医学常識はウソだらけ 図解版 分子生物学が明かす「生命の法則」 by 三石巌
三石 巌
1901年、東京生まれ。
東京帝国大学理学部物理学科卒。
同大学院修了後、多くの大学で教鞭をとる。
1997年1月、死去。
還暦を機に医学にも造詣を深め、分子生物学に基づいた「分子栄養学」を創設。
科学読み物の古典『ロウソクの科学』の訳者としても有名。
「元気で長生き」
になりたい人は必読!
生きている実感がある「長寿」と
寝て食べて出すだけで
満足の「長命」は違う!
人間の体には、100歳を過ぎても
健康でいられる力が備わっている
しかし、薬は効かず病気は治らない
なぜなら、
「医学常識」は間違いだらけ
医学常識はウソだらけのポイント
▶「食塩を摂りすぎると高血圧高になる」はウソ
▶「バターやラードは体に悪い」はウソ
▶「卵はコレステロールの元」はウソ
▶「玄米は体にいい」はウソ
▶「貧血には鉄分が一番」はウソ
これまでの医学常識とか健康常識の迷妄を打破し、
分子生物学に基づく真の医学的アプローチによる
「健康への道」を拓いた著者の業績は、
画期的である。
不勉強な医師たちのマニュアル治療を
徹底的に論破!
今、鶏卵を安心して食べられるのも、
塩分摂取に過敏にならずに済むのも、
甘いお菓子を楽しめるのも、著者のおかげである。
目次
序章 「医学」は「科学」にあらず
●95歳にして50代の筋肉レベル
●「医学常識」は「科学の非常識」
●「医原病」の恐怖
●医者要らずで生涯現役
1章「医学常識」はウソだらけ
●「食塩を摂りすぎると高血圧になる」のウソ
●高血圧には、まず良質のタンパクが不可欠
●コレステロールは、本来〝健康の味方〟である
●糖尿病の合併症退治こそ真の治療
●「動脈硬化は治らない」という医学常識のウソ
● 痛風にはビタミンAが有効
●風邪を予防する知恵
●三石式花粉症対策 79 ●腰痛・肩凝りにはたっぷりのビタミン
●貧血には鉄分よりタンパク質
2章 分子生物学こそ、ほんとうの医学
●タンパク質の摂取は「量」より「質」が決定的 101
●9種類の不可欠アミノ酸をどう摂るかがカギ
●タンパク源として卵と大豆、どちらが優秀か
●なぜ、メガビタミン主義が「健康の元」なのか
●老化や病気の元凶は活性酸素
●活性酸素は細胞の「電子ドロボー」である
●細胞がガンになるメカニズム
●ガン予防に不可欠なスカベンジャー
●体を守る軍隊、ナチュラル・キラー細胞
●食物繊維を大量に摂れば健康にいいというウソ
3章 「健康常識」もウソだらけ
●常識の逆――肉を食べない人は脳卒中になりやすい
●「バターやラードは体に悪い」のウソ
●「卵はコレステロールの元」というウソ
●無農薬野菜には発ガン性の危険あり
●玄米食は貧血を促す
●砂糖を摂れば頭の回転がよくなる
●お酒を「百薬の長」にする上手な飲み方
●早朝のジョギングやゴルフが命を奪う
4章 医学で病気は予防できない
●今の医学には病気を予防する力はない
●栄養学の導入なしに医学の近代化はない
●病気予防の〝三種の神器〟
●「快眠・快食・快便」は、ブタの生き甲斐

MEMO
医学常識はウソだらけ
◆痛風にはビタミンAが有効
高尿酸血症という成人病がある。
耳慣れない病名だが、
痛風といえば誰でも知っている。
正確に言えば、
痛風とは高尿酸血症によって生じる発作のこと。
この発作が起きると、
足の親指、足首、膝の関節などに
激痛が走る。
昔は「贅沢病」などと言われていたが、
最近はすっかり大衆化してしまった。
それだけ、
日本人の生活水準が上がったということだ。
この病気にかかった患者は
血液中の尿酸の濃度が高まっている。
そこで医者が行う治療法は、
その値を下げる薬を与える。
しかし、
これはきわめて安易な発想でしかない。
たしかに、痛風の患者は尿酸値が高い。
しかし、尿酸値が高い人が
すべて痛風になるわけではない。
尿酸値の高さは、痛風の必要条件であって、
十分条件ではない。
にもかかわらず、医者は尿酸値の高い人に対して
一律に薬を与える。
そのため、放っておいても痛風にならない人まで、
尿酸値を下げさせられている。
尿酸そのものは、決して有害な物質ではない。
むしろスカベンジャー(活性酸素を除去する物質)として
働く大切な物質である。
尿酸を必要以上に減らしてしまったら、
逆に健康を損ないかねない。
では、尿酸値が高くても痛風にならない人が
いるのはなぜか?
