残酷すぎる成功法則

残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する by エリック・バーカー

エリック・バーカー

大人気ブログ「Barking Up The Wrong Tree」の執筆者。
脚本家としてウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、20世紀フォックスなどハリウッドの映画会社の作品に関わった経歴をもち、「残酷すぎる成功法則」は、初の書き下ろしにして全米ベストセラーに…

目次

序章 なぜ、「成功する人の条件」を誰もが勘違いしているのか

第1章 成功するにはエリートコースを目指すべき?(リスクを冒さず、親や学校から言われた通りにするのは得か損か。高校の首席、無痛症の人びと、ピアノの神童から得られる洞察…)

第2章 「いい人」は成功できない?(信頼や協力、親切について、ギャング、海賊、連続殺人犯から学べること…)

第3章 勝者は決して諦めず、切り替えの早い者は勝てないのか?(道のりが困難でも最後までやり遂げる是非について、海軍特殊部隊シールズ、見合い結婚、バットマン、オンラインゲームから学べること…)

第4章 なぜ「ネットワーキング」はうまくいかないのか?(人質交渉人、一流コメディアン、史上最高の頭脳を持つ人から、人脈づくりの最強戦略を学ぶ…)

第5章 「できる」と自信を持つのには効果がある?(チェスの達人、特務機関、カンフー詐欺師、恐怖不感症の人びとから、自信と妄想の境界を綱渡りする術を学ぶ…)

第6章 仕事バカ…それとも、ワーク・ライフ・バランス?(どうやって家庭と職場の調和を見つけるかを、スパイダーマン、アルバート・アインシュタイン、チンギス・ハンから学ぶ…)

結論 本当に人生を成功に導く法則は何か…

残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する
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MEMO

残酷すぎる成功法則

◆自己啓発本の定番であるポジティブシンキングのウソ

たとえば、「強く願えば夢はかなう」かどうか調べた実験によると、
ヒトの脳はフィクションと現実を見分けることが不得意で、
夢の現実を強く願うと、
脳はすでに望みのものを手に入れたと勘違いして、
努力するかわりにリラックスしてしまう。

ダイエット後のほっそりした姿を思い描いた女性は、
ネガティブなイメージを浮かべた女性に比べて体重の減り方が
10キロも少なかった。

成績で「A」をもらうことをイメージしている学生は、
勉強時間が減って成績が落ちた。

まさに、ポジティブシンキングは、
「間違った木に向かって吠えている※」のだ。

※「barking up the wrong tree」の邦訳で、
まったく見当違いをする、的を得ない発言をしているという意味。

◆成功者となるために、
覚えておくべき最も重要なことは何か?

それは…

「調整すること」だ。

成功とは、ひとつだけの特性の成果ではない。

それは、
「自分はどんな人間か」と
「どんな人間を目指したいか」
の2つを加味しつつ、
そのバランスを調整することだ

では、どのようにして最適なバランスを見つければいいのか?

それは…

汝自身を知れ」に尽きる。

◆書き留めることは目標達成に役立つだけでなく、
リラックスすべきときに脳がくよくよ考え続けるのを止めてくれる

◆明日に備える「シャットダウン儀式」とは

調査によると、
明日やるべきことを書き留めると、
脳が落ち着き、リラックスできる。

あなたが何かを気にかけていると、
それを忘れてしまうことを灰白質が恐れ、
リハーサルループ」と呼ばれる
脳の一群の領域を活動させる。

するとあなたは延々と気にし続ける。

就業前に考えを書き留め、
明日の計画を練っておくことで、
こうした脳活動のスイッチを切ることができる。

◆中小企業の事業主は満足度が高い

なぜか?

事業を始めた理由として、彼らは

▶誰にも雇われたくなかったから
▶自分は決定を下したかったから
▶自分の好きなようにやりたかったから

と回答している。

要するに、
自分でコントロールすることが望みだった

だから労働時間やストレスに変化がなくても、
幸福感が高まった。

◆ストレスを消す特効薬とは?

