2050年 衝撃の未来予想 by 苫米地 英人
苫米地 英人
1959年、東京生まれ。
認知科学者(機能脳科学、計算言語学、認知心理学、分析哲学)。
計算機科学者(計算機科学、離散数理、人工知能)。
カーネギーメロン大学博士(Ph.D.)、同CyLab兼任フェロー、株式会社ドクター苫米地ワークス代表、コグニティブリサーチラボ株式会社CEO、角川春樹事務所顧問、中国南開大学客座教授、苫米地国際食糧支援機構代表理事、米国公益法人The Better World Foundation日本代表、米国教育機関TPIジャパン日本代表、天台宗ハワイ別院国際部長、公益社団法人自由報道協会会長…
「2050年」社会構造、政治、経済、戦争、ビジネスほか、
気になるテーマを世界・日本両面から徹底的に紐解く。
目次
はじめに
第1章 2050年の大局観 来るべき時代の姿
第2章 2050年の社会 超格差社会とバーチャル国家が誕生する未来
第3章 世界の支配者とは一体誰なのか? 未来の支配構造を理解する前に概観する
第4章 2050年の勢力図 サイバー独立国の誕生
第5章 2050年の戦争の形 サイバー戦争の先にあるもの
第6章 2050年の生き方術 頭の中に革命を起こせ
第7章 2050年の日本 生き残るには生産性を上げるしかない
巻末提言 トランプ後の世界の行方 アメリカ新大統領誕生で激変する国際情勢

MEMO
2050年 衝撃の未来予想
◆これからの時代の「付加価値」とは、
決して世間がいうようなデジタルなスキルや狭い専門性ではない。
人間が長い歴史の中で培ってきたリベラルアーツを学び、
広く深く人間性を身につけること。
その上で、
やりたいことをやり、
社会のニーズに適った機能を提供できる
人間になっていくことが重要である。
◆コアーシブカルチャー(※)のもとで育った人間は、
十分に自我の発露を促進され、
自我の赴(おもむ)くままに生きる人間に比べて、
その生産性が756分の1にまで低下するというデータがある。
※奴隷を生み出す教育によって、
無意識的にそれを受け入れてしまう文化を
「Coercive Culture(抑圧的な文化)と呼ぶ。
◆一般に生産性を上げるために行うべきとされている努力は、
ほとんどが方向性を誤っている。
人間にしかできない生産性、
それは効率化や最適化だけではたどり着けない、
まったく新しい何かを創造したり表現したりすることである。
◆ソフトバンクの株主構成を検証してみると、
創業者の孫正義氏が約20%を保有しているが、
そこからはキャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント、
JPモルガン、日本マスタートラスト、日本トラスティと、
メガバンクとほとんど同じ面々が並ぶ。
つまり、
ロックフェラーを中心とした
巨大国際外資が掌握しており、
その合計は30%を超え、
株主総会の特別決議成立を
阻止できる3分の1に近づきつつある。
このように日本の名だたる大企業には、
すでに外資が入り込んでおり、
実質上の「外資天国」といっていい水準に達している。
◆MUFJの筆頭株主は
すでにブラックロックを含む外資系ファンドであり、
実質上の外資比率は実に約25%。
普通に外資系銀行といっても過言ではない。
MUFJの名前だけみれば
三菱グループのドメスティックな銀行だと
思い込んでいる人が多いと思うが、
中身はすでに外資系なのだ。
◆限界費用を無視して生産性を無限に上げられるようになれば、
桁違いの資産家が大量に生み出されるようになる。
しかし一方で、
依然として限界費用に縛られた物理的労働を強いられている大多数、
たとえば工場でロボットの管理や整備に携わる人々などは、
相対的に貧困へと追いやられる。
◆2050年の「三種の神器」とは…
・人工知能
・人工知能を脳で直接操作するインタフェース
・遺伝子操作
の3である。
◆現在、人々が常識として疑わない考え方、
ものの見方の多くは、
残念ながら世界の支配者たちによって
刷り込まれた抑圧された思考である。
もし、このまま変わることがなければ、
それこそ悲惨な歴史が繰り返すことになる。
しかし、30年先40年先の未来は、
世界の権力者たちすら把握しきれていない未来。
そこに向かってマインドを変化させていくことこそが、
権力者たちさえも縛るバイオパワー
(人間を抑圧する生権力)の呪縛から脱し、
人間らしく生きるための唯一の方法である。
◆未来を知って、
よりよい未来に変えたいと思うならば、
すでに一部の人たちが描いた現実である
5年後10年後の予想など意味がない。
そうではなく、
少なくとも今まさに開発中の技術の特許が切れる20年先、
さらに、その技術が一般化し、
社会に本質的な変化をもたらす30年先、40年先を
予想しなければ意味がない。