血中の尿酸値が高くなると、
尿酸がナトリウムと結合して針状の結晶になる。
これが周囲の組織を傷つけて、
その部分が炎症を起こす。
逆に言えば、この針状結晶ができなければ、
尿酸値が高くても痛風にはならない。
そこでカギを握っているのが、
糖タンパク(糖とタンパク質の複合体)。
近くに糖タンパクがあると、
尿酸はそちらと結合する。
そのためナトリウムとは結晶化せず、
痛風にはならない。
となると、痛風の予防策は尿酸値を下げる
ことではない。
尿酸値はそのままでも、
体内で十分に糖タンパクを作れるようにして
やればいい。
そこで必要なのは、まずタンパク質。
さらに、糖を作るためにはビタミンAが欠かせない。
ちなみに、卵と牛乳を摂ればタンパク質
とビタミンAの両方が摂取できる。
この二つを食事から摂取すれば、
痛風は自力で克服できる。
いつまでも薬の世話になりたくなかったら、
体が持っている本来の機能を活かすような
栄養を摂取する以外にない。
▶良質なタンパク質が含まれている食品
卵、サンマ、イワシ、マトン、豚肉、カジキ、アジ、鶏肉、イカ、そば、ロースハム、チーズ、牛肉、牛乳など…
▶ビタミンAが含まれている食品
レバー、バター、チーズ、牛乳、卵黃など…
◆「動脈硬化は治らない」というウソ
日本人の三大死因でもある、
ガン、心臓病、脳卒中のうち
心臓病と脳卒中は、
いずれも循環器系の病気である。
ここでいう「循環」とは、
血液の循環を意味している。
これらの病気になりやすい人の特徴は、
動脈硬化が著しいこと。
心臓で動脈硬化が起これば
狭心症や心筋梗塞の原因になり、
脳動脈や首あたりにある頸動脈が
動脈硬化を起こせば脳卒中になる。
脳卒中には、脳動脈が破れる脳出血と、
血管が詰まることで起きる脳梗塞がある。
本来、動脈に弾力があって、
血液の流れに合わせて内径が広がったり
戻ったりする。
その弾力を失うのが動脈硬化である。
そこを無理やり血液が通ろうとするから、
動脈が破れてしまう。
したがって、心臓病や脳卒中を防ぐには、
何よりもまず動脈硬化を避けることが大事だが、
これが難しい。
歳を取れば、動脈硬化は誰にでも起きる。
「人と血管はともに老いる」
という言葉があるぐらいで、
年齢とともに血管も老化していく。
しかも医者の多くは、
「動脈硬化はどんどん進む一方で、
血管の弾力は戻らない」と考えている。
しかし、正しい栄養を摂取することによって、
ある程度まで人間の老化を食い止めることができる。
もちろん、動脈硬化も例外ではない。
動脈に弾力を与える役目を担っているのは、
エラスチンというタンパク質である。
その不足が、動脈硬化を招く。
一般に、動物性食品は良質のタンパク源であり、
エラスチンなどの体タンパク作りに有利。
エラスチンは人間が体内で作り出している
タンパクで、外から授与しなくても動脈が
弾力を保っているのが本来のあるべき姿。
そこで求められるのは、
薬品や注射ではなく、
正しい栄養の知識に基づいた食生活の改善。
動脈を甦らせるためには、
部品を外から与えるのではなく、
その部品を体内の工場で
生産できるようにさせなければならない。
では、体内でエラスチンを作るには
何が必要なのか?
