人生を創る言葉 – 古今東西の偉人たちが残した94の名言 by 渡部 昇一
渡部 昇一
昭和5(1930)年山形県生まれ。
同30年上智大学大学院修士課程修了。ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学に留学。
Dr.phil.、Dr.phil.h.c.専攻は英語学。
上智大学教授を経て、上智大学名誉教授。
幅広い評論活動、著述活動を展開している…
偉人たちが教えてくれた
「生き方の秘訣」
目次
プロローグ 偉人たちが教えてくれた「生き方の秘訣」
第1章 偉人たちの人間学―よりよき人間のあり方
第2章 決断の瞬間―時を逃すな!
第3章 勇気と覚悟―運命を開くもの
第4章 心を練る―深く考え、迷わず動く
第5章 教育の急所―眠れる才能を引き出す
第6章 成功の秘密―「考え方」を工夫する
第7章 お金とのつき合い方―それぞれの金銭学
第8章 正直であれ、親切であれ―人生の心得

MEMO
人生を創る言葉
◆人はむつかし屋です。
また、世間の人も大なり小なりむつかし屋なのです
商売を始める人々は、
物事が満足に行かないときは、
まあこれで我慢しようという癖がある。
仕入れにも一部の不満足な点があっても、
わずかなことだから我慢しておこうと諦める。
それはいけない。
ちょっとでも欠点があったら、
むつかし屋の客から見れば
大欠陥になるということを忘れてはならない。
バーナード・クローガー
◆天知る、地知る、我知る、汝知る
しばしば問題となる賄賂とか不正な政治献金なども、
二人だけの秘密では決して終わらないのである。
そこに利害が絡んでいればなおさらのこと…
楊震(ようしん)
◆こんな不完全なものを売っては、
信用にかかわる。
人間は信用が第一だ
ジョージ・イーストマン
◆あなたの対応一つで、
もう一つは買ってもらえたかもしれない
「今日はどのようなお品を?」
「洗濯のきく白手袋が欲しいのですけど…」
「いかがでしょうか、
この品などは…」
婦人はすぐにそれを買った。
すると紳士は、
すかさず、こういった。
「ところで、
お洗濯なさいますようなときには、
その間、代わりの品がご入用かと存じますが…」
「そうね、じゃ2ついただくわ」
さらに老紳士はいった。
「ありがとうございます、
白いお手袋は、
清楚で、お上品で、
誠に結構でございますが、
普段お召になりますと、
どうしても汚れがちで、
そのためでございましょうか、
近頃では何か色のついたものはなかなどと
おっしゃる方がよくございます。
当店でも、本年の流行色として鼠色のお手袋を
売り出すことにいたしましたところ、
各方面から、大変ご好評をいただいております。」
「そうね、鼠色もいいわね」
こうして、婦人客はとうとう3つとも買ってしまった。
ジョン・ワナメーカー
◆たとえどんな失敗をしても、
それを隠してごまかしてはいけない
スチュアート
◆安いからといって仕事を粗末にすると、
自分の良心を損しなければならない
「こんな手間をかけて損ではないか。
損は損かもしれませんが、
安いからといって仕事を粗末にすると、
賃金を損したうえに、
自分の良心を損しなければなりません。
大工として仕事する以上、
仕事に精魂打ち込んで、
自分でよくできたと満足しないと
私の気が済みません。
賃金が安いからといって、
いい加減な仕事をすると、
賃金を損した上に、
私の性根まで損しますのでね。」
日本には「損して得をとれ」という言葉があるが、
先に損をしても、
それが巡りめぐって大きな得をつれてくるということは
現実にあるようだ。
ある大工
◆はやり、正直は得だなあ!
