覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰

覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰 by 池田貴将

池田 貴将

早稲田大学卒。
リーダーシップ・行動心理学の研究者。

大学在籍中に世界No.1コーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズから直接指導を受け、ビジネスの成果を上げる「実践心理学」と、東洋の「人間力を高める学問」を統合した独自のメソッドを開発。リーダーシップと目標達成の講座を開始すると、全国の経営者・役職者からたちまち高い評価を得た。

また安岡正篤、中村天風、森信三の教えを学び、東洋思想の研究にも余念がなく、中でも最も感銘を受けた吉田松陰の志を継ぐことを自らの使命としている…

不安と生きるか
理想に死ぬか?

時代の常識をことごとく破り、
幕末の英雄たちに大きな影響を与えた
天才思想家・吉田松陰から学ぶ
自分と仲間の魂に火をつける方法!

外国の文明を学ぼうと、
死罪を覚悟で黒船に乗り込もうとした。

幽閉の処分となると、
小さな塾を開いて、
高杉晋作や伊藤博文など、
後の大臣や大学創設者になる面々を育てた。

誰よりも遠くを見据えながら、
幕末を熱く駆け抜けた天才思想家・吉田松陰…

目次


  • (やり切るまで手を離すな/ためて一気に吐き出す/なにを選ぶか、どう選ぶか/運が向かない人の考え方/感動は逃げやすい/死ぬ気とはなにか/非凡にとっての普通/最高の一文字/やる恥やらない恥
    感情が人生)

  • (迷わない生き方/やる勇気よりもまかせる勇気/いつでも死ねる生き方/士である証拠
    リーダーをきわめる道/話し合いの本当の目的/すべての力は中心へ/先駆者の思考/使える部下がいないという勘違い)

  • (本気の志/知らないものを味わう/人である意味/時代に新しい風を吹かす/ひとつのことに狂え/うまいメシを喰うために/心の声を見つけろ/偉人たちの夢/その先には愛がある/日本人である幸せ/ときめくものがないと嘆く前に)

  • (思い込みを疑え/体験するまでは虚像/二種類の生き方/ヒントを無駄にするな/惜しみなく教え、頭を下げる/確かめるまでは語らない/学者と武士/再開すれば、それも継続)

  • (問題に取り組む前に/仲間を助ける/お互いの誇りを尊重する/駄目なものに尽くすこそ価値がある/人生は目に宿る/出会いと別れ/磨けばいつでも光る)

  • (最後の宿題/動物ではなく人間として/自分はどこからやってきたのか/大切な人のために今日できること/祖先を想え)
覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰
覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰

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MEMO

◆知識と行動

知識は、過去のこと。

行動は、今これからのこと。

したがって、
行動を起こす前には、
知識を疑うこと。

◆本質を知る

本質とは、
語らずともただそれに
触れただけで、
わかってしまうもの。

そのくせシンプルで、
わかりやすく、
身近なものとして
感じることができるもの。

◆情報をむさぼるな

知識は問題を解くために
必要なカギである。

問題に結びつかない情報収拾は、
ただの退屈しのぎである。

◆勝つ人と勝ち続ける人

勉強なんかできなくたって、
最善を尽くせばそれでいい。

だが勉強している人が、
最善を尽くしたら、
それには絶対かなわない。

いつまでも一線で活躍する
つもりなら、
勘や経験に頼らず、
本質を学び続けることを
怠ってはならない。

◆本の持つ力

どんな本でもいい。

本を開いてみれば、
その瞬間、
人生が変わるかもしれない。

でも読む人はあまりいない。

読んだとしても、
ほどんどの人は、
本に書かれている教えを
真似しようとしない。

一度、真似してみればいいのに。

ひとつでもいい。

実際、真似してみたら驚く。

そうしたら
こんなこともできるんじゃないかと、
他にも試したくなく。

そのうち、
「これは一生かかっても
やり切れないな」
と気づくことになる。

もっと早くやれば良かったと。

◆学びの賞味期限

すぐれた人の話しや文章に触れて、
自分もまねしてみようと
思うことはことは簡単である。

しかし学んだ今すぐ、
その気持ちを行動に移して、
結果を出してみなければ、
その学びは2度と
自分のものにはならない。

◆学び上手な人

本当に知恵のある人は、
自分の知識を披露するよりも、
人に質問することを好む。

一見くだらないように見える話しも、
注意深く観察して、
大切なことは見逃さない。

自分に才能がない、
性格が悪いと落ち込むよりも、
人の才能や知識を、
まるで自分の持ち物で
あるかのように考えた方が賢い。

◆人である意味

人は
「何のために生きているか」
で決まる。

心に決めた目標のない人間は、
もはや「人間」とは呼ばない。

もし思いだせないなら、
今すぐ思い出す時間を作るべきだ。

◆迷わない生き方

最もつまらないと思うのは
人との約束を破る人ではなく、
自分との約束を破る人である。

◆心を向ける先

うまくいっている人を見ると、
気持ちが焦ってしまう。

ついている人を見ると、
自分の運のなさに腹が立つ。

でも、そんなものは巡りあわせだから、
気にしなくていい。

そんなことにかかわっている暇はない。

一刻も早く、
「自分が今やらなければならない、
一番大事なことはなにか?」
をはっきりさせる。

悩むべきは、
そのことだけだ。


◆終わりを意識する

享楽にふけることで、
一時的に忘れることはできる。

だがそれは静かに、
着実に歩み寄ってくる。

もしくは予想を裏切り
突然やってくる。

ひとりとして例外はなく、
ひつかは必ず対面する。

あろうことか、
本人も知らないうちに。

死。

終わりを意識できるのは
人間だけだ。

それでも懸命になって、
死のイメージから
逃れようとする人は、
いつの間にか
「人生はいつまでも続くもの」
だと思いこまされているのかもしれない。

人生は長いと思う人もいる。

人生は短いと思う人もいる。

だが本気で生きるということは、
「わずかな残り時間でなにができるか」
を必死で考えることによく似ている。

やり残していることを、
臆せずにやればいい。

死を意識すれば、
人の「生」は否応なく
正解を導き出す。

◆「負けん気」を育てる

いくら知識を増やしても
しょうがない。

すばらしい本を読んでも、
すばらしい話しを聞いても、
旅に出てすばらしい景色を見ても、
それは知識が増えたというだけで、
人生の根本的な役には立っていない。

物事には本質と枝葉がある。

枝葉が知識なら、
本質は「どう生きたいのか」
という志である。

この志を言葉にし、
いつも懐に携えていれば、
どこへ行って、誰と会い、
なにを見ても、
何を聞いても、
あらゆるものが
道を明るく照らす光となる。

どうすれば人は志を
立てられるのだろうか。

その源は「負けん気」にある。

すばらしいものと出会ったとき、
「自分も同じ人間だ。
負けてなるもんか」
と発憤することができるかどうか。

ただそれだけである。

負けん気の正体を
見つけることができたら、
もういても立っても
いられなくなるはずだ。

志のために行動する。

そして志のために
行動するからこそ、
はじめてその学問を
理解できたと言える。

「こういう人になるために、
学ぼう」という目標を持つ。

◆慣れ親しんだ場所から出る

ひとりの人間には多くの可能性がある。

ただひとり、
「自分」だけが可能性を
制限することができる。

今までの自分が、
これからの自分を決定すると
誰もが考えているのだ。

生まれてから今日まで、
いろんなつらいこと、
痛みを感じることがあったはず。

もう二度とそんな目に遭わないよう、
「自分」はつねに的確な助言をくれる。