タンパク質を作るために
欠かせないのは、ビタミンB。
イワシ、大豆、バナナ、豚肉など、
この栄養素を含んだ食品を積極的に食べることが、
動脈硬化を解消し、ひいては心臓病や脳卒中の
予防につながる。
また、循環器系の成人病の中でもとくに
心筋梗塞の予防に役立つ物質に、
タウリンという含硫アミノ酸がある。
これは硫黄を持つアミノ酸で、牡蠣(かき)や
魚の血合肉などの含まれている。
もともと日本人の食生活には、
含硫アミノ酸が不足している。
卵にはこれがかなり多く含まれているが、
その卵が「コレステロールの多い成人病の大敵」
といった誤ったレッテルを貼られて敬遠されてるだから、
困ったものである。
◆活性酸素を除去する食品とは
ビタミンCやEといったビタミン類をはじめとして
スカペンジャー(活性酸素を除去する物質)には
数千の種類があり、その多くは植物に含まれている。
スカベンジャーとなる食品には、
次のようなものがある。
- ビタミンC(水溶性)
レモン、イチゴ、ミカン、柿、パセリ、トマト、ブロッコリー、ピーマン、サツマイモ、番茶 - ビタミンE(脂溶性)
アーモンド、小麦胚芽、大豆、落花生、ウナギ、シジミ、カツオ、アユ - カロチノイド(脂溶性)
ニンジン、カボチャ、トマトなどの緑黄色野菜、柑橘類、抹茶、赤身の魚、海藻、卵黄、魚卵(タラコ、スジコ、ウニなど) - ポリフェノール(脂溶性)
ゴマ、緑茶、赤ワイン、コーヒー、ショウガ、香料(クローブ、ナツメグなど)、ハーブ
◆糖尿病による合併症は「食事」で避けられる
ブドウ糖に封じ込められてしまうSOD以外にも、
活性酸素を除去する物質はたくさんある。
しかもその多くは日常的な食品に含まれているので、
薬と違って副作用の心配がない。
ビタミンCやEといったビタミン類をはじめとして
スカペンジャー(活性酸素を除去する物質)には
数千の種類があり、その多くは植物に含まれている。
人間が摂取できるスカペンジャーの中で
優秀なものがベータカロテンやキサンフィル
といったカロチノイドが挙げられる。
これはニンジン、かぼちゃ、トマトといった
緑黄色野菜のほか、柑橘類、海藻、鶏や魚の卵
などに含まれている。
ゴマ、緑茶、赤ワインなどに含まれている
ポリフェノールの仲間も、
人間にとってはかなり強い味方である。
気をつけてほしいのは、
ビタミンE、カロチノイド、ポリフェノールは
いずれも脂溶性の物質なので、脂質と一緒に
摂取したほうが腸管で吸収されやすい。
活性酸素はあらゆる病気の原因になるものだから、
誰にとってもスカベンジャーの摂取は
健康管理の大きな柱である。
◆糖尿病の合併症退治こそ真の治療
糖尿病になると体内で活性酸素が大暴れ
するようになり、網膜症、腎症、神経障害といった
合併症を引き起こす。
合併症さえ起こさなければ糖尿病は
少しも怖くない。
血糖値が下がらなくても、
活性酸素が悪さをしないような対策を講じれば、
糖尿病を克服したのと同じことになる。
ブドウ糖は、亀の甲のような六角形をしている。
普通はそれが閉じているが、
ときどき少し口の開いた形のものが混じってしまう。
悪さをするのは、この変形したブドウ糖である。
血糖値が高くなってブドウ糖の全体量が増えれば、
それだけ悪いブドウ糖も増える。
この変形したブドウ糖が困るのは、
タンパク質にくっつこうとする性質を
持っている点である。
ブドウ糖にくっつかれると、
タンパク質は本来の働きができなくなる。
タンパク質の中でも、とくにブドウ糖のターゲットに
なりやすいのが、SODと呼ばれる活性酸素除去酵素である。
いろいろな病気の原因になる活性酸素という「悪党」を
除去するのがSODの仕事だから、
その働きが封じ込められると大変なことになる。
大勢の泥棒が徘徊しているのに、
警官が休暇をとっているようなものである。
それだけでなく、ブドウ糖にくっつかれたSODは、
壊れるときに自身で強い活性酸素を発生させてしまう。
警官が泥棒に早変わりするのだから最悪である。
そのため、糖尿病になると体内で活性酸素が大暴れ
するようになり、網膜症、腎症、神経障害といった
合併症を引き起こす。
これらの合併症こそ、
糖尿病が持つ怖さの本質である。
逆に言えば、
合併症さえ起こさなければ糖尿病は
少しも怖くないことになる。
血糖値を下げることが
治療の最終目的でないのは、
このためである。
血糖値が下がらなくても、
活性酸素が悪さをしないような対策を講じれば、
糖尿病を克服したのと同じことになる。
◆血糖値を下げれば糖尿病は治るのか?
