勝ち続ける意志力 by 梅原 大吾
梅原 大吾
1981年青森生まれ。
日本人で初めて“プロ・ゲーマー”という職種を築いたプロ格闘ゲーマー。
’98年、17歳にして世界一の称号を獲得。
一時ゲームから離れていた3年間で、麻雀の世界でもトップレベルとなる。
’10年4月、アメリカの企業とプロ契約を締結。
同8月「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」としてギネスが認定…
世界一のプロ・ゲーマーに学ぶ勝負哲学!
ゲームファンから「神」と崇められ、
「世界一長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」
としてギネスブックに認定されている伝説のゲーマー・梅原大吾が、
初めて熱い想いを語る。
ウメハラは「たかがゲーム」という世間の冷たい視線に耐え、
「どうすれば自分を向上させることができるのか」
を常に考え抜いてきた。
「楽な勝ち方ばかりしていてはやがて勝てなくなる」
「変化なくして成長なし」「最もライバルが多いゲームをあえて選ぶ」など、
彼がこれまで実践してきた、勝ち続けるための勝負哲学は、
ゲームの世界のみならず、
いまの社会を強く生き抜くための指針でもある。
ゲームの攻略本ではなく、人生の攻略本である…
目次
- 第1章 そして、世界一になった
(消せなかった疎外感/姉の影響 ほか) - 第2章 99.9%の人は勝ち続けられない
(勝ち続ける人、負ける人/勝ち続けるには ほか) - 第3章 ゲームと絶望と麻雀と介護
(ゲームから身を引く/麻雀の道を選ぶ ほか) - 第4章 目的と目標は違う
(夢と希望が見つからない/夢がなくても ほか) - 第5章 ゲームに感謝
(プロ契約の道のり/誰だって迷い、悩んでる ほか)
MEMO
◆毎日、変わらないことを続けるのが、いちばん大変…
大きな変化、大きな成長を求めると、
それを得られなかったとき、
モチベーションが低下してしまう。
だから1日1日、少しの変化で満足できる自分でありたい。
継続することが大切だと感じる自分でありたい。
大切なことは時間を費やすことではなく、
短くてもいいからそれを継続し、
そのなかに変化や成長を見出すことだ。
2円安いスーパーを見つけるような小さな変化でいいから、
その変化に気づき、そこに成長を感じながら日々を過ごす。
人生に区切りを求めるのではなく、継続する。
そうすれば、休日なんてなくても、
毎日が楽しくなる。
◆階段を5段ずつ上がればいい
先を見ず、まずは目の前の5段を登って見ればいい。
次にもう5段が見えたら、また登ればいい。
そうやって毎日5段ずつ登っていけば、
500段登るものそれほど苦痛に感じない。
最初から500段登るぞと熱くなると、
往々にしてあとが続かない。
あまり大きな目標を立てず、
目の前のできることにのみ集中していれば、
ふとしたときに信じられない高みにいることに気がつく日が来る。
◆継続のためのサイクルを作る
継続できるサイクルを作ることは、
あるいは意識の変化と同等か、
それ以上に大事なことではないかと思う。
日々の成長、自身の成長を目的と考える。
◆いつか必ず訪れる、その日を信じて待つこと、
そして目的と目標を明確に分けて、
日々の生活・成長に少しずつの幸せをみつける。
◆その努力を10年続けられるか?
