ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み by 近藤 宣之
近藤 宣之
株式会社日本レーザー代表取締役社長。
1944年生まれ。
慶應義塾大学工学部卒業後、日本電子株式会社入社。
28歳のとき労働組合執行委員長に推され11年務める。
取締役米国法人支配人、取締役国内営業担当などを歴任。
1994年、子会社の株式会社日本レーザー代表取締役社長に就任。
現役社長でありながら、日本経営合理化協会、松下幸之助経営塾、ダイヤモンド経営塾、慶應義塾大学大学院ビジネス・スクールなどでも講師を務める。
「7度の崖っぷち」に遭いながらも、
ひたすら前進して運をたぐり寄せた秘密!
10年以上離職率ほぼゼロ!
「2‐6‐2」の下位20%は宝!
社員のモチベーションが10割!
目次
プロローグ:どんな会社も必ず再建できる!
●人を大切にしながら利益を上げる会社
●私が直面した「7度」の崖っぷち
●亡くなった社員の子まで面倒を見る会社
●「強くてやさしい会社」が社員のモチベーションを引き出す
第1章:23年連続黒字は社員のモチベーションが10割!
第2章:10年以上離職率ほぼゼロ! 人が辞めない仕組みはこうつくる
第3章:なぜ、女性を大切にすると利益が上がるのか?
第4章:どん底から運をたぐり寄せるコツ
エピローグ
特別付録:「人を大切にしながら利益を上げる」問答集

MEMO
ありえないレベルで人を大切にしたら
◆成功を引き寄せる4条件とは?
それは…
体力と、能力と、ハードワーク(努力)
…
そして「運」だ。
アメリカ人がボランティアに積極的なのは、
「人は、神に生かされている」
「その人の運命(運)を握っているのは、神である」
という宗教観を持っているからである。
体力と能力とハードワークが備わっていても、
神に認めてもらえなければ、
成功は手に入らない。
アメリカ人は、慈善活動を通じて神への感謝を捧げ、
運のめぐりをよくしようとしているのである。
「成功するためには運が必要であり、
運を引き寄せるには、
神への感謝を示すこと」
という視点は、日本人にはなじみにくい。
運がよくなるには5つの心がけがある。
- いつも明るくニコニコと笑顔を絶やさないこと
- いつも感謝すること
- 昨日より今日、今日より明日と「成長」すること
- 絶対に人にせいにしない
- 身の回りに起こることは必然と考え、すべてを受け入れる
運をよくしたいなら、
「いつも笑顔で、感謝して、成長して、
他責にせずに、受け入れる」
という気持ちを持って仕事をする。
この5つの心がけを習慣化することで、
運のめぐりがよくなるはず。
◆「今」「ここ」「自分」
- 「今」とは、「今、この瞬間に生きる」こと
- 「ここ」とは、「この場所で生きる」こと
- 「自分」とは、「自分の人生を生きる」こと
今やらねば、いつやるのか。
ここでやらねば、どこでやるのか。
自分でやらねば、誰が解決してくれるのか
◆トラブルは自分を磨く砥石
一般的に、新卒社員の
「入社3年以内の離職率」は、
大卒で30%、高卒で40%と言われている。
退職理由は、
▶仕事がつまらない
▶会社での自分の将来に夢がない
▶待遇が悪い
▶職場環境が悪く、人間関係がよくない
などが挙げられる。
しかし、2,3年で会社を辞めてしまっては、
何のキャリアも残らない。
会社で働いていれば、
やりたくない仕事を任されることも、
安い待遇で働かされることもある。
威張る上司や怒る顧客もいる。
けれど、
「そもそも会社とは不条理な場である」
と自覚して、
「不条理な出来事もトラブルも、
すべて自分を磨く砥石である」
と考えれば、日々成長できるはず。
思いどおりにいかないことがあっても、
他人のせいにしない。
自分の問題として受け止めて、
努力する。
◆リーダーに必要な5つの危機管理能力
1)情報のキャッチと伝達を素早く行う
2)どんな状況にも臨機応変に対応する
3)事実は何か、真実は何かを追求する
4)全体を把握して、誰にでもわかる言葉で話す
5)危機のときこそ、努めて明るく話す
◆経営危機が起きる5つの理由とは?
1)経営環境の変化に対応できない
2)顧客の減少と、連続した受注不振
3)社内に危機感がなく、情報の共有化がされない
4)迅速な抜本策の先送り
5)不振の原因を外部環境のせいにする
◆社員が絶対辞めない「3つの」条件とは?
1)言いたいことが何でも言える明るい風土がある。
2)社員が会社から大事にされていると実感している
3)会社は自分のものだという当事者意識を持てる
この3つが整っていれば、社員は辞めない。
◆「下の20%」は宝!
一般的に、組織の構成比は、
・上位20%(会社を引っ張る20%のリーダー)
・中位60%(会社を支える60%の人材)
・下位20%(上の80%にもたれかかっている20%)
に分かれる。
これを、「2-6-2の法則」という。
この構成比に対して、
外資系企業や一部の大企業では、
「下位20%を切って、
能力の高い人を採用したほうが、
組織力が向上する」
と考える。
しかし、この考え方は間違っている。
「下位20%を切ってはいけない」
なぜか?
下位20%を辞めさせると、
残りの80%の社員のモチベーションが
低下するからである。
上位20%のリーダーも、
60%の中堅社員も、
常に「下に落ちるリスク」を抱えている。
「下位20%に落ちたら、
首切りに遭うかもしれない」となると、
会社のために身を粉にして
頑張ろうとは思わない。
むしろ転職すら考える。
◆会社は、雇用を守るために存在する。
社長は、雇用を守るために、
絶対に会社を赤字にしてはいけない。
会社の目的たった2つ…
「社員の雇用」と「社員の成長」
東芝の社長は、
このことを肝に銘じるべきである。
◆社員のモチベーションを高める「2つ」の方法とは?
1)社長の笑顔
よい報告は笑顔で聞く。
トラブルなどの悪い報告は、
もっと笑顔で聞く。
笑顔は社長の仕事であり、
笑顔は、社長の能力である。
社長の笑顔は、
「いつでも話しかけていいよ」
「怖くないよ」
という情報と同じで、
社内の空気を明るくする。
2)社長の声がけ
社長の「なにげない声がけ」が社員を動かす。
◆なぜ、リストラ、サービス残業がなくならないのか?
ほとんどの会社の社長は、
「自分は社員を大切にしている」
と公言している。
間違っても、
「自分は人を大切にしていない。
人を消耗品のようにこき使っている」
とは言わない。
しかし現実には、
リストラ、サービス残業、偽装、ごまかし、
不正経理、粉飾決算など、
「人を大切にしない経営」がはびこっている。
「人を大切にしない経営」があとを断たないのは、
「背に腹は代えられない」という社長の
思いがあるからである。
建前として、
「人を大切にしている」
と考えていながらも、
内心では、「結局おカネだ。
おカネこそが企業の存在価値であり、
存続条件だ」と考えている。
だから、目の前のおカネを得るために、
人を犠牲にする。
◆会社が伸びる!「たったひとつの方法」とは?
それは…
「人を大切にする経営」
である。
人を大切にして、
社員のモチベーションを上げない限り、
会社を発展させることはできない。
つまり、モチベーションが9割ではなく、
10割なのである。