人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 by 井上 智洋
井上 智洋
駒澤大学経済学部講師。
慶應義塾大学環境情報学部卒業、早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。
2015年4月から現職。
博士(経済学)。
専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論、人工知能と経済学の関係を研究するパイオニアとして、学会での発表や政府の研究会などで幅広く発言。AI社会論研究会の共同発起人をつとめる…
あらゆる人々が遊んで暮せるユートピアか?
一部の人々だけが豊かになるディストピアか?
AIの発達でほとんどの人が仕事を失う近未来を、
気鋭の経済学者が大胆に予測する。
目次
第1章 人類vs.機械
第2章 人工知能はどのように進化するか?
第3章 イノベーション・経済成長・技術的失業
第4章 第二の大分岐──第四次産業革命後の経
第5章 なぜ人工知能にベーシックインカムが必要なのか?

MEMO
人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊
◆天の無数の星々は仕事などしない。
利用に従属するようなことなど、なにもしない。
人間の価値は究極的なところ有用性にはない。
人の役に立っているか、社会貢献できているか、
おカネを稼いでいるか、などといったことは最終的にはどうでも良いこと。
有用性という価値は普遍的なものではなく、
波打ち際の砂地に描いた落書きが波に洗われるように、
やがては消え去る運命にある。
AIやロボットの発達は、
真に価値あるものを明らかにしてくれる。
もし、人間に究極的に価値があるとするならば、
人間の生それ自体に価値があるという他にない。
◆勉強は未来の利益のために現在を犠牲にする営みであるとも言える。
現在という時が未来に「隷従」させられている。
有用な営みに覆われた人生は奴隷的である。
※隷従(手下となって従うこと。家来・部下。
◆BI(Basic Income)の給付額を増大させることによって、
AIの発達の末に訪れるはずの途方もなく実り豊かな経済の恩恵を、
一部の人々ではなく全ての人々が享受できるようになる。
◆年収400万円の人の「純負担」は一人暮らしならば、
増税額の100万円から給付額の84万円(7万円×12ヶ月)を引いた残りの16万円に過ぎない。
BI(Basic Income)導入となると大きな負担が生じるように感じてしまうかもしれないが、
平均的な年収(※)の人の「純負担」は年間たったの16万円である。
※現在、個人の平均年収は、およそ400万円である。
◆BI(Basic Income)の給付額を極限のインフレが起きない程度に留める必要がある。
適切なインフレ率は一般に2~3%程度と言われている。
月7万円程度の給付(BI)ならば、
目標インフレ率を大きく上回るような極度なインフレは発生しないと思われる。
◆社会主義と比較して資本主義は
努力と能力に応じて報酬が得られる経済体制だと考える人が多い。
しかし、それは少し違っていて、
資本主義は本人の能力や努力の他、
コネや運、相続した資産など全てを武器にして
稼ぐことができる総合格闘技のようなものである。
それに対しソ連邦なの社会主義国では、
努力と能力(つまり労働の成果)に応じて報酬が得られる
経済体制が目指されていた。