を変えると、ガンは自然退縮する。

◆夜更かしの体調不良はミトコンドリアの悲鳴

スマホゲーム、SNSなどの影響で、
現代は生活が夜型に傾いている人が多くなっている。

夜更かしをすると、
自律神経のうちの交感神経が緊張し、
交感神経のバランスが崩れ、血管が収縮し、脳の血液が減る。

夜型の生活は、
低酸素・低体温をもたらし、
脳細胞のミトコンドリアの活性を低下させる。

加えて重力の問題もある。

寝ると重力から解放されるが、
起きていると重力がかかり、
重力のストレスを過剰に受けることになる。

重力のストレスで低体温になる。

だから夜更かしして、
深夜になっても横にならない生活はよくない。

夜更かしはミトコンドリアを減少させ、
ミトコンドリアは悲鳴を上げている。

◆60歳以降はミトコンドリアの世界!

成熟期の20歳から60歳までは、
解糖系とミトコンドリア系の比率は
およそ1対1である。

年齢とともに両者の比率はゆるやかに変化する。

個人差はあるが、30代頃からミトコンドリアが活発になり、
40歳頃にはさらに進む。

50歳くらいからその傾向がもっと強くなって、
解糖系よりもミトコンドリア系が優位になる。

そして、60代には完全にミトコンドリア系の世界に移行する。

瞬発力は衰えるが、ミトコンドリアが働くので持続力は低下しない。

若いころよりも、
ゆっくりと落ち着いて物事に取り込むことができるようになる。

◆子どもがピーマンやニンジンが嫌いなのはワケがある!

ピーマンやニンジンには
ポリフェノール(クエルシトリン)が含まれている。

ポリフェノールは抗酸化物質で、健康によい成分である。

実はミトコンドリア系は解毒作用をつかさどっている。

ミトコンドリアが発達していれば、
解毒作業が働き、ポリフェノールを肝臓で処理できる。

しかし、子どもはミトコンドリアがまだ未熟なため、
ポリフェノールを上手に処理できない。

だから、幼い子どもがピーマンやニンジンを嫌い、
食べないのは我がままだからではない。

本能的な反応である。

食べても処理できないことが体には
自然にわかるのである。

成人するにつれてミトコンドリア系が整ってくると、
ピーマンもニンジンも食べられるようになる。

◆解糖系とミトコンドリア系のエネルギーの作り方の違い

解糖系は無酸素でエネルギーをつくり出し、
ミトコンドリア系は酸素を使ってエネルギーをつくり出す。

そして、2つの世界には根本的な違いがある。

解糖系が冷たい世界で、
ミトコンドリア系は温かい世界である。

「無酸素の冷たい世界」と「有酸素の温かい世界」の違いは、
エネルギーがつくられる2通りの仕組みと健康、
病気の関係について知るうえで重要になる。

◆解糖系は瞬発力、ミトコンドリア系は持続力

解糖系のエネルギーは瞬発力の発揮に役立つが、
瞬時に使われ、持続力がない。

それに対し、ミトコンドリア系のエネルギーは、
解糖系のように瞬発力・即効性はない。

しかし、水素の活用によって無尽蔵ともいえる
エネルギー産生が可能で、
その膨大なエネルギー量が、
人間のように進化し、巨大化して生物たちの
生命活動を支えている。

◆解糖系とミトコンドリア系のエネルギーの生成の仕組み

私たちが食事をすると、
そこに含まれる栄養素が腸で吸収され、
血液やリンパ液をつたって全身の細胞への運ばれる。

細胞内でエネルギーの材料になる栄養素は、
主に糖質(ブドウ糖)である。

ごはんやパン、イモ類、砂糖などに含まれる糖質が
細胞内で分解される過程で活動エネルギーが生み出される。

これが糖からエネルギーを生み出す解糖系の仕組みである。

ただし、ここで生み出されたエネルギーは人間の生命活動を
支えられるだけの量ではない。

解糖系のエネルギーは、瞬時に生み出される。

ミトコンドリア系の100倍の速さでエネルギーをつくる。

ライオンが来たときに逃げるとか、
火事場の馬鹿力などは解糖系のエネルギーを使う。

解糖系のエネルギーだけでは、
さまざまな活動をするのに足りないので、
それを補うエネルギーを作り出すのがミトコンドリア系のエネルギー工場である。

解糖系で分解された栄養素は、
ミトコンドリアの内部でさらに分解され、
水素が作り出される。

この水素が、別経路で運ばれてきた
酸素と結びつく過程で大量のエネルギーが生み出される。

このエネルギー量は解糖系がつくり出す量の比ではない。

1つのブドウ糖分子をもとに
解糖系で生み出されるエネルギーの分子が2分子であるのに、
ミトコンドリア系では36倍ものエネルギーが生み出される。

実に解糖系の18倍である。

解糖系は糖質からしかエネルギーをつくれないが、
ミトコンドリア系は脂肪やたんぱく質をも糖質に変換し、
エネルギーを作ることができる。

◆健康で充実した人生を送るには?

人間には、解糖系とミトコンドリア系の2通りのエネルギーの作り方があり、
私たちの人生をつくる根幹になっている。

エネルギーの作り方は、成長期(=解糖系)➡成熟期(=解糖系とミトコンドリア系の調和)➡高齢期(=ミトコンドリア系)とシフトする。

この流れを理解すると、どのように生きていけば、
健康で充実した人生が送れるかの答えも見えてくる。

◆無理を重ねてストレスにさらされると、
体の内部環境は低体温、低酸素、高血圧にさらされる。

この悪化した内部環境が続くと
ミトコンドリア系エネルギーの生成が不利になり、
疲れやすく、やつれてくる。

これがガンをはじめとする多くの病気の発症のはじまり。

ミトコンドリアなどによるエネルギー生成系の全体像をとらえると、
体にひそむ謎は次々と解けてくる。

◆ミトコンドリアとは?
ミトコンドリアとは、
真核生物の動植物の細胞の中にある小器官の名称で、
大きさは直径1マイクロメートル(1000分の1ミリ)以下である。

ミトコンドリアが入った生命体は、「真菌」、「植物」、
そして人間を含めた「動物」である。

ミトコンドリアの主な役割は、
細胞内でエネルギーを産生することで、
エネルギー通貨といわれるAPT(アデノシン三リン酸)をつくる。

 

 

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