潜在意識が答えを知っている! by マクスウェル・マルツ , ダン・S・ケネディ
マクスウェル・マルツ
1921年にコロンビア大学で科学の学士号を、1923年に同大学内科・外科カレッジで医学の博士号を取得。
その後ヨーロッパで形成外科の臨床研修を行ったのち、ニューヨークの病院で再建外科部門のヘッドに任ぜられた。
また指折りの開業医となり、世界中から訪れる患者を治療した。
1950年代に、患者の心理的な面にますます興味を持つようになり、自ら考案した「成功の条件づけ」をスポーツ選手やセールスパーソンなどに試したあと、1960年に「サイコ=サイバネティクス」のオリジナル版を刊行した。
たちまちベストセラーになり、企業やスポーツ選手、芸能人からも、講演やセミナーの依頼が舞い込んだ。
潜在意識には、例外なく最高の自分が存在する!
世界中で3000万人の人生を変えたサイコ=サイバネティクス理論。
このメカニズムを理解するだけで、
ヤル気が出る、自信がつく、勇気が湧いてくる!
半世紀読み継がれている世界的名著…
個人向けのオーディオ・プログラムが多数開発され、企業や販売組織、
またスポーツ・チーム向けの研修プログラムまでつくられた。
たとえば2000年のオリンピックでは、
アメリカの馬術チームのコーチがサイコ=サバ ネティクスのテクニックを利用している。
そのコーチは、それまで長いことほかのチームでもこれを使っていた…
目次
人間は本来、成功するようにできている
人生を決定づける自己イメージ
人間だけがもつ「成功本能」
明確なイメージが行動への原動力となる
イマジネーションで明らかになる「本当のあなた」
ネガティブな思い込みや行動が失敗を生む
どんな問題でも解決してくれる「自動成功メカニズム」
いくつもの逆境を乗り越え幸せになる方法
「成功型」人格を手に入れる最も効果的な手段
「自動失敗メカニズム」の作動を告げる危険信号
健全な自尊心があなたを守る
創造的な自己を発揮することを恐れない
自分自身に備わる力で不安を克服する
プレッシャーに負けない強い人間になる
勝利の感覚だけを常に抱きつづける
「サイコ=サイバネティクス」で幸せを手に入れる
MEMO
◆自己イメージを変える毎日30分のエクササイズ
あなたの自己イメージは、
かつて自分について描いたイメージをもとに構成されている。
それまでの経験による解釈や評価から生まれたものだ。
したがって、ふさわしくない自己イメージを構築したのと
同じ方法で、ふさわしい自己イメージを構築することもできる。
まず、毎日30分、邪魔の入らないところでひとりになる。
リラックスして、できるだけ気を楽にする。
それから目を閉じて、イマジネーションを働かせる。
大きなスクリーンに映された自分自身の映画を観ている
とイメージしてみる。
大切なのは、その映像をできるだけ鮮明に、
しかも詳しくイメージすること。
メンタル・イメージを、なるべく現実の経験に
近づける必要がある。
そのためには、イメージした世界の細部、
つまり光景や音やそこにあるモノに注意を払う。
このエクササイズでは、
何よりもイメージした世界の細部が重要となる。
こうしたイマジネーションが十分に鮮明かつ詳細のものなら、
イメージ・トレーニングは、
あなたの神経系にとって、現実の経験と変わらないものとなる。
次に、その30分間、
自分が完璧に適切な行動や反応をしているところを思い描く。
希望するとおりに行動し、感じ、生きている自分を思い浮かべる。
「明日はこんなふうにするぞ」などと自分に言い聞かせないこと。
「今日これから30分、自分がこんなふうにしていところをイメージしよう」
と思うだけでいい。
このエクササイズによって、
脳と中枢神経系に新しい「記憶」、すなわち蓄積データが組み込まれる。
新しい自己イメージができあがるのである。
しばらく続ければ、やがて意識せずに自動的に
「それまでとは違った行動をしている」自分に気づく。
◆成功した単純な場面をたったひとつでも鮮明に思い描くだけで、
疑念や不安やおびえがなくなり、
成功メカニズムを望むターゲットに向けさせられる。
◆人間というのは、
自分を取り巻く環境について知識や信念やイメージに対して反応する。
物事の実像に対してではなく、
物事について抱くイメージに従って、感じたり行動したりしている。
