結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる by 藤由 達藏
藤由 達藏
対面コーチングやモチベーションアップ研修、創造性・才能開発のワークショップを提供している。
1991年早稲田大学卒業後、文具・オフィス家具メーカーPLUSに入社。
労働組合活動にコーチングの要素を取り入れ、組合員に対するセミナーの講師を務める。
その他、都立高校PTA、業界団体からの講演依頼も多数。
2013年9月、コーチとして独立。
平本あきお氏が代表を務めるチームフローのコーチングを核に、各種心理技法や武術、瞑想法、労働組合活動、文芸・美術・音楽創作等の経験を統合し、「気分と視座の転換」を重視した独自のメソッドを確立…
仕事、お金、人、夢…
先送り人生から抜け出すには10秒あれば、充分だ!
「すぐやることの大切さ」
を無意識に感じ取っている人が多いにもかかわらず、
行動力が大事とわかっていても、
なかなか行動できない…それはなぜか?
人間の心にブレーキをかけ
行動力を下げてしまう3つの「不安」
を感じてしまうからである。
口だけでなかなか行動できない人、
考えすぎて行動にうつせない人…
こんな先送り、先延ばしの自分を変えるにはどうしたらいいか?
10秒で行動に移す方法と不安を消す方法を紹介…
目次
- 第1章 すぐに行動できない人の10の習慣(知る)
(行動できない人は、行動を阻害する思考の癖がある/行動できない人は、自分をフリーズさせる癖がある ほか) - 第2章 10秒で行動する人の思考法(学ぶ)
(10秒で行動する人は、「行動してしまえば、あとは楽」ということを知っている/10秒で行動する人は、頭に「見取り図」を描いて行動している ほか) - 第3章 行動する人になる10秒マインドチェンジ(自分を変える)
(10秒で行動するための「気分を選択する方法」/10秒で行動する自分になる「感情表現の3要素」のチェンジ ほか) - 第4章 結果につながる!周りを巻き込む10秒チェンジ(周りを変える)
(相手をコントロールするのではなく、相手の行動力を高める/ほめるのをやめて、「私メッセージ」で伝えると相手が動き出す ほか) - 第5章 10秒でゴールに近づく思考と行動のコツ(人生を変える)
(人生を変える人は、ゴール設定は当たり前、その後のその後も設定している/人生を変える人は、「自分の目標」を持っている ほか)
MEMO
◆「すぐやる人」になるには、
「気分と視座の転換」を行うテクニックを
身につけることである。
◆人生の価値観を持つ
10秒で人生を変える人は、
仕事以上に大切なものを持っている。
それは人生の価値観である。
何の制約もなかったらどう生きたいのか、
そして何を大事にしたいのか、
譲れない価値観とは何か、
そういったものを常に明確に持っている。
◆朝10秒行動するだけで、結果を出せる人になるには
朝早く起きて、出勤の前に「言葉をアウトプット」してみる。
ここでいうアウトプットとは、
「内向きの言葉」と「外向きの言葉」の2種類がある。
内向きの言葉は他人に見せない前提で書くもので、
外向きの言葉は他人に読ませることを前提にした言葉である。
朝の時間、まずやっておきたいのは、
「内向きの言葉」である。
人目をはばからず書く言葉は、
自分の内面を「見える化」することができる。
毎朝必ずノートに3ページ分だけ、
「内向きの言葉」(今、頭の中を流れている言葉)を書く。
これを「モーニング・ページ」と呼ぶ。
このモーニング・ページは、パソコンではなく、手書きにすること。
専用のノートに手書きで書く。
毎日続けると、自分の感覚に自覚的になり、
表現欲求が活性化される。
◆やる気の素を読み解く!
