競争社会の歩き方 – 自分の「強み」を見つけるには by 大竹 文雄
大竹 文雄
1961年(昭和36年)、京都府宇治市生まれ。
83年京都大学経済学部卒業。
85年、大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了、大阪大学経済学部助手、大阪府立大学講師を経て、大阪大学社会経済研究所教授。
大阪大学博士(経済学)。
主な専門は、労働経済学・行動経済学。2008年、日本学士院賞。
怒った人は、リスクを過小に評価し、
悲しんでいる人は利益を重視して他者と協力しなくなる。
感情が経済行動にどう影響するかを理解すれば、
競争社会を有利に生き抜けるかもしれない。
競争社会というと、
日本では否定的にとられることが多い。
しかし、競争が少ないと、
自分の本当の長所を知ることができない。
競争のおかげで私たちは自分の長所を見つけることができる。
下手に自分探しをするよりは、
競争にさらされたほうが、
自分の長所を知って創意工夫ができるようになるはずだ…
目次
プロローグ 競争で強みを見つける
第1章 身近にある価格戦略
第2章 落語と小説の経済学
第3章 感情と経済
第4章 競争社会で生きてゆく
第5章 格差社会の真実
エピローグ イノベーションは、若者の特権か

MEMO
競争社会の歩き方
◆日本のトップ1%の所得はいくら?
日本だと、2012年では、
上位10%は年収580万円以上、
上位5%が年収750万円以上、
上位1%が年収1270万円以上になる。
ちなみに、アメリカの
トップ10%の下限が1200万円なので、
日本のトップ1%と同じ水準だ。
◆現在バイアス
現在バイアスとは、
常に現在の利得を重視してしまうということ。
長期的には将来のことを考えて貯蓄をするという計画ができるが、
現在時点でお金を使うという満足度が高く、
貯蓄計画を先延ばししてしまうことをいう。
貧困家庭では、
毎日の生活がぎりぎりの決断の連続であるため、
数ヶ月という消費計画を立てることは難しいし、
視野が短期的になったしまう。
貧困者は金銭的に合理的な計算が裕福な人たちより
できないわけではなく、
貧困によって意識が長期的な意思決定よりも
短期的な意思決定に集中してしまう。
つまり、
貧困に陥れば、
長期的に計画的にお金を使うということが
誰でも難しくなる。
◆労働時間の柔軟性が職種によって異なることが、
男女間賃金格差の職種による違いをもたらしている。
働き方を柔軟にしないと、
長時間労働者が時間あたり生産性でも有利になるので、
男性の方が長時間労働しやすい現状では、
男女間賃金格差は解消されない。
◆子どもたちが将来豊かな生活を送ることが
できるようにするためには、
自分たちの世代だけが得をするような選択を
できるだけしないような仕組みを作っていく必要がある。
◆合理的無知
もし有権者が損得計算だけで行動するならば、
棄権するか、まじめに候補者の情報を集めないで投票することになる。
このような有権者の行動は「合理的無知」と呼ばれる。
合理的無知が蔓延してしまうと、
政治家や政党は、
自分たちの都合のいい政策や
自分たちの利益が大きくなるような
政策をとることになる。
なぜなら、
有権者の合理的無知の結果、
政治家の行動や政策について、
選挙での抑制が効かなくなるからだ。
◆サマリア人のジレンマ
たとえば、危険な地域に住んでいた人たちが、
災害にあったとき、
彼らの生活を完全に政府などが補償するとしたらどうなるか。
結果として、
危険な地域に住んでもいざとなったら
資産も含めて守ってもらえるとなれば、
土地の価格が安い危険な地域に住む人が
増えてしまうかもしれない。
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◆放蕩(ほうとう)息子の定理
息子に対する利他的な心を父が持っていることを、
息子が知っていたなら、
息子はそもそも放蕩をしないという定理である。
放蕩息子の定理は、
夫婦の関係でも応用できる。
日本では妻が財布を握っている家計が多い。
妻は世帯全体の所得が増えれば、
