すべての仕事は「問い」からはじまる たった1秒の「問題解決」思考 by 大嶋 祥誉
大嶋 祥誉
センジュヒューマンデザインワークス代表取締役。
エグゼクティブ・コーチ、組織開発・人材育成コンサルタント。
上智大学外国語学部卒業。
米国デューク大学Fuqua School of Business MBA取得。
米国シカゴ大学大学院人文科学学科修士課程修了。
マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、様々な戦略立案などのコンサルティングプロジェクトに従事。
その後、ウイリアム・エム・マーサー、ワトソンワイアット、グローバル・ベンチャー・キャピタル、三和総合研究所にて、経営戦略や人材マネジメントへのコンサルティングおよびベンチャー企業支援に携わる…
「問い」で、
仕事力、発想力、人間関係力、
すべてが変わりる!
私たちの脳は問いかけることによって動きはじめめる。
良い問いを投げかければ、
望ましい答えが出るし、
そうでなければ、
思考は良い答えを出せない。
目次
1章 なぜ「問い」が大事なのか
・デキる人ほど「良い問い(筋のいい問い)」を立てている
・なぜ「問い」によって思考が整理されるのか
・「問い」には3種類ある
1)他者と自分を動かすための問い
2)仕事の問題を解決するための問い
3)状況別に最適解を出すための質問
・変化が速すぎる時代こそ「問い」の持つ力で差がつく
・高速PDCAより高速で「問い」を立てて検証する
・マッキンゼーで叩き込まれた「問い」の価値
・「問い」の力が自分を成長させる
・困ったとき大変なとき「問い」が状況を変える力になる
・正解のない問いから、答えを見出すのが「仕事」
・「問い」は持ち運び可能な仕事の武器になる
2章 質問する脳のつくり方 良い質問を生む「問い体質」(問い脳をつくる話)
・質問に応じて「脳」も動く
・良い問いとはどういうものか(未来志向、枠を外し可能性を広げる、インスパイアさせる)
・いい質問を生むための基本的な姿勢
・良い質問を生むためのトレーニングとは
・仮説を一文にする
・WHAT、WHY、HOWで論点を探す
・何をどう質問すればいいのかわからない「どうしたらいいですか?」→「自分で考えろ」→「それがわからなくて悩む」ループから抜け出す方法
・「問い」の回路を鍛える
・「問い」は必ず書き出したほうがいい理由
・「当たり前」のプラグを抜く(なぜ人は前提に囚われるのか)
・良い問いを投げ合える「マナ友」をつくる
3章 ほとんどの問題は「問い」で解決できる (仕事や人生で遭遇する問題解決に「問い」を立てることが有効な話)
・「イシュードリブン(問いからはじめよう)」
・「良い問い」で問題を解決するための3ステップ
1)まず状況をちゃんと見る=本質をつかむ
2)仮説を問いのかたちで立てる
3)自分と相手を動かして仮説を検証する
・問題に当たったらいつも「そもそも」に立ち返る
・いいから黙ってやれと言われたときは
・マッキンゼーが「現場」を重視していた理由
・本当の答えを掘り起こすには
・お客さんは大抵「自分のほしいもの」をわかっていない
・マッキンゼー式「聴き方」の技術
・インタビューで問うときのコツ
・仕事の途中途中で確認の「問い」を入れる
・伸びる部下は、上司に「質問」と自分の「答え」を持っていく
4章 他人と自分を動かす「問い」の使い方 (問題解決を実現させるために自分と他人を動機づけるときに「問い」をうまく使う話)
・TEDスピーカーが「質問調」で話を始める理由
・「問い」でチーム力をUPさせるには
1)みんなの気持ちを吐き出させる→ 2)みんなのゴールを問う→
3)みんなの強みを問う→ 4)みんなの力をどう使うかを問う
・視点を変える質問、原因を探る質問、相手の価値感を知る質問
・相手に気づいてもらう質問
×「何でやらないんだ?」○「やりたくならないのは何でだろう?」
・人を巻き込むんでいく「問い」の力
・言いづらいことでも「質問する」ことからはじめるとうまくいく
・斜めに見てくる人、何でも否定的な人を変える「問い」
・擬人化の問いを活用する
・あのGoogleでも使われる「尊重、共感、許容」の力
・相手のインセンティブを「問い」で探れ
・人を変容させる「問い」アクションラーニング
例を使って展開
5章 「問い」の力で人生の質を向上させよう (常に問える人になると人生全般にプラスになる話)
・「問い」で仕事も人生も変えてみよう
・漠然とした将来の不安を「問い」で解消する
・自分をやる気にさせる「問い」とは
・あえて大きな問いを立ててみる
・データに「問い」は勝てるの?
