仕事でいちばん大切な 人を好きになる力

仕事でいちばん大切な 人を好きになる力 by 岩瀬 大輔

岩瀬 大輔
ライフネット生命保険代表取締役社長。
1976年、埼玉県生まれ。
幼少期を英国で過ごす。

1988年、東京大学法学部を卒業後、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。
同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。
2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。
2013年6月より現職。
世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。
ベネッセホールディングズ社外取締役、NHK国際放送番組審議委員を務める…

ビジネスにおいて、
何より大事なのは「人に恵まれる才能」。

それは各個人の「人を好きになる力」を
磨くことの賜物である。

良好な対人関係とは、
いつも自分発の「好き」から始まる。

特別な出会いに恵まれたのではなく、
むしろ日常の中で「好きになるチャンス」
を逃さなかったからかも…

目次

第一章 人を好きになるための心構え
(友達をつくるシンプルな原則/なにが人を「好き」にさせるのか?/「感謝リスト」を上書き保存しない/ラッキーパーソンという発想/感動はシェアしたほうが大きくなる/困っている人を「みんな」で助ける/ギブ&テイクではなく「ギブ×10」/愛することは、おしゃべりすること/ほめ言葉を出し惜しみしない)

第二章 他人を知る前に自分を知ろう
(「好き」の基本はひと目惚れ/自己評価と他己評価のはざまで/フィードバックを素直に受け入れる/「もう一人の自分」と「第三の自分」をつくる/同窓会で過去の自分を調査する/
あなたはいつまで「若手」なのか?/イメージが実体をつくる/「ほんとうの自分」はどこにいるのか)

第三章 近い関係から深い関係へ
(もっと自分を「情報公開」する/「ダメな自分」をあえて見せる/会話を弾ませる3つのステップ/謝罪よりもお礼を大事にする/まめな人とは先送りしない人/休日の2時間を「あの人」のために使う/自分が好きな人に賭けてみる/なぜあなたのお世辞はバレるのか?/ソーシャルメディアを使いこなす7つのルール)

第四章 世代を超えた関係をつくる
(対人関係を一変させるキーワード/2つの「相談」を使い分ける/インプットは素直に、アウトプットは生意気に/自分にしか提供できないリソースを持つ/先生であるより、永遠の生徒でありたい/知識や経験をシェアする/若い人とは「奢らず」「媚びず」「対等に」/与えたチャンスを一緒に楽しむ/ようやく見つけた大きな夢)

第五章 好きな人を「キャスティング」する
(人はなぜチームをつくるのか?/すべてはキャスティングにつながる/上司を使いこなす部下になろう/紹介するリスクを引き受ける/人だけでなく、夢を引き合わせる/最高の仲間は「最高の自己投資」になる/経営者になっていちばんよかったこと)

仕事でいちばん大切な 人を好きになる力
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MEMO

仕事でいちばん大切な人をすきになる力

◆最高の仲間は最高の自己投資になる

◆人だけでなく夢を引き合わせる

◆上司を使いこなす部下になろう!

たとえば、あなたの部署に口うるさい上司がいて
「あの上司さえいなければ、
もっと伸び伸びと働けるのに」
と思っているとする。

上司が出張している日は部署の空気も穏やかで、
みんな楽しく仕事をしているように見える。

しかし、上司という機能が失われたとき、
すなわち自分を律し、叱ってくれる人がいなくなったとき、
あなたはどれくらい自分で自分を律することができるか。

たとえば誰からも叱られる心配のない休日に、
つい寝坊したり、
やろうとと思っていたことを先送りしたり
することはないだろうか。

上司のいない職場とは、
目覚まし時計のない休日の朝みたいなものかもしれない。

◆先生であるより永遠の生徒でありたい

ここで言う「先生」とは、
職業としての先生ではなく、
「過去に蓄積した知識や経験を
アウトプットするだけの人」である。

どこかの段階で学びをやめて
「先生」として生きる人生よりも、
いつまでも学ぶ側の人間で
ありたいという意味。

◆インプットは素直にアウトプットは生意気に

「聞き手」に回っている間は
徹底して素直になる。

相手の言うことに「なるほど」と耳を傾け、
少しでもいいと思ったことは
積極的に実践する。

しかし、「話し手」に回ったときには、
少しだけ生意気であることをためらわない。

相手の意見を肯定しつつも、
自分の意見ははっきりと主張する。

大筋については素直に受け入れながらも、
ほんの少しだけ自分の意見を主張する。

ここでの目的は「反論すること、
反対意見を表明すること」ではない。

あくまでも「自分の意見を主張すること」
である。

反論することが目的になってしまっては、
必ず無礼な対応になる。

◆「かわいい」には2つの条件がある。

  1. 素直さ
    年上の人の言葉に対して、こざかしい理屈で反論しようとせず、素直に「なるほど」と受け入れること。メモを取るくらいの勢いで「そうなんですね」と学ぶ姿勢を見せること。
  2. 生意気さ
    これは「素直さ」と矛盾するように映るかもしれないが、そうではない。社会的な立場を築いてきたベテランの人にとっては、少しくらい生意気な「若造」もまた「かわいい」のである。