夫を愛しているので、
夫への小遣いを増やしてくれる。
そのことを知っている夫は、
仮に家族のことを何も考えていない
自分勝手な人であっても、
家族の所得が最大になるように
仕事を一生懸命する。
つまり家族思いの夫と
同じ行動をとる。
逆のケースも考えられる。
夫が家族へのお金の配分を決めていたとする。
夫は家族思いだけれど、
妻は自分のことしか考えていないとする。
夫は妻のことを愛しているので、
家族の所得が増えれば、
妻への小遣いを増やすことを考える。
その場合、
妻は家族の所得が最大になるように、
夫の仕事を手伝ったり、
夫の仕事の成功に繋がるように服を選んだり、
食事に気を配ったりして、
結果的には、
夫思いの妻と同じ行動をとることになる。
◆血液型占いは、
多くの人に信じられてしまっているが、
統計的な分析をしてみると、
血液型と性格には関係があるとは言えない。
血液型性格診断を信じて、
人間関係や仕事関係に当てはめるのは
やめておいた方が無難である。
◆反競争主義的で協力する心をもたらそうと考えた教育が、
能力が同じという思想となって子どもたちに伝わると、
能力が同じなのだから、
所得が低い人は怠けているからだという発想を植え付ける。
◆平等主義で反競争的な教育が、
逆に、教育における競争を激化させたという
皮肉が結果をもたらした。
◆反競争的な教育を受けた人たちは、
利他性が低く、協力に否定的で、互恵的はない。
さらに、
やられたらやり返すという価値観を持つ傾向が高く、
再分配政策にも否定的な可能性が高い。
つまり、
教育が意図したことと
真逆の結果になっている。
◆「他人に親切にする」という躾を
子どもの頃受けて育った人は、
そうでない人よりも、
平均で30万円ほど年収が高い。
◆論理的には正の互恵性を持っている人は、
そうでない人よりも、
高い賃金を得ている可能性が高い。
なぜなら、
社員が正の互恵性を持っていることを経営者が知っていたなら、
高い賃金を支払えば、
社員はそれに応えて、
会社のために努力してくれると期待できるからだ。
逆に、利己的な社員なら、
高い給料をもらっても運がよかったと思うだけで、
努力は最小限にするという行動をとる。
◆一般的に言って「人々は信頼できる」
と思っている人の割合が高い国の方が、
経済成長率が高い。
経済成長したから
人々は他人を信頼するようになったのではなく、
もともと他人を信用するような社会だったから
経済成長したのである。
◆最低賃金を引き上げると…
多くの人は自分の賃金も上がると考える。
でも、よく考えてみれば、
雇う側は生産性より高い賃金を払いたくないから、
最低賃金が高くなればそれに見合わない
生産性の低い人たちを雇わなくなり、
雇う人の数を減らす可能性がある。
運が悪ければ解雇されてしまう。
最低賃金ぎりぎりの人は
最低賃金引き上げを喜んでいる
場合ではない。
◆日本の財政赤字の解決方法自体は
非常にシンプルである。
▶租税負担を上げる
▶歳出を削減する
▶生産性を上げる
この3つしかない。
◆行動経済学とは?
経済実験や心理学および他の社会科学から得られる
現実の人間の意思決定に関する洞察を
経済学に取り込むことを目指した学問である。
◆高齢者が金融リスクをとらなくなるのは、
年齢が高くなって余命が短くなることではなくて、
記憶力や数的能力などの認知能力が衰えてくるためである。
逆に言えば、
認知能力が高ければ、
高齢者であってもリスクをとった
金融資産運用ができるということだ。
◆高齢者が保有する日本の金融資産
家計調査によれば、
二人以上の世帯が保有する金融資産の約70%は、
世帯主が60歳以上の世帯で保有されている。
つまり、日本の家計金融資産の多くは、
60歳以上の高齢者が保有している。
これが何を意味するかといえば…
日本人の金融資産は、
老後の生活のためのお金を勤労期に
貯めておくという動機で蓄積されている
ことを反映している。
働いている間は、
引退後の生活に備えて貯蓄を続け、
引退後はその貯蓄を取り崩して生活するため、
引退直前に金融資産がピークになる。
◆参照点とは?
