急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め―ソニー元副社長・大曽根幸三の成功金言53 by 石田 修大
石田 修大
1943年東京生まれ。
67年早稲田大学新聞学科卒、日本経済新聞社入社。
校閲部、社会部、文化部を経て、ウイークエンド日経編集長、文化部長を歴任。
94年より論説委員として一面コラム「春秋」などを担当した。
99年に退社。現在は梁塵社編集長…
ソニーが急成長を続けていた時代、次々とヒット作を世に送り出した伝説の男がいた。
開発畑一筋だった彼がメディアに登場する機会は稀だったが、
彼が開発現場で発した厳しくもユーモアに溢れた数々の名言は、
部下たちによって伝承されていった…
ソニー元副社長・大曽根幸三の成功金言53
目次
第1章 逆風でも帆を上げろ―プロフェッショナル根性論(失敗は闇から闇へ葬れ/新しいアイデアは上司に内緒で作れ ほか)
第2章 市場は探るな、創造せよ―独創的商品開発論(絞った知恵だけ付加価値が生まれる/商品の操作ボタンは3つまで ほか)
第3章 奇人、変人を活かせ―カリスマ的人心掌握術(急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め/小心者ほど言い訳がうまい ほか)
第4章 選択する知恵、捨てる勇気、守る執念―攻撃的経営論(弱点を解決すれば新しい市場が生まれる/選択する知恵、捨てる勇気、守る執念 ほか)
特別付録 ビジネス川柳

MEMO
急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め
◆3現主義(現場・現物・現状)を徹底せよ
仕事をする上では、
現場、現物、現状の3つの「現」を大切にし、
徹底することが大事。
それを3現主義と呼ぶ。
◆無駄にも善玉と悪玉がある
◆100回の講釈より1回の成功体験
◆選択する知恵、捨てる勇気、守る執念
◆情報は意思決定できる人に与えよ!
◆新しい種は育つ畑に蒔け
無理解な上司、
融通の利かない会社にいると、
芽が出る前に摘まれてしまうことになりかねない。
ゼロから1を生み出す人材を育てるのは組織力ではなく、
企業風土であり、
新しいものを創り出す風土がなければ、
決して出てこない。
しかも風土は1代ではできない。
度量の大きなトップが2代、3代と続き、
初代の方針を引き継いでいかなければならない。
◆上司がファジーだと部下はビジーになる
決断力のない上司に限って、
何かを始める前に
「ちょっとデータを取ってみてくれ」
と指示したがる。
部課長には先見性、判断力が必要で、
データなど取るまでもなく、
自身の判断でやるかやらないかを決めればいいのだ。
検討してみろとか、
データがどうのというのは、
責任を回避するための時間稼ぎや
決断の先送りにすぎず、
そのために部下はよけいな仕事を与えられて、
かけずり回らなければならない。
上がファジーだと
下がビジーになる。
リスクの伴わない決断は、
単なる選択でしかない。
◆やる気のある者は可能性から発想するが、
執念のない者は不可能から発想する。
◆目標は単純明快に
多くの機能が付いていると、
一見便利なように見えるが、
かえって用途が混乱し、
顧客層を絞れずに、
売れ行きの伸びないことがある。
目標を単純明快にすることは、
お客にもわかりやすい製品になり、
ヒットに結びつく。
◆石の上、3年たてば次の石
「石の上にも三年」という諺がある。
石の上だって3年も座り続けていれば暖まる、
辛抱すれば必ず成功するという意味だ。
仕事を成功させるために
「石の上にも3年の根性で粘ります」と言われても、
変化の激しい現代で3年などと悠長なことでは困る。
3年もたてば時代が変わってしまう。
ひとつのことに挑戦して、
失敗にもめげず頑張ることは大事だが、
世の中の状況も判断に入れて、
この石はダメとなったら、
すぐに次の石に座り直すことも必要だ。
◆プロは難しいことをわかりやすく説明する
中途半端にしか理解していない素人の説明は、
聞くだけ無駄である。
プロは勘所を心得ているから、
説明に無駄がない。
必要なことだけを誰でも知っている言葉で
話してくれるから、
どんな難しい内容も
わかりやすく聞くことができる。
◆能力の差は根性の差である
どこの大学を出たかなど問題ではないし、
第一、仕事ができるかどうかは知識の量ではない。
仕事に学力は必要かもしれないが、
学歴はまったく必要ないのだ。
愚か者では仕事はできないが、
かといって利口でもダメ、
中途半端はまるでダメ。
仕事で大事なのは執念(しゅうねん)、
こだわりであり、
寝ても覚めても与えられたテーマに
食らいついて離さない根性である。