ボディマインド・シンフォニー―心身の再統合へ向かう先端医学

ボディマインド・シンフォニー―心身の再統合へ向かう先端医学 by エスター・M. スターンバーグ (Esther M. Sternberg)

エスター・M. スターンバーグ (Esther M. Sternberg)

医学博士。
カナダ、モントリオールのマギル大学でリウマチ学を修め、同地で臨床経験を積んだ後、米国セントルイスのワシントン大学で教育と研究に携わる。

現在、アメリカ国立衛生研究所(NIH)と国立精神保健研究所(NIMH)において、「神経免疫プログラム」の責任者であり、「神経内分泌免疫学および行動」に関するセクションのチーフを務める。

アメリカ公衆衛生総局活動賞受賞。
神経免疫調節国際協会会長…

コンピュータと先端テクノロジーの進歩は、
従来の医学的常識を覆し、
皮肉にも伝統的心身観を分子レベルで実証しつつある。

心と身体、感情と健康の関係についての最新の知見を、
米国国立衛生研究所の神経内分泌免疫学者が、
医学、心理学、社会学、歴史学といった分野を横断しつつ、
幅広い視点から明快に概説。

目次

第1章 感情と病気―分子の発見と古代の神話
第2章 感情はどこから来るのか
第3章 皮膚の外の不潔なスープ―免疫系はいかにして外界から身を護るのか
第4章 心と身体の再統合
第5章 双方向の通路―対話する脳と免疫系
第6章 脳と免疫系のコミュニケーションが断たれるとき
第7章 ストレスは病気の原因になるのか
第8章 他者とのつながり―人間関係と病気のプロセス
第9章 信じることによって治るのか
第10章 免疫系はいかにして私たちの気分を変えるのか
第11章 鎖を解かれたプロメテウス―これからの展望

ボディマインド・シンフォニ
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MEMO

ボディマインド・シンフォニー

◆最先端の医学によって心と体、
神経と免疫のつながりが科学的に証明されたいまこそ、
病気を診て人を診ないといわれるいまの医者と、
祈りによる治癒を信じ代替医療に走る一般の人々とが、
よりよい明日の医療のために歩み寄るべきである。

◆20年前に血液や尿や血圧で測定できたどんな変化よりも重要だったもの、
20年後のこういった病気の発生をいちばんよく予言したのは、
心理的因子であることを見出した。

◆たとえば強力であっても、
一瞬で終わるような短命なストレスが一回きりなら、
免疫反応に大きな影響を及ぼすことはありそうもない。

ただし、ストレスが慢性になった場合は、
免疫系の防御機構が損なわれ始める。

ストレスになりそうな刺激が続くにつれ、
ストレスホルモンや化学物質がどんどん出続ける。

そういう血中環境のなかに浮かんでいたり、
脾臓を通過したり、
胸腺の苗床で成長したりしている免疫細胞は、
弱まることなく押し寄せるコルチゾールの影響から
回復するチャンスは決して持てない。

コルチゾールが免疫細胞の応答を封鎖して情報発信できない形態に変え、
外来の攻撃に反応する能力を引き下げるため、
接続的なストレスのもとでは、
新しい侵入者に直面しても、
私たちは充分に防御し戦うことができない。

したがって、慢性的なストレスを受けているときに、
たとえばインフルエンザやかぜのウィルスにさらされると、
免疫系は充分に反応できず、
その感染症にいっそかかりやすくなる。

投稿者: book reviews

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