やっぱり、歯はみがいてはいけない 実践編

やっぱり、歯はみがいてはいけない 実践編 by 森 昭, 森 光恵

森 昭
昭和39年、京都府舞鶴市に生まれる。
竹屋町森歯科クリニック院長、歯科医師臨床研修指導歯科医。
平成7年、竹屋町森歯科クリニック開業。
平成19年、MDE(メディカル&デンタルエステ)協会を設立、唾液分泌を促進させる癒やしの予防歯科(デンタルエステ)を全国の歯科医師、歯科衛生士に啓発。
唾液に注目した臨床歯科の第一人者として知られる。

森 光恵
竹屋町森歯科クリニック歯科衛生士、歯ブラシ雑貨「Leaf」店長。
デンタルケアアドバイザー取得。
食育インストラクター。
アロマ・アドバイザー(ナード協会)。
VCA認定ファシリテーター。
マイナス1歳(妊婦)から100歳までのあらゆる人のお口を診てきた口腔ケアのプロフェッショナル…

歯科業界に衝撃を与えたベストセラー最新作!

「何をするか、どうするか!」
日々のケアと道具の「きほんルール」…

目次

第1章 やっぱり歯はみがいてはいけない
第2章 習慣を見直す 「歯みがき」から「口腔ケア」へ
第3章 道具を見直す デンタルフロスのきほん
第4章 道具を見直す 歯ブラシのきほん
第5章 道具を見直す 歯間ブラシのきほん
第6章 症状別ケアと道具のきほん
第7章 マイナス1歳から100歳まで 年齢別口腔ケア
第8章 歯科衛生士が本当にすすめる歯科ケアグッズ
最終章 体は完璧にできている

やっぱり、歯はみがいてはいけない 実践編
やっぱり、歯はみがいてはいけない 実践編

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MEMO

やっぱり、歯はみがいてはいけない 実践編

歯みがきとは「食べかすを取る」ことではなく、
「歯垢(プラーク)と取り除く」ということである。

歯垢を取り除くには
フロス▶歯間ブラシ▶プラッシングの順番で行うのがよい。

経済的に余裕のある人は
電動歯ブラシ(音波式)がおすすめ。

口腔ケアでもっとも大事なことは
唾液を十分に機能させることである。

唾液の分泌を促すには
食前・食後に「舌回し」を行うとよい。

唾液は昼間は自然に分泌されるが、
夜就寝しているときは止まってしまう。

そこで大事になるのが鼻呼吸である。
口呼吸の人は「あいうべ体操」を行うことにより
自然に鼻呼吸を行うようになる。

◆寝ている間の唾液を死守する!

口の中では唾液が有害物質から歯や歯肉、舌、粘膜を守ってくれる。

しかし、その唾液は、寝ているときには出動してくれない。

寝ているときに口呼吸になっていると、

▶空気中の雑菌が入り放題になる
▶唾液が蒸発していまう
▶舌根が沈下する

という問題が起こる。

口を閉じると口の中が陰圧になり、
その結果、舌が上顎にピタッとつく状態になる。

これが正常な状態である。

口が開いて、
舌根が落ちた状態が続くと、
寝ている間に息が止まってしまう。

これが「睡眠時無呼吸症候群」である。

◆「あいうべ体操」

この体操は、口呼吸から鼻呼吸傾向になるためにも、
将来の口呼吸予防にも非常に有効である。

▶口を大きく「あ~い~う~べ~」と動かす
▶できるでか大げさに、声は少しでOK!
▶1セット4秒前後のゆっくりとした動作で!
▶1日30セット(3分間)を目標にスタート!
▶あごに痛みのあるときは、「い~う~」でもOK!

◆キシリトール配合ガム

「キシリトール配合」をうたっているだけでは効果は期待できない。

重要なのは「配合率」。

実は、キシリトール配合率50%以下では効果がない。

なのでキシリトール配合率100%のものにすること。

合わせて注意したいのが「糖質」の有無。

糖質が無のものを選ぶこと。

キシリトールガム ボトルタイプ90粒
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◆歯間ブラシの種類

▶L字型歯間ブラシ
▶ストレート型歯間ブラシ

使い方:

  1. 使用前の準備
    ストレート型の歯間ブラシも、
    先端を曲げて角度を調整することで使いやすくすることができる。(ワイヤーではなく、根元のプラスチックの素材の部分を曲げる)
  2. 歯間ブラシの持ち方
    爪楊枝を持つようなイメージで軽くつまむ。
  3. 使用方
    歯と歯の間にまっすぐ静かに挿入する。挿入したら、前後に3-5回動かす。抜き取って汚れがついていたら、水で流して次の歯間に移る。

