老けない人はこれを食べている by 牧田 善二
牧田 善二
糖尿病専門医。
北海道大学医学部卒業。
ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。
北海道大学医学部講師、久留米大学医学部教授を経て、2003年に、糖尿病などの生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。
延べ10万人以上の患者を診ている…
毎日の食事を楽しみながら、
いまより若返る…
目次
1章 食べたもので人は老ける。病気になる
(老ける元凶は「糖化」だった/食べ物のこんがりとした焼き色に注意!/老化しやすいのは体のどこ? ほか)
2章 いつまでも若くいたければ、これを食べなさい
(赤ワイン・白ワイン―古代から伝わる「呑む治療薬」/緑茶・紅茶―カテキンパワーでがんを予防/ごま―肝臓を若返らせる! ほか)
3章 老けない人が知っている9のルール
(何歳からでも人は若返る/太った人は体の老化も進んでいる/年齢に応じた「健康体重」とは? ほか)

MEMO
老けない人はこれを食べている
◆健康に良いと評判の「ココア」は、
実はコーヒーの100倍のAGEが含まれる。
◆食べる順序が大事!
食事のときは、
最初に野菜や海藻、
次に肉や魚、
最後に炭水化物…
という順で食べる。
これで血糖値の急激な上昇を防ぎ、
AGEの発生を抑えてくれる。
◆わかめ・昆布(日本が誇る「不老の薬」)
ミネラルやビタミンなどの栄養素が
たっぷり含まれている。
体の酸化や糖化を防いで
新陳代謝を活発にし、
骨も丈夫にしてくれる。
食べ物の塩分を排出して血圧の上昇を抑える働きや、
血液をサラサラにしてコレステロールを減らす働き、
腸内細菌のバランスを整える働きもある。
◆豆腐・きな粉・納豆(ポリフェノール豊富な「畑の肉」)
タンパク質などの栄養が豊富なことから
「畑の肉」とも呼ばれる大豆。
高い抗酸化作用とともに
女性ホルモンに似た働きをする。
肌のくすみ防止や美白、
骨を丈夫にするなどの効果が期待できる。
◆アボガド(栄養たっぷりの「食べる美容液」)
「若返りのビタミン」といわれるほど
高い抗酸化作用を持ち、
細胞の老化を防ぐ。
また、血液をサラサラにしてくれる。
生のままでも加熱してもOK。
1日1/2個程度が適量。
◆りんご(皮ごと食べれば医者いらず)
疲労回復、高血圧、むくみを防ぎ、
腸内の善玉菌を増やし、整腸作用がある。
皮には強力な抗酸化作用がある。
まるごと食べるのがベスト。
◆レモン・酢・ビネガー(糖化の害を半減させる)
新陳代謝を助ける働きや血液をサラサラにして
疲れを取る働き、殺菌作用などがある。
レモンには抗酸化作用の強いビタミンCも
たっぷり含まれているので、
さまざまな生活習慣病を予防し、老化を抑える。
生のレモンがおすすめ。
◆キウイフルーツ(全身をサビから守る果物の王様)
ビタミンC、Eの量は果物の中でもトップクラス。
この2つのビタミンは抗酸化力が強く、
活性酸素の攻撃から細胞を守る。
高い抗酸化力があり、
全身のアンチエイジングや美肌作りを
強力にサポート。
ビタミンC,Eとも熱に弱いため、
生で食べる。
ポルフェノールは皮に多く含まれているため、
まるごと食べるのがベスト。
◆ブルーベリー(「昔の肌に戻す」驚異の再生力)
目の疲れや視力の低下、白内障などの
目のトラブルに効果がある。
活性酸素の害から全身の細胞を守ってくれる。
老化を防ぐだけでなく、
AGEの蓄積によってできたシワやたるみ、
くすみが気になる肌を、
以前の状態に戻してくれる働きがある。
◆にんじん(加齢に抗う栄養素がたっぷり)
抗酸化・抗糖化作用が高く、
アンチエイジング面でも魅力的な食材。
強力な抗酸化作用を持つビタミンAが豊富で、
高血圧やガン、視力の衰えなど、
加齢に伴う病気の多くを防いでくれる。
ビタミンAは加熱して油と一緒にとると吸収率がアップ。
皮の下に多く含まれるので、皮をむかずにゆでたり蒸したりして
油で和える。
◆きのこ類(免疫細胞を活性化させる)
きのの類にはビタミンB群がたっぷり含まれている。
体内での酸化を防いで脂質を燃やし、
疲労を回復させる効果もある。
ガンなどの生活習慣病を強力に防いでくれる。
味噌汁やスープの具材、ホイル蒸しなどがおすすめ。
◆トマト(血管を強くし、若さと美を保つ)
赤い色のもとであるリコピンには、
β-タロテンの2倍、ビタミンEの100倍ともいわれる強い
抗酸化作用がある。
がん予防のほか、
血糖値を下げる効果や
脂肪がたまるのを防ぐ働きも。
皮の部分に多いケルチセンには血管を強くする働きがあり、