◆私たちが行動できたりできなかったりするのは、
一般的には「意思」にその原因があると思われている。
だが、実はイマジネーションに原因がある。
人間は常に、自分と自分が置かれた環境について、
「真実だとイメージしたこと」をもとに行動し、
感じ、何かを成し遂げている。
そのイメージから逃げたり、
そのイメージを超えたりした行動をしても長くは続かない。
それが人間の心の基本法則である。
人間の神経系は、
「イマジネーション」での体験と、
「現実」との体験を区別することができない。
どちらの場合も、
与えられた情報によって神経系が自動的に反応する。
人間の神経系というのは、
真実だと考えたりイメージしたりしたことに応じて
適切に反応するようにできている。
私たちの感覚や行動が、
自分で真実と信じたりイメージしたりする事柄に従うという性質には
素晴らし利点がある。
要するに、イメージを上手に使う方法を身につけさえすればいいのである。
◆サイコ=サイバネティックが語る、
基本的なメッセージは、
どんな人も神によって
「成功するようにつくられている」ということだ。
どんな人も、自分が考えているよりも強大なパワーをもっている。
あなたが、成功し幸せになるようにつくられているのだと考えるなら、
自分は幸せに値しないとか、
何かで秀でることなど生まれつき無理だとかいった、
失敗が「運命づけられている」という自己イメージは、
どれも間違っているのがわかるはず。
自動成功メカニズムを働かせる、
次の基本原理を頭にたたきこむ。
- あなたに内蔵された成功メカニズムには、目標やターゲットがなれればならない
目標やターゲットは、とにかく「すでに存在している」ものとして思い描くこと。成功メカニズムは、存在している目標に向かって導いたり、すでに存在しているものを「発見」したりすることによって機能する。 - 自動成功メカニズムは間接的に作用する
手段がわからなくてもがっかりすることはない。目標を設定したら、自動成功メカニズムは手段を提供するように機能する。 - 一時的な失敗や誤りを恐れない
負のフィードバックによって目標を成し遂げる。 - どんな技能も、試行錯誤によって身につけることができる
誤りを犯してから心のなかで目標を修正し、やがて成功に至る。 - 自分の「創造メカニズム」がきちんと働くと信頼しなければならない
創造のメカニズムは無理やり働かせるのではなく、自然に働かせるべきものである。創造のメカニズムは潜在意識のレベルで働き、そのレベルで何が起こっているのかは本人にはわからない。さらに、創造のメカニズムは、そのときの必要に応じて自動的に働く。だから、あらかじめ保証はない。あなたが行動し、行動によって要求が出されて初めて働く。
◆人は何か創造的な作業に取り込むとき、
まず目標を思い描く。
目標とは、成し遂げるべき目的や「ターゲット」となる答えだ。
それは、漠然としているかもしれないが、
成し遂げられたとき、それだとわかる。
熱烈に何かを望み、問題をあらゆる角度から真剣に考えれば、
あなたのもつ「創造のメカニズム」が働き出し、
スキャナーが蓄えられた情報をスキャンし、
答えを模索する。
このメカニズムは、アイデアや事業の過去の一連の体験を
あれこれ選び取り、それらを結び、
あなたの環境に欠けている要素を埋め合わせ、
ひとつの意味のあるものに仕立てあげる。
つまり、問題を解決してくれる。
◆私たちが鉛筆を拾うという目標を達成できるのは、
自動制御メカニズムのおかげであり、
意思、つまり意識的な思考だけではできない。
意識的に思考ができるのは、
目標を選び、欲求によって行動を起こし、
手が常に正しい方向へ向かうように
自動制御メカニズムへ情報を伝えることだ。
「あなた」が目標を選び、
それに向けて行動を起こしたなら、
あとは自動制御メカニズムの出番となる。
◆人間がもっているコンピュータのように仕組みを利用する
人間は生まれながらにして超高性能で、
コンピュータにも似た
「成功への自動誘導システム」をもっていて、
それを自在に使いこなすことができる。
脳と神経系がサーバー機能を働かせ、
目標を自動的に追い求める機能を備えている。
つまり脳と神経系が目標へ邁進するメカニズムを構成し、
自動追尾式のミサイルや魚雷がターゲットを探して向かっていくように、
