人もお金も動き出す! 都合のいい読書術 [新書版]バカになるほど、本を読め! by 神田 昌典
神田 昌典
経営コンサルタント、フューチャーマッピング開発者、株式会社ALMACREATIONS代表取締役、日本最大級の読書会「リード・フォー・アクション」創設者。
上智大学外国語学部卒。
ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。外務省経済局、イノベーション企業として知られる米国ワールプール社の日本代表を歴任後、コンサルティング会社を設立。
総合ビジネス誌では、「日本のトップマーケター」に選出。
2012年、アマゾン年間ビジネス書売上ランキング第1位…
本は、一人で読むもの…。
その常識に縛られているなら、
重いハンディキャップを背負うことになる。
なぜなら、
人工知能が人間の能力を超えていく時代に、
本が持つ「奇跡的な効果」を、
十分に生かすことができないからである。
「本は一人で読むもの」といった
孤独な読書観を本書を終えるまでに、ぶち壊す。
結果、あなたは、
AI時代に飛躍する、
大きなチャンスを見出せるようなるはずだ。
目次
はじめに(AI時代に生かせる、本が持つ奇跡的な効果とは?
進化した読書術で、自然に身につく七つの力 ほか)
序章 なぜ、活躍できる人は皆「バカ」なのか(現状を打開するための唯一の方法
本は消えていくメディアか ほか)
第1章 「目的志向型」読書―知識創造時代のスタンダードスキル(三つのシンプルな原則
脳が「要・不要」の判断をするために必要なもの ほか)
第2章 本を持ち、町へ出よう―なぜ本を「みんなで読む」のか(もはや一人だけでは問題を解決できない時代
明治維新、本当の原動力は何か ほか)
第3章 アクションが変革を生む―複雑な課題を大人数でやっつける時代へ(自分のためだけに使うのはもったいない!
世界が変わる!一〇億人を巻き込む「一〇〇%MAD」プロジェクト ほか)
特別対談 「知的筋力」を鍛えなければ、日本人に未来はない―「日本3・0」到来のために今、私たちがやるべきこと(神田昌典×佐々木紀彦(NewsPicks編集長))(「紙の本」は本当にすたれるのか
実は私、「紙の本」派なんです ほか)

MEMO
都合のいい読書術
◆フォトリーディングの具体的プロセス
Step1:準備
読書の目的を明確にする。これをしないことにはフォトリーディングも始まらない。まずは、次の2つの質問を自分に投げかける。
▶この本を読んだ結果、最終的にどうなることを期待しているのか?
▶私が読もうとしているものは私によってどのぐらい重要か?それは長い目で見ても、価値あるものか?
目的を絞り込むために、次の2つの質問を投げかけてみる。
▶とくに必要としている情報は何か? 本全体の概要を知りたいのか、ある部分を詳細に知りたいのか?
▶必要な情報を得るために、今、費やすことができる時間はどのくらいか?
これらの質問に答えることで、目の前の本を読む目的がはっきりと定まるはずだ。集中するには、後述する「ミカン集中法」を活用するとよい。
Step2:予習
本を手に取って、本の内容をざっと見渡す。表紙や裏表紙、目次などをざっと見て、なんとなく全体像をつかむ。かける時間は、普通の量の本なら1分程度、分厚い本でも2分程度、それ以上はかけないほうがいい。ざっと見たら、その本が自分の目的に見合う価値があるかどうかを検討する。「その本は、自分が読むべき上位20%の中に入っているか?」と自問する。上位20%に入っている本読めば十分目的は達成される。そこから外れる本に時間を割くのは、時間の浪費だ。
Step3:フォトリーディング
フォトリーディングには、次の6つの段階がある。
- フォトリーディングの準備
改めて、目の前の本から何を得たいのか、何が得られるのかを意識する。 - 加速学習モードに入る
加速学習モードとは、脳の情報受け入れ能力が高まった、学習に最適な状態。手順としては、楽な姿勢をとって、深く息を吸い込んだら、息を吐きながら目を閉じる。もう一度深呼吸して、少しの間止める。その後、ゆっくりと息を吐きながら、数字の「3」を頭の中で思い浮かべつつ、心の中で「リラックス」という言葉を唱える。これがリラックスの合図。頭の上からつま先まで、順に筋肉をリラックスさせる。リラックスできたら、今度は数字の「2」思い浮かべながら、再び、心の中で「リラックス」という言葉を唱える。これは、精神的にリラックスするための合図。今この瞬間に集中し、考え事や心配事が浮かんでもとらわれないようにする。そして、最後にもう一度深く息を吸い、少し止めたあとに、ゆっくり吐き出していく。すると、頭の中で数字の「1」という音が聞こえてくる。すると、集中力が高まり、加速学習モードに突入する。 - アファメーション
否定的な思考や雑念が浮かぶと、フォトリーディングの邪魔にある。そうした思考がもたげてこないよう、これから本に対する自分の能力と目標をアファメーションする。具体的には、「フォトリーディングの最中、私は完全に集中している」「私がフォトリーディングする情報は、私の脳に写し取られ、私はそれを利用できる」「私は◯◯(あなたの目的)を達成するために、◯◯(本の題名と著者名)の中の情報がほしい」と唱える。こうすることで、本に没頭する精神状態をつくり出す。 - フォトフォーカス状態に入る