当時は、
楊枝を100本ずつ束ねるのに、
人目につく外側には出来のいいものを並べ、
内側には出来の悪いものを並べるのが当たり前だった。
けれども、
素六にはそういうごまかしができなかった。
そこで、出来の悪いものは悪いものだけで束にし、
中ぐらいの出来のものは中ぐらいのものだけで束にし、
出来のいいものはいいものだけで束にして、
ちゃんと相手にそれを告げて、
それ相当の代価を求めるようにした。
そのために、
相手から非常に喜ばれた。
みんな言い値で買ってくれるので、
商売の駆け引きも必要ないし、
時間もかからない。
他の人が売るのに手間取っている間に、
素六はさっさと売りつくして、
帰ることができた。
素六は子ども心につくづく思った。
「やはり、正直は得だなあ!」
江原素六
◆人生は奉仕である
民主主義のいいところは、
「成功するために奉仕する」
という考え方があることだ。
全体主義の国では、
出世とは威張ることのほかならない。
スタットラー
◆返事をなおざりにしておくことは、
犯罪でないまでも、
それは罪悪である。
エドワード・ボック
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◆商工ファンドは中小企業に金を貸していたので、
貸出額は平均して4百万ぐらいで、
その代わりに保証人を立てることを求めた
そして期日がきて返済が滞っている人に対しては、
脅かしたりすかしたりしないで、
どんどん民事裁判に持ち込んで取り立てるという
方法をとった。
当時、裁判所に持ち込まれる訴訟の半分くらいは
商工ファンドのものだった。
この方法で商工ファンドは急速に伸びた。
これは、ある意味では先進国のやり方、
あるいは、安田善次郎のやり方である。
遅れるのは、
遅れるほうが悪い。
4百万円ぐらいならば保証人が
払ったとしても破産することもないだろう、
という方針だった。
今では大銀行が
次々と消費者金融と手を組むようになっている。
◆担保には目一杯の貸付をする。
期限には一切待ったをいわせない
安田善次郎
◆商人が商人として立派になろうとするには、
人として立派なことをすることを世渡りの方針に
しなければいけない
新渡戸稲造
◆汲み出す一升より漏る一滴
「君、樽の上からすくって飲むやつは、
たとえ一升飲まれても、三升飲まれても大したことはない。
怖いのは樽の底から一滴でも漏ることだ。
そいつをよく注意してください。」
これは貯蓄についての凄い教訓である。
「大きく使われたとしても、それは怖くない。
怖いのは日常の締りのない家計なのだ」
岩崎弥太郎
◆落ちて行く奈落の底を覗き見ん
如何ほど欲の深き穴ぞと
お金のためにお金を儲けるという
極限まで行った人の抱いた感想として
深く考えさせられる。
食欲や性欲は簡単に充足させうるものだが、
物欲とか権力欲は別物で、
キリがなくなる恐れがある。
そのキリがどこなのかは
非常に大きな問題だが、
そこは良識に従うしかない。
円智坊
◆貯金というのは、
ただお金のことだけを指すのではない。
いろいろな苦労をして経験を積んでおくこと、
厳しいトレーニングをして体力をつけておくこと、
良好な人間関係に努めて信頼を得ておくこと、
友情を培っておくことなども、
広い意味では貯金といえる。
日頃からそのような貯金をしておくことによって、
チャンスがやってきたときに生かすことができる。
貯金がなければ、
今がチャンスとわかっていても、
みすみす指をくわえて見逃すしかない。
時を逃さずチャンスを掴む。
これは偉人、成功者の共通項である。
◆貯金は成功のチャンスを作る
私が今日の地位を築けたのも、
小さな船を買うだけの貯金があったから、
貯金をしていなかったら、
チャンスを掴むことはできなかったでしょう…
ロバート・ダラー
◆殖やさなければ減るのが金の性質である
金は儲けたらすぐ貯めることを
考えなきゃ駄目ですよ。
いいですか。
殖やさなければ減るのが金の性質なんですよ
ロックフェラー
◆とにかく相手に「イエス」といわせる
お客の家を訪ねて
「奥様、この素晴らしい本をお子様にいかがでしょう?」
と紋切り型の口上でいう。
そうすると、
玄関に出てきた主婦は、
「間に合っています」とか「要りません」といって、
戸を閉めるに違いない。
ところが、
「奥様、お宅のお坊ちゃんは、
これこれの学校にお通いになっているそうですね」
