人間関係をしなやかにする たったひとつのルール はじめての選択理論 by 渡辺 奈都子
渡辺 奈都子
神栄カウンセリングセンター・心理カウンセラー。
日本女子大学文学部教育学科卒業後、1993年よりリアリティセラピーを学び、以来、米国シニアインストラクター柿谷正期、柿谷寿美江に師事。
カウンセリングの領域ではリアリティセラピーを用い、教育、ストレスマネジメント、セルフコントロール等の様々な分野への適用に携わる。
1996年、夫と共に神栄カウンセリングセンターを開設。
1997年、リアリティセラピーのファカルティメンバーとしての国際資格を取得(2012年現在国内最年少講師)。
ビジネスから、教育現場、家庭、恋愛まで世界62カ国で学ばれる今注目の心理学。日本初の一般入門書。
目次
【第1部 2つの島の物語】
第1章 人間関係を決めるたったひとつの違い
・ 異なる心理学を使う2つの島で
・ 人間関係の背後にある2つの心理学
第2章 外的コントロール島の悲劇
・ なぜ「期待」は「コントロール」に変わるのか?
・ 人間関係を破壊する外的コントロール心理学の3つの信条
・ なぜ「相手は私の言うことをきくはずだ」と錯覚するのか?
・ 人間関係を破壊する致命的な習慣とは?
第3章 選択理論アイランドの人間関係の秘訣
・ のびのびと穏やかな日常を過ごすための習慣とは?
・ 選択理論アイランドに移住するための条件とは?
・ ほめてあげれば人は動く……のか?
・ 結局、自分が我慢するしかない……のか?
【第2部 選択理論・超入門】
第4章 自分自身を上手にコントロールするために
・ 人の行動のメカニズム
・ 「怒り」も「落ち込み」も選択している
・ 〈落ち込み行動〉を選択するメリット
・ 怒りのはじまりとセルフコントロール
・ 怒りの習慣から脱出する方法
・ とっさに出る無意識の行動に対処するには?
・ 感情に支配されない自分になるために
第5章 もっと楽になる自分の生かし方
・あなたを駆り立てる遺伝子の正体とは?
<欲求のプロフィールチェックリスト>
・ 欲求の強弱でわかる「あなたが得意なこと&苦手なこと」
・ 〈上質世界〉自分だけの理想のアルバム
・ 欲求は満たさずにはいられない
第6章 より良い人間関係を築くために
・ 人間関係における3つのストレス
・ 快適な人間関係のレッスン1 リクエストの極意
・ 快適な人間関係のレッスン2 相手の〈上質世界〉に入る
・ 快適な人間関係のレッスン3 コントロールしない・されない関係
・ 快適な人間関係のレッスン4 相手の〈上質世界〉を傷つけない
・ 快適な人間関係のレッスン5 愚痴や不満で大切な関係を壊さない
・ 〈外的コントロール〉を手放すために
第7章 自分を幸せにする秘訣
・ 選択理論を実践するということ
・ 自分を変える三つの方法
・ それは、本当のストレス解消か?
