「1日30秒」でできる 新しい自分の作り方 by 田中ウルヴェ京
田中ウルヴェ 京
1967年東京生まれ。
聖心女子学院高等科を経て、日本大学在学中の1988年にソウルオリンピックのシンクロ・デュエットで銅メダル獲得。
91年より渡米、米国カリフォルニア州セントメリーズ大学大学院健康・体育・リクリエーション学部修士課程修了。
99年からは米国アーゴジー心理専門大学院にて、認知行動療法、スポーツカウンセリングを学び、2000年米国サンディエゴ大学院にて、パフォーマンスエンハンスメント、アスレティックリタイヤメントを学んだ。
89年~99年日本ナショナルチームコーチ、アメリカ五輪ヘッドコーチアシスタント、フランスナショナルチーム招待コーチなどを歴任。
2001年起業。
(株)MJコンテス取締役として、6事業部、社員20余名の経営に携わるかたわら、プロスポーツ、オリンピック選手から一般まで広くメンタルトレーニングやキャリアプランニングを指導…
なぜ、多くの人が本当の力を発揮できないのか?
それは感情のコントロールができていないからだ!
どんな一流のスポーツ選手でも
感情のコントロールができない人は
本当の力は発揮できない。
あなたも同じ。
どれだけ本当はすごい能力があったとしても、
現場でその力を発揮できなければ、
意味がない。
コーピングは一番簡単に感情をコントロールする方法である。
コーピングで感情をコントロールできれば、
自分の持っている本当の力を発揮できる…
- 言葉を使ったコーピング
- 道具や心理スキルを使ったコーピング
- 身体を使ったコーピング
目次
- なぜ、あなたは本当の実力を発揮できないのか?―「心の4つのサイクル」で見る心の動き方
- 人の心を決める「評価」とは?
- 負けない心を作る「コーピング」の技術とは?
- 「1日30秒」でできる負けない心を作るコーピングの技術―新しい自分を作るセルフトークスキル
- 「1日30秒」でできる負けない心を作るコーピングの技術―心の調整テクニック
- 「1日30秒」でできる負けない心を作るコーピングの技術―身体から心を鍛えるコーピング
MEMO
◆仕事中にできる身体調整法
1時間~1時間半には30秒でいいので、
席を立ち、伸びをしたり、身体を動かす。
そのとき、身体の血液の循環をよくすることを意識する。
パソコンを使う人は、
肩甲骨を動かすストレッチをする。
肩を回すだけでもよい。
トイレに立ったときは、
屈伸運動をしたり、
移動するときは、エレベーターではなく階段を使ったりと、
ことあるごとに身体を動かす。
運動不足の解消は、
些細なことの積み重ねで劇的に変わる。
◆究極の目標設定とは?
欧米のモチベーターと呼ばれる多くの
「やる気を起こさせるプロ」は、
理想イメージを常に鮮明にさせておくことが、
究極の目標設定だという。
◆まだ始まってもいない未来に不安になる人のセルフトーク
- 未来はまだ始まってもいない。今ある一瞬を大切に過ごすことで、未来のすべては変わる
- 今できることに集中!
- 今に生きる!
- 自分は今にしか生きられない!
◆過去の失敗を繰り返すのではないかという人のためのセルフトーク
- 過去に起きたことは、その過去の時点で起きただけのこと。今の自分に起きるものではない。
- 過去に起きた失敗が、今の自分に起きる確証は何もない。
- もはや自分は過去の自分と同じではない
◆過去の失敗を引きずっている人のためのセルフトーク
- 過去は終わった。クヨクヨしてもすでに起きた出来事は変えられない。さっさと忘れる。
- 自分はもはや過去の自分ではない
◆自分を卑下してしまう人のためのセルフトーク
次のステップで行うことになる。
- 気づき
- 羅列
- 仕分け
- 選りすぐる
私たちは何かで失敗したとき、
「自信喪失」のストレス状態になる。
そんなとき、
「どうせ自分なんて」
と無意識のうちにつぶやいている。
自分が何かできるという自信がないので、
何でも失敗することしか想像できない
「評価のゆがみ」がある。
自分の「すでに持っている素晴らしい資質」よりも、
「持っていないもの」にばかり目を向けてしまって、
「自分はダメな人間だ」と思い続けてしまう。
そんな自分を変えるには、
次のようなセルフトークが有効である。
- 失敗は誰でもすること。どんな立派な偉人もする。言い換えれば、偉人であればあるほど、失敗を多くする!