すると主婦は、
相手がセールスマンだとわかっていても、
事実であれば、
「ええ、そうですが…」
と答える。
これでセールスマンは、
とにかく相手に「イエス」をいわせることに
成功したわけだ。
ジョン・リピンコット
◆何かいい方法はないかと徹底的に考える。
そして、できることをすべてやってみる。
もうこれ以上できることは何もない
というところまで手を尽くせば、
大方の問題は解決できる。
シートン
◆インスピレーションは決して空虚な心には
与えられない。
それを得ようと血のにじむような苦心、
努力をしている心にのみ与えられる。
無から有は生じない。
長い苦しい努力なしに、
ただの思いつきなどというものはない。
アインシュタイン
◆成功の第一の秘訣は、
貧乏人の子どもに生まれることだ。
第二は、どんな仕事でもいいから、
絶えずその第一人者となることを心がけることだ。
カーネギー
◆社員を研修に出すときに、
「どんな内容だったか、
あとで聞かせてくれ」
と社長がいって送り出す。
それによって、
社員は身を入れて話を聞くようになる。
治郎左衛門
◆世間の人が、
やれ忙しい忙しいというのは、
たいてい半分は無駄に忙しい思いをしているのじゃ。
なんでも、
無駄をせぬように心がけるがよい。
工夫をすれば、
時間はいくらでもつくれるという教えてある。
峨山禅師
◆番頭さん、
あなたが店のためを思って小僧を叱ってくださるのは
ありがたい。
しかし、あなたのさっきの怒り方を聞いていると、
どうも不注意をたしなめているのではなく、
高価な品を破損したという点を厳しく怒っているように聞こえた。
ああいう場合、
値段の大小よりも、
不注意そのものの焦点を置いて
言い聞かせるべきではないか。
大塚琢造
◆孤児のお腹を一杯にさせることは難しい。
彼らの胃袋は空虚であるから。
しかし彼らの霊を満たしてあげることはできる。
人の性は善であるが故に…
ペスタロッチ
◆この子の教育は、
いつごろから始めたらいいでしょうか?
奥さん、惜しいことに、
あなたは2年半、手遅れになってしまいました。
子どもは母親のお腹の中にいるときから教育すべきだ、
ということを教えている。
ダーウィン
◆土地を買う前に神社仏閣を見よ
神社仏閣が荒れていれば、
そんな宗教心のない地方は人気が悪く、
小作米も取れるかどうか危ない。
神社仏閣が小さくても、
きれいに手入れしてあれば、
それは人気のよい場所である。
安田善次郎
◆このウサギに毎日毎日食べるものをやってくれたら、
一匹一匹に君たちの名前をつけてあげよう
そういうと子どもたちはみんな喜んで、
自分の名前のついたウサギを可愛がって、
競うようにして育てた。
それでカーネギーは、
あまり努力をしないでたくさんのウサギを
飼うことができた。
◆このお金はあげるのではなく貸すのだ。
あなたは、必ず何か仕事を見つけられる。
そうすれば、
そのうち今貸す10ドルを返すことができるようになる。
そうなったときには、
そのお金を私に返すつもりで、
他の困っている人に貸してあげる。
フランクリン
◆命じられた仕事はなんでもしろ。
生き生きと嬉そうに、
熱心にするのだ。
それが済んだら、
すぐ他に仕事がないかと見回すのだ。
仕事を量るのに、
何時間働いたかで量ってはならない。
朝から晩までの同じ時間内に、
どれだけの仕事ができるかで量らなければならない。
会社のひける時間がきたとき、
時間後まで働くよりも、
時間前に仕事をしてしまうぐらいがいい。
しかし仕事が残っているときは、
時間が過ぎても、
決して帰ってはいけない。
ベッドフォード(エクソンモービル社長)
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◆凡そ人一日この世にあれば、
一日の食を喰らい、一日の衣を着、一日の家に居る。
なんぞ一日の学問、一日の事業を励まざらんや
人間はどうせ死ぬものである。
いくら成長しても、
最後には死んでしまうことに変わりはない。
この「どうせ死ぬのだ」というわかりきった結論を前にして、
どう考えるか?
どうせ死ぬにしても
最後の一瞬まで最善を尽くそう。
もしかして、あなたは…
「どっちみち老人になればヨレヨレになるのだから、
体なんか鍛えてもしょうがない、
どうせ死ぬ前には呆けたりするのだから、
勉強してもしょうがない」
と考えていないか?
