新日本人道 この世界の荒波を私たちはどう生きるか ロシア滞在28年で考えた日本復活への7つの指針 by 北野 幸伯
北野幸伯(きたのよしのり)
国際関係アナリスト。
1970年生まれ。
19歳でモスクワに留学。
1991年12月、現地でソ連崩壊を目撃する。
1996年、ロシアの外交官養成機関である「モスクワ国際関係大学」(MGIMO)を、日本人として初めて卒業(政治学修士)。
1999年、メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」(RPE)を創刊。
あなた自身の人生を劇的に好転させたい人、
日本を復活させたい人のための本…
目次
第1の掟 「和の世界」を創れ
第2の掟 知性によって日本を自立国家へと導け
第3の掟 「理想を目指す」現実主義者であれ
第4の掟 日本の「真の国益」は何かを常に考え行動せよ
第5の掟 常に「大戦略」の視点から物事を見よ
第6の掟 日本を愛し、他国・他民族への尊敬の念を忘れるな
第7の掟 言葉と行動によって日本の名声を高めよ

MEMO
新日本人道
◆日本人が勤勉であることは、
世界中で知られている。
では、
なぜ日本経済は、
30年も停滞しているのか?
それは…
「目標」がないから。
日本人は、
「善良」で「勤勉」である。
だから、
「目標」が設定されれば、
またものすごい勢いで復活を遂げることができるはず。
だから、
「日本の未来は明るい」
と確信している。
◆まっすぐ進む
目標を定め、
戦略を立て、
あとはまっすぐ進む。
この世界は、
善悪論は抜きにして、
「ピラミッド型」になっている。
そして、
ピラミッドの頂上にいる人は、
ものすごく少なく、
プラミットの底辺にいくほど
人の数は増えていく。
人生は、
自分のピラミッドを決め、
頂上に向かって登っていく人にたとえることができる。
上に行くほど、
収入が上がり、
影響力も増し、
業種によっては「成功者」と呼ばれるようになる。
しかし、
ピラミッドの頂上付近まで来て、
いきなり「別のピラミッドに登ってみよう」と言い出す人がいる。
こういう人は、
「別のピラミッドだから、
底辺から登らなければならない」ことを理解していない。
私たちは、
自分が決めたピラミッドを、
ゆっくりとまっすぐに登っていかなければならない。
◆ゆっくり進む
ウサギとカメ、
勝利したのはカメ。
これは、
ただの童話ではない。
「人生の真実」である。
◆あなたの目標と戦略は、
あなたの主敵、
つまり「最重要課題」を明らかにしてくれる。
これが決まったら、
あとは、
できるだけ多くのエネルギーを
最重要課題に集中する。
◆今、日米関係はうまくいっていない…なぜか?
アメリカは2018年7月から、
3ヶ月連続で中国製品の関税を引き上げた。
ここから、
「米中覇権戦争」が本格的に始まった。
そして、
日本は2018から2019年にかけて、
中国との関係を大いに改善させた。
アメリカが中国と戦い、
同盟国日本は、アメリカの敵中国に接近する。
なぜ日本は、
中国に接近しているのか?
これは、
日本側が主導しているのではない。
米中関係が悪化したので、
中国が日本にすりよってきたのだ。
だから、
日本政府は、
「来るものは拒まず」ということで、
中国との関係をよくしている。
しかし、
これは「長期的視点」で考えると
非常に問題である。
中国の戦略は、
日本、日ロ、日韓関係を破壊し、
日本を孤立させること。
日本政府は戦略を忘れ、
日米、日ロ、日韓関係を
冷却化させてしまった。
これはまさに
「中国の戦略通りに動いている」
ことになる。
日本政府が
しなければならないことは何か?
日米関係を、
まずます強固にする。
日ロ関係を、
再び改善させていく。
憤りを抑えて、
日韓関係を修復していく。
韓国については、
「いや、修復したくない」
と感じる人が多いと思う。
この気持は理解できるが、
勝ちたければ、
「戦略に沿った行動」
をとるべきである。
日本の主敵は、
「日本には沖縄の領有権はない!」
と宣言している中国。
なので、
他の問題のある国々、
ロシア、韓国などとは和解しなければならない。
感情的には許せなくても、
「勝つために」「戦略的」に和解する。
◆日本人は不健康になって貧しくなる…なぜか?
日本人は忙しい。
忙しいと、
まともなものを食べるのが難しい。
まともなものを食べないと、
不健康になる。
不健康になると、
仕事もできなくなるし、
家族の負担も増える。
このように
悪循環になるので、
「健康」は大事である。
◆健康について…
健康でいるためには、
しっかり寝ること、
まともなものを食べること、
ある程度運動することが欠かせない。
しかし、
日本人の睡眠時間は100カ国中一番短い。
さらに、
日本の食卓が破壊されている。
たとえば、
米の朝食は4人に1人。
一般家庭のパン支出額は、
米支出額を上回っている。
なぜ、日本人は米よりパンを好むのか?