・周りに流されずに自分の人生を進むために必要なこと
・自分が本当に大事にすべきことを知るには
・良い問いのために五感をクリアにする
・筋力がないと周りの人の影響を受けやすくなる
・日常生活の中で「問い筋力」を鍛えよう
付録 ケース別 質問リスト
《おわりに》世の中はすべて「問い」で出来ている

MEMO
すべての仕事は「問い」からはじまる
◆悩みをなくしてすっきりする問い
・何を大変と感じているのだろう?
・何をうまくいっていないと思っているのだろう?
・それは本当に大事なものなのか?
◎否定されたとき
・これがチャンスだとしたら、どんなチャンスだろうか?
・あのようなことを言った前提には何があるのだろうか?
◆人生の質をアップする問い
・自分が大事にすべきことは?
・もし今日が最後の日だとしても、今からやろうとしていたことをするだろうか?
・自分が本当にやりたいことは何か?
・自分が喜ぶことは何だろう?
・自分がお金を積まれてもやらないことは何か?
・目の前のことをワクワクするものにできないか?
・何があれば自分が楽しく生きられるのか?
・本当にそれしかないの?
・どんな想いからやっているのか?
・選びたいのは、どんな未来か?
◆振り返りのリスト
目標:(目標を記入)
・いつまでに何を達成したいか?
・どんな状態になっていたいか?(ゴールイメージ)
<1ヶ月ごとの問い>
(月初)
・1ヶ月後には何を達成したいか
(月末)
・当初の目標には達せたか
・先月と何が違ったか
◎達成できない場合
・どうしたら、もっとうまくいくか
◎達成できた場合
・なぜ、達成できたか
・何が良かったのか
・どうしたらさらに効果的にできるか
◆深掘りをする問い
「So What?」▶だから何? それで何が言いたいの?
「Why So?」▶それは、なぜ?
を繰り返すことで、
ロジックを強固なものにしていく。
◆たとえば、
「40代の健康を維持するサービスをはじめてはどうか」という仮説は、
何をどうすべきかがわからず曖昧である。
でも、
「運動して身体の管理をしたくても忙しくてできない
40代のビジネスパーソンに向けて、自宅で、
いつでもトレーニングができる、
アプリを開発できないか」
だと、次に何をすればよいかも具体的になる。
◆「問い」の3ステップ
1)状況を見る▶拡散する問い
・5Wで問う
・本質をつかむ=大事なものは何か
2)仮説を問いのかたちで立てる=収束する問い
・本質を確認する=そもそも何がしたいのか、一番大事なことは何か
・5W1Hで仮説をつくる
3)仮説を検証する
————————————-
◆何もしない時間こそ、
問題解決や発想を生み出す源になる。
「問い」が浮かんだら、
すぐに答えず、アイデアが出るまで寝かせることも必要。
◆脳による学習や記憶のパターンには2種類ある
▶頭で覚える(陳述的記憶)
▶体で覚える(手続き記憶)
「体で覚える」タイプは、
忘れにくいという特徴がある。
たとえば、「ノートに書く」という行為は、
頭を使うだけではなく、
手という体の一部分も使う。
なので、頭だけで覚えるのに比べて、
ノートにペンを走らせて「手を動かす」ほうが、
脳の前頭葉が働くため思考の整理がしやすく
インスピレーションが湧き、
しかもその後、記憶が定着しやすい。
◆相手の視点を過去から未来に向け、
枠を外して可能性を開き、
インスパイヤ(※)させることができれば、
それは「良い問い」になる。
※ひらめきや刺激を与えたりすること。
◆筋のいい仮説を生むための「良い質問」とは?