「やる気の素」とは一体何なのか。
マネジメントするという立場から
「やる気の素」を考えて出てくるのが、
一般的にいわれるモチベーションである。
- カネ(報酬、賃金、ボーナスなど)
- ヒマ(休日、時間、休暇、働き方など)
- ポスト(地位、職位、権限、名声、名誉など)
これらはすべて雇用者が従業員に「やる気」を出させるために用意する。
これらを「外発的モチベーション」という。
外づけの動機で、ダニエル・ピンクの言う「モチベーション 2.0」である。
しかし、「モチベーション=外発的モチベーション」だと思っていると、
次のような誤解が生じる。
- モチベーションは、他人が与えてくれるもの
- モチベーションは、報酬で決まる
- モチベーションは、他人からの承認で上がったり下がったりする
モチベーションは「やる気の素」である。
他人に与えられないと「やる気」にならないとか、
「報酬」によって自分の「やる気」がコントロールされるという考え方になる。
ほめられないと「やる気」にならない、というのも同じである。
しかし、私たちは自ら「やる気」になることもある。
なんの報酬もなく、誰もほめてはくれないような仕事でも、
没頭して取り込んでしまうことがある。
自分の内からふつふつと湧き上がる「やりたい」とか「やってみたい」とか
「面白そう」「やってみよう」という気持ち。
実はモチベーションには、もうひとつある。
それが「内発的モチベーション」であり、ダニエル・ピンクの言う
「モチベーション3.0」である。
本人が「これは大事」「これは大好き」「こうしていると楽しい」
と感じるのは、そのことに価値を認めているからである。
これだけは譲れないと思えるほど強く価値を認める気持ちを「譲れない価値観」と呼ぶ。
そして、「本当はこうありたい」「こんな暮らしをしたい」「こんなことをしたい」という、
考えただけでワクワクする未来の姿もある。
それを「心躍る未来像」と呼ぶ。
この「譲れない価値観」と「心踊る未来像」
が内発的モチベーションの正体である。
10秒で結果を出す人は、
モチベーションとは「やる気の素」だと理解している。
そして、「外発的モチベーション」よりも
「内発的モチベーション」に従って自律的に行動する。
「やる気の素」を理解していれば、
どんな仕事であっても、
ワクワクしたり、楽しめたりする。
◆10秒間の楽観的な白紙状態を味わう
- 目を閉じて数回深呼吸する
- 「不安を取り除くマインドチェンジの箱」で雑念を箱に入れる
- 何の制約もなかったらどんな生活をしていたいのか、「心踊る未来像」をありありと思い描く
- 十分に思い描いてうっとりしたと思ったときに、その想像を終える
- 1から10までゆっくり数えながら、呼吸に意識を向け続ける。このとき、特に何も考えようとせず、空気の出入りする感覚や呼吸の音に意識を向ける
- 10まで数え終えたら、この時間を過ごせたことに感謝の気持ちを起こす。心の中で「ありがとうございます」と唱えるのも有効
- ゆっくり目を開ける
このエクササイズを行うと、10秒間の楽観的な白紙状態を味わうことができる。
1から10まで数えている間に、呼吸に意識を向けるのは、
呼吸こそ「今、ここ」に起きている変化だから。
このエクササイズを、毎日実践し、楽観的であるという意識状態がわかるようになれば、
いつでも楽観的な気分を味わうことができる。
◆不安を解消する付箋のテクニック
- 不安に思うことを1色目の付箋に書く(付箋1枚にひとつの不安)
- それをA3用紙(A)に貼り、分類したり、並べ替えたりする
- 全体を眺めてみる。そこでの気づきをメモする
- 気づきから「本当はどうなったから良いのか」を2色目の付箋に書く
- それを2枚目の紙(B)に貼ってみる
- A3用紙の1枚目(A)と2枚目(B)とを見比べ、AからBになるために何ができるか考える
- 気づきから、具体案を3色目の付箋に書き出し、3枚目の紙(C)に貼る
- 3枚目の紙(C)を見渡して、具体的行動を計画に落としこむ
用意するもの:
・付箋 3束(3色あるとよい)
・A3用紙 3枚
◆10秒で不安を取り除く魔法の箱
「不安」をいったん脇に置くテクニック。
マインドチェンジの箱:
- まず、深呼吸をしてリラックスする
- 目を閉じて、目の前に頑丈な箱があると想像する
- その箱はどんな形でもよい。頑丈なフタがついている
- フタを開けると、箱の中は底なしで、どんなものも収納できる4次元ボックスのようになっている
- 今、不安に思うもの、リスクに対する思いなど、あなたのチャレンジを妨げるものすべてを箱の中に入れる。個々の不安を思い出す必要はなく、すべて箱の中に入れた、というイメージを描く
- 箱のフタを閉じたら、その箱を遠くに押しやる
これで完了。
あなたのチャレンジを妨げる一切の雑念が、
箱の中に収納されて、心のなかのどこか遠く、
最適な場所に収まったイメージを描く。
そして、この箱は、いつでも必要なときに手元に引き戻し、
フタを開け、中身を取り出すことができる。
取り出すときには、すでに不安は不安ではなく、
あなたを勇気づける温かいエネルギーに変換されていると思う。
不安をいったん箱の中に入れると、
その不安は不思議な力で勇気に変わるという魔法の箱というイメージ。
チャレンジに向かう気持ちが揺るがなくなる。
◆10秒で行動するための「気分を選択」する
行動できないのも、
行動しないのも、
すべてが気分で決まる。
どうすれば「気分」を変えられるのか?
