読まずに死ねない哲学名著50冊

読まずに死ねない哲学名著50冊 by 平原 卓

平原 卓

1986年北海道生まれ。
早稲田大学文学研究科修士課程修了(人文科学専攻)。

哲学者・竹田青嗣教授に師事し、卒業後も薫陶を受けつづけている。
古今東西の主な哲学書を紹介するウェブサイト「Philosophy Guides」を開設し、高校生レベルの知識でも理解できると好評を博している。

難解な哲学書でも要点を的確に押さえる読解能力、複雑な概念を平易な言葉で表現するアウトプット能力に定評がある期待の新人哲学者…

読まずにぼんやり死んでいくなら、
読んでもがいて生きていきたい!

人類の叡智を一気に読める唯一の本!

「満足した豚であるより、
不満足な人間であるほうがよく、
満足した馬鹿であるより不満足なソクラテスであるほうがよい」

のほほんと生きていたら、
ほとんどの人は死ぬまで読むことがない哲学書。

それって人生において
とんでもない損失なのでは!?

歴史に試されながら
今なお読み継がれている哲学書は、
まさに人類の叡智の結晶。

読んで少しでも血肉するか、
しないかで、人生の密度は大きく違ってくる…

目次

まえがき
参考:哲学歴史チャート
哲学書を読む前に知っておきたい5つの心得

第一部 古代ギリシア――宗教から概念による世界説明へ
01『ソクラテスの弁明』プラトン/02『饗宴』プラトン/03『パイドロス』プラトン/04『国家』プラトン/05『形而上学』アリストテレス/06『政治学』アリストテレス

第二部 中 世――キリスト教神学に取り込まれた哲学
07『人生の短さについて』セネカ/08『告白』アウグスティヌス/09『神学大全』アクィナス/10『君主論』マキャヴェリ

第三部 近 代――普遍性を探求する
11『方法序説』デカルト/12『情念論』デカルト/13『リヴァイアサン』ホッブズ/14『エチカ』スピノザ/15『モナドロジー』ライプニッツ/16『人間知性論』ロック/17『市民政府論』ロック/18『人性論』ヒューム/19『人間不平等起源論』ルソー/20『社会契約論』ルソー/21『純粋理性批判』カント/22『実践理性批判』カント/23『道徳および立法の諸原理序説』ベンサム/24『法の哲学』ヘーゲル/25『死に至る病』キルケゴール/26『功利主義論』ミル/27『自由論』ミル

第四部 現 代〈I〉――ニーチェ~ハイデガー
28『悲劇の誕生』ニーチェ/29『道徳の系譜』ニーチェ/30『権力への意志』ニーチェ/31『空想より科学へ』エンゲルス/32『時間と自由』ベルクソン/33『プラグマティズム』ジェイムズ/34『現象学の理念』フッサール/35『イデーン』フッサール/36『一般言語学講義』ソシュール/37『論理哲学論考』ヴィトゲンシュタイン/38『哲学探究』ヴィトゲンシュタイン/39『存在と時間』ハイデガー/40『形而上学入門』ハイデガー

第五部 現 代〈II〉――メルロ=ポンティ~デリダ
41『行動の構造』メルロ=ポンティ/42『知覚の現象学』メルロ=ポンティ/43『存在と無』サルトル/44『悲しき熱帯』レヴィ=ストロース/45『エロティシズム』バタイユ/46『人間の条件』アーレント/47『革命について』アーレント/48『全体性と無限』レヴィナス/49『言葉と物』フーコー/50『声と現象』デリダ

あとがき
索 引

読まずに死ねない哲学名著50冊
読まずに死ねない哲学名著50冊

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MEMO

◆自分のために時間を使うべし

どのようにすれば時間を有効に活用し、
生の長さを実感することができるのか。

セネカは、仕事に忙殺されることを避け、
時間を自分自身のために使うことが必要だと説く。

多忙な人が年をとったところで、
長く生きたとはいえない。

彼はただ「あっただけ」だ。

ちょうど嵐のなかで同じ海域を
ぐるぐる引き回される船と同様、
長く翻弄(ほんろう)されている状態だ。

そして、こういう人に老いは突然やってきて、
彼らを面食らわせる。

日々の労働に忙殺されているかぎり、
本当になすべき仕事へ向き合うことはできない。

これは一般のビジネスパーソンも
納得できるところだろう。

重要な仕事があるのに、
日々のルーティンや定例ミーティング、
雑務に追われ、なかなか手が回らない状況だ。

もっとも、セネカが語るところの仕事とは、
こうした世俗の営みからはかけ離れているが。

近代社会では時間をどう使おうと、
それが他者の権利を侵害しないかぎりは
自由であり、誰もが「偉大な仕事」へと
向かわねばらないとする根拠はない。

だがここでは、
そのことを踏まえたうえで、
あえて次のように考えてみたい。

すなわち、セネカはここで私たちが充実した生を
送るための一条件を示しているのだ、と。

刹那的な生き方が充実しているとは言い難い。

哲学的な思索を偉大な仕事とするのは
言い過ぎだが、他者との関係性のうちで、
自分がなすべき事柄をつかみ、
それを着実にこなしていけば、
人生の短さを嘆くことなく充実した生を
送ることができるという主張には、
一定の理があるように思える。

投稿者: book reviews

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