それは…
「ご飯にすると、
おかずを作らなければならなくなるから、
余裕がないとき面倒」
ということらしい。
朝食に「トーストとコーヒー」だけ出しても、
全く違和感がないのに、
「白いご飯とお茶」だけだと侘びしく感じる。
日本人は、
忙しすぎて、
おかずをつくる時間もない。
さらに、
「味噌汁を食べるのは、週平均2回」
「魚を食べるのは、週平均1回」。
ちなみに、
魚を食べない理由は、
「グリルを洗うのは面倒だから」
だそうだ。
◆個人の「真の利益」とは?
結局、「幸せ」だと思う。
「幸せ観」というのは、
人さまざまだが、
「3つのバランス」ではないかと思う。
- 仕事
- 家族
- 自分(健康)
この3つのバランスをいかにとるかが
幸せにつながるのではないか。
◆民主主義の欠点
- 金権政治になりやすい
- 衆愚政治に陥りやすい(多数の愚民による政治)
衆愚政治を防ぐには、
国民が賢くなるしかない。
国民が賢くなれば、
「真の国益」を実現する政治家を選び、
その政治家は、「真の国益」のために働くはず!?
◆日中関係は、
最近好転している。
なぜか?
これは日本側に要因があるのではない。
米中関係がひどく悪化したので、
中国が日本にすり寄ってきたからである。
日本は、
「中国が親日になったきたから、
私たちも」ということで、
「何も考えず」に関係を改善させている。
長期的視点で考えると、
日本は中国と良好な関係を築くのではなく、
アメリカ、ロシア、韓国(好きとか嫌いは別にして)
と良好な関係を築くべきである。
アメリカは、
「米中覇権戦争」がはじまった途端に、
アメリカの敵である中国に接近する日本を見て、
「裏切り者め!」と思ったに違いない。
なぜ、日本政府は短期的な国益ではなく、
長期的な国益を考えないのか理解できない。
尖閣有事の際には、
アメリカのサポートがなければ、
日本は中国を追い払うことができない。
中国の軍事費は日本の5倍以上で、
日本を破壊し尽くせるだけの核兵器も保有している。
だから、
日本にとっては、
アメリカとの関係こそが最重要である。
◆真の国益を見つけるには…
「平和憲法を守ることが国益」と考える人もいれば、
「憲法改憲こそが国益」と考える人もいる。
「脱原発が国益」と考える人もいれば、
「原発を守ることが国益」と考える人がいる。
どうすれば、
「真の国益」を見つけることができるのか…
それは、
「長期的視点」
で考えるにつきる。
たとえば、
「3K外国労働者」を大量に入れると、
治安が悪化することは、
欧米やロシアの例を見れば明らか。
それで、
移民受け入れ制限を主張するトランプが勝利した。
イギリス国民がEU離脱を望んだの
「移民問題」が最大の理由である。
しかし、
日本だけは、
「さあ、これから移民をどんどん受け入れるぞ!」
となっている。
なぜか、
日本政府が
「長期的に物事を考えていない」
からである。
◆国益とは?
国益とは、
「国の利益」のこと。
メインの国益は2つ、
「金儲け(経済的利益)」と「安全の確保」。
◆お金は、それ自体、
きれいでも、汚くもない。
たとえば、
包丁で美味しい料理をつくることもできるし、
人を殺すこともできる。
要は、「使う人次第」。
お金も同じである。
◆食糧の自立について
あなたが日本の
「食糧の自立」に貢献できることがある。
何か?
それは…
「米を食べること」
朝食をパンからご飯に
変えるだけで食糧の自立を高めることができる。
◆国に必要な5つの自立
- 精神の自立(何事も「心の中からはじまる」)
- 経済の自立
- エネルギーの自立
- 食糧の自立
- 軍事の自立
◆自立 vs 依存
自立のパラダイムは「私」、
依存のパラダイムは「あなた」。
どういう意味か?
依存している人は、
自分自身で物事を決められない。
だから、
「あなた」が主語になる。
一方、自立している人は、
「私」が決定権を持つ。
「依存」と「自立」の決定的違いは、
「誰が決めるか」である。
ちなみに、
日本は「自立国家」ではなく、
「依存国家」である。
◆プーチンは、
「日本は完全な独立国家ではないから、
最終決定権がない」と確信している。
北方領土を返還しない
最大の理由はここにある。
◆歴史から学ぶ…
・日本は、「目標」があるとき発展した。
・日本は、「目標を達成した」と思ったときから転落(衰退)した。
◆アメリカが一番大切にしているものは「自由」。
ソ連は「平等」を一番大切にしていた。
では、日本人が一番大切にしているものは…
「和」である。
◆面白き
こともなき世を
おもしろく
すみなすものは
こころなりけり
高杉晋作