基準となる目標よりも成果が下がってしまうことを
私たちは極端に嫌う。
そして、その基準となる目標のことを
行動経済学では「参照点」と呼ぶ。
私たちは、この参照点を基準にして損得を考える。
損を嫌うということは、
危険なことをしてでも、
努力して参照点にしがみつきたいという
行動を私たちに起こさせる。
これが行動経済学で「損失回避」として知られている。
◆損を嫌うがゆえに損をする
たとえば、株の投資で株価が下落したとする。
すると、あなたは売却して損切りするよりは、
ひょっとしてまた上がるかも知れないと考えて
保有し続ける。
そして結果的にもっと損することになる。
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◆私たちは自分のためにお金を使うよりも、
他人のためにお金を使う方が幸福度が増す。
◆デフォルト
人の意思決定はデフォルト(初期設定)の選択に大きく影響されてしまう。
利他的な人であっても、
ハガキにチェックをして送り返す手間を必要とすれば、
利他的な行動をとらないかもしれない。
もし、そのような手間をかけなくても
利他的な行動を選べるのであれば、
利他的な選択をした人が多いはず。
たとえば、
臓器移植のドナーの同意などは、
デフォルを「ドナーに同意する」にすれば
臓器移植のドナーが増える。
◆ストレスが高くなり、
ストレスホルモンが高い状態が続くと、
リスク回避度が高くなることによって、
新しいことに挑戦したり、
リスクの大きな投資が抑制されたりする可能性がある。
◆私たちのリスクに対する認識は、
そもそも「合理的」なものではない。
滅多に発生しないリスクを過大に認識し、
ほぼ確実に発生するリスクを過少に認識するという特性がある。
◆不十分な金額なら出さない方がまし
費用をともなった謝罪をすれば、
許されるかと言うとそうではない。
本気度を示すシグナルとなるためには、
相応の費用が必要だ。
◆謝罪の経済学
経済科学的には、
金銭的・非金銭的な負担を伴わない謝罪は
チープトークと言われ、
関係者にもともと利害が一致する部分があるような場合を除いて、
相手に信頼されない。
金銭的・非金銭的なコストを伴った謝罪をしてはじめて、
人々は本人が本気で謝罪し、
行動を改めるということを信頼する。
◆怒らせると協力しなくなる
怒ってしまうと協力が得られず、
重要な場面では生産性が落ちてしまうし、
合理的ではない意思決定もしがちである。
一方で、
力仕事やリスクをとるべきときには
怒りの感情は有効になる。
◆株価が下がったときに、
怒りやストレスを感じると、
人々はより直感的な判断をしやすくなり、
また目立った情報に反応しやすく、
危険愛好的になりやすいことになる。
一方、悲しみや鬱の感情のときは、
システマティックでバイアスのない情報の取り扱いをして、
より合理的は判断をしやすい。
◆怒っているとリスクをとりやすくなる
怒ってしまうと、
私たちは、不確実なことでもより確実に生じるように感じ、
周囲のことを自分で統制できるように感じる。
未知の危険や恐ろしい危険をあまり感じなくなり、
その結果、リスクのあるものでも受け入れるようになる。
また、問題の責任が他人にあるように感じる傾向がある。
対照的なのは、
恐怖の感情であり、
不確実性を大きく感じ、
自分で統制している感覚が減少する。
そのため、
リスクに対して回避的な行動をとりやすくなる。
一方で、直感的な意思決定よりも論理的意思決定を
用いる傾向が強くなる。
◆幸福になると…
幸福度が高くなると、
生産性が高まるうえに、
忍耐強くなる。
つまり、
幸福になると忍耐強くなって、
将来のために投資や貯蓄が可能になる。
◆ボルダルール
選択肢が3つあれば、
1位に3点、2位に2点、3位に1点という配点をして、
得点の総和で選択肢を順位づける。
3つ以上の選択肢があるとき、
そのうちの2つの選択肢のペアで多数決をすると、
どのペアと戦っても負けてしまう選択肢が、
全体の多数決では1番になるということが発生してしまう。
この問題を防いでくれる投票ルールが
ボルダルールである。
◆人間の能力は多様なので、
お互い得意なことに集中して
「比較優位」を活かし、
市場や互恵性を通じた交換をすることで、
全員がより豊かになることができる。
◆独占というのは、
独占されると価格が高くなることが問題なのではなく、
独占された市場では財やサービスの質が低下したり、
供給量が低下したりすることが問題なのだ。
◆中国・朝鮮式の専制体制は、
競争の原理を封殺するところにその権力の安定をもとめた。
その体制の模範生だった朝鮮の農村には、
競争の原理というものが伝統としてない。
◆税金とは
経済学では、防衛は典型的な「公共財」である。