自動的に目標を達成してくれる。
サーバー機能は、目標を達成する方向へ自動的に舵を取ったり、
外からの刺激に対して適切に反応したりする。
同時に自動的に問題を解決し、
必要な答えを提示し、
新しいアイデイアやインプレッションを湧かせる。
◆より良い人生を送るための習慣
人間には「潜在意識」というものが存在する。
これは「心」というよりも「メカニズム(仕組み)」で、
脳と神経系から成り立っている。
意識によって自動的に作用し、
その人を方向づける。
「潜在意識」と「意識」という2種類があるのではなく、
ひとつの心(意識)があり、
それが自動的に目標へ邁進するためにメカニズムを
動かしている。
誰にでも備わっているこのメカニズムは、
機械的に機能する。
人格というものは持ちあわせていない。
あなた自身が設定した目標次第で、
成功か失敗、幸福か不幸という結果に到達する。
「成功の目標」を与えれば、
それは「成功メカニズム」として機能するが、
ネガティブな目標を与えれば、
「失敗のメカニズム」として機械的かつストレートに機能する。
◆等身大の自己イメージをもつ
自己イメージこそ、
成功も失敗も含むあらゆる事例の決定要因である。
真の意味で生きる。
つまり、それなりに満足のいく生き方をするには、
適切で現実的な自己イメージをもつ必要がある。
自分にとって受け入れられるような適切な自己を
見つけなければならない。
健全なプライドをもたなければならない。
自分が信頼できる自己を持つ必要がある。
恥ずかしいと思わない自己をもち、
隠さず自由かつクリエイティブに表現できる自己をもつ。
長所も短所も含めて自分を把握し、
その両方に対して正直になる。
自己イメージは、あなた以上でも以下でもない、
等身大でなければならない。
このような自己イメージに危害が及ばなければ、
安泰でいられる。
適切で、堂々と誇れる自己イメージをもっていれば、
自分に自信が生まれてくる。
安心して本来の自分でいられ、
自分を表現できる。
そして、自分を最大限に発揮できる。
顔の醜さを形成外科手術で治療した場合、
損なわれた自己イメージがそれによって修復されるのであれば、
心も劇的な変化が訪れる。
しかし、手術が成功しても醜い自分のイメージが残るケースもある。
これは、手足を失ってずいぶん経ってもそこに痛みを感じ続ける
症状とほとんど同じである。
本来の形成外科手術とは、
顔の醜さ(傷)を消すと同時に
心の傷も同時に消す必要がある。
◆自己イメージを変えれば、状況は変わる
習慣や人格を変えるのは、
とても難しいように思われる。
その理由のひとつは、
変えようとする努力を自分の内部ではなく、
外部の問題に向けるからだ。
たとえば、ネガティブな認識を持っている人が
「あの仕事をものにしよう」とする。
こうした人は、目的を成し遂げるために必要な
自分自身に対する認識を変えようとしない。
自分に対してネガティブな認識を抱いているかぎり、
現在の状況に対してポジティブに考えることはできない。
自分に対する認識を変えれば、
その新しい認識に合ったいろいろなことがらが
無理なく成し遂げられることが、
多くの実験から明らかになっている。
人格を「観念の組織」ととらえる。
そして、どの観念も互いに矛盾があってはならないと考える。
組織に合わない観念は拒絶されて
「信じる対象にならず」、行動につながることもない。
組織に合っていそうな観念だけが受けいれられる。
この「観念の組織」の中心に、
その人の自己イメージ、つまり自分自身に対する見方がある。
◆自己イメージの正体を知る
現代における最も重要な心理学の発見は、
「自己イメージの発見」である。
自覚していようがいまいが、
誰でも自分についての心の青写真、
つまり自己イメージというものをもっている。
それはぼんやりしていて、
つかみどころがないように見える。
そもそも、意識的に把握できるものではないのかもしれない。
しかし、本当は細部に至るまでできあがったものとして存在している。
この自己イメージは、
「私はこんな人間」だということについての自分自身の認識であり、
自分に対する思い込みで成り立っている。
自分に対する思い込みの多くは、
とくに幼児期の自分に対する周囲の反応といった
過去の経験から無意識に形成されていく。