動脈硬化などの血管の病気を防いてくれる。
生で食べるのがおすすめ。
◆キャベツ(アンチエイジングの超優秀選手)
健康や美容に効くさまざまな栄養素が含まれる
アンチエイジングの超優秀選手。
抗酸化物質であるビタミンCが豊富で、
とくにビタミンCはキャベツの葉2-3枚で1日に
必要な量をまかなえる。
ガンの予防効果もある。
ビタミンCは加熱に弱く水にも溶けやすいため、
切ったあと水につけるのはNG。
さっと蒸して食べるのがおすすめ。
レンジでの加熱もOK。
◆ブロッコリー(無数の栄養素を含む最強野菜)
粘膜や肌を守るビタミンAやビタミンC、α-リポ酸などの
抗酸化成分を多く含む「スーパー野菜」。
高い抗酸化作用や解毒作用などに加え、
老化の元凶であるAGEが作られること自体を防ぐ。
肝臓の健康を守る働きを持つ。
水溶性なので、ゆでる場合は水にさらさず、
汁ものやスープにするなどしてまるごと食べる。
◆ほうれん草(若さを支える栄養素がぎっしり)
鉄分が豊富。
それ以外にも多くの栄養素を含み、
健康や老化防止には欠かせない食材。
抗酸化作用が強く、
AGEが体のあちこちに蓄積するのを
防ぐ働きがある。
さっとゆで油で和える調理法がベスト。
◆長ネギ・玉ねぎ(血液サラサラのスーパー食材)
玉ねぎ・長ネギにもにんにくと同じような
抗酸化作用や血液サラサラ効果、疲労回復効果などがある。
また、アリシンは
ビタミンB1が体内で持続的に働くのを助けてくれる。
ビタミンB1を多く含む豚肉やきな粉、大豆食品などを一緒にとることで、
AGEによる老化の害を防げる。
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◆にんにく(臭い成分が老化・がんを封じる)
にんにくは、
スタミナやパワーの源になるだけでなく、
アンチエイジング面でも驚くべき力を秘めている。
にんにくのアリシン(※)という成分は、
切ったり刻んだりされて細胞が壊れることで発生する。
高い抗酸化作用で細胞の老化を防ぐ。
疲労回復や体内の悪い菌やウイルスを撃退する効果のほか、
動脈硬化と防いで血液をサラサラにする効果もある。
さらに、発がん性物質を取り除く作用もある。
※熱に弱いのが難点。
油を使う調理法なら加熱しても有効な成分がキープできる。
生のまま薬味などで使うか、炒め物やオイル焼きなどて食べる。
しょうがジュースに一緒に入れるか?
◆しょうが(内蔵から温め、免疫力をあげる)
しょうがは、体を温める食材として知られているが、
実は生と加熱した状態とでは異なるメリットがある。
生のしょうがは、血行をよくするほか、
免疫力を高めたり、酸化を抑える作用がある。
アンチエイジング効果が高いのは、
加熱(※)・乾燥した状態で増加する成分。
生と同じ血行促進・免疫力アップ・抗酸化作用に加えて、
便秘解消、コレステロール値の低下、脂肪の燃焼を助ける、
内蔵を内側から温めるなどが期待できる。
※効果で加熱し続けると別の成分に変わってしまうため、
100度以下の調理がおすすめ。
◆オリーブオイル(40歳からの健康と美をつくる)
40歳を過ぎたら良質な油はむしろ積極的にとりたいもの。
新鮮なエキストラヴァージンオイルがおすすめ。
主成分であるオレイン酸などは、
抗酸化、抗炎症、悪玉コレステロールを減らす作用を持ち、
動脈硬化を防ぐ。
亜麻仁油、えごま油、しそ油もおすすめ。
◆ごま(肝臓を若返らせる)
ごまだけに含まれるゴマリグナン。
これはセサミンなどを含む抗酸化物質の総称。
活性酸素が作られやすい肝臓まで届くのは、
数ある抗酸化物質の中でゴマリグナンだけ。
アンチエイジング効果に加えて
肝機能を回復する効果も明らかになっている。
皮がとても固くて消化が悪いので、
炒りごまのように加熱して食べる。
切りごま、すりごま、練りごまにすれば
さらに吸収率がアップする。
◆「甘くない」糖質にも注意
まず控えたいのが、
和菓子や洋菓子、清涼飲料水などに含まれる
「ブドウ糖」「砂糖」、
バナナなどの果物にたっぷり含まれる「果糖」。
これらは「単純糖質」と呼ばれ、
体に入るとすぐに吸収されて血糖値を一気に上げる。
果糖はほかの単純糖質と代謝の仕組みが異なり、
AGEを発生させる働きがブドウ糖の何倍もあることがわかっている。
果物は優秀なビタミン源だが、
生の状態で適量をとるのが正解。
穀物やいも類に含まれる「でんぶん」を代表とする複合糖質は、
単純糖質ほどではないが、
消化吸収は早く、食べて15分以内には血糖値が上がり始める。
◆糖質を摂らなくても生きられる
老化を防ぐために気をつけたいことのひとつが
「糖質のとりすぎ」。
ではどの程度、
糖質を制限すればよいのか?