誰か別の人が防衛費を支出してくれれば、
ただでその恩恵を受けることができる。
誰もがそう思うと、
自ら防衛費のために支出する人はいなくなる。
タダ乗りと呼ばれる問題が発生する。
似たようなものに道路整備や河川整備がある。
お金を出した人しか利用できないようにすることが
難しいタイプのサービスである。
こういったものは、
潜在的な利用者全員から強制的に
「税金」の形で費用を徴収しないと、
サービスを提供することができない。
つまり、民間では成り立たないサービスなので、
国が税金をもとに提供する必要がある。
◆勝者の呪い
オークションで落札できる人は、
その商品の価値を最大に評価した人だから、
必ず損をするというものだ。
もちろん、オークションで手に入れた商品を
転売する気がなければ「勝者の呪い」は発生しない。
他人よりも高い私的価値を自分が持っていたとしても、
それは自分が損をすることにならない。
ところが、転売して儲けるとか、
その商品を使って儲けようとした場合には、
損失を被るという意味で「勝者の呪い」に
かかってしまう。
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◆価格と価値
モノの価値は人によって違う。
たとえば、
同じペットボトル1本の水でも、
喉が渇いている人とそうでない人では、
その価値がまったく違う。
ところが、水の価格は人によって異なることはない。
あるモノやサービスについて、
その私的価値と市場価値を比べて、
私的価値の方が価格よりも低い人が売り手になり、
私的価値の方が価格よりも高い人が買い手になる。
これが交換の利益が発生する理由である。
転売ビジネスをまさにこの価格差を利用している。
したがって、モノを保有している人は、
市場価格よりもそのモノに対する私的価値が
大きいからこそ保有しているのである。
◆「千両みかん」という笑い話
これは江戸時代に、
呉服屋の若旦那が重病になったとき、
季節はずれの「みかん」を千両という値段で買った
という笑い話である。
若旦那が千両のみかんの10房のうち7房を食べた。
そして、残りを番頭に差し出した。
ところが番頭は、
「3房で300両の価値があるみかん」
を持って逃げることに決めた。
この笑いのポイントは、
モノやサービスに対する私的価値を
共通価値と混同してしまったことにある。
私たちは、ある品物の価値を問われると、
即座にいくらで売れるかという価格のことを
思い浮かべる。
そして価格と価値は同じものだと考える。
この番頭も、
大旦那の私的価値としてついた千両という価格を、
共通価格と同じだと思い込んでしまった。
しかし、少し考えてみればわかるが価格と価値、
特に私的価値は異なる。
◆親近感バイアス
私たちは、
経済合理性からみて損しているにもかかわらず、
よく知っている方の商品を選んでします。
これが親近感バイアスである。
「ご当地グルメ」が、
他地域では誰も食べたことがない
珍しいものを食材にするのではなく、
親近感のあるもので少し差別化しているのは
このバイアスを利用しているといえる。
◆現状維持バイアス
これは、一度あるものを保有すると、
それを保有していることの価値が高くなり、
それを失うことのコストを高めに
見積もってしまうという特性である。
ものを手に入れるときのうれしさよりも、
それを失うときの悲しさの方が大きいという
損失回避の特性が働いている。
たとえば、
無料でサンプルを消費者に配ってその商品を利用してもらう。
すると、その商品を利用していることが現状になり、
それを切らしたとき、
現状を維持するために少し高い価格であっても
同じ商品を購入するようになる。
◆2部料金制
2部料金制とは、
固定料金と従量料金で成り立っているような
価格体系である。
スマホの料金が典型的で、
スマホの利用者のうち、
あまり頻繁にスマホを使わない消費者は、
低い固定料金と高めの従量料金の
組み合わせを選ぶ。
一方、ヘビーユーザーは
固定料金は高いが従量料金がかからない
プランを選ぶ。
1分あたりの使用料金を計算すると、
スマホを頻繁に使う人と比べて、
スマホを頻繁に使わない人は高い料金を払うことになる。
2部料金制をうまく設計すれば、
売り手は、一律の従量料金を設定したときよりも
利潤が得られる。
似たような例は、
プリンター本体とインクの価格設定でも観察できる。
また、熊本県のくまモンの戦略は、
熊本の宣伝をするという固定費用を企業に払ってもらって、
くまモンのキャラクター使用料という従量料金を
無料にしていると解釈できる。
◆くまモンの普及戦略
通常、くまモンのようなご当地キャラクターは、
商品価格の3%ほどのキャラクター使用料をとっている。
