正しい玄米食、危ない玄米食~マクロビをしている人はなぜ不健康そうに見えるのか~ by 鶴見隆史
鶴見隆史(つるみたかふみ)
1948年石川県生まれ。
金沢医科大学卒業後、浜松医科大学で研修勤務。
その後数ヶ所の病院に勤務したが西洋医学の限界を知る。
様々な代替医療を追求していくうち酵素栄養学に出合い研究を始め、鶴見式免疫治療を確立。
2014年から、サプリメントを独自に開発し非常に質を高めたことと、ホルミシスを使ってのやり方(ホルミシスマックスパワー、HSPドーム)を加え、酵素栄養学と相まってさらに向上した治療が可能になった…
日本人が玄米を食べてこなかったのには理由があった!
栄養価の高いスーパーフードは、
炊き方ひとつで毒にもなる…
目次
1章 “玄米”は体に良いが、毒にもなる
2章 玄米はなぜ体によいか、白米と何が違うか?
3章 “米”の民の日本人がなぜ玄米を嫌ったのか?
4章 ちょっと待った!その玄米食は危険です!
5章 発芽玄米はなぜ体によいのか?
6章 正しい玄米の炊き方とは?
7章 酵素と食物繊維で健康は腸からつくる
8章 鶴見式・現代養生訓

MEMO
正しい玄米食、危ない玄米食
◆調理は健康で考える
健康になるための調理法を考えるなら…
生▶蒸す▶ゆでる▶煮る▶焼く▶揚げる
の順番で考えるとよい。
◆長生きしたいなら朝食は抜くか、フルーツだけにする
生理リズムに即した生活
- 朝4時~昼12時▶排泄の時間
- 昼12時~夜8時▶栄養補給と消化の時間
- 夜8時~朝4時 ▶吸収と代謝の時間
◆食物繊維が含まれる食品
- 水溶性食物繊維の食品
フルーツ全般、リンゴ、バナナ、キウイフルーツ、
ワカメ、昆布、もずくなどの海藻、
山芋、こんにゃくなど… - 不溶性食物繊維の食品
玄米(発芽玄米)、全粒の穀物全般、
大豆などの豆類、
ごぼう、サツマイモなどの根菜類、
しいたけなどのキノコ類
◆食物繊維には2種類ある
- 水溶性食物繊維
水に溶けることにより、ネバネバとなり、ゼリー状に膨らむ。このネバネバが、コレステロールや胆汁酸を吸着し、腸から入る量を抑える。コレステロールは増えすぎると血液の中に残り、血管を酸化させる。つまり、血管をボロボロにしてしまう。胆汁酸は、
脂肪を溶かす消化液で、コレステロールからつくられる。ネバネバゼリーが胆汁酸を吸着してしまうと、体はあわてて胆汁酸を作ろうとする。このとき血液中の余分なコレステロールを材料にするため、血液はきれいになる。 - 不溶性食物繊維
不溶性なので水に溶けないが、水分をたっぷり吸収する。水を吸い、数倍から数十倍に膨れ上がる。つまり、「かさ」が増す。腸の中で膨れるため、腸壁を刺激し、蠕動運動(ぜんどう)を高める。腸は収縮し、中にある食べ物の残りカス(便)などを移動させ、排便を促す。このとき、食物繊維は水で膨れているため、便は大きく、柔らかになる。便秘の解消だけでなく、長く腸内に溜まっていた「宿便」を取り除く。
◆食物繊維の1日当たりの目標摂取量は
20~25gとされているが、
できれば30~40gが理想だ。
これくらいの量を摂取しないと、
「良い大便」がしっかりとでない。
◆腸の健康で大切なのが「食物繊維」
食物繊維は炭水化物の一種だが、
強力な消化酵素でも消化できず、
大腸まで到達する。
このため体には吸収されず、
厳密には「栄養素」とは呼べない。
食物繊維は食物に含まれる筋状の物質。
まさに繊維。
その意味では「カス」なのだが、
それが腸に残った老廃物を絡め取り、
排出してくれる。
結果として、
腸の環境をよくし、
全身の健康にもつながる。
これが、
「すべての成人病の根源は、
20世紀の食生活が食物繊維を失ったことにある」
と言われる所以でもある。
◆消化酵素を節約するには?
- 食べすぎない(腹6分目から7分目)
- 1日2食(朝食は抜くか、食べても野菜やフルーツ)
- 夜食は食べない(とくに20時以降は食べない)
- 加熱食ばかりにしない(生のものや低温調理のものを増やす)
- 糖化したものを食べない
- 高脂肪のものを食べない
- 動物性タンパク質を食べすぎない
◆酵素たっぷりの食事とは?
- ロー・フード(生食)
- プラント・フード(野菜と果物)
- ホール・フード(食物を丸ごと食べる。ただし、種は酵素阻害剤なので食べない)
◆「1日3食」は食べすぎ
食べ過ぎると、
消化作業が大変になり、
消化酵素が多く使われる。
つまり、
知らず知らずのうちに、
消化酵素の無駄遣いをしている。
このため「代謝」に回せる酵素が少なくなってしまう。
代謝には莫大な量の酵素が必要となる。
それなのに、
現代の食生活では、
消化に酵素を浪費しており、
代謝に使える酵素が圧倒的に不足している。
こうした状況から身を守るには、
まず少食を心がけ、
代謝に回せる酵素を増やす。
そして、
減っていく酵素を
食べ物によって補う。
◆一生の酵素の量は決まっていて、
加齢とともに減少、減退する。
酵素の減少を防ぐには、
- 体外酵素の量を増やす(酵素の補填)
- 酵素をムダ遣いしない(酵素の省エネ)
が必要となる。
「酵素の補填」には、
生の野菜やフルーツ、発酵食品を増やす。
「酵素の省エネ」は、
酵素がどのように消費されるかを考えればわかる。
体内酵素には、
「消化」と「代謝」の働きがあるが、
この作業に使う労力を減らしてあげればよい。
◆食物酵素は、
生の野菜やフルーツ、
そして味噌や納豆などの発酵食品に多く含まれている。
腸内細菌の酵素は、
食物を発酵させながら、
善玉菌を増やし、
さらに、新たな代謝物も生み出す。
◆代謝の4つの働き
- エネルギーをつくり体を動かす代謝
- 新陳代謝
- 排泄と解毒の代謝
- 免疫力と修復力を高める代謝
◆酵素の種類と役割
酵素には、
大きく分けて2種類ある。
- 体内酵素
- 体外酵素
この2つの酵素は、
その役割によって、
さらに4つに分類できる。
- 体内酵素:消化酵素+代謝酵素
- 体外酵素:食物酵素+腸内細菌酵素
◆酵素とは?