・ 過去の犠牲者にならない選択
・ 他人や状況に振り回されない生き方
・ 自分の機嫌に責任を持つ
・ 世界に広がる選択理論

MEMO
はじめての選択理論
◆他人や状況に振り回されない生き方
他人と過去は変えられない。
自分と未来は変えられる。
◆自分を変える3つの方法(選択理論)
- 行動を変える
- 願望を変える
- 見方を変える
※大前研一さんの人間が変わる3つの方法
- 時間配分を変える
- 住む場所を変える
- つきあう人を変える
◆気が合う人を見つけるためには、
自分の「上質世界」に入っているものを
分かち合うことが大切である。
◆アサーティブ(主張的)なコミュニケーション
相手のことを配慮しながら、
自分の伝えたいことを素直に表現する方法。
アサーティブの核となるのは、
「自分も相手も大切にする」ということ。
自分の気持ちや信念を大事にしながら、
その場にふさわしい表現を選ぶ。
◆人が不幸を感じる理由
- あなたがしてほしいことを相手がしれくれない
- 誰かがあなたにしたくないことをさせようとしている
- 前出の両方
- 自分のしたくないことを自分にさせようとしている
◆「自由の欲求」が強い場合
このタイプの人は、
ルールや管理体制の厳しい組織にいると、
とても居心地悪く感じるし、
誰かの指示通りにしなくてはならない
環境ではやる気になれない。
さらには、
時間やお金に縛られることなく、
どのタイミングで何をするのかをすべて自分で
決めることができたら幸せだろう…。
そんなイメージを思い馳せる。
◆「自由の欲求」の強弱から分かること
自由の欲求の特徴は、
・自分で決めたい
・自分で選びたい
・束縛されたくない
というもの。
つまり、
「自由の欲求」は
「自分で自分のハンドルを握りたい!」
と思う欲求である。
◆およそ人を扱う場合には、
相手は感情の動物だと心得ておかねばならない
ナポレオン・ヒル
◆「怒り」は「感情」だが、
「怒る」ことは4つの要素を使っている
「怒り行動」である。
◆「イラッ!」としたり、
「ムカッ!と感じるのは、
大きく分けて2つある。
- 自分のしてほしいことを相手がしてくれないとき
- 自分のしたくないことを相手がさせようとしているとき
◆「落ち込み行動」は、
怒りを抑えるために人間が考えついた
最も強力な方法のひとつである。
◆前輪である「行為」と「思考」が変われば、
少しタイムラグはあるかもしれないが、
必ず「感情」と「生理反応」に変化が生じる。
◆操作できる前輪・直接は操作できない後輪
行動を構成する4要素(行為・思考・感情・生理反応)が
4つのタイヤであると考える。
前輪に「行為・思考」があり、
後輪に「感情・生理反応」が配置されている。
4つのタイヤのうち、
ドライバーが操作できるのは前輪(行為・思考)だけ。
後輪(感情・生理反応)は、
前輪が向かった方向についてくる。
自分の意思で直接コントロールできるものは、
「行為」と「思考」という前輪。
前輪はハンドルを動かすことで向きを変えることができる。
後輪に相当する「感情」と「生理反応」は、
前輪の向きに伴ってついてくるもので、
直接方向を変えることはできない。
つまり、
後輪である「感情」と「生理反応」を変化させるためには、
前輪の「行為」と「思考」を
コントロールしなくてはならない。
◆行動には4つの要素がある
私たちの行動には必ず
「行為」「思考」「感情」「生理反応」
の4要素が存在している。
- 行為:外から見て分かる動作や表情
- 思考:頭の中で考えること、イメージすること
- 感情:快/不快、気分や気持ち
- 生理反応:身体反応、体内のコンディション
◆選択理論
すべての行動には目的があり、
人は自分の行動を自ら選んでいる。
幸福というものは、
私たちが自分の行動に対して、
喜んで責任をとるときに
最も多くやってくる。
◆私は自分だけを変えることができる。
相手(他人)を変えることはできない、
コントロールできるのは自分だけ。
◆関係を良くする「身につけたい7つの習慣」
- 耳を傾ける
相手の話をよく聞く - 励ます
- 尊敬する。敬意を払う
- 受け入れる
「あきらめる」とか「すべてについてOKする」という意味ではない - 違いを交渉する。調整する。話し合う
- 信頼する
- 支援する
「耳は尊く内は紳士」で覚えるとよい
みみ:耳を傾ける
は:励ます
尊:尊敬する
う:受け入れる
ちは:違いを交渉する
しん:信頼する
し:支援する
—————————————-
◆関係を破壊する「致命的な7つの習慣」
- 文句を言う
「うるさい!」「まったくもう」「なんだよ!」「ふざけんな」「はあ?」 - 脅かす
「そんな子はもう知らないよ。置いていっちゃうわよ」 - 責める
「こうなったのはあなたのせいよ!」 - 罰を与える
晩ごはん抜き、小遣いダウン、閉め出す、廊下に立たせる - 批判する
「そんなんじゃダメだよ」
「どうしてそんなこともできないの!」 - 褒美で釣る
