ポジティブ哲学! ―三大幸福論で幸せになる by 小川 仁志
小川 仁志
1970年、京都府生まれ。
哲学者。
山口大学国際総合科学部准教授。
京都大学法学部卒業、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。
博士(人間文化)。
米プリンストン大学客員研究員(2011年度)。
商社マン、フリーター、公務員を経て哲学者になる…
アラン、ラッセル、ヒルティ。
幸福論×3!!
サラリーマン、フリーター、
公務員を経た「異色の哲学者」による誰にでもわかる哲学…
目次
はじめに 「三大幸福論」から得る幸せの見つけ方 2
●アランの『幸福論』─くじけない楽観主義
アラン『幸福論』の特徴 12
・悲しみとの向き合い方 14
・喜びは人生を変える 18
・運命は自分でよいものにできる 22
・悪口なんか聞き流そう 26
・今を生きろ! 30
・意志力が最強 34
・欲しい物の手に入れ方 38
・広く深く考える 42
・過去を忘れる 46
・決してくじけない楽観主義 50
・友達と幸福の関係 54
・褒めることが幸せにつながる 58
・自分の力で得る幸福 62
・雨の日の笑顔 66
・幸福は義務である 70
●ラッセルの『幸福論』─外の世界に目を向けよう
ラッセル『幸福論』の特徴 76
・欠点は見ない 78
・幸福のよさ 82
・成功の意味 86
・興奮を求めない 90
・思考のコントロール 94
・悩みを宇宙規模で考える 98
・無意識への働きかけ 102
・ねたみこそ不幸 106
・物事のいい側面を見る 110
・熱意の力 114
・愛情の影響 118
・仕事を楽しむ 122
・趣味をたくさん持つ 126
・あきらめることも大切 130
・幸福の条件とは? 134
●ヒルティの幸福論─信念をもって生きる
ヒルティ『幸福論』の特徴 140
・仕事こそが幸福をもたらす 142
・孤独を愛する 146
・愛のススメ 150
・倫理という条件 154
・不幸は幸福への扉 158
・気高く生きる 162
・誠実さに勝るものなし 160
・苦しいときに本質は現れる 170
・人の役に立つ 174
・真の教養とは? 178
・平たんな人生などない 182
・二種類の幸福 186
・あなたは神を信じますか? 190
・病気から得られること 194
・自分がなすべきこととは? 198
おわりに 生そのものを喜ぶ 202

MEMO
ポジティブ哲学!
◆人間には苦労する時期がないといけない…
そうでないと、人は正しい道に達しないし、
人の痛みをわからない。
◆人生には3つの時期があって、
うまくいく時期とそうでない時期が交互に現れる。
たとえば、
最初うまくいくと、
その後厳しい時期があって、
また最後はよくなる。
◆平たんな人生などない
どんな人生行路にもすべて階段があるということ、
そして、およそ価値ある生涯ならば、
たとえば牧場をさらさらと流れる澄んだ小川のように
まるで変化のないものではなく、
あるいは、
人工の運河のように始めから終わりまで一直線に
走ってゆくものでもない。
言い換えると、
人生には階段がある。
しかも価値ある人生は、
決して平たんではない。
◆友人には2種類ある…
▶道が気持ちよく、少なくとも楽に歩ける間だけ、我々の道連れとなる人たち
▶どんな事情でも、なんら疑うところなく、我々の道連れとなる人たち
◆困難なときこそ友人の価値が試される。
困ったときに助けてくれないような友人は、
友人ではない。
それはただの友人もどきだ。
そんな人間とは早く離れたほうがいい。
◆苦しいときに本質は現れる
素質的にすぐれた性格の人は、
苦難のときに最もその人格がわかる。
なぜなら、
そういうときに、
その人の本質のもろもろの可能性が
一層はっきりと現れるから。
言い換えると、
苦しいときにその人の性格がわかる。
ならなら色々な可能性が試されるからだ。
◆不幸を乗り越える手順
まず、熟慮する。
なぜ自分の身にそれが起こったのか、
その意味をよく考える。
そのうえで、
不動の信念を持つ。
そうやってはじめて、
人は不幸を乗り越えることができる。
不幸の意味を考える、
つまり不幸に正面から向き合わないことには、
それを乗り越えることなどできない。
不幸と向き合うことで、
不幸の原因や意味を知り、
しかたがないと思える。
さらに場合によっては、
それをプラスに変えようとさえ
思えるようになる。
◆不幸は幸福への扉
不幸を受け入れることで、
普通なら経験できないような幸福を味わうことができる。
不幸が避けられない以上、
そこから目をそむけていては、
いつまでたっても幸福になどなれない。
だから、不幸と妥協せよ。
不幸を乗り越えてこそ、
幸福への扉が開かれる。
◆孤独を愛することで、
人は本当の幸福を得ることができる。
◆人間は気分によって支配されているので、
その支配から逃れて
他人のことをあまり気にかけないようになってはじめて、
心の平静を保てる。
そうでないと、
いちいち他人に左右されて、
心が安定しない。
◆本当の幸福というのは、
孤独を愛することではじめて得られる。
