自分の時間を取り戻そう-ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方 by ちきりん
ちきりん
関西出身。
バブル期に証券会社に就職。
その後、米国での大学院留学、外資系企業勤務を経て2011年から文筆活動に専念。
2005年開設の社会派ブログ「Chikirinの日記」は、日本有数のアクセスと読者数を誇る。
超人気“社会派ブロガー”が
「現代を生きぬくための根幹の能力」
を解説!
仕事よりも、
自分優先で生きる
方法を教えます!
多くの人がさまざまな理由で、
忙しすぎる生活を
「避けられないもの」
「自分が頑張って乗り切るべきもの」
として受け入れている。
でも、本当にそうなのか?
この多忙な生活を脱する方法は、
どこにも存在しないの?
あまりに多くの人が
そんな生活を
当たり前のように受け入れ、
本当にやりたいことを後回しにし、
時には体や心を壊すまで
頑張ってしまう現状を、
とても普通のこととしては
受け入れられない。
受け入れるべきだと思えない…
個々人が直面する超多忙な生活からの
脱出方法について考える視点と、
今の社会で急速に進みつつある
変化の本質に焦点を当てる…
このふたつの視点をもって見ると、
そこには共通する、
ひとつの「答え」が浮かび上がってくる…
目次
はじめに
序章 「忙しすぎる」人たち
デキる男 正樹
頑張る女 ケイコ
休めない女 陽子
焦る起業家 勇二
「忙しすぎる」という問題の本質
1 高生産性シフトの衝撃
本質的な問題
UberとAirbnbが有効活用した資源
これからの時代の判断基準
学校教育がダメダメな理由
グローバル企業が税金を払いたがらないワケ
同床異夢のベーシックインカム論
「働かないでほしい」と望まれる人たち
文字(テキスト)が持つ価値
長文メールを書く人はなぜ嫌われるのか?
シェアエコノミーの本質
社会と個人が進むべき方向
2 よくある誤解
楽しくない?
クリエイティブになれない?
偶然の出会いを逃す?
人に優しくない?
3 どんな仕事がなくなるの!?
こんな働き方、していませんか?
仕事は遅いほうが得というトンデモ理論
デキる人と残念な人の違いとは?
淘汰されるのはどんな仕事?
こんな仕事が生き残る!?
4 インプットを理解する
希少資源に敏感になろう
お金と時間は、両方とも“見える化”しよう
お金も時間も最大限に活用しよう
お金と時間以外の希少資源
5 アウトプットを理解する
欲しいモノを明確にしよう
バックパッカーが手に入れたいものとは
超危険な「似て非なるモノ」
頑張るほどわからなくなる「欲しいモノ」
「やるべきこと」と「やりたいこと」
6 生産性の高め方①
まずは働く時間を減らそう
生産性の定義と高め方
ブラジルと日本の農業の違いにヒントがあった
ワーキングマザーと外資系企業の社員を見習おう
インプットを制限する具体的な方法
その1 1日の総労働時間を制限する
その2 業務ごとの投入時間を決める
その3 忙しくなる前に休暇の予定をたてる
その4 余裕時間をたくさん確保しておく
その5 仕事以外のこともスケジュール表に書き込む
働く時間を増やすのは“暴挙”
7 生産性の高め方②
全部やる必要はありません
メディアが求める完璧な女性
スゴイ人の内実
人手不足の原因となる「ひとりで全部やれ」思想
無駄な時間を減らすための具体的な方法
その1 「すべてをやる必要はない!」と自分に断言する
その2 まず「やめる」
その3 「最後まで頑張る場所」は厳選する
その4 時間の家計簿をつける
変わり始めたトレンド
8 高生産性社会に生きる意味
新ビジネス普及の鍵は生産性格差にある
医療や現金制度も大きく変わる
高生産性シフトが経済成長の新たな源泉に
個人にとっての意味
社会の生産性を左右する個人の意識
働き方も変わる
チームの生産性を高めるというチャレンジ
貧困問題と生産性
終 それぞれの新しい人生
さらにデキる男 正樹
吹っ切れた母 ケイコ
ラオスにて 陽子
世界を目指して 勇二
さいごに 〜人生のご褒美〜

MEMO