- そもそも失敗や挫折や傷つきは、何か挑戦したときには必ず訪れるものだ!自分は挑戦したんだ!
- 失敗は全くもって悪いことじゃない。むしろ、失敗を恐れて、失敗すらできないことのほうが厄介なんだ!
◆コーピングの基本は、自分を知ること!
まずは、自分の感情の理由を知る。
たとえば、
「今日はイライラしているな」
「今日は怒りたいな」
「自分の給料が減った、落ち込もう」
「大事な友人に嫌われた、悲しい」
といったことを知ることである。
そして、そういった認知できた感情を調整するのが
次の3つのコーピングである。
- セルフトークを使ったコーピング
- 道具などをつかった心の調整コーピング
- 身体を使ったコーピング
この3つをうまく使うことで新しい自分を作る。
◆感情のコントロールとは、
「感情の抑制」ではない。
正確には「感情の調整」である。
◆ゆがみの正体とは?
ゆがみとは、あなたのこれまでの生き方からも
影響を受けている「自分の中の思い込み」である。
このゆがみは、ほぼ無意識の中にある。
自分の身に降りかかってくるあらゆる刺激を、
さまざまなゆがんだ自分の「思い込みフィルター」を通して、
自分に落とし込んでいくので、
小さな刺激も「過大評価」すれば、
大きな刺激になって自分を不安にさせる。
代表的な認知のゆがみ:
- 根拠のない決めつけ
(なんの根拠もないのに、なんでも悲観的に決めつけること) - 過大評価・過小評価
(少しのミスを大げさに捉えたり、やり遂げた成功を過小に評価すること) - 読心
(他人が何か言ったわけでもないのに、他人の気持ちを勝手に推測すること) - べき思考
(「~であるべきだ」と決めつけること) - どうせ思考
(「どうせ」が口癖になる、根拠なく可能性を否定し、なんでも悲観的に捉えること)
そしてこの「ゆがんだ評価」を変えるには、
コーピングという手法を使うことである。
◆評価のゆがみがストレスの根源
「認知のゆがみ」があると、
思考が「非論理的・非合理的・非建設的」になる。
どんな些細な刺激でも大きい刺激ととらえてしまう。
そして、結果として大きなストレスとかかえてしまう。
ゆがんだ評価には、
「しかられる」「嫌われる」「期待する、期待される」
「失敗する」「傷つく」「能力不足」などがある。
これらの「認知のゆがみ」を持っていると、
すべてストレスが発生する可能性がある。
◆「心の4つのサイクル」のコントロール法
最も効果的な心の4つのサイクルをコントロールする方法は、
サイクルの2段階目の「評価」で、
いかに自分の習慣化されてきた考え方を根本から変えるかによる。
評価とは、
あやゆる刺激をどのように認識するかを決めること。
自分の心の中にある「思考フィルター」のことである。
では、その「評価」の部分をどうやって健全な評価に変えればよいのか。
それは…
「コーピング」というスキルを使うことである。
コーピングスキルとは、
ストレス対処スキルと呼ばれている。
このスキルを使えば、
自分の評価を健全なものに変えることができ、
その結果、反応が健全になる。
◆「心の4つのサイクル」とは?
私たちの緊張や苦手意識はすべて、
心の中で起きている4つの行程を経て生まれている。
- 刺激
ストレスの原因となる状況などのこと。「プレゼンがある」「怒る人がいる」などといった状況。 - 評価
思考のフィルター。刺激をどのように受け止めるかを自分で決める部分。 - 感情
評価を通ってきたものが感情に反応として出てくる。身体反応から感情に出ることもあ。「不安になる」「気分が悪くなる」などの心の反応。 - 身体
評価を通ってきたものが感情を通り、身体反応に及ぶ。または直接、評価から身体反応に表れることもある。「心拍数が速まる」「冷や汗が出る」などの身体反応。
この「4つのサイクル」で人の心理反応がわかる!
◆感情をコントロールするコーピングとは?
コーピングとは認知行動療法をもとにした技術である。
この技術は、自らの行動で感情をコントロールし、
自らで変えていく技術である。
コーピングには主に3つの手法がある。
- 言葉を使ったコーピング
- 心理調整術を使ったコーピング
- 身体を使ったコーピング
これらを使えば、
どんな弱い心でも、
簡単に強くすることができる。
コーピングは、
スポーツ選手に限らず、
誰でも行うことがでる。
しかも必要なのは、たったの30秒!