新装版 人生の座標軸

新装版 人生の座標軸 (堀 義人)

ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。
住友商事株式会社を経て、
1992年株式会社グロービス設立し
グロービス経営大学院学長の堀 義人さんの著書です。

「起業家」の成功方程式

「自分」という人間が果たすべき役割とは何か?

個々人が成し遂げることの大小よりも、
自らが与えられた環境のなかで、
精一杯生きているかどうかが重要である…

グロービス代表が語る、生き方、考え方、働き方とは…

目次

第1章 人生の座標軸
第2章 個人
第3章 家庭人
第4章 組織人
第5章 日本人
第6章 アジア人・地球人

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MEMO

◆人生の座標軸を持つ

私たちは、毎日生活する上で、個人、家族人(母親、父親)、組織人(会社の社員、会社の代表)、日本人、アジア人、地球人として異なる座標軸を持つ必要がある。この中でもっとも大事なのは「個人」次に「家族人」である。なぜか? 家族にとって母親、父親は一人しかいない。でも、会社組織では、同僚とか、役員でも副社長と、副会長といった自分の代わりになる人がいるからである。

それぞれの「人生の座標軸」を思いっきり楽しみながらも、「未来に責任」がある立場としてしっかりと役割を果たしていくことが理想である。

◆個人にとって大事のものは…

➡心(平静なる心)心と頭と行動が一致することがよい。心で思っている事と行動が一致しないと信用されない。徳を持つためには、小さな善を積み重ねていけばよい。日々、小善を行う。我ただ足るを知る!

➡頭 能力を高める! 能力開発の基本は、繰り返し繰り返しの反復練習である。神は全員に公平な時間を与えている。ゆえに、自分のどこに(どの分野)に時間を集中させるかが重要になってくる。そのためには、余計のことをやらない決断も必要になる。

➡体 漠然と体を鍛えるのではなく、何か目標を設定して体を鍛える。楽しみながら体を鍛えることが重要である。

◆家族人

➡ファミリー理念 会社ではビジョンとか理念とかを話すが、これと同じようなことを家族でも行う必要がある。

➡子どもがたくましく生きていけるようにする。そのためには、子どもに試練を与える必要がある。もし、子どもが可愛くないなら「過保護」に育てる。そうすれば子どもは弱くなっていく。一番よいのは試練を与えることである。

➡目標管理制度(MBO)を家庭の中でも行う。

右位父親は子どもが小学生のとき、いかに多くの時間を接触できるかが非常に大事になる。

◆組織人

➡なんのために働くのか? 一つ目は自己実現、二つ目は社会貢献、三つ目はまったく新しい経営システムをつくる。

➡成功するキャリアコミニティ 自分というのは商品である。自分という商品をいかに魅力的にしていくかを考えることが大事。一方、いかに勝ち組につくか? 会社組織でいえば、どこの部署、部門に配属されるかが重要となる。会社とは一種のコニュニティである。自分はどこのコニュニティに参加するのかが重要となる。自分は何に共感するのかを基準にコミュニティーを探す。共感するものがなければ自分で新しいコミュニティーをつくるという選択肢もある。

◆日本人

➡右肩下がりの日本をなんとかしたい。どうすれば、日本を元気にできるか? まずは、日本人が世界で活躍できるようになる。

➡自分が政治家でなければ、良い政治家を探してその政治家を応援する。つまり、しっかりと政治に参加することが重要となる。

➡自分が正しいと思ったことをドンドン発言する。

➡世の中が変わる要素とは? 明確が思想(ビジョン)があるか? フランス革命がこれにあたる。リーダーがいるか? 武力があるか? 今の武力とはコミュニケーションのことである。

➡ホリノミクス3本の矢とは? G1サミット(日本版ダボス会議)、100の行動にまとめる(自分の頭でま考える)、復興支援(KIBOW)ニッピン未来会議

➡50代は日本のために生きる(よいと思ったことは他人を気にしないで行動する)

◆アジア人・地球人

➡国際会議で発言できるようになる(YEO:青年起業家機構)

➡ダボス会議に参加する

➡世界の成長企業・共同議長に参加する


◆人生におけるバランスと設計

一度しかない人生、
なるべく多くのことを実現したいと思うのが
自然な考え方である。

ただし、時間は限られているし、
能力的にも立場的にも、
できることは自ずと絞られてくる。

6つの座標軸(個人、家族人、組織人、日本人、アジア人、地球人)
すべてにおいて自らがやるべきことを定義できたとしても、
全部を同時並行的に実現させることは難しい。

