ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない by 漆原 直行
漆原 直行
1972年、東京都生まれ。
大学在学中からライター業を始め、トレンド誌や若手サラリーマン向け週刊誌などで取材・執筆活動を展開。
これまでにビジネス誌やIT誌、サッカー誌の編集部、ウェブ制作会社などを渡り歩きながら、さまざまな媒体の企画・編集・取材・執筆に携わる。
現在はフリーランスの編集者・記者として雑誌やウェブ媒体の制作に従事…
本書で語られるのは、
ゼロ年代ビジネス書の総括から、
出版業界の裏側、振り回される読者の実態、
ビジネス書との賢い距離感の探り方、
自己啓発・成功本における定番ストーリー解読、
古典的ビジネス書のエッセンスまで…
いわば「ビジネス書の攻略本」ともいえる充実の内容
目次
第1章 ゼロ年代のビジネス書幻想
ビジネス書で扱われるトピックはバリエーション豊富/
ビジネス書は低迷する出版市場の救世主?/
不況だからこそ売れる「ビジネス書」/書き手不足……とはいうものの/
ベストセラーランキングで振り返るゼロ年代ビジネス書の歩み
第2章 ビジネス書の掟と罠
自己啓発系ビジネス書のクラスチェンジ/本の薄利多売戦略を支えるジャンル/
自己啓発・成功本におけるお約束のストーリー/自己啓発のルーツを辿る/
イデオロギーとしてのポジティブシンキング/
『学問のすゝめ』と並ぶベストセラー『自助論』/
もはや教典の域に達した『7つの習慣』/『7つの習慣』のエッセンスを知る/
ビジネスシーンに多大な影響を与える『7つの習慣』/
アメリカ的自己啓発のビッグビジネス/
どこか唐突だった「ライフハック」ブーム/「Getting Things Done」という概念/
ライフハックと自己啓発の類似性/日本におけるライフハックの牽引役とは?
第3章 「ビジネス書」というビジネス
ビジネス書は斜陽産業を支える“優良商材”!?/大手出版社よりも中小出版社に注目/
「良本であれば余計なことをせずとも売れる」という奢り/
売れてしまえばこちらのもの……かもしれないけど/ヒットしている本をパクれ!?/
ビジネス書を書きたがる理由/パーソナルブランディングとしてのビジネス書作家/
ビジネス書作家になりたい人たち/ビジネス書作家エージェント/
コンサルタントの怪気炎/売るための努力を怠らないビジネス書村の住人
第4章 ビジネス書に振り回される人々
年収が高い人ほどビジネス書を読んでいる……とはいうものの/
現場のビジネスマンたちの証言から見えてきたもの/
「どんどん読んでアウトプットせよ!」というアジテーション/
“無い袖”をムリに振ってでも読まなきゃダメ!?/
ビジネス書を読むのは「置いていかれたくない」から/
そして今日も、ビジネス書は不安感を煽る
第5章 “そこそこ”賢いビジネス書とのつき合い方
「意識の高いビジネスパーソン(笑)」のようなもの/「ビジネス書中毒」からの生還/
そもそも、なんのために読むんだっけ……?/結局、本質はいまも昔も変わらない/
スタイルばかり真似したところで……/「自己啓発」という名の麻薬/
「量よりも質」を重視した読書/目次は途中や読後にも読むべし/
内容にツッコミながら読む愉しみ/読むんだったら日本の偉人本・社長本
第6章 ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない
「成功」ってなんなのさ/「いま、目の前にある仕事」を粛々と……/
ビジネス書を書く資格/ビジネス書からの「卒業」

MEMO
ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない
◆有能な実務者、
優れたビジネスパーソンには、
たしかにビジネス書を読んでいる人が少なくない。
でも、ビジネス書を読んでいるから成功したワケではない。
自分なりに目的や問題意識を抱き、
視野を広く持ち、
何事も貪欲に吸収してやろう…
といったことを強く意識しているから、
本もよく読んでいる、
というだけのこと。
そういう人は、
本を読むことに限らず、
誰かの話を聞いたり、
問題や目標に対して
どう取り組めばよいか熟考したり、
失敗をいとわず試行錯誤を繰り返したりという
取り組みを日ごろからしている。
その方策のひとつとして、
読書も取り入れているにすぎない。
◆時間管理のマトリックス
私たちのすべての行動を
「緊急度」と「重要度」という2つの軸によって
4つの領域に分けることができる。
▶第1領域(緊急を要する&重要である)☆
・締切のある仕事
・クレーム処理
・せっぱつまった問題
・病気や事故
・危機や災害
▶第2領域(緊急ではない&重要である)★
・人間関係づくり
・健康維持
・準備や計画
・リーダーシップ
・真のレクリエーション
・勉強や自己啓発
・品質の改善
・エンパワーメント(権限を与えること、自信を与えること、力を付けてやること…)
▶第3領域(緊急を要する&重要でない)
・突然の来訪
・多くの電話
・多くの会議や報告書
・無意味な冠婚葬祭
・無意味な接待やつき合い
・雑事
▶第4領域(緊急でない&重要でない)
・暇つぶし
・単なる遊び
・だらだら電話
・待ち時間
・多くのテレビ
・その他の意味のない活動
◆「7つの習慣」とは?
