ドラッカーの講義(1991-2003) ~マネジメント・経済・未来について話そう

ドラッカーの講義(1991-2003) ~マネジメント・経済・未来について話そう~ by P. F. ドラッカー (著), リック ワルツマン (編集)

P. F. ドラッカー
1909年、オーストリア、ウィーンに生まれる。著述家、大学教授、経営コンサルタント、そして自称“社会エコロジスト”。人間が人間自身を組織化する手法を探究し、環境保護論者が生態系を観察して分析するのと同じような姿勢で行動した。サラ・ローレンス・カレッジ、ベニントン・カレッジそしてニューヨーク大学で教えたあと、最後の30年以上はクレアモント大学院大学で教鞭をとった。2002年、国民に与えられる最高の栄誉、大統領自由勲章を受章。2005年11月他界

リック ワルツマン
クレアモント大学院大学ドラッカー・インスティテュートのエグゼクティブ・ディレクター。ドラッカー・インスティテュート以前には、20年間「ウォールストリート・ジャーナル」と「ロサンゼルス・タイムズ」で新聞記者、編集者、コラムニストとして働いた経験がある。受賞歴も多数

人類の歴史上初めて、
私たちは自分自身を経営する責任を負わされています。

こんな話は誰も教えてくれません。

学校も、大学も
ドラッカーが本当に伝えたかったことが今、
明らかになります…

目次

はじめに
1990年代「新たな課題」、「自分の居場所がわかっていますか」等、計11講義
2000年代「グローバル化について」、「非営利組織を経営する」等、計6講義
訳者あとがき

ドラッカーの講義(1991-2003) ~マネジメント・経済・未来について話そう~
ドラッカーの講義(1991-2003) ~マネジメント・経済・未来について話そう~

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MEMO

ドラッカーの講義

◆これからの学校は、
学ぶことに主眼がおかれる。

先生の仕事は、
学習の意欲を高めること、
学習に力を貸すこと、
学習を手伝うこと、
学習に助言することなどに移っていく。

そのためには、
教えることに力を注がなければならないが、
その出発点は学ぶことであって、
教えることではない。

学ぶということは、
個人的な行為である。

そして学ぶことによって、
私たちは自分が得意にしている能力に磨きをかける

それが学校がすべきことである。

つまり、
どうすれば子どもたちを
自分の得意なことに、
自分の強みに集中させられるのか
がテーマになる。

学ぶための最良の方法は、
人に教えることである。

◆仕事を必要に迫られてすることとして捉えるのではなく、
自分が打ち込むことに喜びを感じることとして捉えることを
学ぶ心構えを持たなければならない。

そして、どのようにして学べばよいのかを
学ばなければならない。

学ぶ習慣を自分のものにしなければならない。

◆学校で学ぶべき最も重要なテーマは、
いかにして学ぶか…

絶えず学習する習慣

ということになる。

さらに、知識は専門化して初めて使い物になる
ということを忘れてはならない。

◆モーツァルトは音楽の歴史の中で、
まったく異なった2種類の楽器を
同じように見事に演奏したたったひとりの人物だ。

偉大なピアノの演奏家であり、
同時に名バイオリン奏者でもあった。

それでも、
モーツァルトは一流になれる楽器はひとつだけ、
ふたつは無理と判断している。

なぜか?

上達するためには
毎日3時間の練習が欠かせないからだ。

1日の時間はそれほど長くない。

そこで、バイオリンのほうを諦めた。

超達人はどんな場合であれ、
「NO」と言わなければならないときがわかっている。

そして何を目指せばよいのかがわかっている。

しかも、
いつも、自分自身のいるべきところがわかっている。

だからこそ、
彼らは超達人になれるのである。

今、私たちはこの事実を学ばなければならない。

そのガキは、
モーツァルトのしたこと、
つまり書きとめて、
それをチェックする
ことにある。

そして、何か重要なことをするときには必ず、
そうなってほしいと期待する内容を書きとめておくこと。

その後振り返って、
こう自問する。

「この決断からどんな成果が生まれたか?」

さらに、成果を記録することによって、
簡単に自分の強みが学べる。

私たちはたいてい、
自分の強みを控えめに見積もっている。

私たちは自分の強みを軽く考えている。

得意なことは簡単にできるようになる。

だから、私たちは強みを手に入れるのが難しくなければ、
その強みはそれ以上に強くなるはずはない、
と信じている。

ナンセンスだ!