過去の自分の言うことを聞けば安全で、
安心だ。

だが「心からの充実」は得られない。

居心地の良い場所にい続ける限り、
「本当にやりたいこと」はできない。

むしろ新しい刺激に弱くなり、
だんだん感性が鈍ってくるだけだ。

志は現状維持を否定する。

今のシステム、考え方、ルール、
そういうものを飛び越えないと
実現しないものに、
目を向ける。

今、手にしている現実は、
過去の選択の結果だ。

そして未来は、
今まさに、
心で決めたことによって決まる。

いつからでも。

どこからでも。

「うまくいくか知らないが、
これをやらなければ
なにもはじまらない」

それは良い結果を出すためでも、
周囲から称賛されるためでもなく、
人並み外れて強く、
心から充実感を手に入れたいと
思うがためだ。

慣れ親しんだ場所から出たとき、
自分にとって本当の人生がはじまる。

評判は傷ついても、
生き方は傷つかない。

生き方を傷つけるのは、
自分だけである。

◆無駄を削ぎ落とす

集団社会で生きていくことはラクではない。

まわりに能力を認められるまで、
居場所を手に入れるのに必死だ。

ひとたび自分の居場所を手に入れれば、
今度はさらに居心地を良くするために、
ひとつ上の暮らし、地位、家族、実績…
などを手に入れよう必死になる。

そうするうちに、
いつしか人は
「居場所を守るため」
に生きるようになる。

そのためだったら、
たいていのことはできるようになり、
生き方や信念ですら曲げられる。

安心感を求めるのは生存本能だ。

だが、「安定した生活」の先には、
目に見えぬものに怯(おび)える、
つまらない日々しか待っていない。

武士は、
なにも生み出さずとも禄(給料)があったら、
その代わり、四六時中「生きる手本」であり
続けなければいけなかった。

武士は日常から無駄なものを削り、
精神を研ぎ澄ました。

俗に通じる欲を捨て、
生活は規則正しく、
できるだけ簡素にした。

万人に対して公平な心を持ち、
敵にすらもあわれみをかけた。

自分の美学のために、
自分の身を惜しみなく削った。

目の前にある安心よりも、
正しいと思う困難を取った。

そのような逆境や不安に動じることなく、
自分が信じている生き方を通すことこそが、
心からの満足を得られる生き方である。

本当に大切にしたいことはなにか。

大切にしたいことのために、
今できることはなにか。

その問いの繰り返しが、
退屈な人生を鮮やかに彩(いろど)る。

◆動きながら準備する

やろう、とひらめく。

そのとき「いまやろう」と
腰を上げるか、
「そのうちに」といったん忘れるか。

やろうと思ったときに、
なにかきっかけとなる行動を起こす。

それができない人は、
いつになってもはじめることができない。

むしろ次第に
「まだ準備ができていない」
という思い込みの方が強くなっていく。

いつの日か、十分な知識、道具、
技術、資金、やろうという気力、
いけるという予感、
やりきれる体力、
そのすべてが完璧にそろう時期がくると、
信じてしまう。

だがいくら準備をしても、
それらが事の成否を決めることはない。

いかに素速く一歩目を踏み出せるか。

いかに多くの問題点に気づけるか。

いかに丁寧に改善できるか。

少しでも成功に近づけるために、
できることはその工夫しかない。

よく行動する人は、
知識は必要最低限でいいと考えている。

なぜなら実際に動く前に、
わかることなんてほとんどないと
知っているからである。

だからよく失敗する。

だがそれで「順調」だと思っている。

そのように脳は、
自分の行動をうまく正当化するように
つくられている。

小さくても、
「一歩を踏み出す」
という行為さえ続けていれば、
「なぜこれが正しいのか」
脳が勝手に理由を集めてくれる。

行動につながらない学問は無意味である。

大切なのは、
不安をなくすことではない。

いかに早く、
多くの失敗を重ねることができるか。

そして「未来はいくらでも
自分の手で生み出すことができる」
という自信を、
休むことなく生み続けることなのである。

◆くだらない常識に縛られ、
日本が沈むのを傍観することは我慢ならない

兵法の専門家であった彼は、
しばらく「どうやって西洋を倒そうか」
虎視眈々と作戦を立てていた。

だが実際に黒船の大砲を目にすると、
急にこんなことを思いはじめた。

これは勝てない。

松蔭の頭の切り替えは早かった。

いくら敵意を燃やしたって、
日本を守ることはできないのだから、
むしろ外国のやり方を学んだ方がいい。

発想を逆にしてしまったのだ。

鎖国である。

海外渡航などすれば、
もちろん死刑である。

だが松蔭はそんなことは気にしない。

翌年、再び黒船がやってくると、
「日本にとって今なにが
一番大事なのか」を明らかにし、
すぐさま思い切った行動に出た。

松蔭はこう言い残している。

今ここで海を渡ることが禁じられているのは、
たかだか江戸の250年の常識に過ぎない。

今回の事件は、
日本の今後3000年の歴史にもかかわることだ。

くだらない常識に縛られ、
日本が沈むのを傍観することは我慢ならない。

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