◆手軽にできるマーケット調査
最近あなたから商品を買ったお客10人に
それぞれ電話をかけて次のように言う。
「○○様、先日はお買い上げいただきありがとうございます。
その後、お買い上げいただいた商品の調子はいかがでしょうか?
何かお困りのことはございませんか?」
そのあとに、こう尋ねてみる。
「○○様、お尋ねしたいことがあるのですが、
よろしいですか?他社の製品ではなく、
わが社の製品をお買い上げいただいた理由を
教えていただけないでしょうか?」
この質問こそ、強力なマーケット調査である。
この調査は、驚くべき発見をもたらす。
電話をかけた10人のお客のうち、
おそらく8人前後が同じ答えをする。
そしてたいていの場合、
あなたはその時点で、
相手が商品を買ってくれた理由を初めて知る。
答えが何であったにしろ、それを紙に書く。
そして、新しいお客と接する度にこう言う。
「お客様の大半は、
○○を理由に、うちの商品をお求めになります。
○○を重視なさいますか?」
この○○が、「心のツボ」である。
◆一点集中でお客の「心のツボ」を押す
お客に質問をし、
答えに耳を傾けたあと、
締めくくりにお客が一番求めているメリットを強調する。
そして、この商品を買えば必ずそれが手に入ると畳にかける。
「心のツボ押し」が成功するかどうかは、
お客が商品に一番求めていることを見つけ出せるか
どうかにかかっている。
では、そのツボを見つけるにはどうすればよいのか?
簡単である。
購入を迷っているお客にこう聞けばよい。
「この先、この商品を買うことがあるとしたら、
購入の決め手となるのは何ですか?」
すると、お客はたいてい
「そうだね、もし○○が確実なら、買うんだけど」
と答える。
この○○こそ、「心のツボ」である。
◆買う判断の80%は、提示するメリットの20%にある
80対20の法則は、商売にも適用される。
モノを買おうという決断の80%は、
売り手が買い手に提示するメリットの
20%が根拠となっている。
そのメリットを探すことこそ、
あなたの仕事である。
◆お客は製品ではなく、製品に付随するメリットを買う
お客は自分の問題を解決してくれるもの、
自分のニーズを満たしてくれるものを買う。
それには、次のような質問をする。
- 現状に満足しているか?
- 今後、それをどういう具合にするつもりか?
- 状況を好きなように変えられるとしたら、どんなふうに変えるか?
- どんな点を確信できれば、商品の購入に踏み切るか?
◆お客にスポットライトを当てる
お客にスポットライトが当たれば当たるほど、
商談がまとまる確立は高くなる。
逆に、あなたやあなたの会社にスポットライトが
当たれば当たるほど、お客の購買意欲は下がる。
◆お客の興味は、その商品で価格の元が取れるかどうか
企業にコンピューターやソフトを売る場合、
素人の営業マンは商品のいろいろな機能について
話すことに終始する。
しかし、お客の興味はそんなところにはない。
お客が知りたいのは、
その商品で価格の元が取れるのか、
取れるとしたら、どれくらいの期間で取れるのか、
ということだけだ。
◆売り手の見た目
あなたの第一印象は、服装で決まる。
たいていの場合、
衣服が身体の95%を覆っている。
あなたがプロらしいきちんとした身なりであれば、
お客はあなたと会社も信頼し、それは購入につながる。
◆人間関係には「波及効果」が働く
一度でもお客からよい印象をもってもらえば、
その印象は波のように広がり、商品にまで及ぶ。
◆お客は、売り手の言葉に「だから何?」と問いかける
いくら高品質でも、
お客にとってメリットがなければ意味がない。
お客に品質のよさを説明する際には、
それがお客にどのようなメリットをもたらすか具体的に説明する。
高い値段を支払うことで
どんな得があるのかを、
お客にわからせる。
お客に説明する際には、
一言一言に対してお客から
「だから何?」と問われていると思う。
◆品質より重要なのは「活用性」
買い手の側からすれば、
「品質」というのは必ずしも購入の決め手にならない。
人間は、モノを買うかどうかを感情で決める。
品質といういのは理屈に基いている。
品質より重要なのは「活用性」である。
「業界で最高の品質」という売り文句は、
買い手の心を捉えない。
買い手の関心は、
自分にとって役に立つかどうかにある。
◆「新しさ」を「進歩」として提示する
商品の新しい部分を「進歩」として
お客に提示する。
これまでとは違う商品の特徴を、
お客にとってより便利で使いやすくするための
進歩であると説明する。
◆お客の沈黙の時間を大切にする
お客に質問して、
商品に関するアドバイスを行ったあと、
必ずしばらく間をおくようにする。
あなたの言葉を反芻する時間を
お客に与える。
この沈黙の時間が、
お客の心を自然に購入へと向かわせる。
◆お客の友人になる
自分を営業マンではなく、
お客の友人と位置づける。
ただ商品を売りたいだけの人物ではなく、
お客を助けるアドバイザーの役割を果たす。
友人、アドバイザー、
そして教師のようにお客に接することで、
商談の際のストレスは激減する。
◆質問する側が主導権を握る
もしお客に質問されたら、
機械的に答えるのではなく、
一息入れ、間をおいてから
「鋭い質問ですね。
しかしそれにお答えする前に、
まずこちらから伺ってよろしいでしょうか?」
と言う。
相手の質問を認めたうえで、
こちらから質問をして、
話しの主導権を取り返す。
◆お客に自由に喋ってもらう
心理分析に、
「フロイト的失言」と呼ばれる現象がある。