▶私的成功
・第1の習慣:主体性を発揮する
自己責任の原則。自分の弱点や短所に気づき、それらへのアプローチを変えてみる。「自分を変えよう」という意見を持つこと。
・第2の習慣:目的をもって始める
自己リーダーシップの原則。「こうなりたい」「こうしたい」という自分が望む状態(目的)を想像して、そのためにどうすればよいかを考えていく。
・第3の習慣:重要事項を優先する
自己管理の原則。目的に合わせた時間の使い方をマスターする。重要なことを見極めて、優先順位を把握する。
▶公的成功
・第4の習慣:Win-Winを考える
・第5の習慣:理解してから理解される
・第6の習慣:相乗効果を発揮する
▶再新再生
・第7の習慣:刃を研ぐ
◆デール・カーネギー「人を動かす」で解説される原則
▶人を動かす3原則
・批判も避難もしない。苦情も言わない
・素直で、誠実な評価を与える
・強い欲求を起こさせる
▶人に好かれる6原則
・誠実な関心を寄せる
・笑顔で接する
・名前は、当人にとって、最も快い、最も大切なひびきを持つことばであることを忘れない
・聞き手にまわる
・相手の関心を見抜いて話題にする
・重要感を与える…誠意をこめて
▶人を説得する12原則
・議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける
・相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない
・自分の誤りをただちにこころよく認める
・おだやかに話す
・相手が即座に「イエス」と答える問題を選ぶ
・相手に思いつかせる
・人の身になる
・相手の考えや希望に対して同情を持つ
・人の美しい心情に呼びかける
・演出を考える
・対抗意識を刺激する
▶人を変える9原則
・まずはほめる
・遠まわしに注意を与える
・まず自分の誤りを話したあと、相手に注意を与える
・命令をせず、意見を求める
・顔を立てる
・わずかなことでも、すべて、惜しみなく、心からほめる
・期待をかける
・激励して、能力に自信を持たせる
・喜んで協力させる
◆ナポレオン・ヒル「思考は現実化する」より願望実現のための6カ条
- あなたが実現したいと思う願望を「はっきり」させること。単にお金がたくさん欲しいなどというような願望設定は、まったく無意味なことである。
- 実現したいと望むものを得るために、あなたはその代わりに何を「差し出す」のかを決めること。この世界は、代償を必要としない報酬など存在しない。
- あなたが実現したいと思っている願望を取得する「最終期限」を決めること。
- 願望実現のための詳細な計画を立てること。そしてまだその準備ができていなくても、
迷わずにすぐ行動に移ること。 - 実現したい具体的願望、そのための代償、最終期限、そして詳細な計画、以上の4点を紙に詳しく書くこと。
- 紙に書いたこの宣言を、1日に2回、起床直後と就寝直前に、なるべく大きな声で読むこと。このとき、あなたはもうすでにその願望を実現したものと考え、そう自分に信じ込ませることが大切である。