究極まで行くと、
そもそも生きることに意味がなくなる。
そう考えると、
意味がないから何もしないというほうが
どこか間違っている。
◆人は為さざるべかざる事を為せばそれでよい。
あとは神の為すに任せよ
人は全力を尽くしたら、
あとはもう神に任せるよりしょうがない。
困ったときでも、
いたずらに慌てたり狼狽したりするな。
◆言葉は兵士ではない、
議論は軍隊ではない、
敵軍が国内に侵入してきたときには、
言葉や議論では間に合わないのだ
ビスマルク
◆裸で生まれて来たに何不足
そうだ、
俺はもともと裸で生まれてきたのだ。
それが今、
裸一貫になったからといって、
不平を起こしたり、
狭い料見を起こしているのは
とんでもない間違いだ。
◆人間は忽然として悟ることがある
◆自分の境遇を改善せよ
しかしその境遇が変えることができないほど強いものならば、
諦めてその境遇に甘んじろ。
そしてその運命に従って己の行動を改めよ。
◆味方が負けたという知らせなら、
夜中でもよろしい。
すぐに知らせてくれ、大急ぎて…
勝ったという通知なら、
明朝でもよいが、
もし味方が負けたという知らせなら、
夜中でもいいから、
すぐに知らせてくれ、
大急ぎで…
ナポレオン
◆悲しむ事は一刻も遅く、
喜ぶ事は一刻も早く
◆卒啄同時(そったくどうじ)
早すぎてはいけない。
遅すぎてもいけない。
熟しきった一瞬の気合が、
人間万事を決する。
卒啄同時とは、
内の雛と、外の親鳥が、
殻を一緒に破ることをいっている。
雛が内側から卵の殻をつつき、
親鳥が外側から卵の殻をつつく。
どちらか一方が早すぎでもいけないし、
遅すぎてもいけない。
◆進むのは易いが、退くのは難い。
いかに生きようかということよりも、
いかに死のうかというほうがむしろ大事
人間というものは、
どのように生きようかということよりも、
どのように死のうかということを考えなければならない。
どのように進もうかということよりも、
どのように退こうかということを考えるほうが大事なのだ。
◆謙虚な心だけが神の宿所となる
公平、公平といって公平に凝り固まると、
情け知らずになって、
判断を誤ってしまうことがある。
◆明日ありと思う心の仇桜、夜半に嵐の吹かぬものかは
これはいろんな場面で使える。
たとえば、
仕事や勉強を「明日やればいいや」と思ったときに、
「いや、夜半に嵐が吹くかもしれない」と思って
先延ばししないで片付けてします。
そのタイミングを逃がすと
二度とうまくいかないということが、
人生には幾度とある。
◆不断にあらず、容易に断せざるなり
世の中には、
決断を迫られながら、
なかなか決断できない問題がある。
そのときに、
優柔不断といわれるのを恐れて、
十分に納得しないまま決断してはいけない。
◆どんな寒いときでも帽子も外套もつけず、
少量の食べ物で元気だった。
適当な運動、腹八分の少食、
新鮮な空気がフォード(自動車王と呼ばれたフォード)
の健康の秘訣だった。
◆多くの人は時間がないことを歎き、
それを理由に何もなしえぬまま生涯を終えてしまう。
だが、時間がない中で時間をつくる工夫をすることによって、
大きな仕事ができるということも確かだ。
規則的な仕事のある人が、
かえって自由時間の活用に結びつく。
◆人間にとって、
少しも仕事がないのは、
仕事があり過ぎるよりも悪いものだ。
暇であると、
自分で自分の心を食うことになるが、
およそ人間の食う食物のうちで、
これほど不健康な食べ物はない。
◆世に処する大本は礼節にある
人から尊敬されようと思ったら、
まず他人を尊敬しなければならない。
服装のいかんによらず、
その人の人格を尊敬しなければならない。
それを守らないと、
往々にして取り返しのつかない間違いを犯す。
◆よりよき人生
それぞれの立場、
それぞれの商売の中で、
それぞれに志を立ててやり遂げた人を
「偉くなった人」という。