※口腔ケアは、フロス▶歯間ブラシ▶ブラッシングの順番がよい

GC プロスペック歯間ブラシII (SS-LLまで5サイズ)
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◆電動歯ブラシの種類

▶振動式
▶音波式
▶超音波式

の3種類がある。

電動歯ブラシのほとんどは「音波式」である。

音波歯ブラシは、
高速の振動によって、
ブラシの毛先が当たっていない周囲2-3mmの部分まで
汚れを落とすことができる。

使い方:
歯面に当てた状態でジッと数秒待つ、
これが正しい使い方。

パナソニック 音波振動歯ブラシ プリニア スマート [音波歯ブラシ]
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◆部位別の歯ブラシの当て方

  1. 歯の根元
    毛先を歯ぐきの方向に向けて45度。軽い力で左右に振動させる。
  2. 歯と歯の間
    毛先が歯と歯の間の入るように意識して動かす。
  3. 奥歯
    溝のくぼみを意識してみがく。

◆歯ブラシの当て方の基本

  1. 歯ブラシは歯に直角に
  2. プラッシングの圧力
    果物の桃の表面をみがくようなイメージで磨く。力を入れすぎたら、皮がめくれて傷んでしまう。ゴシゴシ、シャカシャカはNG。
  3. ブラッシングの順番

◆歯ブラシの持ち方

  1. ペングリップ
  2. バームグリップ
  3. フォークグリップ

◆歯ブラシを使うときの3つのポイント

  1. 音を立てない
  2. みがく順番を決める
  3. 1本ずつ丁寧に

◆フロスの持ち方・使い方

フロスの持ち方:

  1. 30cmくらい取り出したあと、2-3回、左右の中指に巻きつける
  2. 糸をピンと張る
  3. 動かしやすい長さにして使う

フロスの使い方:

  1. フロスを歯の隙間に通したら、ゆっくりと前後と上下(少しだけ)に動かす。歯の表面についた糸でからめ取るイメージで動かす。みがき残しを防ぐために、スタートする歯とゴールする歯を決めておく。
  2. ひとつの隙間が終わったら、指に巻きつけた範囲を変え、新しいきれいな箇所で次の隙間をきれいにする。動かしていくことで、きれいな面で汚れを取り除くことができる。

※歯に詰め物があるときは、歯の上部から糸を通したら上に向かって引き抜くのではなく、片手を離して、フロスを歯の横から引き抜くようにする。

◆フロスのタイプ

▶ホルダータイプ(Y字型、F字型)
▶ロールタイプ

毎回きれいいな面で磨くという点でいえば、
ロールタイプがいい。

ホルダータイプだと同じ糸の面を使って隙間を清掃することになる。

フロスは、歯の隙間が狭くなってところでも
しっかり糸が通ることが大切なので、
「細めのフロス」を選択するとよい。

また、
歯に被せ物や詰め物がある人は、
膨らまないタイプがよい。

歯の歯の通しやすさという点では、
太さのほかに「滑りやすさ」がポイントになる。

これは「ワックス」の有無によって大きく変わる。

初心者の人は、
「ワックスつきの細い糸のフロス」
から始めるとよい。

※フロスは「GC ルシェロフロス(ミントワックス付)200m 1個」がおすすめ
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◆口呼吸をしていると…

▶細菌をやっつけてくれる唾液が乾燥してしまう
▶雑菌がフィルターを通らずに体の中に直接入ってくる
▶免疫を司る扁桃体を直接外気が攻撃して、免疫反応を狂わせる

口呼吸から、
起きている間も唾液の恩恵を受けにくくなり、
口の中に細菌が繁殖しやすい状態になる。

◆口臭を予防するのは「唾液」である

唾液の消臭効果は驚くべきものがある

口臭に敏感な欧米では、
食後にガムを噛む。

なぜか?

