超予測力:不確実な時代の先を読む10カ条 by フィリップ・E・ テトロック, ダン・ ガードナー
フィリップ・E・ テトロック
ペンシルバニア大学経営学・心理学教授。
専門は社会・文化心理および意思決定過程。
情報先端研究開発局(IARPA)が後援する“優れた判断力プロジェクト”の主催者…
ダン・ ガードナー
カナダ、オタワ在住のジャーナリスト。
“オタワ・シチズン”紙の記者を経て論説委員を2014年までつとめた。
カナダ新聞賞など受賞歴多数…
テトロックは、
実際に卓越した成績をおさめる「超予測者」が存在することを知り、
その力の源泉を探るプロジェクトを開始した。
その結果見えてきた鉄壁の10カ条とは…
政治からビジネスまであらゆる
局面で鍵を握る予測スキルの実態と、
高い未来予測力の秘密を、
米国防総省の情報機関も注目する
リサーチプログラムの主催者自らが、
行動経済学などを援用して説く…
目次
楽観的な懐疑論者
「知っている」という錯覚
予測を評価する
超予測力
「超頭がいい」のか
「超数字に強い」のか
「超ニュースオタク」なのか
永遠のベータ
スーパーチーム
リーダーのジレンマ〔ほか〕

MEMO
超予測力:不確実な時代の先を読む10カ条
◆超予測者はどこが特別なのか
優れた予測を立てるのに確率された方法はないが、
超予測者はだいたい同じ手順を踏む。
まず質問を分解し、
知り得る情報と知り得ない情報に選別する。
また、一般人が予測すべき事象そのものに
注目する傾向があるのに対し、
超予測者は事象と距離を置き、
それを同じような現象のひとつの事例にすぎないととらえ、
発生確率の「基準値」を導き出そうとする。
さらには自分の見解をほかの人々の見解などと比較・統合し、
結論にまとめる。
また超予測者には人生に対する基本姿勢においても、
いくつか共通項が見られる。
まず知的刺激への欲求が高く、
常に異なる視点に対してオープンであろうとする。
また努力をいとわず自らを向上させていこうとする強い意思がある。
そして運命論的ではなく「確率論的にモノを考える傾向」がある。
事象が起きたときに、
それを「そうなる定めだった」
ととらえるのか、
「さまざまな展開がありえたなかで、
特定の条件が重なった結果、
たまたまその事象が起きた」
ととらえるのか。
正確に将来を予測するには、
さまざまな選択肢を比較検討する
確率論的思考が欠かせない。
◆超予測者はどのような人々か、
彼らはどのように予測を立てるのか、
徹底的に分析した結果、
たどり着いた結論はこうだ。
予測力は生まれつき備わった神秘的な
才能などではない。
特定のモノの考え方、
情報の集め方、
自らの考えを更新していく方法の産物である。
知的で思慮深く意志の強い人なら、
だれでもこの思考法を身に着け、
伸ばしていくことができる。
◆超予測者をめざすための11の心得
- トリアージ
努力が報われそうな質問に集中しよう。簡単な「時計型」の質問、あるいはどうにも見とうせない「雲型」の質問にムダな時間をかけるべきではない。 - 一見手に負えない問題は、手に負えるサブ問題に分解せよ
- 外側と内側の視点の適度なバランスを保て
- エビデンスに対する過少反応と過剰反応を避けよ
- どんな問題でも自らと対立する見解を考えよ
- 問題に応じて不確実性はできるだけ細かく予測しよう
- 自信過少と自信過剰、慎重さと決断力の適度なバランスを見つけよう
- 失敗した時は原因を検証する。ただし後知恵バイアスにはご用心
- 仲間の最良の部分を引き出し、自分の最良の部分を引き出してもらおう
- ミスをバランスよくかわして予測の自転車を乗りこなそう
- 心得を絶対視しない