過去の成功や失敗なども気にすることなく
あらゆる前提条件を「本当にそうなのか」と疑い、
ニュートラルな視点から問うこと。
つまり「ゼロ発想」が必要となる。
◆根本を問う
Where(問題のありか) ▶どこに問題があるの?
Why(原因) ▶なぜ、そうなっている?
How(対策) ▶どうするのがいい?
の3つの切り口から問いを考える。
ポイントは、いきなり How を問わないこと。
◆良い問いの4つの方向
1)根本を問う…問題の核心をつく
例:そもそも~
2)未来思考の問いである…あるべき姿に近づく
例:そのために、今、どうしたらいいか?
3)枠を外す…可能性を広げる
例:本当に大事にしたいことは?
4)「本当の声」をインスパイヤする…相手を動かす
例:そもそもあなたにとって…
◆PMA(Positive Mental Attitude)思考
「どうしてダメなのか」は過去に向かう問い、
「どうしたらいいだろう」は未来に向かう問いである。
◆ネガティブな質問はネガティブな感情を引き起こし、
間違ったものにフォーカスしてしまう。
質問はポジティブなものでないといけない。
たとえば、
自分に何か問題が起こったとき、
「なぜ自分にはこんなことが起こるのだろう?」
ではなく、
「このことが起こって良かった点は何だろう?」
という問いにする。
◆「視座」の高さを変える
「視座」とは、より高いレイヤー(階層)にあり、
視点や視野を含め
「どんな立場から見ているか」を指す。
別の言い方をすれば、
抽象度を上げる(俯瞰して見る)ことである。
例:あなたは「タロー」という犬を飼っている
タロー▶犬(タローも含まれる)▶哺乳類(タロー、犬も含まれる)▶動物(タロー、犬、哺乳類も含まれる)
◆良い問いとは…
問われた人に「スッと入って」きて、
もやっとしていたものを晴らし、
前向きなアクションを起こしたくなるような問い。
◆どうしたらワンセンテンスの問いにできるか?
それは…
「一番重要なことに焦点を当てること」である。
ワンセンテンスの問いであれば、
否が応でも大事なことに焦点が当たる。
何が今の自分にとって大事かに気づけば、
余計なものを捨てることができる。
◆人の脳は、
シンプルな「問い」であるほど、
多くのシナプスが活発に動いて、
思わぬ思考のジャンプを起こす性質を持っている。
◆良い問いとは
どんな問いにも共通する「型」
▶問いは1行(ワンセンテンス)
▶自分の判断を入れない
▶ポジティブにする
▶視座を高くする
◆重要なのは、「本質」に迫る問い!
本質とは、
物事の根本的な意味を知ること。
たとえば、
問題を発見するときには
「何が本当の問題か」であったり、
人間関係であれば、
相手の「本当の気持ち」であったり、
あるいは物事への深い洞察や気づきを指す。
本質は思い込みや前提といった
「枠」によって見えないことが多いが、
問いでその「枠」を外すことによって見えてくる。
————————————————-
◆「ネット検索」✕「問い」をうまく使うことで
あなたの可能性が広がる…
◆「できる人」はこんな質問をする…
▶これを何かチャンスにできないか?
▶どうしたら、この状況から前に進めるか?
▶これから学べることは何か?
▶これにはどんな意味があるか?
できる人とは、
「いい問い」を立てられる人である。
◆人は、まったくの自由な状態よりも、
ある程度の「枠」があったほうが、
むしろ発想が豊かになる。
◆「時短」をしたいのであれば、
▶今、自分が集中すべきものは何か?
▶本当に必要な仕事は何か?
▶それは重要なことなのか?
と問いを立てて、
大事なことを明確にすると同時に、
▶本当にその仕事は必要か?
▶それをやらないと本当に問題が起こるか?