ストレスを減少させる最も効果的な方法は、
計画を立てることだ。

前もってどんな障害があるのか予想し、
克服法を考えておくと、
状況をコントロールできていると感じる。

これこそが、ものごとを成し遂げるための秘訣だ。

◆調査によれば、
生産性が際立って高いプログラマーには共通点がある

それは経験でも給与でも、
プロジェクトに投資される時間数でもなく、
雇用者から集中できる静かな環境を与えられていることだ

◆計画を実行に移すための手順

  1. 時間の使い方を追跡調査してみる
    まずは、自分の24時間がどう使われているか書き出す。時間を最も浪費しているのはいつ?
  2. 上司と話す
  3. 「To Doリスト」には落とし穴がある。すべてを予定表にすること
    To Doリスト(やることリスト)は悪魔的だ、所要時間をまったく考慮に入れていない。To Doリストを作る代わりに、すべてを予定表にする。やるべきことを優先順位にしたがって組み込んでいく。
  4. 自分がおかれた状況をコントロールする
  5. 1日を首尾よく、予定した時間に終える

◆チンギス・ハンの戦略は、
敵の得意分野で戦うのではなく、
自分たちならではの強みを生かして戦うことだった

モンゴル人は3歳から馬に乗っている。

近代的な技術のない素朴な遊牧民が、
その猛烈な速さと機動力をもって、
はるかに規模の大きく、装備も整った軍隊に勝利した。

ハンは、自分にも知らないことがあるが、
それらを学ぶ時間がないことを認識していた。

そこで彼は、知識のある人材をたえず採りたてていた。

ハンは、過酷な時代に過酷な地に生まれ、
父のいない、字も読めない、名もなき若者だったが、
歴史上最も強い男となった。

ハンは、やみくもに問題に対処したわけではない。

自分はどうしたいのかを考え、計画を練った

そうして自分の意志を世界に広めていった。

計画」…
これこそあなたが必要とするものだ。

大半の人は、時間を割いて計画を練らない。

成功し、幸せになりたかったら、
計画を立てることは何よりも重要だ

◆多くの選択肢があるとき、
人は2つの方法で対処する

「最大化」と「満足化」である。

「最大化」とはすべての選択肢を探り、
品定めし、最高のものを得ようとすることだ。

「満足化」は、自分が必要とするものを考え、
そのニーズを満たすと思った最初のものを選択する。

満足化は、「これで充分」なものを得て満足する生き方だ。

現代社会において、「最大化」はまず不可能で、
なおかつ満足もできない。

ストレス、成果、努力などすべての要素を含めて判断した場合、
じつは「満足化」こそが「最大化」する方法である。

◆幸福の測定基準としての必須要素

  1. 幸福感:人生から喜びと満足感を得ていること
  2. 達成感:何らかの業績でほかに抜きん出ていること
  3. 存在意義:身近な人々に、ポジティブな影響を及ぼしていること
  4. 育成:自分の価値観や業績によって、誰かの未来の成功を助けていること

◆幸せな人生は、
お金だけで手に入らないことは誰でも知っている

しかし、お金以外のものが何なのか、
それを得るにはどうすればいいのか、
誰もはっきりとわかっていない。

◆成功とは、
あなたがビジネスでたえず直面するものだ

あなたは常に、
何かを基準に自分の成功を解釈するだろう。

そしてその何かとは、
あなた独自の目標や目的であるべきだ

◆あなたにできることは何か?