ここでは「フォトフォーカス」という目の使い方をする。これは一字一句に焦点を合わせるのではなく、ページ全体に視点を移す見方であり、こうすることで、本の情報を脳の無意識下の領域にダイレクトに送り込める。うまくフォトフォーカスをするためのポイントは、「ミカン集中法」により意識を集中すること。また、目の焦点をゆるめて、ページの4隅と文書の行間の余白を見ること。書籍の場合は、見開き2ページを一緒にフォトリーディングする。うまく視線が分散すると、綴じ目の部分に丸く膨らんだ柱のようなものが見えてくる。 - 安定した状態で、リズムよくページをめくる
フォトフォーカスしながら、1~2秒に1ページのペースを保ちながらページをめくる。その際のポイントは、呼吸を深く一定に保つこと。背筋を伸ばし、両足を床につけて、椅子に腰掛けること。またページをめくりながら、心の中で「チャント」と唱えることだ。チャントとは単調な言葉のことで、たとえば、「リーラックス、リーラックス、4、3、2、1、リーラックス。リーラックス、ページを、保って、ページを、見よう」といった具合の言葉を心の中で唱える。ページを飛ばしても気にせずそのまま続ける。 - 終わりのアファメーション
すべてのページをめくり終わったら、得られた情報をあとで引き出せるよう、次のような「終わりのアファメーション」をする。具体的には、「私は今、この本の印象を感じ取っています」「私はこの情報を手放し、私の体と心に処理を任せます」「私はこの情報をあとで取り出して利用できるのを、さまざまな方法でどれくらい実感できるか楽しみです」
などと唱える。すると、脳が無意識レベルの情報処理を開始してくれる。
Step4:復習
まずは2~3分かけて本の中身をざっと見渡す。表紙や裏表紙に書かれている言葉、索引、本文の見出しの部分や太字の部分、数字やグラフなどを見て、文章の構成を把握する。次に、「トリガーワード」を取り出す。これを見つけ出すことで、フォトリーディングした情報から答えを引き出すための質問をつくりやすくなる。だいたい20ページごとに本をめくり、さっと見て、トリガーワードを探し出す。2~3分で、20~25個ぐらいは書き出す。トリガーワードを眺めていると、「とくにこれが知りたい」と思うような語句がいくつかあるはずだ。それが、あなたにとっての真のトリガーワードだ。このトリガーワードに対する疑問点を書き留めておく。かけていい時間は、7~9分程度だ。
Step5:活性化
いったん本を離れ、10~20分、「生産的休息」を取る。時間が許すなら、一晩眠るべきだ。生産的休息を経たら、復習のときにつくったトリガーワードと質問を見直す。すると好奇心が刺激され、いろいろな疑問が湧いてくる。この見直しの作業をすることで、脳が活性化し、目的達成のために必要な情報を集め出す。質問の見直しが終わったら、いよいよ「スーパーリーディング」。興味のある章を開いて、本の中央を右から左へ(縦書きの場合)、目を通常の何倍ものスピードですべらせ、あなたがつくった質問の答えがあると思われる箇所を探す。その箇所を見つけたら、目を滑らかに動かして、意味を考えながら文章を読む(ディッピング)。1部分を集中して読むと全体に目が行かなくなるので、読むのは1~2ページ程度にとどめる。内容把握は、それだけで十分だ。スーパーリーディングとディッピングの代わりに、最初の1文を読んだあと、不規則に目を動かして、テーマに関連する単語を拾っていく「スキミリング」という方法もある。いずれにしても、ここまで来れば、本の内容を把握できるようになる。慣れれば、1冊の本を自分でも信じられないようなスピードで読めるようになる。300~400ページもある本を、30分程度で理解することもごく普通の話しになる。
◆ミカン集中法
- 手のひらの上にミカンを乗せたことをイメージする。重みや手触りなど、できるだけリアルにイメージを。そのミカンを左右の手の間で、お手玉のように行き来させる。
- そのミカンを後頭部の上のほう、15~20センチ程度のところに持っていき、浮かせてみる。浮かせたら、静かに腕を下ろしてリラックスを。
- そっと目を閉じて、後頭部のミカンのバランスをとる。
- リラックスして集中力が高まってきたと感じたら、目を開けて、本を読み始める。
◆本は最初から最後まで読む必要などまったくない。
1ページでも、自分の仕事に生かせれば、
手に入れるだけの価値がある。
◆米国の書籍市場規模は、日本の約3倍。
しかも、米国では、
日本よりもじっくりと時間をかけて本をつくる。
日本では一人の著者が数ヶ月に1回本を出すことが
ごく当たり前のように行われているが、
米国ではせいぜい2年に1度。
その分、作家は寡作になり、
本の値段も上がるが、良書が生まれる確率が高い。
◆知識創造のベースをつくるうえで大切なことは
いくつかあるが、最も重要なことは
「世の中の本質とは何か」を学ぶことだ。
◆1冊の本の中身のうち、
内容を把握するうえで重要な文章は、
それほど多くない。
その量は、全文章の「4~11%」しかないと言われている。
あとの部分は、本論を補足するためのエピソードだったり、
それほど大事ではないけど知っていたほうがお得な話しだったりする。
だから、4~11%の部分だけを見つけて読めば、
必要な情報は把握できる。
◆読書する目的を明確にすることで、
必要な情報が向こうから飛び込んでくるようになる。
さらに、読まなくていい箇所もわかるようになるので、
1冊の本を読む時間が圧倒的に短くなる。
この「短時間で読めるようになる」ことは、
今の時代にとって必携のスキルだ。
◆今までのことに固執しないで、
新しい環境への一歩を踏み出せ。
◆このままでは、あなたは、
一生汗水たらして働く
「人生のラットレース」をし続けることになる。
抜け出すためには、
お金を自分のために働かせて、
不労所得(Passive Income)を得るのだ。