ガムを噛むことで唾液の分泌を促進しているのである

※口臭の原因の多くが歯垢(プラーク)である。

◆プラークコントールの実践例

▶起床後:デンタルフロス+音波歯ブラシでブラッシング(合計3分)
▶朝食後:デンタルフロス+舌回し(合計1分)
▶昼食後:デンタルフロス+舌回し(合計1分)
▶就寝前:デンタルフロス+音波歯ブラシでブラッシング(合計3分)

常時デンタルフロスを使う。
そして起床後と就寝前の「音波歯ブラシ」によるブラッシング。

プラークコントールに効果的な時間帯が、
就寝前」と「起床後」。

※「音波歯ブラシ」とは電動歯ブラシの一種で、
音波振動という高速の振動により、
ブラシの先端が当たっていなくとも歯垢を破壊し、
除去することができる。

※原則として歯磨剤は使わない。その代わり、舌を大きく回して唾液をたっぷり循環させる

天然の歯磨剤である唾液に対して、
舌は天然の歯ブラシといってもよい。

※舌回しの実践法

  1. まず舌を右上のいちばん奥の歯ぐきと頬の間におく
  2. 歯の外側をなぞるように、右上奥から順番に左上奥へと舌を移動させる。次に左下奥から右下奥に舌を移動させて舌を回す。(x10回)
  3. 反対回りにも動かす(x10回)

実際に舌回しを行う場合、
タイミングとしては食前・食後がよい。

◆歯垢が残りやすい3大ポイント

▶接触点:隣り合った歯と歯が接触している「接触点」。

▶隣接面・歯間歯面:歯と歯が隣り合っている側面。

▶鼓形空隙(こけいくうげき):隣り合う歯と歯、そして歯ぐきで形作られる隙間。上から見ると太鼓(鼓:つつみ)のような形をしている。

◆唾液の機能・効能

▶感染症を引き起こす細菌のかたまり(歯垢)の増殖を抑える
▶酸性の口腔内を中和する
▶食後、軟らかくなった歯を元通り硬くする
▶食べかすを押し出す洗浄作用
▶細菌の増殖を抑える抗菌作用
▶おいしさを感じる(溶解作用)
▶歯やほっぺたを守る(保護作用)
▶口の中を湿らせる(潤滑作用)

◆大切なのは、
食べかすを取り除く歯みがきではなく、
歯垢を取り除く口腔ケアである

これが英語でいうところの
プラークコントール(Plaque control)である。

◆口腔ケアの本来の目的は
歯垢(プラーク)を取る」ことである。

歯垢は歯の垢(あか)と書くが、
正体は「細菌のかたまり」である。

歯垢1ミリグラムにおよそ300種類、
総数ではなんと数億から数十億もの細菌が潜んでいる。

◆なぜデンタルフロスが大事なのか?

それは歯垢が主に付着しているのが歯と歯の間だから。

歯間や歯の接触面など表に露出しない表面積は、
歯の表面積全体の半分近くにもなる。

こうした箇所には歯ブラシによるブラッシングでは
毛先が届かず、歯垢を除去することができない。

そこで、直接的に歯垢を除去することができるのが、
デンタルフロス。

また、デンタルフロスは、
歯垢を直接除去する以上に大切な役割がある。

それは、
歯と歯の間にしっかり「唾液の通り道」を作り、
唾液が最大限の能力を発揮できるようにすること。

唾液は副作用がいっさいない素晴らしい天然の歯磨剤である。

殺菌作用と消臭効果もある。

※歯垢(プラーク):の表面に固く付着したよごれ。

◆「歯みがき」の3つの勘違い

  1. タイミング:1日3回の食事後すぐ
    寝る前と起きてすぐ歯みがきするのがよい。朝起きたらする水を飲む習慣がある人は、歯みがきをしてから飲むこと。
  2. 目的:食べかすを取り除きお口の中をスッキリさせるため
    歯垢(プラーク)を除去することが目的なので、デンタルフロス(糸)と歯間ブラシを使うことが「主」、歯ブラシは「従」という役回りになる。ちなみに、健康の人は歯磨剤は不要。
  3. 方法:歯ブラシと歯磨剤を使ってゴシゴシみがく
    白い歯(エナメル質の部分)をゴシゴシみがく「歯磨き」ではなく、本当の目的はプラークコントールにある。あくまでも歯と歯ぐきの境目、くぼみ、歯間、歯周病ポケット等からプラークをかき出すことが目的。アメリカには「Floss or Die」という言葉ある。

◆「3・3・3運動」の弊害

この運動は歯磨工業会が、
虫歯予防を目的に展開したキャンペーンである。

毎食後3分以内に3分間、
1日3回歯をみがこう、
という内容である。

このキャンペーンこそ、
日本の歯科がガラパゴス化した原因である。

なぜか?

食事直後の優れた唾液の機能を低下させ、
市販の歯磨剤(歯磨き剤)に頼るという、
日本人の「間違った歯みがき習慣」を
作り出したからである



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