まず、あなた個人にとっての成功を定義することだ。

周囲を基準に、
自分が成功しているかどうかを判断するのは、
もう現実的ではない。

他者との比較で、
相対的に成功をおさめようとするのは危険だ

あなたの努力や投資のレベルが他者によって決定されるので、
常に誰かに追いつこうと全速力で走り続けなければならない。

「ナンバーワンになりたい」と漠然と思っても、
誰もが不眠不休で働くグローバルな競争の中ではまったく歯が立たない。

◆私たちはいつも生きる準備に余念がなく
決して今を生きていない

◆私たちは選択権を持つことが好きだ

しかし選択をすることは嫌いだ。

選択肢があることは、
可能性を意味するが、
選択することは、
その可能性を失うことを意味する。

そして選択肢が多いほど、
後悔する機会も増えることになる。

仕事をすることが常に選択肢にある場合、
すべての行動がトレードオフになる。

仕事の時間を増やせば、
友人、配偶者、子どもと過ごす時間が減ることになる。

間違った選択をすれば、
非は自分にあることになり、
選択のストレスがまた増える。

懸命に働くほどに、
ますます気分が滅入る。

すべての選択がその都度、
妥当性を問われているからだ。

◆成功が「達成不可能」になった世界で考えるべきこと

現代では、成功の基準がすこぶる高くなってしまった。

「なかなか達成できない」どころではなく、
「達成不可能」なものになった。

人類史で言えばつい最近まで、
私たちはせいぜい100~200人規模の部族にいたので、
これだけは誰にも負けないというものを持てた。

特別で価値ある存在になれたのだ。

しかし今、私たちは70億人という地球規模の種族に属している。

自分よりすぐれた存在が際限なくいて、
メディアはいつもそうした人びとを取り上げる。

その結果、目標に近づくための基準もかぎりなく跳ね上がった。

それだけではない。

現代世界では、あらゆる競争が激化している。

人材供給の市場が地球規模に広がったので、
もしあなたが仕事をこなせなくても、
会社は焦らない。

地球の裏側にいる誰かが難なくこなせるからだ。

そのうえコンピュータはすべてを効率化し、
少ない人材で事足りるので、
グローバルな人材市場は、
求人の10倍もの候補者を供給できる。

◆もしあなたが質の良い仕事ができるなら、
仕事量を増やす必要はない

「80対20の法則」を念頭に置き、
メールチェックで時間を浪費するのではなく、
意味のある変化をもたらす業務に集中しよう。

時間ではなく、エネルギーこそが、
すぐれたパフォーマンスを生みだす基本通貨である。

本当に管理すべきは時間ではなく、
エネルギーなのだ

◆睡眠不足の状態では、
不機嫌になりやすい

ところがありがたいことに、
90分の仮眠を取ると、
その状態をリセットできる。

昼寝は、脳の嫌なことに対する過剰反応を鎮めるだけでなく、
善いことに対する反応を高めてくれる。

◆大半の人は、
午前中最初の2時間が生産的だと調査でわかった

起きた直後ではなく、
あなたが7時に起きたとすると、
だいたい8時から10時半ごろまでが
最も生産的な時間になる。

◆脳の力は、回復するのに思った以上に時間がかかる

研究によると、5時間睡眠を数日続けた人々の脳は、
通常睡眠に戻して1週間経った後でも、
まだ100%正常な状態に回復していなかった。

睡眠は、意思決定や倫理、健康状態のみならず、
インターネットでどれぐらい時間を無駄遣いするにも影響を及ぼす。

また、若さと美容を保つのに良い睡眠が必要なことも証明されている。
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◆調査によると、
有意義な仕事に従事し続け、
精一杯働いた者は、
最も長生きした

ここでの有意義な仕事とは、
▶自分にとって重要
▶自分が得手(えて)とする
の双方を満たすものを言う。

自分の強みを生かし、
最も得意とすることを毎日するようになると、
心配やストレス、怒り、悲しみ、
物理的な痛みに関する報告が減ることが分かった

有意義な仕事が長寿につながるとしたら、
あなたの寿命を短くするものは何か?

それは…
失業だ。

では退職はどうか?

退職は「失業」とは違う。

退職は認知機能の低下、
心臓疾患、ガンの発症につながる。

こうした影響は、
老化によるものではなく、
活動的に職務に携わっていた状態でなくなったことに起因する。

余談だが、嫌いな職に就いていることは、
失業よりさらに悪い。

◆成功において自信よりも大切な概念とは?