「☓☓できたら、○○買ってあげる」
「○○してあげるから、☓☓しなさい!」 - ガミガミ言う
ガミガミ、くどくど、ねちねち…
同じことを繰り返し繰り返し伝える。
「門おせば悲報が」で覚えるとよい。
もん:文句を言う
お:脅かす
せ:責める
ば:罰を与える
ひ:批判する
ほう:褒美で釣る
が:ガミガミ言う
◆私たちは誰かに支配されたとは思わない。
だから、たとえ夫婦でも親子でも、
相手のオーナーになることはできない。
◆外的コントロールには、次の3つの信条がある
- 私は外側からの簡単なシグナルに反応して行動する
これは「電話が鳴ったから電話に出た」「ベルが鳴ったからドアを開けた」「信号が赤だったので止まった」というような考え方を示している。 - 「私は、人がしたくないことでも、自分の思うようにさせることができる」「他の人も、私の行動、思考、感情をコントロールすることができる」
第二信条をわかりやすくすると、「私(相手)が○○すれば、必ず、相手(私)は○○になる」という方程式で説明できる。「私が○○すれば、相手は○○になる」「相手が○○したから、私は○○になった」こう考えていると、自分の人生の舵を自分で握ることができない。これは自分にとっても相手にとっても、自由を失う考え方である。 - 「私の言う通りにしない人をバカにし、脅かし、罰を与える、あるいは、言うことを聞く人に褒美を与えることは正しいことであり、私の道義的責任である」
この第三信条が最も問題で、これによって多くの不幸が起こっている。第三信条には、「私の正しさ」「私の道義的責任」が含まれている。この「私の正しさ」が、「期待」と紙一重であり、いつの間にか変換されてしまう危険がある。
◆選択理論を採用している人は、
「あの人が文句ばっかり言うから、私は1日憂うつでしょうがない…」
とは考えず、
「あの人は文句ばかりだけど、私はできることをして元気に過ごそう」
と考える。
「こんな上司の下じゃ、何をやったってダメだし…」ではなく
「今の状況の中で、自分にできることって何だろう…」
という視点で行動する。
◆外的心理学とは異なる、
もうひとつの心理学がる。
それが「選択理論」である。
こちらは
「人は自分の行動しかコントロールすることはできない」
と捉える理論である。
選択理論では、
「私たちは自分で自分の行動を選んでいて、
その行動には自分なりの目的がある」
と考える。
選択理論では
「人は内側から動機づけられおり、
自分の願っているもの(=目的)を
手に入れるために行動している」
と説明できる。
そして
「自分が相手にしたり言ったりすることは、
数ある情報のひとつに過ぎず、
それに対して、
どんな行動や態度を選択するかは
相手次第である」
と考える。
これは、
自分と相手の立場をひっくり返しても
同じこと。
こう考えると、
自分は他者からコントロールされているわけではないし、
自分も相手も思うようにコントロールすることはできない、
ということになる。
◆私たちは少なからず
「自分のことは自分で決めたい」
「他者から強制・管理されたくない」
と思っている。
なので、
外的コントロールの考え方を土台にして
相手に近づくと、
その人は遠ざかったり、
逃げ出したり、
あるいは「コントロールされないぞ!」
と強く抵抗したりする。
外的心理学のもとでは、
人間関係が悪化したり、
ひどい場合は関係が断絶する
可能性が非常に高い。
◆人間関係のあり方を決める「たったひとつの違い」とは?
ある専門家が、
2つの島の違いについて調べた。
2つの島の人たちを比べてわかったことは、
職業や収入、地位、家柄、学歴には、
ほとんど差がないこと。
しかし、
ひとつだけ大きな違いがあった。
それは、
それぞれの島の人たちが
「信じていること」
が異なっていた、
ということ。
外的コントロール島の人は、
「私は、相手をコントロールすることができる」
と信じている。
それに対して、
選択理論アイランドの人は
「私は、自分だけをコントロールすることができる」
と信じていた。
◆外的コントロールとは
相手を外側から変えようとすること。
選択理論は、
あなたの人間関係を今よりも快適にする
方法を教えてくれる。
外的コントロールの代わりに、
あなたの幸せ支えてくれる。
それは、
したいことを我慢したり、
崖から飛び降りるような
チャレンジが必要な方法ではない。
あなたの普段の生活の中の、
ほんの小さな選択を変えることから
スタートできる。
選択理論を取り入れることで、
頑張りすぎることなく、
自分らしさを発揮して、
強くしなやかな人間関係を
築くことができる。
◆私たちが抱える悩みの90%以上は、
人間関係の問題だと言われいる。
選択理論は、
あなたの人間関係を今よりも
快適にする方法を教えてくれる。
選択理論を取り入れることで、
頑張りすぎることなく、
自分らしさを発揮して、
強くしなやかな人間関係を
築くことができる。