成人病に糖尿病がある。
インシュリンは膵臓で作られるホルモンだが、
血液中のブドウ糖を脂肪酸や筋肉細胞に
押し込む働きがある。
インシュリンが足りないと細胞に
押し込まれないブドウ糖が血液中に
残ってしまい、血糖値が高くなる。
医者が糖尿病患者に減量を求めるのは、
インシュリンの量が少なくても
ブドウ糖を処理できるようにするためである。
減量によって体が小さくなれば、
それだけインシュリンの要量も少なくなる。
しかし、カロリー制限によって血糖値が下がった
としても、喜ぶわけにはいかない。
食事の全体量を減らしているため、
カロリーだけでなく、タンパク質やビタミン
といった必要な栄養分の摂取量も低下している
可能性があるからである。
では、どうすればいいのか。
ここで失ってはいけないのは、
最終的な目的である。
ほとんどの医者は、
血糖値を下げることが糖尿病治療の
目的だと思っている。
しかし、血糖値のコントロールは糖尿病治療の
ひとつの手段でしかない。
それ以外にも、糖尿病への対抗手段はある。
その手段を理解するには、
まず糖尿病の何が怖いのかを知る必要がある。
血糖値が高くなって糖尿病と診断されても、
それだけで深刻な事態を招くわけではない。
問題はブドウ糖がどんな悪さを働くかである。
糖尿病になると体内で活性酸素が大暴れ
するようになり、網膜症、腎症、神経障害といった
合併症を引き起こす。
これらの合併症こそ、
糖尿病が持つ怖さの本質である。
逆に言えば、
合併症さえ起こさなければ糖尿病は
少しも怖くないことになる。
血糖値が下がらなくても、
活性酸素が悪さをしないような対策を講じれば、
糖尿病を克服したのと同じことになる。
◆コレステロールは必要な物質である…
コレステロールは体に必要な物質なので
減らすのではなく、活性酸素によって
破壊されたコレステロールのゴミを
体外に排泄するのを助ける食品(卵、大豆など)
を摂ればよい。
コレステロールは、
肝臓でリポタンパクというタンパク質に包まれる。
宅配便のパッケージみたいな状態で血液の中を
流れて、必要なところに届けられる。
このリポタンパクというパッケージには、
いくつかの種類がある。
その中でも問題にされるのが、
俗に「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLと、
「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLである。
この「善玉」と「悪玉」は正確に言えば
コレステロールそのものの種類ではなく、
コレステロールを梱包したパッケージの
ことである。
コレステロールが体にとって問題になるのは、
このパッケージが壊れてしまったときである。
血管の中を移動中に「活性酸素」という
有害物質にぶつかると、
リポタンパクが酸化されて梱包がほどけてしまう。
リポタンパクという宅配便は、
活性酸素という暴走族と衝突すると、
積み荷の酸化したコレステロールを
血管中にばらまいてしまう。
すると、今度はマクロファージという
掃除機のような細胞が登場して、
散乱した荷物を自分の中に取り込んで
片付けようとする。
しかし、酸化されたリポタンパクの数が多すぎると、
マクロファージの働きだけでは間に合わなくなる。
そこで助けっと役を演じるのが、
血管壁にある平滑筋の細胞。
この平滑筋細胞やマクロファージが
コレステロールを取り込むことによって生じるのが、
アテロームと呼ばれるもの。
アテロームは、脳梗塞の原因になる厄介者。
その厄介者を調べたところ、
中にコレステロールが溜まっていた。
それで、コレステロールが目の敵にされる
ようになった。
だが、問題はコレステロールではない。
活性酸素によってリポタンパクが破壊されて、
コレステロールが本来の流通経路からこぼれて
しまうことが問題なのである。
コレステロール自体は必要な物質なので、
それを減らすことを考えるより、
リポタンパクが破壊されない方法か、