結論からいえば
糖質をとらなくても問題ない。
人間の体には糖質をため込み、
必要な量をいつでも供給できる
仕組みが備わっている。
◆酸化・糖化と闘うビタミン
ビタミンCは、
体内の活性酸素と結びついて無害化させる。
柿やいちど、キウイフルーツなどの果物、
ブロッコリーやゴーヤ、ピーマン、芽キャベツなどの野菜、
いも類に多く含まれる。
水に溶けやすく、
たくさん摂ると使われないぶんが尿と一緒に出てしまう。
◆若さの秘密はビタミンB群
ビタミンB1には糖化を抑制したり、
AGEの発生を抑えたりする働きがある。
豚肉、うなぎ、たらこ、ナッツ類に多く含まれるので、
毎日の食事でぜひ積極的に食べてほしい。
ビタミンB6は、
牛や鶏のレバー・牡蠣(かき)・さんま・あさり・にしん
などに多く含まれている。
ビタミンB1以上に
AGEができるのを強力に防いてくれる。
ビタミンB6は若さを保つのに
欠かせない栄養素といえる。
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◆老けない食事の大原則
主食の中でAGEがもっとも少ないのは、ご飯。
AGEは、
魚介類より肉類のほうが多め。
卵はAGEの値が低くてボリュームもあり、
おすすめの食品。
ただし、
目玉焼きはゆで卵の約6倍と、
油で加熱すると一気に量が増えてしまうので、
ゆで卵やポーチドエッグ(落とし卵)、温泉卵などで食べる。
野菜や果物は全体にAGEが少なめ。
ただ、果物の取り過ぎは糖質のとりすぎにつながるので、
量には注意すること。
◆コーヒーは淹れたてを
コーヒーは淹れ方や飲み方、
タイプによってAGEの量が変動する。
もっともおすすめできるのは
淹れたてのブラック。
ミルクを入れるととAGEの量は約4倍、
砂糖を入れると約5倍に。
また、
インスタントコーヒーには
淹れたてのブラックの3倍のAGEが含まれる。
◆魚はお刺身、お肉はしゃぶしゃぶで
生で食べられる食材は
なるべく生でいただく。
野菜は新鮮なものを生のままサラダで、
豆腐も冷ややっこなどで食べる。
ステーキが食べたいときは、
調理時間が短いレアがおすすめ。
◆老化を防ぐ調理法
調理法は
・ゆでる
・蒸す
・煮る
がおすすめ。
◆高温の調理が老化を進める
もっとも危険なのが、
高温で調理すること。
食材のAGEを増やさないためには、
できるだけ生に近い状態で食べることが大切。
加熱しないと食べられない場合も、
加熱は「低い温度でさっと」が基本。
どんな食材でも加熱される温度や時間が高く、
長くなるほど、AGEの量は増える。
◆老化を進める食べ物ワースト3
・フランクフルトソーセージ
・ベーコン
・プライドポテト
◆AGEの量は、
食材そのものに含まれている量だけでなく、
調理方法や食べるタイミング、
食べ合わせによって大きく変わる。
◆「認知症」の原因にも糖化が関わっている。
認知症の約半分はアルツハイマー病によって起きるが、
遺伝性のものは全体のわずか0.1%程度。
それ以外は生活習慣病の
積み重ねによるAGE化が影響する。
◆血管にたまった悪玉コレステロールに
結びついて動脈硬化を引き起こすものこそが、
AGEである。
悪玉コレステロールとAGEが結びつくと、
体に悪いものを排除するマクロファージという細胞に
取り込まれて撃退されるが、
その残骸が動脈の壁に盛り上がるように付着する。
壁についた塊は成長して血管の内側を狭くし、
ときに血の塊(血栓)となって血管を詰まらせる。
つまり、
コレステロールの値が高いのが動脈硬化の原因ではなく、
AGE化したコレステロールがよくない。
◆これまでシミやシワ、たるみなどの老化は、
紫外線などの外的な要因で起こると考えられてきた。
しかし、内的な要因である糖化の進行が
いちばん大きな原因であることがわかってきた。
◆糖化によるAGEの蓄積が進むと、
弾力性や柔軟性を保つ機能が低下したコラーゲン線維が、
ずっと体の中に居座り続けることになる。
コラーゲン線維は全身の骨や臓器、
血管などに含まれ、
体の中にあるタンパク質全体の
およそ3割を占めている。
◆近年、酸化とほぼ同時に起き、
酸化よりはるかに悪い影響を及ぼすことが分かってきたのが「糖化」。
一言でいえば「コゲ」。
タンパク質が糖質と結びついて劣化すること。
・酸化▶体がサビる
・糖化▶体がコゲる
老化の最大の原因は、
酸化ではなく、
糖化によってできるAGE(*)。
これこそが、
人類最大の敵といえる。
※Advanced Glycation End Productsの略語で、終末糖化産物。
ブドウ糖などがタンパク質と結合して生まれる物質の最終反応物。