細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム by エリザベス・ブラックバーン, エリッサ・エペル
エリザベス・ブラックバーン
分子生物学者。
2009年に、2人の共同研究者とともにノーベル医学生理学賞を受賞。
受賞理由は、染色体の末端をキャップのように保護しているテロメアの分子的性質の発見、およびテロメアを維持する酵素、テロメラーゼの発見。
ソーク研究所所長、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の名誉教授。アルバート・ラスカー基礎医学研究賞をはじめ、医学分野の主要な賞をほぼすべて受賞している。
『タイム』誌の「もっとも影響力の高い100人」の1人にも選ばれた。
エリッサ・エペル
健康心理学の第一人者。
ストレス、老化、肥満を研究する。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校精神医学科教授。
同大学の老化・代謝・感情(AME)センターおよび肥満研究センター(COAST)の所長であり、健康共同体センターの副所長もつとめる。
米国医学研究所のメンバーであり、米国国立衛生研究所の科学諮問委員会のほか、心と生命研究所、欧州予防医学協会でも活躍。
「テロメア」とは染色体の先端部分を指し、
寿命を司り、加齢とともに短くなるとされてきた。
しかし最新科学によれば、
生活習慣しだいでテロメアを保持したり、
伸ばすことさえできるという。
私たちが日々の行動や思考法を正すことで細胞を若返らせ、
健康寿命を延ばすことができるのだ!
目次
はじめに なぜ、この本を書いたのか
序 章 二人のテロメアの物語
◆第 1 部 テロメア:より若く生きるための道
第1章 なぜ細胞の老化が早すぎると、見かけも気持ちも行動も老いるのか
第2章 長いテロメアのパワー
第3章 テロメアを補う酵素 テロメラーゼ
◆第 2 部 テロメアはあなたの考えに耳を傾けている
第4章 ストレスはあなたの細胞に入り込む
第5章 テロメアを思いやる:ネガティブな思考、打たれ強い思考
第6章 うつ病や不安はテロメアを短くするか
◆第 3 部 細胞を守るためにできること
第7章 運動はテロメアを鍛える
第8章 テロメアの疲労と睡眠
第9章 体重とテロメア:健康的なメタボリズム
第10章 食べ物とテロメア:細胞の健康のためには何を食べるべきか
◆第 4 部 社会的環境は、あなたのテロメアを変える
第11章 テロメアを支える環境と人々
第12章 細胞の老化は子宮で始まる
第13章 子ども時代の重要性:人生の初期の出来事はテロメアにどのように影響をおよぼすのか
まとめ 相互のつながりに気づく:私たちの細胞の遺産
自己評価テスト1 あなたのストレス反応のスタイルを明らかにする
自己評価テスト2 あなたの性格はストレス反応にどう影響するか
自己評価テスト3 あなたのテロメアの健康度は? 保護要因と危険要因
リニューアルのための情報1 ストレスを和らげ、テロメアを維持するテクニック
リニューアルのための情報2 科学が教える! 変化を持続させるコツ

MEMO
テロメア・エフェクト
◆栄養とテロメアの長さ
▶長いテロメアに相関性あり
- 繊維質(全糖穀物)
- 野菜
- ナッツ、マメ科植物
- 海藻
- 果物
- オメガ3脂肪酸を含む魚(サケ、イワナ、サバ、マグロ、イワシ等)
- 植物性の抗酸化物(果物、野菜、豆、ナッツ、種子類、全糖穀物、緑茶など)
- コーヒー
▶短いテロメアに相関性あり
- レッドミート(牛肉、豚肉)、加工肉
- 精白パン
- 甘い飲み物
- 甘いソーダ
- 飽和脂肪酸
- オメガ6多価不飽和脂肪酸(リノール酸)
- アルコールの多飲
◆テロメアの心得(7)
- 砂糖の入っている食べ物や飲み物、精製食品などは避ける。
- レッドミート(特に加工したもの)は極力控える。週に数日はベジタリアンの食生活を試みても良い。
- オメガ3脂肪酸を含むサケやマグロなどの魚、葉物野菜、亜麻仁、亜麻仁油を摂取すること。