さらに成功と失敗、屈辱や勝利などを通じて、
「自己」あるいは「自己イメージ」が心のなかに形成される。
こうして自分に対する見方や思い込みがイメージとして形成されると、
本人にとってはそれが「真実」になる。
そして、本当にそうかと疑うこともなく、
まったくそのとおりであるかのように振る舞う。
つまり、自己イメージというのは、
達成できることやできないこと、
難しいことや簡単なこと、
さらには自分に対する他人の反応までも、
コントロールしてしまう。
細かくいうと、
自己イメージによって常にあなたの行動や感情、
態度、さらには技能さえもが支配される。
要するにあなたは、
自分でこうだと思っているタイプの人間になりきってしまう。
そのため、努力しようが意思の力を使おうが、
どうしても自己イメージと違った振る舞いができなくなる。
困難なことを、ただ歯を食いしばって成し遂げようとしても
うまくいかない。
意思の力だけでは解決できない。
解決するには、自己イメージの操作しかない。
自分のことを「失敗するタイプの人間」と思っている人は、
どんなに向上心や意思の力があったところで、
せっかくチャンスが訪れても、
失敗する手立てを見つけてしまう。
自己イメージは、人格のすべて、
さらには環境を形成する「下地」となっている。
したがって私たちのあらゆる経験が、
自己イメージを裏付け、強化する。
こうして、良いイメージにせよ悪いイメージにせよ、
めぐりめぐって定着してしまう。
◆自己の発見
「自己」を理解できるか否かは、
成功と失敗、愛と憎しみ、辛さと楽しさの
違いにつながる可能性がある。
真の自己を発見できれば、
破綻した結婚生活を救い、
頓挫した人生をやり直し、
「問題のある性格」変えることができる。
別の見方をすれば、
真の自己を発見できるか否かは、
自由になれるか服従を強いられるかの違いを意味する。
◆サイコ=サイバネティック
マクスウェル・マルツは、
これまでに顔などの障害を取り除くため、
数多くの患者に形成外科手術を行ってきた。
術後、外見が変わっただけで、
まったく新しい人間に生まれて変わったように
見える患者がいる一方で、
外見が変わったにもかかわらず、
劣等感の消えない患者もいた。
もちろん手術が失敗したということではない。
形成外科手術で治療できる患者とできない患者がいる。
その答えを引き出してくれたのは心理学ではなく、
実はサイコ=サイバネティックス(※)という科学理論だった。
心理学は、自己イメージとそれが人間の行動に果たす重要な役割を教えてくれる。
しかし、自己イメージがどのように人格・個人を形成するのか。
また、自己イメージが変わるとき、人間の神経系に何が生じるのか、
ということまでは言及してくれない。
しかし、サイコ=サイバネティックは、
「鉛筆を拾う」という単純な目標から、
「ダイエットする」、「ゴルフのスコアを上げる」、
「売上を倍増させる」、「大勢の人を前に話せる度胸を見につける」、
「小説を書く」といった、
ありとあらゆる目標を達成することがなぜ可能なのかを、
科学的に解明してくれた。
今、世の中にはグズな性格の克服から、
ゴルフのスコアの向上に至るまで、
ありとあらゆる事柄について、
あなたを助けてくれるアイデアや情報、
人々が満ちあふれている。
その多くがサイコ=サイバネティックの理論を採用している。
きちんとした心理学的な理論と習得しやすい
メンタル・トレーニングのテクニックと、
いくつかの実践的な手立てとを怠りなく利用するだけで、
難しかったことを簡単なことに変えることができる。
なぜなら、人間は本来、成功するようにできている。
※サイバネティックとは、「舵取り」を意味するギリシャ語を語源とする。ミサイルの自動制御システムなどに応用された理論。人工知能と訳されることが多いが、正確な訳とはいえない。制御・通信・情報処理の問題や理論を、機械だけの理論などと枠を作らず、機械にも生物にも当てはまるものとして統一的に解釈する学問をさす。
◆劣等感というんは事実や経験に起因するのではなく、
事実に対して下した判断や経験に対する評価から生じるのである。
人間として劣っているわけではない。
すべては何を基準にして自分を判断するか。
自分はどういう人間になりたいか、
にかかっている。