◆現金は極めて生産性の低いシステムである
現金を使うには、
銀行やコンビニまで行ってお金を
引き出してこないといけないし、
使う際には財布から取り出し、
お釣りを確認して財布に戻す必要がある。
小銭は重いし、
落としたり盗まれたりしたときに、
他者が使用するのを止める仕組みもない。
店側は毎日多大な時間を使って
レジの現金を数え、
売上と照合して確認する必要があるほか、
強盗に遭わないよう気をつけながら
現金を銀行まで運んでいる。
そもそも深夜のコンビニだって、
レジに現金がなければ強盗に
入られることはない。
現金があるから強盗が入るのである。
しかも他国では使えないので、
海外渡航時には両替する必要があり、
そのたびに高い手数料を取られる。
「代金を決済する」というシンプルな
成果を得るために、
ここまで多大な手間とコストの
かかる生産性の低いシステムが、
いつまでも残るはずがない。
最近、フィンテックという言葉をよく聞くが、
これも現在の金融制度の生産性が
極めて低いと気づいている人が、
そこに大きな可能性を見出しているからである。
◆ヤフージャパン VS 電通
ヤフージャパンが週休3日制を
検討していると報道された。
これはすべての社員が
「今は月曜から金曜まで5日間かけて
やっている仕事を4日間で終えられるよう、
生産性を上げよ」と求められている
ということである。
一方で、
未だに過労死を出すほど社員を働かせ、
そのことを問題とも思っていない
電通のような企業も存在している。
どちらの企業がこれからの
高生産性社会を勝ち残っていけるのか、
答えは火を見るより明らかである。
生産性を追求すると、
人の働き方の問題に行きつく。
今後は他の先進企業からも、
週休3日や4日制、
夏季だけや冬期だけといった
ピークシーズンのみの雇用、
1日5時間労働、在宅勤務
といったさまざまな働き方が出てくる。
それにより、
私たち個人の人生の過ごし方も
大きく変わっていく。
◆貧困家庭の子どもがなぜ大学に進学できないのか?
それは…
教育機関の生産性が低くて、
授業料が高すぎるからである。
教育機関の生産性が低いのは、
IT化やグローバリゼーションが進んで
いないのが原因。
教育機関の生産性が上がり、
今、数年かけて教えていることを
1年で教えられるようになれば、
もしくは、ITを活用して世界中に
授業を配信できるようになれば、
ひとりあたりの授業料は
今よりはるかに安くできる。
貧困家庭の子どもらが大学進学するために、
奨学金という名の多大な借金を抱えてしまう
ことが問題となっているが、
大学が生産性を上げ、
4年分を1年で教えるようになれば、
生活費は1年分しかかからず、
借金(奨学金)の額も大幅に減らせる。
貧困家庭が借金までして
あんな生産性の低い教育サービスを
買わなければならないなんて、
本当にバカげている。
貧困家庭の子どもがマスコミに
取り上げられると、
「もっと福祉制度を充実させるべき」とか、
「無償の奨学金を増やそう」
という話ばかりが出てくるが、
生産性という視点で見ると、
まったく異なった解決方法も見えてくる。
◆貧困家庭になぜクーラーがないのか?
それは…
電力事業の生産性が低くて、
電気代が高すぎるからである。
クーラーの機械自体は
今やあまり高くないが、
夏にクーラーをつけていると
電気代がすぐに1万円近くになる。
だから経済的に苦しい家庭では、
たとえクーラーがあってもスイッチを入れず、
暑さを我慢する人がたくさんいる。
電力の販売は自由化されたので、
これからは少し安くなると思うが…
もっと安くするには、
発電・送電システムの高生産性化が
必要になる。
イノベーションが起こって発電の
生産性が大幅に上昇すれば、
電気代は今よりはるかに安くなり、
貧困家庭でもクーラーが利用
できるようになる。
◆スマホがこれだけ普及したワケ!
スマホが当初発売されたとき、
ガラゲーと比較されて日本では
あまり普及しないのではと言われていた。
それが短期間の間にほとんどの人が
スマホを持つようになった。
なぜか?