あるいは破壊されてゴミになってしまった
コレステロールを体外に出す方法を考えるべき。
リポタンパクを守るためには、
活性酸素という悪党を退治してくれる
物質(リンゴ、バナナなど)を摂取すればよい。
要は、食べ物から摂る栄養が
解決のカギを握っている。
壊れてゴミになったコレステロールは、
どう処理すればいいのか。
体内の不要物は、
大便や尿に混じって排泄されるのが普通である。
ところが水に溶けないコレステロールは
腎臓では処理できないため、
胆汁に混じって捨てられる。
ただし、それには条件がある。
レシチンという物質と一緒になったときに、
コレステロールは胆汁として出る。
レシチンは卵の黄身や大豆などの食品に
含まれており、外から調達すればよい。
これを十分に摂取していれば
余分なコレステロールは適切に処理され、
アテロームも発生しない。
◆コレステロールは、本来「健康の味方」である
ほとんどの医者は、
なぜコレステロール値が成人病に結びつくのか、
きちんと説明してくれない。
そのため、ほとんどの人は、
- コレステロール値が高いと成人病になりやすい
- 食事制限をしなさい
- コレステロール降下剤を飲んでください
という指示に素直に従ってしまう。
しかし、コレステロールが直接、
成人病を引き起こすわけではない。
それどころか、コレステロールは体にとって
必要不可欠の物質である。
これがなければ、
私たちは健康な肉体を維持することができない。
人間を含めたあらゆる生物は、
小さな細胞が集まってできている。
たとえば、
皮膚の細胞は約4週間で代謝回転する。
このように細胞は
常に新しいものに作り替えられている。
だからその材料となるものをいつも
用意しておく必要がある。
脂質の一種であるコレステロールも、
細胞を作るときに必要な材料のひとつである。
すべての細胞は細胞膜で包まれている。
その細胞膜を作る成分として、
コレステロールはきわめて重要な存在である。
この材料が不足していると、
新しい細胞を正しく作ることができない。
コレステロール不足がガンを招きやすい
と言われているのもそのためだ。
細胞膜が弱いとその部分がガン化しやすい。
皮膚にあるコレステロールは
紫外線を浴びるとビタミンDの前駆体
(その物質が生成される前の段階の物質)
になる。
ビタミンDは、
とくにカルシウムの吸収に必要となる。
コレステロールが少ない人は
ビタミンDが不足し、
その結果、カルシウムの吸収が不十分になって
骨が弱くなってします。
また、女性ホルモンや男性ホルモン、
ストレスを受けたときに
副腎皮質から分泌される抗ストレスホルモン
などもコレステロールがなければ作れない。
こんな大切な物質が、
単に「成人病の原因」としか思われないとしたら、
まったく困ったことである。
患者にそういう偏った情報しか与えない医者は、
無責任としか言いようがない。
◆高血圧には、まず良質のタンパクが不可欠
血圧とは血流が動脈壁に及ぼす圧力のこと。
動脈が収縮して内径が狭くなれば、
血圧は高くなり、収縮を続けると高血圧になる。
日本人の高血圧症の9割以上を占める
「本態性高血圧」の原因はこれである。
このような場合、血圧のコントロールには
カルシウムとマグネシウムの摂取比も大切。
動脈の収縮にはカルシュウム、
弛緩にはマグネシウムが関わっている。
マグネシウムは、
ナトリウムやカルシウムを細胞の外へ出したり、
縮んだ筋肉を緩めたりする働きがあり、
高血圧や不整脈を予防することがわかっている。
マグネシウムはカルシウムの2分の1以上を
毎日摂ることが望ましい。
カルシウムは牛乳や小魚、海草などに、
マグネシウムは海草、日本そば、ゴマや豆類、
ココアなどに豊富に含まれている。
さらに、高血圧は血管の弾力性の問題も
からんでくるので、
血管をつくる材料として良質のタンパク
をきちんと摂取しなければならない。
血圧を下げたいからといって、
塩分の摂りすぎを気にする必要はない。