しかし、熊本県は、くまモンの使用料は無料にして、
その使用方法に制限を加えた。
つまり、無料にする代わりに
熊本県の関連商品や宣伝にしか使えないようにした。
◆他店価格対抗広告の本当のワケとは
家電量販店の広告ちらしに、
「他店より価格が高ければ対抗します。
ちらしをご持参くらさった方のみ…」
という文言が書かれているのを
見たことがると思う。
この広告を見た人は、
「この店はできるだけ安い価格で
商品を売ってくれる消費者思いの店だ」
と考えるのがほとんどではないか。
ところが、
この広告を出している家電量販店は、
競合店に対して価格競争を
止めるように呼びかけているのである。
これを「暗黙の共謀」と呼ぶ。
この広告の意味を理解するには、
3段階先まで読む必要がある。
▶広告を出した店の商品が、
他店より1円でも高ければ、
他店の価格に対抗することを宣言しているので、
他店が安売り競争をしかければ、
安売り競争で対抗するということである。
これなら価格競争が実際に行われて、
消費者だけが得をすることになる。
▶この広告の狙いは、
消費者に他店よりも消費の価格が安いことを
アピールすることにあるのではない。
本当の狙いは、ライバル店の価格競争を
変更させることにある。
詳しい解説は省略するが、
この広告はライバル店が価格競争すると
かえって利益が減少することを認識させるのが目的である。
▶ライバル店が価格競争をしかけてこなくなることを予想したうえで、
実際に「他店舗価格対抗」という広告を打つのである。
つまり、「他店舗価格対抗」という広告の意味は、
顧客に対して必要以上に値下げせずに済むよう、
ライバル店に対して「価格競争するな」というものであり、
「もし価格競争をしたら、お互いに損をするように罰を与える」
というものなのだ。
おもしろいことに、「他店舗価格対抗」の広告では、
「ネット通販の価格」を除外している。
「他店対抗」のちらしは、
「価格を下げるなよ」という他店に対する警告なのである。
◆人気のレストランが価格を上げないワケ!
予約が取れない状態で行列ができているような
人気レストランが、
どうして価格を引き上げないのか。
それは…
行列があったり、
予約がなかなか取れない状態を維持することで、
よりレストランの価値が高まり、
価格を引き上げた場合と比べて、
レストランの利益が高くなるから。
つまり、
超過需要をなくすために価格を引き上げると
レストランの人気が下がってしまって、
お客さんも減ってしまうが、
超過需要の状態であれば
人気が高くなる。
◆チケット転売の問題とは?
チケット転売の問題点は3ある。
1)本当にチケットが欲しいファンに行き渡らない
2)アーティストとファンの良好な関係が壊される
3)チケットが定価よりも高額で転売された利益はアーティストに還元されない
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◆競争が少ないと、
自分の本当の長所を知ることができない。
競争のおかげで
自分の長所を見つけることができる。
自分探しをするよりは、
競争にさらされたほうが、
自分の長所を知って創意工夫
できるようになる。
◆「競争」の役割
誰がいちばん優れているか、
誰がいちばん自分の要求に応えてくれるか
あらかじめわからない場合、
それを見つけ出すための役割が
「競争」にはある。
◆就職先探しに苦しむ学生は
「競争はこりごりだ」
と感じているかもしれない。
しかし、職探しにおける競争には
メリットがある。
激しい競争に身を置けば、
自らの強みを発見できる
可能性が高まることだ。
競争は勝者と敗者を生み、
厳しく辛い面もあるが、
競争が繰り返された結果、
自分が真に活躍できる場を
見つけられるチャンスも多くなる。
◆競争のメリットを享受するのは、
競争している本人ではなく、
競争の結果よりよいサービスや商品を
手にできる消費者である。
競争している当事者には
直接的なメリットは少ない。
◆私たちは競争に対する
ネガティブなイメージを持つことで、
大きな代償を支払っている。
多くの人は、
その事実に気づいていない。
◆競争のそれほど激しくないアマチェアレベルなら、
ひとりの強者がすべてにおいて
トップを独占することができる。
しかし、プロレベルの熾烈な競争の下では、
自分の最も得意なものに特化し集中しないかぎり
トップをとることはできない。
言い換えれば、
競争の促進は、
それぞれの長所を見出し、
それを活かす方向へと人々を導き、
結果として独占を阻止する契機となる。
◆成績に順位をつけず、
競争より協力を重視した教育を受けた子どもは…
協力を拒否し、利己的で、
やられたらやり返す。
こうした価値観をもつようになる。