◆自分の居場所がわかっている人は、
ほとんどいない。

自分はどんな気性の持ち主なのか、
どんな種類の人間なのか、
ということも…。

あなたは、周りの人たちと一緒に働くのがよいのか、
それとも、一匹狼なのか、
何があなたの価値なのか。

あなたは何にコミットしているのか、
あなたはどんな貢献をしているのか…

◆ほとんどの人は、
自分が朝型なのか、
夜型の人間なのかわかっている。

なのに、自分自身が資料の解読が向いているのか、
つまり「リーダー(Reader)」なのか、
聞き上手の「リスナー(Listener)」なのか、
わかっている人はほとんどいない。

おおくの人は、
「リーダー」か「リスナー」の
どちらかにわかれている。

◆「あなたは何が自分の得意なことなのか、わかっていますか?」
と聞くと、ほとんど誰ひとりとしてわかっていると答えない。

そして、
「自分の強みを最大限に活かすために、
何を学ぶ必要があるかわかっていますか?」
という質問をされた経験のある人はほとんどいない。

————————————————-
◆これから先、
あらゆる組織で、
エグゼクティブが次にように自問自答しなければならない。

・この企業を経営するためには、どんな情報が必要なのか?
・このビジネスには、どんな情報が必要なのか?
・自分の仕事をこなすために、どんな情報が必要なのか?

それは誰から、
どこから、
そしていつ手に入れるのか?

◆中国では8億人が農業で生計を立てている。

ところが、
中国ですべての食料を生産するのに必要な農民の数は、
その半分余りいれば十分。

2億から4億の農民には働き口がない。

そのため、
そのうちのなんと2億人がすでに農場を離れ、
都市に移住しようとしている。

ただし、
都市にも働き口はなく、
住宅もない。

中国で繁栄している地域、
つまり沿海州のあたりでは、
いまだに何千という数の国有の大企業が存在している。

こうした企業は悲しいほど非効率的である。

それでも国有企業は沿海州の都市にいる労働力の半分ほど、
つまり1億人前後の雇用を生み出している。

こうした企業を精算しないで延命させると、
非常に大きなインフレ圧力が生まれる。

反対に、これらを閉鎖・清算すると、
失業が社会的な不安を呼び起こし、
内戦さえ避けられない。

◆すべての先進国で、
若年層の人口が減少するために
高齢者層の人口増加に対応することが、
最優先の課題になる。

そしてこの問題を解決するには、
退職年齢を超えた人たちの中で、
定年を延長して働き続ける人たちの数を
増やす以外にない。

人口統計を見ても、
すべての先進諸国が抱えている課題は、
知識労働者の生産性を上げることである。

◆管理監督を始めるところは、
工場でもオフィスでもない。

まずは、自分自身から始めてみる。

つまりそれは、
自分ならではの強みを見極め、
自分の強みを活かして成果が上げられるところに
自分自身をはめ込み、
そして必ず正しい手本を示し、
周りの人たちを、
彼ら自らの強みによって成果を上げられる分野に配置する、

という作業である。

◆コア・コンピタンス

私たちが本当に得意なものは何か?

私たちの顧客は何にお金を払ってくれるのか?

なぜ、
私たちから買ってくれるのか?

競争が激しい非独占的なマーケットでは、
顧客が競争相手からではなく、
自分の会社から買うはずだという理由など
まったくない。

皆無だ。

あなたの会社から買うのは、
その顧客にとって価値あるものを
手に入れられるからだ。

私たちは一体、
何の対価を手にしているのか?

この答えを見つける最良の方法は、
アンケートで聞いてみるのではなく、
顧客に質問しながら考えること。

アイルランドに小さな小売店がある。

この小さな企業は
サンドイッチのマーケットの約60%を確保している。

この企業は一体、
何をしているのか?