日々、成長し続ける。
そのことを目標に据えた場合、
具体的にはどの程度を持って自分を納得させるか。
人間、1日に頑張れる量は決まっている。
だから、「それを継続できるかどうか」
がひとつの基準になってくる。
たとえば1日6時間何かをやると決めたとして、
それを何年続けられるか。
受験戦争を乗り越えてきた人から、
よく「1日15時間以上勉強してました」
という話しを聞く。
なるほどすごいと思うが、
その努力を何年続けられるのか。
おそらく1年くらいが限界ではないだろうか。
1日15時間以上勉強して身につけた知識は、
1時的には結果を残すかもしれない。
だが、その知識が持続するとは限らない。
限界を超えた努力で身につけた力は、
本当に一瞬で失われてしまうことがある。
自分にとっての適量を考えるなら、
「その努力は10年続けられるものか?」
自問自答してみるのがいい。
甘すぎるわけでもない。
10年続けられる努力であれば、
ちょうどいいと言える。
10年続けられる努力かどうかを考えれば、
おのずと自分にとっての努力の適量、
正しい努力の度合いが見えてくる。
◆目的は成長し続けること
何かをひとつの目標にすぎないと考え、
自分の成長を目的と決める。
目標に過ぎない何かに固執せず、
目的である自身の成長に目を向ける。
それが「勝ち続ける」ことにつながってくる。
◆目標と目的の違い
勝つこと自体を目的にするとろくなことがない。
勝つことより成長し続けることを目的にする。
仕事を通して自分が成長し、ひいては人生を充実させる。
大会で優勝するとか結果を残すという目標はあってもいい。
人間は目標があるから頑張れるし、だからこそ力を発揮できることがある。
だけど、その目標にとらわれ過ぎて、それが目的になってしまうと、
なぜだか結果がついてこず、続けられるものも続けられなくなる。
◆量ではなく質
大切なのは質であって量ではない。
身を削って1日15時間を割いたところで、
成長につながる何かしらの発見があるとは限らない。
そもそも、物事の追求にそれだけの時間を割いていると睡眠時間が削られ、
満足な食事もできず、
体調管理が十分ではなくなってしまう。
すると、いずれ必ずガタがきて、
どこかで立ち止まらざるを得なくなる。
健康でなければ結果を残すことができない。
◆自分を痛めつけるだけの努力はしてはいけない
努力には人それぞれ、
適度な量や限度が決まっている。
自分を痛めつけていると、
努力しているような気になる。
しかし、そんな努力からは、
痛みと傷以外の何も生まれてこない。
◆夢や希望がなかったとしても、
まずは目の前にあることに、
とことん向き合ってみるのも悪くない。
自分にとって何がいいのか思い悩むだけではなく、
まずは行動する、漫然と変化を待つのではなく、
行動によって環境そのものを変えてしまう。
とことん行動し、その分野で努力を怠らなければ、
自分が本当は何がしたいのかということが少しずつ、
でも確実に見えてくる。
◆本当の目的は自分自身の成長にある。
だから、あえて暗くて険しい道を行く。
◆未踏の地を目指す
手っ取り早い方法や人の真似、
安易は近道を選んだ人は、
どれだけ頑張っても最大で
10の強さしか手に入れることができない。
しかし、自分だけの道を切り拓いて進んでいった者は、
11,12,13の強さを手に入れるはずだ。
10の強さを手にする方法は簡単に教えられる。
だが、11,12,13の強さを手にする方法は言葉では
教えられない。
それでも口に出して言うとすれば、
「すべての可能性を試した果てにあるもの」
ということになる。
それはテクニックや方法論ではなく、
ほとんど姿勢や居住まいの問題になる。
◆築き上げたものに固執する人は結局、
自分を成長させるということに対する優先順位が低い。
新しいことに挑戦する意欲も薄ければ、
何かを生み出す創造性もたくましくない。
◆仕事においては、ほとんどの人にとってお金が目的だろう。
ビジネス自体に主眼を置いている人、
その道を極めたいと努力している人は
全体の割合から言って少ない。
◆人の目を気にするということ
人の目や世間体を気にする人が多すぎる。
もちろん、ある程度の常識や礼儀、
相手を敬う気持ちは大切だと思う。
とはいえ、自分の人生にそれほど影響のない人の気持ちまで
気にかけていたら、
自分らしい振る舞いなどできるはずがない。