私たちは、
食物を食べ、
それを栄養素に変換することで、
エネルギーを得たり、
細胞をつくったりして生きている。
ことき欠かせないのが「タンパク質」「糖質(炭水化物)」「脂肪」
のいわゆる3大栄養素。
このほかにも「ビタミン」や「ミネラル」などを
含めた5大栄養素、さらには「食物繊維」も
人体を正常に機能させるには欠かせない。
そして、
これらの大切な栄養素がきちんと
働くようにサポートするのが酵素である。
酵素がなければ、
人間は生命活動ができない。
人間の体は、
約100兆個の細胞によって構成されている。
そして、
これら100兆個の細胞は、
それぞれが1分間に100万回の異なった化学反応を行っている。
このとき、
その化学反応が、
正確に、そしてスピーディに行われるように、
細胞に働きかけたり、
手助けしたり、
監視したりしているのが酵素である。
つまり、
酵素は、人体という工場の中で働いている
作業員のようなもの。
◆人間は、
酵素が不足することで病気になり、
酵素が極端に不足することで難病になる。
そして、
酵素が体内からなくなった時点で、
人間は寿命を迎える(すなわち死ぬ)。
◆腸を腐敗させる食物は、
動物性のタンパク質と乳脂肪製品である。
日本人が肉を多食し、
野菜を食べなくなったと同時に、
病気が増えたのは、
このためである。
◆ほとんどの医師は
病人に対して「対処療法※」的な治療しか行わない。
病気になった根本から治そうとしない。
日本に医師の求められるのは、
対処療法ではなく「原因療法・根本療法」である。
※疾病の原因に対してではなく、主要な症状を軽減するための治療。
◆日本人は長寿大国で病気大国
なぜ、
医学が進歩し続けている日本で、
多くの人が病気になっているのか。
それは、
「日本人の生活で、
何がもっとも変わったか?」
を考えてみればわかる。
それは…
「食の問題」である。
◆人間が健康で生きるために、
いちばん大切なものは何か?
それは…
「腸の健康」である。
そして、
腸の健康に欠かせないものが
「酵素」。
さらに、
同じく腸の健康には欠かせないは
「食物繊維」。
◆玄米以外の種の食べ方
小豆と大豆は12時間浸水、
生ゴマは2時間、
生アーモンドや生ナッツ、生ピーナッツは4時間の浸水でアプシシン酸は解除される。
イチゴ、キュウリ、キウイフルーツ、ナス、トマト、オクラは種ごと食べても無害。
ブドウ、リンゴ、ミカン、スイカ、メロンなどの種は絶対食べないこと。
◆玄米を食べるときの注意点
- よくよく噛むこと
- 食べすぎないこと
- 玄米ご飯は、昼食に1杯、夕食に1~1杯半ほど
- 楽しく感謝して食す
- おかずには生野菜サラダを多くし、まずはこれをたっぷり食べてから
- 納豆や豆腐料理は、加えたいおかずの代表
- 漬物、キムチ、ピクルス、らっきょうなども副菜に加えたい
- 魚や肉は食べすぎない
- 玄米ご飯にはごま塩を振ってもよい
- 食後にはフルーツを食す
◆玄米の炊き方(2合を土鍋で炊く場合)
- 玄米を水に浸して17時間おく
- その間に水が濁ってくるので、2回ほど水を切り、新しい水を入れる
- 炊く前に、浸水した玄米をザルに上げて、しっかり水を切る
- 水を入れる。水分量の目安は、玄米の量の1.4倍(2合炊くの場合は500CC)
- 塩を入れ、手で優しく混ぜる(2合炊きの場合、小さじ半分くらい)
- 蓋をして、中火にかける
- 沸騰したら、弱火にして25分くらい(目安)
- 火を止めて、蓋をしたまま、10分ほど蒸らす
- しゃもじでかき混ぜる
※炊飯ジャーで炊くときは、内釜に刻まれたメモリに従う
※海藻類、干しひじき、十穀米、きのこ類、いも類などを入れるとなおよい
◆玄米のアクリルアミドを避ける方法
- 普通の炊飯ジャーで炊く
- 土鍋でコトコト炊く
- 117℃以下の圧力鍋で炊く
- 磁性鍋で炊く
◆玄米の問題と対処法
- 玄米の糠(ぬか)には猛毒の「アプシシン酸(ABA)」が含まれている
- ビタミンなどを吸着・排出する「フィチン酸」が含まれる
- 高圧の圧力鍋で炊くと最悪の糖化物質「アクリルアミド」が出る
- 1と2の害を解除するために水に長時間浸すと「発芽毒」が出る
対策:
- (1)と(2)の害は、17時間以上水に浸すだけ
- (3)の害は、高温になる圧力鍋を使わない
- (4)の害は、2度ほど水を取り替えるだけ