- 炎症、インスリン抵抗性、酸化ストレスはあなたの敵だ。敵と闘うためには、野菜や果物、全糖穀物、豆類、マメ科植物、ナッツ類、種子類のほか、低脂肪で質の高いタンパク質を積極的に摂取すること。
◆テロメアの心得(6)
- 糖分やグリセミック指数(血糖値指数)の低い食べ物や飲み物は、体の代謝上の健康を高めてくれる。体重そのものよりも重要なのはこちらのほうだ。
- カロリーばかり気にしすぎるのはストレスのもとになるし、テロメアに悪影響をおよぼす可能性もある。
- テロメアのためには、体重ばかりを意識する必要はない。そのかわり、おなかの出っ張り具合やインスリン感受性を健康の指標として用いる。
◆テロメアの心得(5)
- テロメアは少なくとも7時間の睡眠を好むらしい。睡眠の質を向上させるにはさまざまな方策が考えられるが、その一つが、寝室に液晶機器を置かないことだ。
- 十分に睡眠をとれば、食欲も抑えられ、心も安定する。そしてテロメアの塩基対が失われる度合いは少なくなる。
◆眠っているあいだに何度も呼吸が停止してしまう
深刻な睡眠時無呼吸は、
患者が大人の場合、
テロメアの短縮と相関性があることがわかってきている。
◆テロメアと睡眠時間
テロメアの健康にとっての睡眠時間の限界値は、7時間である。
睡眠時間が7時間を下回ると、
テロメアに損傷が出始める。
ただし、睡眠時間には個人差があるので
無理に7時間寝る必要はない。
◆ウォーキング・プラン
次のインターバルを4回繰り返す(6分間✕4=32分)
- 速足のウォーキング(全力を10として6か7くらいの力)▶3分間
- ゆっくり歩く▶3分間
まとめると、インターバル・ウォーキングを約30分行う。
◆テロメアの心得(4)
- もしあなたがストレスの多い生活を送っているなら、運動は「すると良い」どころではなく「必須」だと思ってほしい。運動をすれば、ストレスによるテロメアの短縮を防ぐことができる。
- 運動をしすぎて燃え尽きた運動選手は、さまざまな肉体的不調に襲われる可能性がある。筋肉細胞の中のテロメアが短くなるのは、その症状の一つだ。
- 激しい運動をしているアスリートは、体が非常に壮健で、代謝上もきわめて健康で、
長いテロメアを持っている。だが、彼らのテロメアは中程度の運動をする人に比べて
著しく長いわけではない。だから、テロメアのためだけなら極限的な運動を志す必要はない。 - 運動は、細胞内のクリーンアップ・クルーに活力を与え、そのおかげて細胞内の分子のゴミが准積(じゅんづみ)しなくなる。ミトコンドリアの働きは高まり、フリーラジカルは少なくなる。
- 運動をする人のテロメアは、しない人に比べて長い。細胞の健康のためには、強めて有酸素運動が最適だ。
◆実はいちばん運動が重要なのは、
いちばんあなたが運動をしたくないとき、
つまり「ああいやだ」と思っているときなのだ。
◆活発なウォーキングができる人や、
軽いジョギングを45分程度、
週に3回行える人は、
テロメアの健康維持という点ではもう十分だ。
◆ウォーキングと自転車と筋力トレーニングなど、
さまざまな分野の運動を行う人ほど、
テロメアは長い。
テロメアと運動がどのようにつながっているかは省略するが、
はっきりしているのは、
運動がテロメアにとって重要だということだ。
テロメアの健康を保ちたければ、
運動をすることだ。
◆どんな運動が細胞の健康保持に最適化?
中程度の有酸素運動を1回45分間、週に3回のペースで続ければ、
テロメラーゼの値が2倍になる。
鼓動が激しくなるような短時間の強い運動と
回復期を交互に繰り返す高強度インターブルトレーニング(HIT)でも
同様の効果が得られる。
◆日々の運動が免疫系の働きを整え、
免疫老化の開始を遅らせる。
◆2つのクスリ
2種類のクスリがある。
- 一つ目は、血圧を下げ、インスリンの値を安定させる効果がある。ただ、残念ながらいくつかの副作用がある。
- 二つ目は、前者とまったく同じ効果がある。しかも、副作用がない。
あなたは、
どちらのクスリを選ぶだろうか?
