フランクリン自伝

フランクリン自伝 by フランクリン

フランクリン (Benjamin Franklin)

1706~90。
政治家、文筆家、発明家、科学者、印刷業者。ボストンのろうそく製造業者の家に生まれ、12歳で兄の営む印刷所に奉公に入る。
その後、フィラデルフィアに移り、印刷の仕事に携りながら文章の錬磨に努める。

買いとった新聞社から出版した暦が好評を博し、財をなす。
やがて経営をパートナーにまかせ、科学・学術の分野での活動、政治活動に専念した。
1776年の「独立宣言」の起草ではジェファソンを助けた…

科学者であるとともに出版業者、哲学者、経済学者、政治家、
そして何よりもアメリカ資本主義の育ての親であったフランクリン(1706‐90)。

その半生の記録がここに淡々とつづられている…

目次

少年時代
フィラデルフィアのフランクリン
ロンドンのフランクリン
フィラデルフィアで独立
人間形成期
自伝執筆を勧める二通の手紙
十三の徳目の樹立
成功の道を歩む
社会活動
植民地防衛の軍事活動
植民地課税をめぐる対立抗争
植民地代表として再びイギリスへ

フランクリン自伝
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MEMO

フランクリン自伝

◆人間が生まれもった感情のなかで、
「思い上がり」ほど抑えがたいものはたぶんない。

思い上がりというものは、
どんなに偽りかくそうとしても、
依然、生きていて、
ときどき頭をのぞかせたり、
姿を現したりする。

◆他人の意見に真正面から反対したり、
自分の意見をなにがなんでも押し通そうとする
態度をいっさい慎む。

「たしかに」とか、
「疑いもなく」といった、
意見に断定的な感じをあたえる
言葉や表現を使うのをやめる。

その代わり、
それはこうこうではないかと
私は「考えている」とか、
「思っている」とか、
「想像している」とか、
あるいは、
「現在のところ私にはこのように思われる」
といったような言葉使いを用いる。

◆人間の本性だけを考えてみても、
悪い行為というのは、
禁じられているから有害なのではなく、
有害だから禁じられているのである。

幸福になりたいと思う人間にとって、
徳を積むということは
例外なしに自分の利益につながる。

◆成功本の中には、
成功するための手段を詳しく教えることもなく、
ただりっぱな人間になれ、
と訓戒するものが多すぎる。

たとえば、
着るものも食べるものももたない人たちに、
どこへ行ってどうすれば
その着るものと食べるものが
手に入るかを教えることなしに、
ただ「温かくなれ、飽くことを得よ」
と訓戒するようなものである。

◆フランクリンが自分の国の人々の信頼を得て、
名誉あうる任務を託されたのは、
「誠実」と「正義」の徳によるものであった。

◆フランクリンが財産ができ、知識を身につけて有能な市民となって、
ある程度、名を知られるようになったのは、
「勤勉」と「節倹」によるものであった。

◆フランクリンが長いあいだ健康を保って来られたのは、
「節制」の徳によるものであった。

◆自分はいかなるときでも
正しい行動が確実にできるという自信をもつためには…

まず、それに反する習慣を打破し、
続いてよい習慣をつくって、
しっかりそれを身につけなければならない。

◆自分の利益にもかなうことであるといった程度の
単なる理屈のうえでの信念では、
自分の過失を防ぐことが不十分である。

◆イギリスの諺に
「男の成功、内助の功から」
というのがある。

◆「勤勉」こそ富と名声を得るための手段である。

◆ある計画を成し遂げるために
周囲の人々の協力を必要とする場合は、
それがどんなに有益な計画であっても、
それによって名声がその人たちより提案するこちら側に
ほんのわずかでも加わりそうに見える計画だったら…

自分がその計画の提案者だということを
表に出さないようにして、
この計画は「ある数人の友人」が企画したもので、
自分はただその人たちに頼まれて
勧誘しているだけなのだと説明すること。

◆13の徳目をすべて「習慣」にして身につけるには…

一度に全部やろうとして注意を分散させるよりは、
一度に一つだけ特定の徳目に注意を集中させ、
その徳目を修得し終えたところで、
もう一つの徳目に移るというやり方がよい。

◆フランクリンの13徳目

節制、沈黙、規律、決断、節約、勤勉、誠実、正義、中庸、清潔、平静、純潔、謙譲。

  1. 節制: 飽くほど食うなかれ。酔うまで飲むなかれ。
    頭が鈍るほど食べないこと。酔って浮かれだすほど飲まないこと。
  2. 沈黙: 自他に益なきことを語るなかれ。駄弁を弄するなかれ。
    他人または自分自身の利益にならないことは喋らないこと。つまらぬ話は避けること。
  3. 規律: 物はすべて所を定めて置くべし。仕事はすべて時を定めてなすべし。
    自分の持ちものはすべて置く場所を決めておくこと。自分の仕事はそれぞれ時間を決めてやること。
  4. 決断: なすべきをなさんと決心すべし。決心したることは必ず実行すべし。
    やるべきことを実行する決心をすること。決心したことは必ず実行すること。
  5. 節約: 自他に益なきことに金銭を費やすなかれ。すなわち、浪費するなかれ。
    他人または自分のためにならないことに金を使わないこと。即ち無駄な金は使わないこと。
  6. 勤勉: 時間を空費するなかれ。つねに何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて断つべし。(時間を無駄にしないこと。有益な仕事に常に従事すること。必要のない行為はすべて切り捨てること。)
  7. 誠実: 詐りを用いて人を害するなかれ。心事は無邪気に公正に保つべし。口に出ですこともまた然るべし。(策略を用いて人を傷つけないこと。悪意を持たず、公正な判断を下すこと。発言する際も同様。
  8. 正義: 他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼすべからず。
    他人の利益を損なったり、与えるべきものを与えないで、他人に損害を及ぼさないこと。
  9. 中庸: 極端を避くべし。たとえ不法を受け、憤りに値すと思うとも、激怒を慎むべし。
    両極端を避けること。激怒するに値する屈辱をたとえ受けたにせよ、一歩その手前でこらえて激怒は抑えること。
  10. 清潔: 身体、衣服、住居に不潔を黙認すべからず。
    身体、衣服、住居の不潔を黙認しないこと。
  11. 平静: 小事、日常茶飯事、または避けがたき出来事に、平静を失うなかれ。
    小さなこと、つまり、日常茶飯事や、避けがたい出来事で心を乱さないこと。
  12. 純潔: 性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、これにふけりて頭脳を鈍らせ、身体を弱め、または自他の平安ないし、信用を傷つけるがごときこと、あるべからず。
    性の営みは健康、または子孫のためにのみこれを行って、決してそれに耽って頭の働きを鈍らせたり、身体を衰弱させたり、自分自身、または他人の平和な生活や信用を損なわないこと。
  13. 謙譲: イエスおよびソクラテスに見習うべし。
    キリストとソクラテスに見習うこと。

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