◆2つの相談を使い分ける

平社員と課長では抱える悩みが違うし、
課長と部長でも違う。

共通の趣味を見つけるのも難しい。

そんなとき「相談」から入るという
アプローチを試してみるとよい。

  1. 年上への相談は「甘え」がベース
    ある程度の年齢を重ね、キャリアを重ねていくと、若者からほどよく甘えられることが嬉しくなる。「教えてください」「ご意見を聞かせてください」と相談されることが嬉しいのだ。これが5~10歳くらい年上の先輩であれば、こうやって甘えられても「ごめん、忙しいから」と突っぱねるかもしれない。しかし、20~30歳も年上なら快く応じてくれる。それだけ余裕があるし、自分の知識や経験を伝えていきたいという意欲もある。そしてなにより、親子ほども歳が離れた関係自体が新鮮に感じられる。
  2. 年下への相談は「信頼」のサイン
    私たちは、自分が信頼していない人に「相談」することはない。なにかを相談するということは、同時に「あなたのことを信頼していますよ」というメッセージを送ることでもある。上司や先輩から相談を持ちかけられて意気に感じない若手はいない。

◆休日の2時間を「大事な人」のために使う!

たとえば週末の2時間で、
たまったメールを処理する。

しかも、なるべく丁寧に返事を書いていく。

あるいは、最近連絡が途絶えがちだった誰かとの
会食に2時間を使う。

好きな人や、パートナーへのプレゼントを買う
ショッピングに2時間を使うのでもよい。

たった2時間の投資であっても、
それが心にこもったものであれば、
必ず相手は喜んでくれる。

そして距離を縮め、
関係を深めることにつながる。

「仕事が忙しいから無理だ」なんてことは言わずに、
なんでもない2時間を誰かのために使う。

それくらいの余裕は、
きっとあなたにもあるはず。

◆与え続けることは「損」ではない

あなたは、

▶与えるばかりだったら、自分は損する一方じゃないか
▶みんなから利用されておしまいじゃないか
▶どこかで「テイク」しないと、なんのためにそんなことやっているのかわからないじゃないか

と思っていませんか。

たしかに見返りを求めず、
気前よく与えてばかりいるのだから、
損しているように感じられる場面もある。

いくら損得勘定じゃないんだと
自分に言い聞かせても、
なかなか実践できることではない。

しかし、「テイク」を考えず「ギブ」に徹する人は、
最終的に大きな果実を得る。

こんなふうに考えて見る…

見返りを求めず、無数の「ギブ」を繰り返していくと、
たくさんの仲間が得られる。

打算や下心とは無縁の、本物の仲間たち。

そうした人たちが、
いますぐ役立ってくれるかどうかはわからない。

しかし、あなたが困っているとき、
仕事や人生に迷っているとき、
彼ら・彼女らは必ず見返りを求めない
「ギブ」を与えてくれる。

たとえ助けてもらっても、
その恩義を重荷に感じる必要はない。

これまでと同じように、
たくさんの人に自分なりの「ギブ」をしていけばいい。

◆年下の人とは驕らず、媚びず、対等に!

年下の人と対等に付き合うのは、
そう簡単なことではない。

無意識のうちに、
どこかで自分が年上であるというだけの理由から、
相手を見下してしまう。

共通項を探そうと自分が若いころの話をしても、
相手にはお説教や自慢話の一種に聞こえてしまう。

もちろん仕事上のアドバイスばかりでは、
みんな逃げていく。

しかし、少しでも媚びる様子を見せると、
彼らはすぐさまそれを察知して調子づいてくる。

上から押さえつけるのではなく、
かといって媚びるのでもなく、
ただフラットな関係を築いていく。

友人をつくるときの条件は、
年齢に関係なく「感謝」と「尊敬」。

たとえ若くても
「この行動力はすごいな」
「この熱意はみならわなきゃいけないな」
と思わせてくれる人は、大勢いる。

そういう人としての敬意がベースにあるからこそ、
世代を超えた対等な関係が結べる。

◆友達をつくるシンプルな原則とは?

  1. 友達の数は「好き」の数と比例する
    友達とは何か? 簡単な言葉で定義するなら、「お互いに好意を持ち、親しく交流している人」である。たとえば、会社や学校のクラスメイトとは、毎日のように交流している。しかし、クラスメイトの全員を「友達」と呼ぶことには誰しも抵抗がある。毎日顔を合わせて、それなりに言葉を交わす関係であっても、やはり友達と呼ぶためには、お互いの「好き」が必要。好きだからこそ関係が近くなり、友達になっていく。「好き」を抜きにした友人関係なんてありえない。
    ▶100人の友達がいる人は、100人以上の人を「好き」になっている
    ▶「好き」になる人の数が少ないと、友達の数も少なくなる。
  2. 自分を「好き」になってくれる人を「嫌い」になるのは難しい
    友達になるためには自分が好きなだけではなく、相手からも好いてもらわなければならない。しかし、こちらが「好き」の気持ちを持って誠実に接していれば、ほとんどの場合は相手も「好き」を返してくれる。心理学の世界では、「好意の返報性」と言う。
  3. 仕事とプライベートを「人」で分けない
    多くの社会人が口にする、「仕事仲間は増えたけど、プライベートで気兼ねなく遊べる友達は減ってしまった」という悩み。おそらく最大の原因は、仕事に追われてプライベートの人(=仕事以外の人)と接する機会が激減してしまうことである。ただ、ここで考えて欲しいのは、「仕事の知人」と「プライベートの友人」とを分けて考えるべきなのか。たとえ仕事を通じて知り合った相手であっても、「これは」と思う人とは、プライベートの場で接するときには普通の「仲間」として付き合う。大切なのはその人のことが好きかどうか、それだけである。

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