ちなみに、
二つ目のクスリとは、「運動」である。
運動は、心臓や脳への血流量を増やし、
筋肉をつくり、骨を強くする効果がある。
適度で定期的な運動による肉体的なストレスは、
究極的には抗酸化物質とフリーラジカルとのバランスを向上させ、
細胞をより健康的な状態に保つようになる。
◆毎日、皿に半分程度の海藻を食べる人は、
年をとってもテロメアが長い傾向になる。
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◆テロメアの心得(3)
- マインドフルネスを土台にした介入は、人々の陥りがちな過剰な”Doing Mode(することード)”を”Being Mode(あることモード)”に切り替え、思考の反芻に歯止めをかける手助けをする。
- うつ病や不安を引き起こす認知上のしくみの一つが、ネガティブ思考の誇張された形…
つまりネガティブな気持ちを受け入れられず、それを過剰に避け続けることだ。うつ病の一つの特徴は反芻をはじめとする、”Doing Mode(することモード)”の思考で、それはかえって悪循環をつくる。 - ミトコンドリアの働きもまた、重度のストレスやうつ病によってダメージを受ける。だが、少なくともマウスにい関する限り、そうしたダメージは回復が可能だ。
- 大きなストレスやうつ病、不安感は、「用量反応」的にテロメアの短縮に結びつく。だが、幸いにもおおかたの場合、こうした個人的な歴史の影響は消すことが可能だ。何か重大な出来事を経験しても、5年後にはその痕跡は消えているものだ。
◆臨床的不安障害に苦しんでいる人は、
テロメアが著しく短い傾向がある。
長く症状が続いているほど、
テロメアは短い。
だが、不安が解消されて気分がもとのに回復すれば、
テロメアもまたふつうの長さに戻る。
◆テロメアの心得(2)
- ネガティブな思考を持つと、テロメアは短くなる傾向がある。しかし、ストレスへの耐性を高める習慣を実践すれば、テロメアの安定はもちろん、テロメアを長くすることさえできる可能性がある。
- 人生の目的意識、楽観、ユニタスク、マインドフルネス、セルフコンパッション(あるがままの自分を受け入れる)などを通じてストレスへの耐性を高めれば、ネガティブな考えや過剰なストレス反応を抑えることができる。
- 自分の思考の癖を知ることは、幸福のための重要な一歩だ。敵対心、悲観、思考の抑圧、反芻などのネガティブな思考スタイルはけっして珍しいものではないが、それらはいらぬ悩みを引き起こす原因になる。幸いにもそれらの癖は、努力で調整できる。
◆禅による瞑想や「慈悲の瞑想」を実践する人は、
瞑想をしない人に比べてテロメアが長い。
◆性格の特性の中で、
寿命を予測するいちばん一貫した因子は
誠実さである。
◆人生とは、
あなたの勇気に比例して大きくもなれば
小さくもなる。
◆人生の目的は、
幸福になることではない。
人生の目的とは、
何かを大切に思うことであり、
何かを生み出すことであり、
役に立つことであり、
あなたが生きたゆえの変化をもたらすことだ。
だが、幸福であることと、
目的をもって何かを生み出すことは、
必ずしも相争わない。
両者はともに歩むのだ。
◆テロメアの心得(1)
- テロメアを維持するには、小さなことにこだわらないいっぽうで、有害なストレスには注意すること。有害なストレスとは、長期におよぶ重度のストレスだ。そうしたストレスは、テロメラーゼを抑え、テロメアを短くする危険がある。
- テロメアの短縮は免疫機能を鈍らせ、軽い風邪にも感染しやすくする。
- (特にCD8-T細胞の)テロメアの短縮は、炎症を促進する。炎症がゆっくり広がっていくと、体の組織が変性し、加齢にともなう病気につながる危険がある。
- ストレスを消し去ることはできない。だが、ストレスフルな出来事に前向きに対処するように努力すれば、体においても心においても、ストレスへの耐性が高まっていく。
◆人が生活の中でどんな出来事を経験するか、
そしてその出来事にどう反応するかによって、
テロメアの長さには変化が生じる可能性がある。
言い換えれば、
私たちは自分で自分の老い方を変えることができる。
しかも、いちばん根源的な細胞のレベルで
それが可能なのだ。
◆ストレスにさらされるほどテロメアは短く、
テロメラーゼの値は低くなる。
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◆重要なのは、
テロメアに対するテロメラーゼの行動をうまくコントロールし、
正しいときに正しい細胞に働きかけるようにさせることだ。
そうすることでのみ、
テロメラーゼはテロメアと私たちの体を
健康に保つことができる。
どのようにそれを行うべきか、
私たちの体はもともと知っている。
生活のしかたを大きく改善すれば、
それを後押しすることができるのだ。
◆テロメラーゼとガンのパラドックス
人工的にテロメラーゼを増やせば
人間の寿命を延ばすことはできるのか?