長い人生のスパンで、
人生のバランスがとれていればよい。

つまり、学ぶ時期や社会で勝負する時期、
家庭をつくり上げる時期など、
なにかを成し遂げるときには、
そのことに集中することが重要である。

◆個人を考えるフレームワーク

複雑なものを考えるときには、
単純に構造化されたモデルを頭の中でつくった
ほうが分かりやすくなる。

言い換えれば、複雑なものは、
複雑なままでは理解できない。

つねに分類しながら単純化すると
分かりやすくなる。

人から学びながらも、
常に自らの頭で考え続けることが重要である。

人生を6つの座標軸
(個人、家族人、組織人、日本人、アジア人、地球人)
というフレームワークで捉えると、
分かりやすく考えられるから便利である。

そして座標軸ごとにさらに分類することにより、
自分がやるべきことを容易に理解できるようになる。

たとえば、「個人」としてバランスを考えるとき、
次の3つの枠組み(フレームワーク)で考えてみる。

いわゆる、心・技・体だ。

これらの分野でそれぞれの楽しみや鍛え方があり、
その3つのバランスが重要である。

これらの中で「心」がもっとも重要となる。

心を強くすること、
心を磨くこと、
そのどちらも難しい。

そもそも「心」とはなにかという
素朴な問いかけがある。

「心」とは、すべての根源である、
自らの行動や思考をつかさどる
最も重要なエネルギー源である。

心が正しければ、思考も行いも正しくなる。

心が曇っていれば、
言説も行動も曇ってくる。

心が不安定であれば、
同様に言動も不安定になる。

では、どうすれば心が安定し、
磨かれ、強くなるのか。

そのためには何をなすべきなのか。

よくよく考えると、
高学歴で高いキャリアを持つ人ほど、
人間的に貧困になっていく。

小さいころから、
よい学校や会社に入るために、
自らやりたいことをすべて犠牲にして、
あの無味乾燥な受験勉強を、
感情を抑制してやり続けている。

そうした人たちは、
頭で考えて正しいと思われる結論を
導き出すことはできても、
ワクワク感や本当に心の中で
感じていることを見失ってしまう。

心を解放して、
自らの心が感じる小さなメッセージを
見失わないようにする。

ワクワク感、悲しみ、怒り、喜び、感動
などの些細な感情をキャッチして、
子どものときに感じ取れていた心の
瑞々しさを回復させる。

そして、頭で考えることよりも、
心で感じることを最優先する。

つまり、頭で考えた正しい意思決定に加え、
「好きだ」「嫌いだ」という感情、
「おもしろい」「つまらない」という感覚を
大切にする。

感性を磨くためには、
きれいな絵を鑑賞して、
美しい音楽を聴き、
自然に近いおいしい食べ物を口にするなど、
五感を鍛える。

重要なことは、あまり深く考えずに、
やりたいことをやり、
おおいに楽しみ、
感動することである。

そして、多くの人を愛して、
社会に対しても誠実に接することである。

◆頭を捉えるフレームワーク

頭の枠組みは、考える力、知識、伝える力の
3つに分類できる。

コンピューターにたとえると、
考える力がオペレーションシステム(OS)に
相当する部分、知識がメモリーに相当する部分、
伝える力が外部とのインターフェースを
つかさどるコミュニケーション機器に相当する部分。

しっかりと知識のファイリングができ、
それらを関連づけて的確に考えることができ、
そしてその結果を伝える力があれば、
頭としての機能は果たせる。

考える力をつけるには、
まずは明確な論理思考力が必要になる。

クリティカル・シンキングなどの「訓練」が欠かせない。

論理的思考ができていないと、
ものごとを筋道立てて考えることができなくなる。

そうなると、ビジネスパーソンとして基本となる
問題解決や戦略的思考ができなくなる。

ビジネスパーソンは、
複雑な経営環境の中で、
常に的確に問題点を認識し、分析し、
戦略上のオプションを例示して意思決定し、
そして行動計画を立てるという一連の思考プロセスを
行うことが要求される。

その思考プロセスの根幹になるのが、
論理的思考能力なのである。

知識に関しては、
さまざまな領域を理解しなければならない。

そして、得られた知識をきちんとファイリングして関連づけ、
インプット、アウトプットを繰り返し、
論理的思考力を活用して考え続ける。

すると、ある程度のことは理解できるようになる。

重要なことは、分かったふりをせず、
分からないことは考え続けることである。

多くの人々の意見を聞くとともに、
読書を積み重ね、自分の頭で理解することに努める。

そして得られた考えを、
今度は外部にコミュニケーションするわけだが、
これが簡単なようで難しい。

相手に伝えて、相手に理解してもらい、
さらに共鳴を喚起し、行動に移してもらうとなると、
非常に難しくなる。

知識、考える力、伝える力の3つの中で、
最も難しいのは、この伝える力である。

いずれにせよ、これらの「頭の力」を育成すべく
努力することが重要であり、
一生をかけて鍛える続けることが肝要である。

◆体の「流れ」をよくする

体の健康を考えるうえで大事なのは、
「体の流れをよくする」ことである。

新陳代謝を促すことだ。

私たちの体の中には、
呼吸器系(空気)、循環器系(血)、消化器系(食べ物)、
リンパ系(免疫)、神経系(指令)、そして氣の流れなど、
さまざまな流れがある。

これらの流れの循環をよくすることが、
ここで述べる健康哲学である。

そのためには、まずはライフスタイルそのものを管理する。

規則正い生活をして、よく休むことである。

そのうえで、暴飲暴食をしない、
口にするものを管理するなど、
食生活をコントールする。

水分を多く取り、電磁波をシャットアウトして、
よく歩くように心がける。

また、健康を維持するには、
自然治癒力を高めていくことが重要である。

したがって、可能なかぎり薬に頼らずに、
自らの力で病気を治すよう努力する。

重要なのは、自分の体をよく知ることである。

毎朝起きるとき、自らの体と相談する。

そうすれば、体調が悪いときには、
その理由がある程度わかるようになる。

いずれにせよ、日々、心と頭と体を鍛え、
喜ばせ、気持ちよい状態にしておけば、
個人としても常に楽しくしていられる。

投稿者: book reviews

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