世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる by 久賀谷 亮
久賀谷 亮 (くがや・あきら)
医師(日・米医師免許)/医学博士。
広島大学医学部卒業。
イェール大学医学部精神神経科卒業。
アメリカ神経精神医学会認定医。
アメリカ精神医学会会員。
日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、同大学で臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。
そのほか、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。
2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical(くがやこころのクリニック)」を開業…
イェール大学で学び、
米国で18年診療してきた精神科医が明かす!
「脳疲労」がすぐ消えて、頭が冴える!
科学的に正しい「脳の休め方」とは?
デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)は、
脳が意識的な活動をしていないアイドリング状態でも
動き続けている。この回路が働き続けている限り、
ぼーっとしていても、脳はどんどん疲れていく。
このDMNの活動を抑える脳構造をつくり、
脳にたしかな休息をもたらすことこそが、
あなたの集中力やパフォーマンスを高める
最短ルートである。
そして科学的な脳の癒し方として注目を集めているのが、
瞑想やマインドフルネスである。
世界的に有名な企業や経営者・アントレプレナーたちも、
こぞってこの方法を取り入れ始めているのはなぜなのか?
それは、瞑想が単なるリラクゼーションメソッドから、
「脳科学的に実証された休息法」へと進化しつつあるから。
マインドフルネスは
脳科学の最前線とどう接触しているのか?
- 脳は「何もしない」でも、勝手に疲れていく…
脳の消費エネルギーの60~80%は、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)に使われている。DMNとは、脳が意識的な活動をしていないアイドリング状態でも動き続ける脳回路。この回路が働き続ける限り、ぼーっとしていても、脳はどんどん疲れていく。 - いくら身体を休めても、「疲れがとれない」のはなぜ?
「何もしていないのに、なぜか疲れが取れない」という人は、このDMNに過剰な活動を許してしまっているのかもしれない。つまり、DMNの活動を抑える脳構造をつくり、
脳にたしかな休息をもたらすことこそが、あなたの集中力やパフォーマンスを高める最短ルートである。 - 脳には脳の休め方がある
精神医療の最先端イェール大学で学び、ロサンゼルス郡でクリニックを開業した精神科医の久賀谷亮氏。先端脳科学に基づいた「TMS磁気治療」などと並んで、科学的な脳の癒し方として注目を集めているのが、瞑想やマインドフルネス。
目次
[Lecture 0] 先端脳科学が注目する「脳の休め方」
[Lecture 1] 「疲れない心」を科学的につくるには? ― 脳科学と瞑想のあいだ
・疲れているのは「身体」ではなく「脳」だった!!
・瞑想の「科学的裏づけ」が進んでいる
[Lecture 2] 「疲れやすい人」の脳の習慣 ― 「いま」から目をそらさない
・脳疲労は「過去と未来」から来る─心のストレッチ
・ランチタイムにできる脳の休息法─食事瞑想 …など
[Lecture 3] 「自動操縦」が脳を疲弊させる ― 集中力を高める方法
・雑念は「自動操縦の心」に忍び込んでくる
・マルチタスクが脳の集中力を下げる …など
[Lecture 4] 脳を洗浄する「睡眠」×「瞑想」 ― やさしさのメッタ
・クスリで「脳の疲れ」は癒せない
・眠りながら「洗浄液」で脳の疲労物質を洗い流す …など
[Lecture 5] 扁桃体は抑えつけるな! ― 疲れをため込まない「不安解消法」
・「ブリージング・スペース」で緊張感をほぐす
・脳の疲れを防ぐ食事 …など
[Lecture 6] さよなら、モンキーマインド ― こうして雑念は消える
・月に一度は「怠けること」に専念する
・雑念が疲労を呼ぶ─モンキーマインド解消法 …など
[Lecture 7] 「怒りと疲れ」の意外な関係性 ― 「緊急モード」の脳科学
・「扁桃体ハイジャック」から脳を守れ!!