自信のレベルが高ければ人々は強く印象づけられるが、
ひんしゅくを買う。

自信のレベルが低ければ好感を持たれるが、
敬意は得られない。

矛盾しているように思える。

いっそ、自信に関する理論は、
きれいさっぱり忘れてしまう。

そして自信に代わる概念(セルフ・コンパッション)を持つ。

セルフ・コンパッションとは、自分への思いやりである。

自分自身への思いやりを持てば、
失敗したときに、
成功の妄想を追う必要もなければ、
改善の見込みがないと落ち込む必要もない。

セルプ・コンパッションには、
自尊心のプラス面がすべて含まれるが、
マイナス面は含まれない。

自信と異なり、
自分への思いやりは妄想につながることもない。

◆私たちは前進し続け、
他者を味方につけるために楽観主義と自信を必要とする

しかし、問題点を見つけて改善するには、
否定的な考え方と悲観主義が必要だ。

つまり、成功するには、
楽観主義と悲観主義の両方が欠かせない

成功者は悲観的に計画を立て、
楽観的にその計画を実行する。

◆自信が不足している人は悲観的になるが、
悲観主義が野心とコンビを組むと、
目覚ましい業績をあげることがよくある

◆自信を抑えれば、
傲慢な印象を減らせるばかりか、
現実離れの妄想にはまる可能性を減らすことができる

◆自信は、能力を向上させ、
成功を引き寄せる

また、他者にあなたを信用させる。

その一方で、
自信には極めて危険な面もあり、
妄想や傲慢さにつながる恐れがある。

私たちは、能力がないことを嘆くのに多大な時間を費やすが、
自信過剰であることのほうがはるかに大きな問題だ。

なぜか?

能力がないことは、
経験不足と人々の問題であり、
ほかの条件が同じなら、
未熟な者に権力や権威を委ねたりしない。

一方、自信過剰はどちらかというと熟達者に見られる問題であり、
そうした者はしばしば大役を任せられる。

取り返しのつかない事態を引き起こしかねないのは、
自信過剰な者なのだ。

◆成功する人は最初から自信を持っている

そして成功をおさめるにつれ、
ますます自信を持つようになる。

自分は成功できると信じている者は、
他の者なら脅威をみなすところにチャンスを見出す。

彼らは、不確実性や曖昧さを恐れず、
喜んで受け入れる。

彼らは、より多くのリスクを負い、
より大きな利益を達成する。

選択肢がいくつかあれば、
自分自身に賭ける。

◆「ありがとうと伝える」が科学的に必要なワケ

人々にもっとあなたと時間を過ごしたいと思ってもらう秘訣は、
彼らに対する感謝の気持ちにほかならない。

感謝こそは、幸福をもたらす最強の兵器であり、
また、長続きする人間関係の礎である

「ありがとうと伝える」これほど簡単なことを、
なぜ私たちはなおざりにしているのか?

こうした傾向を、
心理学者たちは「快楽適応」と呼び、
「ありがたみを忘れる」と呼ぶ

新しい出来事による幸せは、
決して長続きしない。

そしてこの現象は、何に対しても起こる。

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◆自分にぴったりのメンターを見つけるには…

  1. メンターに聞いてからやるのではなく、やれることは全部やってからメンターの目に留まろうとする
  2. メンターについて知る。いや、徹底的にに調べる
  3. メンターの時間を浪費するのは大罪である
  4. フォローアップする
  5. メンターに誇らしい気持ちになってもらう

◆何らかなの分野の第一人者になるには、
方法はひとつしかない

それは…
良きメンター(指導者)につくことだ。

メンターを得た起業家はそうでない起業家に比べて7倍の資金を調達し、
3.5倍も早く事業を成長させている。

なぜメンターがそれほど重要なのか?

それは…
誰でも、すべての失敗を経験するのは不可能だからだ。

他者が経験した失敗から学ぶほうが手っ取り早い

良きメンターは、
あなたがより迅速に学べるように手助けしてくれる。

◆「架空の親族関係※」により、
人類には、ほかの生物種には不可能な規模での
協力関係が可能になった

これこそが、人類が種として繁栄した秘訣だ。

それはとりもなおさず、
あなたが個人として成功するための秘訣(友情関係)でもある。

※大昔のホモサピエンスが、種として繁栄を極めた理由は、
たがいの合意のうえで作ったストーリーによって、
親族の定義を広げたことにある。

たとえば、アメリカ人であり、IBMの社員であり、
ソフトボールチームの一員だ。

手っ取り早くいえば私たちは友だちであり、
友だちとは、自ら選んだ家族なのだ。

◆外向型人間にも内向型人間にも成功者がいて、
世界は間違いなく両方を必要としている

だがあなたは、そのどちらでもない公算が高い。

人々の3分の1は筋金入りの内向型人間と外向型人間から成り、
残りの3分の2は、両向型人間で構成されている。

◆内向的な人のとびきりの強みは、
それぞれの専門分野でエキスパートになれる可能性が、
外向的な人よりはるかに高いことだ

トップ・アスリートの大部分、
じつに89%が自分のことを内向的だと思っている。

◆いつ諦めて、いつまで続ければいいのか?