塩分の余剰分は腎臓から排出できる
栄養条件を整えてやればよい。
そのためには、
何よりもまずタンパク質を十分に摂取すること。
さらにマグネシウムやカリウムも摂る。
高血圧にかぎらず、
良質のタンパクはさまざまな病気の
予防に欠かせない。
また、摂取したタンパク質を有効に使うためには
ビタミンも大量に必要になる。
いずれにしても、
そういった栄養に関する知識が、
今の医者には決定的に欠けている。
高血圧の人に「減塩」をすすめるのが
「引き算」の方法であり、
余剰な塩分を排出する条件を助けるのに
カリウムを2倍弱
(食塩より摂取されるナトリウムの2倍弱)
摂るのが「足し算」の方法である。
医者が「引き算」の方法のみ患者に
処方して「足し算」の方法を無視している
ところに問題がある。
食塩より摂取されるナトリウムに対して、
カリウムを2倍弱の量を摂っていれば
血圧は正常に保たれる。
くどいようだが、
たとえば食塩(ナトリウム)を過剰に摂取しても、
余剰な食塩を排出するカリウム(リンゴ、バナナ、
そら豆、ほうれん草など)を多く摂れば
血圧は正常に保たれるのである。
◆高血圧の原因の一つは、食塩の過剰摂取ではなくカリウム不足!
リンゴをたくさん食べている人が
高血圧になりにくいことは、
栄養学的にも裏付けられている。
血圧を平常に保つためには、
食塩により摂取されるナトリウムと、
カリウムというミネラルの比率が重要となる。
健康な体内にあるナトリウムのカリウムに
対する比率は0.6である。
食物から摂取されるナトリウムとカリウムの比も、
ほぼこの数値に近いことが望ましい。
カリウムはリンゴ、メロン、スイカ、バナナ
といった果実や野菜などに多く含まれている。
食塩を平均より多く摂取するといわれる地域でも、
リンゴを日常的によく食べる地域で高血圧が
少ないのは、これで説明がつく。
したがって、高血圧の一つの原因は、
食塩の過剰摂取ではなく、
カリウムの不足といったほうが正しい。
ナトリウムやカリウムの過剰分は
腎臓から尿へ捨てられるが、
この排出機能が低い人の場合、
体液の濃度が低くなってしまう。
◆「食塩を摂りすぎると高血圧になる」のウソ
高血圧と食塩摂取量との間には
ほとんど因果関係がない。
たしかに、食塩の過剰摂取が
原因で高血圧になる人はいる。
ただし、それが原因になっているケースは、
高血圧患者100人のうちたった1人か2人
という割合である。
明らかに少数派である。
にもかかわらず、医者は、
すべての高血圧患者に
減塩を指示する。
しかし、そのマニュアルが
有効な患者は全体の1~2%にすぎない。
残りの98~99%には効果がないどころか、
逆に必要な塩分が不足して健康を
損ねてしまう恐れまである。
こんな愚かなマニュアルが
「常識」として、
「日本の医師全般」に
通用しているから、
医者は信用できないのである。
これほど間違いが明白な治療法が、
なぜ「医学常識」となってしまったのか。
その疑問を解くヒントは、
「疫学」という学問にある。
統計的なデータというのは、
見方によって引き出される結論が
違ってくる。
研究者は統計から何か結論を引き出そうという
思いが強いがため、自分の仮説を支えてくれる
都合のいいデータだけを採用し、
都合の悪いものを無視することが珍しくない。
したがって、疫学調査だけでは病気の
原因を確定することができない。
科学的な実験による裏付けがなければ、
仮説はどこまでいっても仮説である。
高血圧に関する「食塩原因説」は、
疫学によって導き出されたものである。
◆医者いらずで生涯現役!
医学や医者を無条件に信じることは
やめたほうがいい。
自分の健康は自分自身で
管理するしか手がない。
そのために何よりも必要なのは、
正しい知識である。
医者から仕入れた「常識」によって
頭が固くなっている人は、
信じられないかもしれない。
しかし、これだけは忘れないで欲しい。
何歳になろうが、
正しい健康管理を行っていれば
現役でいられる。