そう考えるのは自然なことだ。
ネット上に溢れる
「テロメラーゼを増加させるサプリメント」の広告は、
それが可能だと謳っている。
テロメラーゼとテロメアには、
恐ろしい病を遠ざけたり、
人がより若く感じられるように手助けする
すばらしい特質がある。
だが、
それらは長寿の万能薬ではけっしてない。
テロメラーゼを使ったからといって、
ごくふうつの寿命より長く生きられるわけではない。
実際、人工的にテロメラーゼを増やすという方法で
長生きしようとしたら、
かえって命を危険にさらすことになる。
それは、
テロメラーゼには裏の面(ダークサイド)があるからだ。
人間は健康でいるために、
良いテロメラーゼを必要とする。
だが、
まちがった細胞にまちがったタイミングで過剰なテロメラーゼを供給すれば、
テロメラーゼは細胞の無制御な増殖に加担することになる。
細胞の無制御な増殖は、
ガンの特徴にほかならない。
ガンとは基本的には、
細胞の増殖に歯止めがかからなくなる病気なのだ。
人口のテロメラーゼは、
細胞をガン化へと突き進ませる危険を秘めている。
テロメラーゼ・サプリメントの業界が、
大規模かつ長期的な臨床試験によって
安全性をきちんと証明しないかぎり、
「あなたのテロメラーゼを増やします」
と謳うピルやクリーム、
注射には手を出さないのが賢明だ。
もともと人はそれぞれ異なるタイプのガンへの
「かかりやすさ」をもっているのに、
わざわざもっとたくさんの種類のガンを発症するリスクを
増やしたいものだろうか。
それを理解していれば、
私たちの細胞がテロメラーゼの量を低く抑えていることに
納得いくはずだ。
◆テロメラーゼは不死の霊薬ではない
テトラヒメナ(※)の細胞には十分なテロメラーゼがあるので、
たえずテロメアを再建できる。
そのおかげでテトラヒメナは半永久的に
自己を複製することができ、
永遠に細胞老化をしない。
しかし、
私たち人間にはふつう、
そのような業をなしとげるほど十分なテロメラーゼがない。
テロメラーゼの生成に関しては、
人間の体はとても気前が悪い。
私たちの細胞はテロメラーゼを、
いつでもほいほいとテロメアに提供してくれるわけではない。
テロメアを再建するのに十分なテロメアーゼが分泌されるとはいえ、
それは「ある程度まで」だ。
年をとるとともに体の大半の細胞のテロメアーゼは
徐々に活力を失っていく。
そしてテロメアは短くなっていく。
※水中に生息する繊毛虫の属の一つ。
◆テロメラーゼは細胞分裂のさいに失われたDNAの修復を受け持つ酵素だ。
テロメラーゼがテロメアをつくり、補っていた。
テロメラーゼはタンパク質とRNA(リポ核酸)を含んでいる。
RNAはいわばDNAのコピーであり、
このコピーの中にはテロメアのDNA配列の鋳型が含まれている。
テロメラーゼはRNAの中にある配列を生化学的なガイドとして使い、
まっさらで正確なテロメアDNAの配列をつくる。
この正しい配列が必要なのは、テロメアDNAの土台を完璧な形に整え、
それをおおうテロメア保護タンパク質の?を引き寄せるためだ。
テロメアDNAの新しい断片は、
テロメラーゼによって染色体の末端に付け加えられる。
このプロセルを導くのが、
RNAの鋳型の配列と、
DNA文字がそれぞれのパートナーと結びつく相補結合のシステムだ。
これにより、
テロメアDNAを構成する正しい配列がきちんと付加される。
このようにしてテロメラーゼは染色体の端を再生し、
すり減った分を回復されていた。
◆10万人の唾液からテロメアの長さが調べられた。
その結果、テロメアの平均的な長さは20代から75歳ごろまでに
漸進的(ぜんしんてき)に短くることがわかった。
だが興味深いことに、
テロメアの短縮はこの段階でストップし、
それどころか、
75歳以上にむしろ長くなるように見える。
これはおそらく、
テロメアの伸長が本当に起きているせいではない。
◆老化が進むと、
髪には白髪が混じり、
手や足の爪にも老化があらわれる。