それは、スマホの生産性が
極めて高いからである。
今や格安スマホなら
月に2000円で持つことができる。
それにスマホさえあれば
固定電話、テレビ、パソコン、
ゲーム機、漫画、電卓、カメラ、
腕時計、音楽プレーヤーなどが
いらないのだから、
スマホはとても生産性の高い商品なのだ。
◆長いメールや「とりあえずご挨拶を」という言う人は嫌われる
やたらと長いメールを送ってくる人や、
「とりあえずご挨拶を」と言ってくる人は、
それだけで、生産性の概念を持たない人だとわかる。
自分の時間の貴重さに気づいていないため、
他者の時間の貴重さにも無頓着である。
このため生産性に敏感な人たちは、
彼らに会う前から、
「こういう生産性を理解しない人とは
一緒に仕事をしたくない」
と判断してしまう。
生産性の高い人たちは、
生産性の意識を持っている人、
そして、生産性は高いほうがいいのだと
わかっている人だけと
付き合いたい、
一緒に仕事をしたいと思っている。
だから生産性の意識が低いことを
自分の言動によって示してしまうと、
それだけで排除されてしまう
時代になっている。
◆テキスト文字が持つ価値
2時間の対談動画を聞くには
2時間の時間がかかる。
聞き取れる程度に早送り再生をしても、
1時間以上はかかる。
でも、2時間分の対談の書き起こし原稿が
手元にあったら、多くの人は30分もかからず、
全体の主旨を理解することができる。
速い人なら15分ほどで理解できる。
これはテキストの生産性が
動画より4倍から8倍も
高いことを意味している。
動画はわかりやすく、
ラクに(受動的)に見ることができる。
でも、「伝える」という意味では、
テキストの生産性は圧倒的に高い。
特に伝えたいメッセージが
難解な場合には、
ものすごく生産性が高いツールである。
ちなみにテレビ番組を観る若者が
減っているのも、
頭出しもできず、
自分の空き時間にサクッと観ることもできない、
あまりに生産性が低い
(時間という希少価値を有効活用するどころか、
視聴者の貴重な時間をムダにする)
システムだからである。
テレビを観る人が減っている理由を
「番組がおもしろくないから」
などと考えるのはまったく当たっていない。
単に、検索も頭出しもできないテレビ放送という
フォーマットがあまりにも生産性が低いので、
高生産性シフトの起こるこれからの
社会では生き残っていけないということである。
◆新しい技術やビジネスを目にしたときは、
それを生産性という判断軸で評価することが
とても重要になる。
◆忙しすぎる人の4つの問題点とは?
- 長い時間、働くことによって、問題を解決しようとしている
- すべてのことを「やるべきこと」と考え、全部やろうとしている。なにもかも完璧にやろうとしている
- 不安感が強すぎて、NOと言えなくなっている
- 「とにかく頑張る」という思考停止モードに入ってしまっている
◆「忙しすぎる」という問題の本質は?
低すぎる「生産性」にある。
ものごとを生産性という視点で見る
クセをつけないと、
これからの社会において
正しい方向判断ができなくなる。
その典型例が教育投資である。
「教育投資が報われる」というのは、
「学校への投資が報われる」という意味と
同じではない。
一定の教育効果=成果を得るための手段として、
学校に通うことの生産性が極めて
低くなりつつあるということを
理解しておかないと、
多大な希少資源がムダになってしまう。
職業選択を含めた自分の人生の選択においても、
仕事の進め方についても、
そして社会のあり方を考えるときにも、
ゼロよりマシなものに対して、
「価値がある」と判断し、
貴重な時間やお金を投資していては、
いくら時間やお金があっても足りない。
結果として
「お金が足りない。
時間が足りない」と愚痴りながら
生きていくことになる。
そうではなく、
なにをやるにしても
自分の貴重な資源を最大限に
有効活用できる生産性の高い方法を
見極め、可能な限り高い成果を得る、
そういう方法を身につけないと、
やりたいコトをすべてやれる
人生は手に入らない。
◆いま、新しいビジネスを始めるときの判断基準とは?