気分を変えるのは、
次の簡単なステップで行うことができる。
気分をリセットする方法:
- 気分は選択できると知る(※1)
- 「感情表現の3要素(表情・動作・言葉)」で気分を切り換える
- 思い出すだけで気分が変わる(※2)
- 想像しただけで気分は変わる(視座※3の転換)
- 気分は伝えることができる
※1気分には、大きく分けて陰と陽がある。
陽の気分:上向き、前向き、外交的、社交的、活動的、晴れ晴れ、行動したくなる、元気になる、拡散、跳躍、前進、加速
陰の気分:下向き、後ろ向き、内向的、非社交的、鬱々、行動したくない、静か、落ち着く、収縮、静止、後退、減速
※2気分は、エピソードを思い出すことで、呼び起こすことができる。つまり、過去の体験を思い出すだけで気分を変えることができる。
※3ものを見る「視点と立場」。
◆小さな一歩から始めてみる
どんな大きなことを成し遂げた人も、
最初は小さなことから始めた。
大きな夢の実現につながる、
小さな一歩を見つけて、
それを実際に行動に移して実現することが重要である。
まずは、今すぐできる小さな一歩から始めてみる…
- 図書館に行って調べてみる
- インターネットで検索してみる
- 有力な情報を知っていそうな知人を訪問するためにアポをとる
- どんな人が有力な情報を知っているか手当たり次第に聞いてみる
そもそも私たちの行動は、
細分化された「小さな行動の積み重ね」でできている。
小さな行動を積み重ねることで、
大きな夢を実現する。
◆「How」を考え続ける
人は意識を向けた方向に進む、という性質がある。
成功や失敗も同じで、
失敗について考え続ければ、
失敗に近づくことになる。
逆に、成功について考えれ続ければ、
成功に近づく。
どんどん行動して、いつもうまく行く人は、
この法則を無意識に理解している。
失敗を考えず、成功することだけを考えているから、
うまくいく。
どうしたら成功できるか、”How”を考え続ける!
◆「悩む」と「考える」の違い
悩みたい人は、次のことをすればよい。
- ネガティブな気分になる
- 結論を出さずに堂々巡りをする
- できない理由をとことん探す
- 他人に相談するが、アドバイスを活かさない
- 結論が出たとしても行動しない
これだけやれば、完璧に「悩む」ことができる。
逆に、次の5つをやれば「悩む」ことから脱出できる。
- ポジティブな気分になる
- 仮でもいいから結論を出す
- 「どうしたらできるか」をとことん考える
- 他人のアドバイスは自ら取捨選択する
- 結論が出たら行動する
◆10秒で行動できる人は、「見取り図」を描いている
デキる人は、常に頭の中に「見取り図」を描いている。
「見取り図」は、実際に絵や地図にまとめる、
頭の中で想像する、箇条書きや文章にする…
などその形式はさまざまである。
「見取り図」には必ず、
「現在地」「工程」「目的地」の3つを含める。
よく、「ゴールを決めることが大切だ」
と言われるが、ゴールを決めただけでは、
どう進めばいいかわからない。
ゴールへの道筋も描かれた「見取り図」こそが大事になる。
◆過剰なリスクヘッジ
- 現在の生活が苦しいのに貯金をしようとしている
- 生活費を圧迫するくらい生命保険をかける
- 裏切られることを想定して、常に本心を見せない
- いつフラれてもいいように、常に複数の人と付き合う
◆行動できないヒトは、3つの「不安」で思考停止する
- 過去にとらわれて陥る不安
- 未来にとらわれて陥る不安
- 現在にとらわれて陥る不安
◆「自分の力」だけでなく「他力」を使う
時間を何倍にも活用するには、
「自分ひとりでがんばる」という発想を捨てる。
行動できなくなる原因には
「自分だけの力でなんとかしよう。
しかし解決するのに時間がかかる」ということが多い。
大切なのは、「自分以外の力」を使うことである。