自分がやり遂げるべき目標がまだわからなければ、
答えを見つけるために、
たくさんのことを試してみればいい。

そして何か興味の焦点が見つかったら、
学び続け、成長し続けるために、
自分の時間の5~10%を小さな試みにあてる。

こうすることが、試すこと、
諦めること双方の利点を最も生かせる方法だ。

◆機会を最大限に生かす行動をしなければ、
運のいい人にも悪いことが起こるのか?

実はそうだ。

つまり、「人は、やらなかったことを最も後悔する
ということわざは真実である。

私たちは、失敗したことより
行動を起こさなかったことを2倍後悔する。

なぜか?

私たちは失敗を正当化するが、
何も試みなかったことについては、
正当化できないからだ。

◆運は単なる幸運でも超常現象でもなく、
その人の「選択」によるところが多きい

◆グリットに足を引っ張られてしまう人とは

彼ら自身や周りの人を惨めにするだけで、
長期的な良い目標につながらない事柄に執着させる。

代わりに選択すべきなのは、
自分が最もやりたいこと、
自分、あるいは周囲の人にも、
最も喜びをもたらすこと、
そして最も生産的なことである。

考えてみて欲しい。

もし体調が悪く、
1日にひとつのことしかできなかったら、
あなたは何をするだろうか?

———————————————–

◆自分にとって最重要なものを見つける

次に、これまでやっていたことで、
あまり重要でないものに見切りをつけて、
結果を見てみる。

そうすれば、本当に重要なものにすぐ気づくはずだ。

◆時間は最も稀少な資源である

時間をムダにしない第一の防衛策は
スケジュール管理の向上ではなく、
自分の目標を達成する上で、
その進捗に寄与しないすべてのものを断つことだ

◆「時は金なり」とか
「時間はお金と同じくらい価値がある」というのは間違っている

時間とお金は等価だと言われるが、
それは違う。

お金は増やせるが、
時間は有限だ。

◆私たちは機会を逃がすことを恐れるが、
皮肉なのは、非生産性的なことを一刻も早く辞めないがために、
もっと重要なことをしたり、
あるいは重要かもしれないことを試したりする機会を逸(いっ)している。

「あの仕事をもっと早く辞めればよかった」
とか
「あの関係はとっくに終わらせるべきだった」
と誰もが口にする。

自分にとって意味がないことに見切りをつければ、
もっと有意義な何かに取り組む時間を生み出すことができる。

◆見切りをつけることは、
グリット(やり抜く力)の反対を意味するとはかぎらない

「戦略的放棄」というものもある。

何かに夢中になれることを見つけたら、
2番目のものを諦めることは、
利益をもたらす。

1番のものにまわせる時間が増えるからだ。

もっと時間があったら、
もっとお金があったらと願うなら、
これが解決法だ。

とくにあなたが多忙な場合には、
唯一の打開策だ。

◆限界は誰にでも必ずある

見切りをつけることは、
多くの場合、
限界にまつわる問題だ。

限界を追求し、
限界を最大限に活用し、
そして何より限界を知ること。

◆人が一生のあいだに行うことはすべてトレードオフである

ひとつを選びとることは、
ほかの何かをしないことを意味する。

◆面白いゲームの4つの条件

▶勝てること
▶斬新であること
▶目標
▶フィードバック

何かに対してイラつくなら、
それはこの4つの要素の
少なくともひとつが欠けているからだ。

◆人は、自分のためより、
誰かのための方が頑張れる

母親はわが子のために無償で尽くし、
兵士は祖国のために命を捧げる。

◆この世で最も過酷な場所で、
恐怖に耐えて生き続けられる者は、
生きる意味を見出している者だ

◆楽観主義者と悲観主義者では、
世界の見方に天と地ほどの開きがある

悲観主義者は自分にこう説明する…

▶悪いことはこれからも長く続くか、永続する(私はそれを終わらせることができない)
▶悪いことは普遍的で、あらゆることに作用する(この人たちのすべてが信じられない)
▶悪いことは自分の落ち度だ(私はこれが苦手だ)

