グラッサー博士の選択理論―幸せな人間関係を築くために by ウイリアム・グラッサー
ウイリアム・グラッサー
米国ウイリアム・グラッサー協会理事長、医学博士。
1925年米国オハイオ州生まれ、ウエスタン・リザーブ大学医学部で博士号修得。
精神医療の新しいアプローチ『現実療法』で広く影響を与えると共に、精神科医として幅広い活動を続けている。
公教育に関心を持ち、教育で上質の追求をする改革を試み、『クオリティ・スクール』を著した…
夫婦・親子・教師と生徒・マネジャーと従業員との
上質な人間関係のあり方を明解に説き明かす。
目次
第1部 理論編(新しい生き方/人を動かすもの/心のアルバム/行動のコントロールの仕方/人との関わり方/葛藤の解決の仕方/創造システムの二面性)
第2部 実践編(幸せな結婚生活/信頼される生き方/最高の学校/職場での選択理論)
第3部 応用編(地域社会への応用/自由への道)

MEMO
グラッサー博士の選択理論
◆選択理論の10の原理
- 私たちがコントロールできる行為は唯一自分の行動だけである。
- 私たちが与えることができるもの、他の人から受け取るものはすべて、情報である。
- 長期にわたるすべての心理的問題は、人間関係の問題である。
- 問題のある人間関係は、常に私たちの現在の生活の一部である。
- 過去に起こった苦痛は私たちの現在に大きく関係しているが、この苦痛な過去に再び戻ることは、今、私たちがする必要のあること、すなわち、重要な現在の人間関係を改善することに、ほとんど、あるいは全く貢献できていない。
- 私たちは、遺伝子に組み込まれた5つの欲求、すなわち、生存、愛と所属、力、自由、そして楽しみの欲求によって駆り立てられている。
- 私たちは、上質世界に入っているイメージ写真を満足させることによってのみ、こうした欲求を満たすことができる。
- 私たちが誕生して死を迎えるまでにできることはすべて、行動することである。あらゆる行動は、全行動で、4つの分離できない構成要素、行為、思考、感情、生理反応によって
成り立っている。 - すべての全行動は、動詞、あるいは不定詞や動名詞によって表現され、最も認めやすい要素によって呼ばれる。たとえば、私は、うつで苦しんでいる、あるいは、落ち込んでいる、ではなく、「私はうつ行動を選んでいる」あるいは「私はうつをしている」である。
- )すべての全行動は、選択されたものであるが、私たちが直接コントロールできる要素は
行為と思考だけである。しかしながら、自分の感情と生理反応のコントロールは、間接的には、私たちが行為と思考をどのように選択するかによって行っている。
◆何事でも、
自分にしてもらいたいことは、
ほかの人にもそのようにしなさい。
マタイ
◆ほとんどの人は
多くの自分が望まないことをしている。
たとえば、
多くの女性が虐待されながら結婚生活をしている。
家を出ると事態はもっと悪くなると
信じているからである。
一人になると生活できない、
子供を失う、
もっと虐待され、
命すら危うくなると恐れる。
多くの女性がもう少し我慢すれば
事態が好転するかもしれないと、
希望をつないでいる。
◆世間が使う外的コントロール心理学の簡単な前提は、
「悪いことをしている人は罰せよ。
そうすれば彼らは私たちが正しいということをするだろう。
そして報酬を与えよ。
そうすれば彼らは私たちが望むことをするだろう」。
この考えが地上のほとんどの人の
考えを支配している。
残念なことに、
このコントロールと強制を強力に
もたらす心理学がこの不幸をつくり出していることに
誰も気づいていない。
◆私たちは自分の行為と思考の
すべてを選択している。
間接的ながら
感情のほとんどすべてと
生理反応の多くも
選択している。
◆子供のために親ができる最高のことは、
夫婦がお互いを愛し合うことである。
◆4つの主要な人間関係とは、
夫婦関係、親子関係、教師と生徒との関係、
マネージャーと従業員との関係である。
もし、
こうした人間関係を改善しなければ、
問題を少なくすることはできない。