人といるときに楽しいのは当たり前。
でも、ひとりでいるときも楽しめれば、
常に人生が楽しいということになる。
◆私たちは日ごろ、
人との社交や雑事に追われ、
せわしなく日常を過ごしている。
そしてそれに慣れきると、
誰とも話さない日や、
何もやることがない日を物足りなく感じてしまう。
それでふと友人に電話したり、
無理に人と話そうとする。
でも、考えてみると、
そのようなひとりの時間というのは
貴重なもの。
普段はひとりになりたいと思っても
なかなかなれるものではない。
◆孤独を愛する
ある程度の孤独を愛することは、
静かな精神の発展のためにも、
またおよそ真実の幸福のためにも、
絶対に必要である。
言い換えると、
孤独を愛することで、
心は落ち着き、
幸福になれる。
◆仕事を遊びととらえることで、
幸福になれる。
◆仕事こそが、幸福をもたらす
働きの喜びは、
自分でよく考え、
実際に経験することからしか生まれない。
それは、教訓からも、
また、残念ながら、
毎日証明されるように、
実例からも、決して生まれはしない。
言い換えると、
仕事の喜びは、
その意味をよく考え、
実際にやってみることではじめて生まれるものである。
◆幸福は努力によって得るもの。
だめなときもあきらめるのではなく、
希望を持てばよい。
◆純粋に個人的な希望は、
無数の形で挫折するものであって、
避けがたいものかもしれない。
しかし、
個人的な目的が、
人類のための大きな希望の一部であった場合、
たとい挫折をしたとしても、
同じような完膚(かんぷ)なきまでの敗北ではない。
◆幸福になるには…
努力とあきらめのバランスが重要となる。
あきらめには2種類ある。
▶絶望に根ざすもの(これはダメ)
▶不屈の希望に根ざすもの(これはよい)
◆あきらめることも大切
あきらめにも、
幸福の獲得において果たすべき役割がある。
その役割は、
努力が果たす役割に
劣らず欠かすことのできないものだ。
賢人は、
妨げうる不幸を座視することはしない一方、
避けられない不幸に時間と感情を浪費することもしない。
◆人と比較してねたむのではなく、
うまくいっている人がいれば褒めればいい。
◆人をねたむとなぜ不幸になるのか…
それは苦しむ結果になるからである。
つまり、
自分の持っているものから喜びを引き出すかわりに、
他人が持っているものから苦しみを引き出している。
◆ねたみこそ不幸
人間の幸福を増やしたいと思う人はだれでも、
賛美の念を増やし、
ねたみを減らしたいと願わなければならない。
言い換えると、
ねたむことをやめて、
人を褒めることで幸福になれる。
◆ある程度までお金を得ることは幸福につながるが、
ある点を超えると、
それは不幸の原因にすらなる。
◆成功の意味
成功は幸福のひとつの要素でしかないので、
成功を得るために他の要素が犠牲にされたとすれば、
あまりにも高い代価を支払ったことになる。
言い換えると、
成功は必ずしも幸福をもたらすものではない。
成功だけを求めていると、
かえって不幸になることさえある。
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◆自分の力で得る幸福
幸福は自分の力で得なければならない。
そういう幸福は私たちの内側に入り込む。
幸福は2種類に分類できる。
・自分の力から生まれたのではない幸福
・自分の力から生まれた幸福
そして、自分の力から生まれる幸福のほうに
より高い価値がある。
◆過去を忘れる
不満の種があると、
夜昼を問わず寝てもさめても、
暇さえあればそのことを考えている。
まるで陰惨な小説が机の上に開いた
ままになっているかのように、
自分の話を何度も考え直す。
わかりやすく言うと、
嫌なことがあると、
人はそのことばかり考えてしまう。
でも、
それでは幸福になれない。
だから過去を忘れることが大事なのだ。
◆結局私たちは、
現実から目をそむけながら
幸福になることなどできない。
一生空想の中で生きるなら別。
でも、それはもうこの世に生きることでは
なくなってしまう。
このどうしようもない現実の中で
幸福になるためには、
現実の中で生きるしかない。
つまり、今を生きるということ。
◆ベクトルは異なるものの、
過去も未来も、
ともに今とは異なる、
今ここには存在しない世界に向かって
空想をめぐらせるための時間にほかならない。
◆今を生きろ!
未来のことなど考えても仕方ない。
たとえば、
占いなど当たるかどうかもわからないのだから。
物事の本質は未来にあるのではなくて、
今にこそある。
だから、
今を生きよう。
◆自分の選択によって、
悪い結果が起こったとしても、
それは仕方ないということ。
だから悪い結果を恐れて行動を控えるのは愚かだ。
そのくせ人は、
行動を控えたことを後悔したりする。
◆運命は、
自分でよいものにできる!
どんな運命もそれをよいものにしようと欲するならば、
よい運命となるのだ。
自分自身の性質について、
とやかく言うことほど自分の弱さを
あかしいているものは何もない。
わかりやすく言うと、
運命は自分の気持ち次第でよくも悪くもなる。
悪くなると考えるのは
自分が弱いからである。