一方、楽観主義者の説明はまったく逆である…

▶悪いことは一時的なものだ(たまに起こるが、大したことではない)
▶悪いことには特異的な原因があり、普遍的なものではない(天気が良くなれば解決する)
▶悪いことは自分の落ち度ではない(私は本来これが上手で今日はたまたまうまくいかなかった)

◆良い営業マンになる秘訣は、
人と接するのが得意なこととか、
外向的なことだと思うかもしれないが、
調査によると、
決め手は「楽観主義」であること、
その一点に絞られる

◆グリット(やり抜く力)を持てば成功するはずだ

だが、その通りにはいかない。

なぜか?

理由は2つある。

▶私たちはグリットが何によってもたらされているか知っていると思っているが、それは間違いだ。

▶グリットは成功を生む可能性があるが、成功への道には、親や教師が子どもにも教えない別の面もある。

それは…
ときには、見切りをつけることこそ最善の選択
だということだ。

正しく諦めることにも、
あなたを大成功に導いてくれる可能性がある。

◆安定した取引には、
ルールと協力が欠かせない

経済学者はこれを「継続的取引の規律」と呼ぶ。

相手をよく知り、
信頼していれば、
取引はより迅速かつスムーズに行われる。

その結果、より多くの取引が行われ、
より良い市場が生まれ、
すべての当事者により多くの価値がもたらされる。

◆利己的な人は、初めは成功しそうに見える

しかし長い目で見れば、
彼らが成功するために必要とする環境そのものを
破壊しかねない。

長い目でみると組織内で利己主義はうまくいかない。

努力を極めて成功を成し遂げることは、
じつは利己主義を超越し、
周囲と信頼し合い、
協力関係を築くことを意味する。

◆仕事のチームに悪い従業員がたった一人いるだけで、
チーム全体の業績が30~40%低下する

◆誰かがズルをして逃げおおせるのを見ると、
やがて皆がいんちきをするようになる

ズルは社会通念として容認されたと考えるからだ。

たとえば、あなたは運転するとき、
速度制限を四六時中守っているだろうか?

守らないときがあるとしたら、
それはなぜか?

行いには「良いこと」「悪いこと」「皆がやっていること」
の3つがある。

誰かがズルをしても咎(とが)められないのを見れば、
大丈夫なんだと思う。

自分だけが規則を守ってばかを見たくないのだ。

◆ハーバード・ビジネス・レビュー誌によると、
同調整(※)の低い人間の方が、
同調整の高い人間より年収が約1万ドル多いことが
明らかなになった

ちなみに財政面の信用度も同調整が低い人間のほうが高い。

※人と仲良く付き合っていくことを重んじる性格。

◆「懸命に働け、堂々と勝負しろ、そうすれば成功できる」と人は言う

残念ながら、それが間違っていることを示す証拠がたくさんある。

人々を対象に成功をもたらす要素は何かと尋ねれば、
「努力」という回答が1位になる。

ところが研究によると、
それは大外れなのだ。

上司を機嫌よくさせておけば、
実際の仕事ぶりはあまり重要ではない。

また逆に上司の機嫌を損ねたら、
どんなに仕事で業績を上げても事態は好転しない。

◆自分をよく知り、正しい「池(場所)」を選択する
すなわち、自分なりの強みを見極め、
それを最大限に活用できる場所を見つける

◆私たちが「池(場所)」を賢く選択すれば、
自分のタイプ、強み、環境を十二分に活用でき、
計り知れないプラスの力を生み出せる

◆成功には「環境」と肝に銘じる

あなたが成功できたのは、
たまたまあなたの性質や先入観、素質、能力のすべてが、
その環境で成功を生み出す要素にそっくり当てはまったからである。

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