その答えはこうだ…

その企業のボスは週に2日、
店に出て顧客と接している。

肉売り場のカウンターからレジ係りまでこなす。

その上、レジ袋に品物を詰めて、
それを顧客の車に運ぶことまでする。

このボスには、
顧客が何にお金を払っているのかがよくわかっている。

◆ある男性が、
世界でも指折りの企業を設立した。

彼には単純なルールがあった。

それは、
会社が小さな時代から巨大多国籍企業に
成長した時代まで変わらず、
すべてのエグゼクティブは毎年4週間、
オフィスを離れて現場を見るというルール
だった。

たとえば、
セールス担当者が休暇を取るときは必ず、
エグゼクティブが2週間、
しかも年に2回、その仕事をする。

つまり、顧客を訪問して売り込みをかけ、
新製品を紹介する。

その結果、
この会社は急速に変化するマーケットを
しっかり把握することができた

◆ミラーテスト

毎朝、ヒゲを剃ったり口紅を塗ったりするとき、
鏡に映っている自分を見ながら、
こんな問いかけをしてみる。

「鏡の中にいる人は、自分が見たい思う人なのか。
この鏡に映っているような人間になりたいか」

—————————————
◆成功を収めている組織と、
そうでない組織との違いは、
人材配置の仕方にある。

成功している組織は、
人材を成長させることに絶えず取り組んでいるだけではなく、
彼らの強みが立派な成果を生み出してくれる、
しかも彼らの弱点が仕事に影響しない、
そんな分野に配置することを最優先に考えている。

◆何でも見事にこなせる天才などいない。

だが、人はそれぞれ特定の分野で非常に
優秀な人間になることはできる。

もちろん、自分の弱点を克服する努力は必要。

しかし、必死に努力して才能のない分野で
なんとか一人前になろうと頑張ってみたとしても、
一流の仕事人にはなれない。

自分の強みが発揮できる分野に飛び込み、
その強みに一生懸命磨きをかけるなら、
一流の仕事人になれる。

◆何かとても重要な仕事をするとき、
大切な意思決定をするとき、
とりわけ人事についての意思決定をするとき、
そういったとき必ず、
期待する成果を具体的に書き出す。

それから9ヶ月あるいは1年たったときに、
書いたことを再確認する。

そうすると即座に、
自分が何に長けているのかが見えてくる。

即座に、
何を学ぶ必要があるのか、
自分は何を磨かなければいけないのかが見えてくる。

そして即座に、
才能のない分野も見えてくる。

◆成長・発展はとにもかくにも、
あるひとつの経営資源、
つまり、実質的に自分の指揮監督下にある
ひとつの経営資源の枠を、
具体的に言えば自分自身の枠を、
どれほどまで取り払えるかにかかっている。

成功を収めている組織の経営者たちは、
自分自身を管理監督している。

彼らには自分の強みがわかっている。

しかし驚くことに、
自分は何に長け、
何が得意なのか、
本当にわかっている人は
ほとんど見当たらない。

◆お金は別にして、
最も大切な財産はと言えば、
それはボランティアの善意と勤勉さ。

それにはさまざまな条件がある。

・あまり多くのことに取り組もうとしないこと
・その仕事をうまくこなすこと
・支持してくれるグループをふたつ作ること(※)

※ひとつは、あなたが取り組んでいる仕事から恩恵を受ける人たちのグループ。もうひとつは、あなたのために働いてくれる人たちのグループ、とくにボランティアの人たち。

◆サラリーマンが忘れはいけないこと…

それは、
職場以外でも活動する必要があるということ。

その理由は、
仕事には個人の生活を完全に支配してしまう
傾向があるから、
もっと正確に言えば、
夜自分の仕事を家に持って帰るから、だ。

◆40代に突入する前に、
仕事とは別の活動を実生活で見つけること。

ただの趣味ではなく、活動。

そうするとまず、
その活動からまったく違った
ネットワークが生まれる。

◆比較的簡単に転職先が見つかる人とそうでない人の違いとは?

同じ年齢、同じ専門的能力、
そして同じ経歴であれば、
難局をうまく乗り切れるのは、
自分自身の居場所がよくわかっている人。

つまり、
自分の強みや仕事の実力をちゃんと把握しており、
自分自身の位置づけがしっかりとできる人。

◆思いやりのある人になるためには…

備忘録を作っておくこと

その中に、
一緒に仕事をしている人たちに関わる情報を
たっぷりと記録しておく。

そうすれば、
相手から感謝されるような
言葉をかけられる…

◆企業が常に問うべき5つの質問

・我々の使命は何か?
・我々の顧客は誰か?
・顧客が重視するものは何か?
・我々はどんな成果を上げているのか?
・我々はどんな計画を立てているのか?

◆知識は絶えず磨かれ鍛えられ、
そして育まれなければならない。

怠れば衰退あるのみ。

P.F. ドラッカー

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