人の目を気にしないことで、
もうひとついいことがある。
それは、絶対的な集中力が身につくということだ。
自分を持っている人は「俺はこれでいい」と確信できている人なので、
圧倒的な集中力がある。
人の目を気にせず、自分を向き合う時間、
深く考え、思い悩む時間を大切にしてこそ、
集中力は高まっていくものだ。
◆考えることをやめない
勝ち続けるためには、
ひとつの問題に対して深く考えなければならない。
既成概念を捨てて、
視点や角度を変えながら徹底的に原因を究明する。
どれだけ考えても先に進めない…
そうやって壁にぶつかっても、
自分が抱えている問題を頭の隅に置いておき、
24時間いつでも考えられるようにしておく。
すぐに答えが出てなくても、
時間をかければ必ずいい答えに巡り合える。
とくかく、考えることをやめなければ出口は見つかる。
「ん?ちょっと待てよ、この考えはうまくいくかもしれない」
そんな閃きの瞬間が訪れるのだ。
そうやって深く考えるクセをつけておくと、
考えることが日常になり、
人よりも物事を深く考えられるようになる。
◆苦手なことに取り組む
変化=進化を続けるためには、
あえて苦手なことに挑戦してみるのもいい。
◆変化なくして成長なし
正しい努力。
それはスバリ、変化することだ。
昨日と同じ自分でいない。
そんな意識が自分を成長させてくれる。
変化を続けていれば、
きっと正しいことが見つかる。
また、正しくないことが見つかれば、
その反対が正しいことだと分る。
だから、前へ進める。
成長というのは、とにもかくにも同じ場所にいないことで
促進される。
本当に小さくて些細なことだけど、
いつもと違う帰宅路を歩いてみるとか、
定番から外れたメニューを食べるとか、
普段使わない駅に降りてみるとか。
小さくてもいいから変えてみる。
◆自分の足元にある階段を一段登ることもできないのに、
山のような高い目標へと辿り着けるわけはない。
しかし、そのことに気づいていない人は大勢いる。
◆自分だけのもので、
永遠に自分を勝ち続けさせてくれるものとは何か?
それは、新しい戦術(特許)を生み出す努力であり、
発見に必要なノウハウだ。
生み出した特許よりも、新しい特許を生み出す力の方が遥かに重要なのだ。
ビジネスの世界で言えば、改良品を生み出し続けるエネルギーとか、
今まで商品化されていなかったが、確実にニーズがあるものを形にし続ける
アイデア力とか、誰も気がつかない隙間を突くようなマーケティング方法を
開発し続ける力の方が、過去に一度だけ生み出した商品・戦略そのものよりも
価値がある。
◆ラクな道はない
筋肉をつけたければ筋力トレーニングを、
痩せたければそれなりの運動を、
人よりも強くなりたかったら人一倍練習しなければいけない。
どれだけつらくても、
それ以外に道はない。
◆勝ち続けるには
勝ち続けるためには、
勝って天狗にならず、
負けてなお卑屈にならないという絶妙な精神状態を保つことで、
バランスを崩さず真摯に向き合い続ける必要がある。
自分が勝てたのは知識、技術の正確さ、
経験、練習量といった当たり前の積み重ねがあったからで、
得体の知れない自分という存在が相手を圧倒して手にした
勝利などではないということ。
◆プラスとマイナス、
その両方を分析して努力を続けない限り、
勝ち続けることはできない。
自分の才能に頼るとか、
ひとつの勝ち方にこだわるような人は、
必ず落ちていく。
◆チャレンジ精神を持って努力を重ね、
物事をとことん追求できる。
そこが最大の長所で、そうした姿勢があるからこそ、
いまは自分を好きでいられる。
◆自分にとって何が自信につながったかと言えば、
苦手なものを克服しようとしたり、
あえて厳しい道を選んだりする自分の取り組み方、
高みを目指す姿勢を貫けたという事実である。
◆勝つことと勝ち続けることの違い!
重要なのは、ただ勝つのではなく、
「勝ち続ける」ことである。
なぜ、「勝つ方法」ではなく、
「勝ち続ける方法」なのか?
両者は似て非なるもので、
時としては相反するほどに
大きな隔たりがある。
「勝つ」という言葉は、
「結果を出す」と言い換えることで
よりイメージしやすくなるかもしれない。
「結果を出す」ことと
「結果を出し続ける」ことは
根本的に性質が異なる。
結論から言えば、
勝つことに執着している人間は、
勝ち続けることができない。