「生産性が上がる」とは、
あらゆる資源の活用度合いが高まること、
あらゆる資源が、今までより有効に使われ
始めることを意味している。
たった1時間ほどの、
しかもいつ発生するかわからない隙間時間や、
自分が住んでいる家の空き部屋などという
中途半端なものまでが有効活用され始めた。
スマホが登場するまで、
電車の待ち時間は単なるムダな時間だった。
でも今なら数分の待ち時間の間にでも
仕事のメールに返信ができる。
今や、個人が所有するちょっとした私物や
隙間時間の生産性までが、
大幅に高められるようになった。
社会の高生産性化は不可避であり、
もはや後戻りすることはない。
だから何か新しい技術やビジネスを
目にしたときは、
それを生産性という判断基準で
評価することがとても重要になる。
これからは、生産性の高いものが残り、
生産性の低いものが淘汰されていく…
そうだとすれば、勉強する分野や
仕事を選ぶ際にもできるだけ
生産性の高い分野を選ぶ。
生産性を大幅に高めるサービスを
発見したとき、すぐに
「これはスゴイ! 絶対に流行る!」
と理解できれば、
これからの世の中がどう動いていくのかも
見えやすくなる。
これからはさまざまな場面において、
生産性という基準でモノを見ること
が必要になる。
◆高生産性社会へのシフトとは?
生産性とは
「時間やお金など有限で貴重な資源」と
「手に入れたいもの=成果」の比率である。
言い換えれば、
「稀少資源がどの程度、
有効活用されているかという度合い」
である。
高生産性社会へのシフトとは、
「社会全体が、生産性が高まる方向に
どんどん動いていく」という意味である。
つまり、世の中に存在する
あらゆる資源は、
今までよりはるかに高いレベルで
有効活用されるようになる。
たとえば、
個人が自分の空き時間に自家用車で
乗客を運び、乗車賃を稼ぐUber(ウーバー)
のようなサービスや、
個人が空き部屋や空き家を宿泊場所として
貸し出すAirbnb(エアビーアンドビー)といった
サービスがこれにあたる。
このふたつのサービスを通して、
これまで活用されないまま放置されていた
3つの資源が有効活用され、
価値に置き換えられ始めた。
一つ目の資源は、
Uberが有効活用を始めた
「自家用車の空き時間」。
一般的に個人が所有する車の稼働率は高くない。
長い時間、駐車場に止められたままだった
個人所有の自家用車がその空き時間に客を乗せ
(=乗客に価値を提供して)、
有効活用され始めた。
二つ目はAirbnbが有効活用を促した
「空いてる部屋や家」。
そして三つ目の資源が、
車や部屋を所有する人の「ヒマな時間」。
これらのサービスの出現により、
ヒマな時間を持つ人の隙間時間も
有効活用され始めた。
車の空き時間、家の空きスペース、
人生で余っていた時間、
という3つの資源が、
UberとAirbnbにより有効活用
されるようになった。
つまり、
Uberは、個人所有の自動車とその持ち主の
時間の生産性を、
Airbnbは個人所有の不動産とその持ち主の
時間の生産性を上げることで
価値を生み出し、それを換金するという
ビジネスである。
Uberシステムの強みは、
タクシーより圧倒的に生産性が高い点にある。
これからはあらゆる分野で、
生産性が高くなる方向に社会が変わっていく。
これが、高生産性社会へのシフトという
現象である。
仕事の発注者と仕事を探しているワーカーが
ネット上でマッチングされるクラウドワーキングも、
労働力の生産性を高める仕組みである。
◆いつもヒマがない人がまず考えるべきこと!
「毎日毎日、忙し過ぎる!」
と感じている人たちが、
まず取り組むべき本質的な課題は
「生産性を上げること」である。
ところがなぜかこの「生産性」という言葉は、
はるかに狭く解釈され、
その重要性も正しく認識されていない。
本来の意味の生産性とは、
仕事だけなく家事から育児、
趣味からボランディア、
勉強、人付き合い、コミュニケーションに
至るまで、生活のあらゆる場面において
その成果を最大化するためのカギとなる
概念である。
今、社会が急速に「高生産性社会」へと
シフトし始めている。
今後、私たちが暮らす社会では、
これまでに経験したことがないほど
速いスピードで、
しかもあらゆる場面でこの高生産性シフトが進む。
◆インプットを制限する具体的な方法
- 1日の総労働時間を制限する
- 業務ごとの投入時間を決める
- 忙しくなる前に休暇の予定をたてる
- 余裕時間をたくさん確保しておく
- 仕事以外のこともスケジュール表に書き込む
◆無駄な時間を減らすための具体的な方法
- 「すべてをやる必要はない!」と自分に断言する
- まず「やめる」
- 「最後まで頑張る場所」は厳選する
- 時間の家計簿をつける