爪の細胞が急速に入れ替わっていくせいで、
爪はデコボコになり、
割れやすくなる。
骨も老いてくる。
◆年齢は心の持ち方次第だ。
気に留めなければ問題ではない。
◆老化とは、
細胞が「機能を徐々に失い、
環境的な刺激や損傷に適切に反応する能力を失う」こと。
老化した細胞は、
物理的・精神的ストレスに適切に対応する能力を失っている。
細胞の老化は多くの場合、
加齢にともなう疾患へとゆっくりひそかに進行していく。
そうした病気の原因の一端は、
テロメアの短縮および細胞老化だといえる。
◆人間の体には細胞がいっぱい詰まっており、
体が健康であり続けるためには、
細胞が一定の期間ごとに新しくなる必要がある。
新しいものと入れ替わっていくこの種の細胞は
増殖性細胞と呼ばれる。
増殖性細胞の組織が健康であり続けるためには、
細胞はつねに新しくなっていく必要がある。
人体には非常にうまく調節されたシステムがあり、
細胞をいつ新しくするべきかの査定を行っている。
———————————
◆テロメアに人間が介入できる。
テロメアの長さや強靭さにまで
私たちがある程度影響をおよぼせる。
- 困難な状況にぶつかったとき、一部の人々は危機感を抱く。こうした反応のしかたとテロメア短縮にはつながりがある。
- 瞑想や気功などの心身のテクニックは、ストレス軽減効果に加え、テロメアを修復する酵素であるテロメラーゼを増やす効果もある。
- 運動で心血管系の健康を高めれば、テロメアにも良い効果がある。
- テロメアは、ソーセージのような加工肉を嫌う。好ましいのは、新鮮で健康的な食品だ。
- おたがいを知らず、信頼しあっていないなど、周囲の人々との社会的なつながりが低いとテロメアには悪影響が出る。これは、個人の収入レベルには無関係だ。
- 子どものころに複数の有害な事象にさらされると、テロメアは短くなる。
- 両親の卵子や精子に含まれる染色体のテロメアは、そのまま子どもにも伝えられる。もしあなたの両親のテロメアが短くなっていたら、それは子どもであるあなたに引き継がれている可能性がある。
◆靴紐の先がぼろぼろになったら、
もうその靴紐は使えない。
そうなったら、
その紐は捨てられてしまうかもしれない。
細胞についても同じようなことが起こる。
テロメアがあまりに短くなると、
細胞は分裂をすっかりやめてしまう。
◆人体の細胞にはかなずしも
「ヘイフリック限界※」が存在しない。
それは、「テロメラーゼ」という物質があるためだ。
幹細胞は健康に保たれていれば、
十分なテロメラーゼによって、
私たちが生きているあいだずっと
分裂を続けることができる。
※ヘイフリック限界とは、細胞の分裂回数の限界のこと。
◆何を食べるか、
精神的苦痛にどう対応するか、
どのくらい運動をするか、
子どものころストレスにさらされたか、
隣人をどのくらい信頼し、
どのくらい安心して暮らしているか…
テロメアにはこうしたもろもろの要因が
影響を与えているらしい。
◆人間はみな、年をとる。
だが、どのように老いるかを大きく左右するのは
細胞の健康状態なのだ。
◆遺伝子には銃が積まれている。
そして環境が引き金を引く。
ジョージ・プレイ
◆テロメアと老化への関心は今、
急速に高まりつつある。
そして、
巷に溢れる情報には正しいものもあるが、
誤解を招くものもある。
たとえば、
ある種のクリームやサプリメントがテロメアを伸ばし、
寿命を延ばすとまことしやかに主張する人々がいる。
こうした製品がもし本当に体の中で機能したら、
ガンにかかるリスクを増やしたり、
そのほかの危険な作用をもたらす可能性がある。
こうした深刻なリスクの潜在性を評価するための
大規模で長期的な調査が今、
必要になっている。
◆新しい発見により、
病気の発生について新たな概念が生れた。
それは、
加齢にともなう大半の疾患の原因は、
加齢によるテロメアの短縮および、
その背後にあるメカニズムに起因するのでは
という考えだ。