という問いで不要な仕事を見つける。
◆「問い」で身につけられること
1)情報をひとまとめにする▶仕事の悩みが減る
2)物事の核心がつかめ、時短につながる▶仕事のムダが減る
3)異なる物事をつなげて発想を広げる▶アイデアが出やすくなる
4)状況を変える▶硬直した状況、行き詰った思考に突破口を開く
5)人間関係がうまくいく▶相手が自ら動いてくれる
6)自分を変える▶本当に自分が大切にしたいことが腑に落ちるので、すぐに動けるようになる
◆私たちは「当たり前」と思っていることについては、
新たに問うことをしない。
しかし、それでは脳は動かない。
当たり前と思ってスルーするのではなく、
▶「当たり前」に対して健全な疑いを持って
▶「問う」ことで脳を動かす
ことを意識する。
◆今の私たちは、
すでにある知識や常識、
当たり前と思っていることがあまりにも多いため、
新たに「問う」ことが難しくなっている。
「当たり前」と思っていることを
そのまま受けれていると、
なんの変化を起こすこともなく、
面白い発想や新しいアイデアを
生み出すことはできない。
◆「もし今日が最後の日だとしても、
今からやろうとしていたことをするだろうか?」
「違う」という答えが何日も続くようなら、
ちょっと生き方を見直せということだ。
◆なぜ、問いを持つことが大切なのか?
それは…
筋のいい問いかけができるかどうかで
仕事や人生に大きな差がつくから。
◆大事な問題であればあるほど、
問題そのものに取りかかる前に
「何が本当の問題なのか?」
を問うべき。
◆人間の脳には、
「空白を埋めようとする」機能がある。
空白とは、
「わからないこと」。
この空白が生まれると、
脳は不安になるため、
無意識で答えを探し続ける。
実は、
あなたが起きている間も寝ている間も、
あなたの脳(無意識)は、
一生懸命に答えを探し続けている。
◆私たちの脳は問いかけることによって動きはじめる
良い問いを投げかければ、
望ましい答えが出るし、
そうでなければ、
思考は良い答えを出せない。
「問い」で、
仕事力、発想力、人間関係力、
すべてが変わる。
—————————————ポイント
◆「問い」の力で人生の質を高めよう
▶問いで「新しい思考」に出会える
「~と言えば?」の問い
▶五感の「おや?」を大事にする問いを広げる
▶自分の軸を持つために
「自分が大事にしたいものは何か」
▶振り返りの問い
「自分がどう変わったか」
「どんな価値が身についたか」
▶自分を取り戻す
「目の前のことをワクワクするものにできないか?」
「どれだけお金を積まれても譲れないことは何か?」
▶不安から物事をはじめない
「どんな想いからやっているのか」
◆他人と自分を動かす「問い」の伝え方
▶人に動いてもらう「問い」とは
・「価値」のギャップをつかむ
・ジャッジをしない
・可能性を広げる
・~だったらできる?
・◯◯の件、どうですか?
質問例:
◯やりたくならないのは何でだろう?
☓何でやらないんだ(判断)
◯何が結果を出すことを妨げているんだろう?
☓いい加減にやっているからじゃないのか?(決めつけ)
◆仕事の悩みは「問い」で解決する
▶問いの3ステップ
1)「問い」で本質をつかむ
2)仮説を問いのかたちで立てる
3)仮説を実行・検証する
▶脳を拡散・収束させる問い
・5W1Hで状態を確認する、仮説を立てる
Who (誰が)
Why (なぜ)
What (何を)
When (いつ)
Where (どこで)
How (どのように)
▶「根本」に近づく問い
そもそもどうか?
一番◯◯なのは何か?
▶深掘りをする問い
So What? (だから何?)
Why So? (それは、なぜ?)
▶Pain or Gain
この商品の売りは、PainかGainか?
この商品は、顧客のどんな問題を解決するか?
この商品は、顧客にとってどんなプラスになるか?
▶フレームワーク思考
「3C」の場合、「顧客」「競合」「自社」など…
◆良い問いとは何か?
▶根本を問う
Where どこに問題があるの?
Why なぜ、そうなっているの?
How どうするのがいい?
▶未来志向の問い
なりたい状態になるために、
今、どうするのがいいか?
▶枠を外し可能性を広げる
「どんな感情になる?」と本当の声を見つける
◆なぜ、優れたコンサルタントは「問い」を大切にするのか?
筋のいい質問をすることで
仕事や人生に差がつく
▶問いの力
1)情報をひとまとめにする
2)核心がつかめ時短につながる
3)異なる物事をつなげて発想を広げる
4)状況を変える
5)人間関係がうまくいく
6)自分を動かす
▶フレーズ
常に持ち歩きたい問い
「何が本当に問題なのか?」
「本当に重要なことは何か?」