人間は自分のことについて自由に喋ることを
許されると、そのうち必ず「失言」する。
その瞬間に心にあることを、
うっかり口走る。
心理学者は、患者が心の内を正直に
開ける環境を作ることに心を配る。
あなたはセールス心理学者である。
お客にとって、快適な空間を作ることが
あなたの仕事である。
的確な質問をして、
答えに耳を傾ける。
◆「根本的なニーズ」を明らかにする
人間というのは、
終始自分のことで頭がいっぱいである。
何があろうと、
自分の抱えている問題や悩み事が
最優先事項である。
質問する際には、
相手のそうした心の内を引き出すように
心がける。
◆「ビジネスとしての勝利」と「個人としての勝利」
買い手には、
「ビジネスとしての勝利」と
「個人としての勝利」がある。
ビジネスとしての勝利とは、
あなたの商品を使うことで会社が得られる成果のこと。
個人としての勝利とは、
あなたの商品を取り入れることで
個人的に得られるメリット。
ビジネスをしている人たちは、
双方の部分においてメリットがない限り、
あなたの商品を購入しない。
◆究極のメリットを強調する
オフィスオートメーションのシステムを販売している女性が
「どんなに頑張ってもアポが取れない」と悩んでいた。
彼女は、電話をかけて
「はじめまして。
オフィス・オートメーション・サービスの○○といいます。
御社の業務を円滑かつ効率よくするための製品のご案内をしたいのですが」
と言う。
すると、ほとんどの相手は
「いえ、結構です。忙しくて、お話を聞いている時間がないんです」
とか
「予算的に余裕がない」
とか言う。
彼女の過ちは、
電話でアポと取るだけにととまらず、
売り込みをしようとしたことにある。
後に彼女はセールスコンサルタントから次の助言を得た。
次にどこかの会社に電話をかけてみるときは、
経営の責任者につないでもらうこと。
そして、相手が電話に出たら
「はじめまして。
オフィス・オートメーション・サービスの○○といいます。
わが社は、経費を20~30%削減するシステムを開発しました。
十分お時間をいただければ、
その仕組を説明させたいただきます。
そのあとで、ご決断をいただければ結構です」
のように話すように助言された。
彼女は、この方法に変えてからアポが取れるようになり、
売上が2~3倍に増え、収入は過去最高になった。
このやり方がうまくいった理由は簡単である。
買い手である経営者たちは、
オフィス・オートメーションの製品や
コンピューターなどに興味はない。
彼らにとって興味があるのはお金儲け、
そしてお金と時間の節約である。
業績を上げ、利益を増やすことが最優先なのである。
事業の利益を伸ばすには、方法は2つしかない。
経費の額を維持したまま売上を上げて利益を伸ばすか、
利益額を維持したまま経費を削減する。
あなたの商品は、
相手の利益を増やすものか?
それとも、経費を削減するものか?
商談相手が経営責任者なら、
経費削減に興味を示す。
マーケティングなどの部署の人間なら、
売上を伸ばすことに興味を示す。
常に、相手が何を望んでいるかを念頭において、
自分の商品を売り込むこと。
◆大手の企業にモノを売るときは
企業に売れるのは、彼らの生産性を上げたり、
経費を削減したり、利益を増やしたりするのに
役立つ商品だけ。
彼らにモノを売るときは、
その商品が彼らの事業にどんなメリットを
もたらすかを明確にしなければいけない。
あなたの商品は、
経費削減、生産性向上、
売上や顧客満足度を高めるのかもしれない。
その効果が、価格を凌駕するほど素晴らしいものであると
相手を納得させれば、その商品は売れる。
◆小売業にモノを売るときは
卸業者から商品を仕入れ、
それを一般消費者に売る小売業者が
気にかけることはただひとつ純益。
彼らは、商品の質などは気にかけていない。
彼らが気にするのは、
その商品が自分たちの商売に
どんな影響を及ぼすかである。
そして、彼らにとって商品がもららす
最高の影響とは、純益の増加を指す。
◆事業家にモノを売るときは
事業家が関心をもつのは、
企業の業績を上げることと
顧客を満足させることである。
彼らは、細かいことには無頓着。
経理や財務といった煩雑な事務作業は、
彼らにとっては必要悪であり、
商売の一環として仕方なくやっているだけ。
そんな人物に、経理の作業をラクにする
ソフトを売り込んでも無駄な努力である。
なぜなら、実際に作業をしているのは
その人ではないから。
◆お客に価値を伝える
売り手は、自分の商品を買うことで得られる
価値やメリットを、言葉を尽くして伝えなくてはいけない。
値段を下げたりするよりも、
何より商品の価値を伝えることに専念すべきである。
お客は、支払うお金の額を上回る価値を手に入れられると
確信して初めて、財布を開く。
◆お客が「考える時間が欲しい」と言う本音とは?
決断を下す前に「考える時間が欲しい」
というお客の本音は、
次の2つのうちどちらかである。
- 買うメリットを失うお金を天秤にかけた結果、失うお金のほうが大きいと考えた
- 「損をすることへの恐怖」を乗り越えるだけの理由がない。
つまり、あなたは商品のよさを十分に
相手に使え切れていないということである。
◆「損をすることへの恐怖」を取り除く
マーケティングの教祖ジェイ・エブラハムは、
売り手である企業(顧客)に対して、
商品すべてに無条件の保障をつけるよう進言している。
彼は「返金よりも嬉しい保障」を提唱し、
商品に満足できなかったお客には、
代金の返却に加えて、
何らかのおまけもつけるように指導している。