・脳から来る「衝動」にはRAINで対処 …など
[Lecture 8] レジリエンスの脳科学 ― 瞑想が「折れない心」をつくる
・瞑想が最強のチームをつくる
・苦境でも心の安定を保つエクアニミティ …など
[Lecture 9] 脳から体を治す ― 副交感神経トレーニング
・「競争」が最も脳を疲労させる
・身体をリフレッシュする「ボディスキャン」のやり方 …など
[Lecture 10] 脳には脳の休め方がある ― 人と組織に必要な「やさしさ」
・幸福の48%は遺伝
・リラックスだけでは「脳の休息」にはならない理由 …など

MEMO
最高の休息法
◆脳の疲労を解消する7つの休息法
- マインドフルネス呼吸法▶ときかく脳が疲れているとき
- ムーブメント瞑想▶気づくと考えごとをしているとき
- ブリージング・スペース▶ストレスで体調がすぐれないとき
- モンキーマインド解消法▶思考のループから脱したいとき
- RAIN▶怒りや衝動に流されそうなとき
- やさしさのメッタ▶他人へのマイナス感情があるとき
- ボティスキャン▶身体に違和感・痛みがあるとき
◆リラックスだけでは「脳の休息」にはならない
ジョティ・ブラウンという作家が書いた
「火」という詩がある。
「火が燃えるとき
薪木のあいだには空間がある
呼吸する空間がある
すてきなことも
火を焚く木々も
あまりぎっしり詰めたら
炎は消えてしまう
ちょうどバケツで
水をかけたように」
組織であろうが個人であろうが、
成長していくためには
努力や頑張りだけではダメ。
薪木を燃やし続けるためには、
薪木のあいだの「空間」がかかせない。
それこそが休息である。
そして、ビジネスにはビジネスの
方法があるのと同じように、
休息には休息の方法論がある。
これまでの日本人は、
ビジネスの方法を追求するばかりで、
休息についてはいい加減にしか
向き合ってこなかった。
リゾート地に行って羽を伸ばしたり、
1日中ダラダラと寝込んで過ごすことが
休息だと勘違いしている。
常に競争にさらされている現代人は、
誰もが脳に疲れを溜め込み、
炎を燃やせなくなっている。
今、ビジネスの世界では短期的な
利益志向よりも、
持続的な収益性が
求められるようななっている。
休息についても、
その場しのぎのリラックスではなく、
より根本的・長期的な解決が求められている。
その最前線こそが、
脳科学の成果と結びついた
マインドフルネスである。
◆怒りの正体!
脳の扁桃体は外部から過度の刺激を受けると、
脳全体を乗っ取って暴走をはじめる。
扁桃体ハイジャックなどと呼ばれるが、
じつはこれが怒りの正体である。
扁桃体が暴走すると、
アドレナリンが分泌されて
脳の思考活動が抑制されるので、
前後の見境がなくなったりもする。
◆脳が回復する5つの習慣
1)オン・オフ切り替えの儀式を持つ
2)自然に触れる
3)美に触れる
4)没頭できるものを持つ
5)故郷を訪れる
◆脳の疲れを防ぐ食事
▶毎日摂取したほうがいいもの…
野菜、果物、ナッツ類、豆類、イモ類、全糖、穀物、魚、エクストラ・バージン・オリーブオイル、チーズ、ヨーグルト
▶ほどよく摂取したほうがいいもの…
鶏肉、卵
▶摂取を極力控えるべきもの…
赤身肉
◆マルチタスクが脳の収集力を下げる
現代は、
コンピュータのようなマルチタスク処理
がもてはやされる「ながら作業」の
時代といってもいい。
誰もが目の前のことに集中せず、
ひとつのことをしながら、
ほかのことを考え・こなしている。
世界のトップエリートと言われる
ビジネスパーソンが、
マインドフルネスに注目する
ひとつの理由はここにある。
膨大な仕事量を効率よくこなせる人間は、
その反面で肝心なものを失いかねない。
それは…
「集中力」である。
自動操縦モードに慣れた人間は、
集中力、つまり注意を一箇所に
固定しておく力が減っていく。
そして、これがどんなビジネスにも
致命傷となる。
◆本当の休息とは?
本来の休息とは、
ただの「充電」ではない。
なぜなら、脳は変わるからである。
これを脳の可塑性と言う。
マインドフルネスを継続すれば、
疲れづらい脳が手に入る。
空になったバッテリーを充電することは、
本当の休息ではない。
あなた自身の脳を変えて、
高度な集中力を手に入れることが、
「最高の休息法」の真の目的である。
◆マインドフルネスとは?
マインドフルネスとは
「瞑想などを通じた脳の休息法の総称」
である。
アップルの創業者の
スティーブ・ジョブスが
瞑想の実践者だったことは有名である。
また、グーグルのような巨大企業でも
SIY(Search Inside Yourself)という
マインドフルネス研修が、
社内の仕組みとして取り入れられ、
その効果が実証されつつある。
何よりも実利を重視しそうなアメリカ人、
しかも、本当に役立つものしか手を出さない
はずのエリートたちが、
なぜマインドフルネスを実践しはじめているのか?
その理由は簡単!
彼らは「脳の休息」の大切さをわかっていて、
同時に、マインドフルネスこそが
「最高の休息法」だと知っているからである。
◆脳は「何もしない」でも、
勝手に疲れていく…
脳の消費エネルギーの60-80%は
デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)に
使われている。
DMNとは、脳が意識的な活動をしていない
アイドリング状態でも動き続ける脳回路である。
ぼーっとしていても、
この回路が働き続ける限り、
脳はどんどん疲れていく。
「何もしていないのに、
なぜか疲れて取れない」
という人は、このDMNに過剰な
活動を許してしまっているかもしれない。