いうならば「他力」。
他力には、次の6つがある。
- ヒト(人こそ究極の力)
- モノ(あらゆるモノ、道具、ツール)
- カネ(お金を使う)
- 知識・情報(本、雑誌、辞典・事典、インターネット、図書館…)
- スキル・ノウハウ(学ぶ時間がなければヒトの力を使う)
- その他(その他のあらゆる方法を活用する)
◆視座をダイナミックに変える
自分の視座を抜けだして、他人の視座からものを見る。
さらに、状況全体を俯瞰する視座から見る。
そうやって複数の視座をいくつも体験しながら、
解決策を探る。
◆視座を変えない人は、思考停止になる
動けなくなったり、思考停止したりしたとき、
「視座※」を変えることで簡単に行動力が高まる。
たとえば、上司に報告や連絡しなければいけないと
わかっているのにできない人は、
上司の反応を想像し、
「怒られるんじゃないか」と不安になり動けなくなっている。
本当は上司の反応を気にしているのではなく、
自分のことを守りたいだけである。
上司からすれば、いつでも相談にはのるし、
部下に不安や問題があれば解決できるのに、
と考えている。
しかし、自分のことに気をとられていると、
上司の期待を理解できない。
そこで10秒、想像してみる。
「もしも上司の立場だったら、
部下であるあなたのことはどう見えているだろう」
上司の表情、姿勢、態度、口癖などを思い浮かべながら、
なりきって思い描いてみる。
これが「視座の転換」である。
きっと「すぐに報告が欲しい」という上司の気持ちが
味わえたはず。
その気づきを行動に活かしたらどうなるか?
「すぐに報告したほうがいいな」
「連絡だけでも入れておこう」
と思いえるはず。
※視座とは、ものを見る「視点と立場」のこと。
◆9割の人はなぜ、すぐに行動を起こせないのか
「自分を変えたい」と思って、
本を読んだり、セミナーに参加したりして、
新しい知識や生き方、ノウハウを学んでも、
次の日になったらほとんどのことを忘れ、
忙しい日常が戻ってきている。
なぜ、行動力のない人間になってしまうのか?
どうすれば行動を起こせる人間になるのか?
行動をするために何より大切なのが「気分」である。
にもかかわらず、ほとんどの人がその大切さを理解していない。
人の行動力は、モチベーションが支配しているのではない。
行動力は「気分」で決まる。
いくら「価値観」や「未来像」が明確であっても、
「気分」が下がっていたら動けない。
モチベーションが高かったとしても、
気分が乗っていなければ、あらゆるやる気を失ってしまう。
逆に、よい気分をキープできれば、
行動したい、行動できると思えてくる。
行動力を高めたければ、モチベーションだけでなく、
「気分」もコントロールする必要がある。
◆たった10秒で、行動は変えられる!
成功する人、周りから評価・信頼される人たちと、
そうでない人たちの間には、
確実に「ある違い」が存在している。
それは何か?
それは「すぐに行動に移せるかどうか」である。
チャンスが訪れたときに、
すぐに飛び乗れるかどうか。
本気でやりたいことが見つかったときに、
すぐに動けるかどうか。
人から勧めたれたことを、
すぐに実行に移せるかどうか。
この行動力で、すべて決まってしまう。
そして、この「すぐに」ということが大切である。
本気でやりたいと思ったことができたときに、
10秒で動けるかどうか。
チャンスや情報が入った際、
10秒の間に動くことができる人はすべてを手に入れ、
10秒以上もの時間をかけても動けない人は何も手に入れられなくなる。
10秒以内に一瞬で行動に移せるようになるには
どうすればよいか?
それは…
「気分」と「視座」を変えること…
視座とは、ものを見る「視点と立場」のこと。
たったこれだけのことで、
行動力、実行力、夢を叶える速度は、
驚くほど上がる。