幸せとお金の経済学

幸せとお金の経済学 by ロバート・H・フランク

ロバート・H・フランク

H.J.ルイス講座教授(経営学)。
コーネル大学ジョンソンスクール経済学教授。
ニューヨーク州イサカ在住。
ニューヨーク・タイムズ紙では10年以上にわたり経済コラムを執筆…

収入が増えない時代のコスパ最強の金銭感覚。

他人と比べたとき、
あなたは中流から下流へ落ちていく…

目次

監訳者まえがき――金森重樹

I 収入が増えない時代の幸せとお金の研究序説
幸福にのしかかる経済的圧力の正体 *序文――2013年版
無駄な消費に駆り立てる見えない因子 *序文――2007年版

II 「普通の生活」でもどんどんお金が減っていく理由
第1章 なぜ私たちは同じ答えを選んでしまうのか?
第2章 所得の変化が映すいびつな世界
第3章 幸福の研究が明らかにしたもの
第4章 幸不幸を左右する見えざる手

III 地位財・非地位財でわかる幸せのコスパ
第5章 私たちは身の丈以上にお金を使っているのかもしれない
第6章 ヒトをマウンティングに向かわせるホットシステム
第7章 ダーウィンの仮説で見る地位財? 非地位財?

IV 「平均以下」が私たちを幸せにする?
第8章 より過酷になり、脱落しつづける中間所得層
第9章 その正しい選択が、振り返ると愚行となる
第10章 格差から1人抜け出し、生き残る知恵

V 今、問われている納税者としての金銭感覚
第11章 公共政策を意識すると、私たちの支出も変わる
第12章 生き残るカギは収入と支出のバランス

最後に、日本語版読者へ寄せて――ロバート・H・フランク

幸せとお金の経済学

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MEMO

幸せとお金の経済学

◆消費の多くの領域で「適正」かどうかを決める
基準はかなり流動的で、
あらゆる人の支出が増えれば、
それに応じて基準も変わる。

要するに、
軍拡競争によって全体的な武器の量が増えるのと同じように、
個人消費の多くも互いに相殺している。

シンプルライフの探求

労働時間を短くし、
小さな住宅に暮らし、
高価な車を買わず、
自宅近くで休暇を楽しみ、
高価なレストランでの食事をやめて、
友人たちと自宅で簡単な食事楽しむ…

◆コモンズの悲劇

一部にとって賢明な行動が、
全体にとって賢明な行動とは限らない。

これは、
コモンズの悲劇(※)と呼ばれている。

※共有地を利用者が自由に使うと、
最終的に資源の枯渇を招くという
経済学における法則。

◆逃げ延びるよりも大切なことがある(鹿の角の大きさに学ぶ)

鹿の角はもともとはもっと小さかった。

世代を経るごとに、
少し大きな角を持つ突然変異の鹿が争いに勝ち、
大きな角の遺伝子が次世代に引き継がれた。

つまり鹿の角が、
進化のレースの勝敗を決める要素になった。

角が大きいと何が問題か?

狼などの捕食者たちから
逃げるのに大きな障害になる。

仮に、角の幅を半分にすると
捕食者から逃げやすくなる。

メス鹿を射止められるかどうかを決めるのは、
相対的な角のサイズであって、
絶対的な大きさではない。

しかし深い森で敵から逃げるとき、
絶対的に大きく幅の広い角だと圧倒的に不利である。

小さい角を持つ突然変異の鹿は、
敵から逃げやすいので、
角の大きい鹿は自然淘汰されると思うかもしれない。

でも角の小さい鹿は、
子孫を残せない

子孫を残せなければ、
敵から逃れて長生きできても、
あまり意味がない。

一定の条件を満たした鹿であれば、
大きな角を持っているほうが地位獲得においては有利というのは、
まさに「一部にとっては賢明でも、
全体として見ると愚かなことがある

私たちに示唆してくれる。

◆通勤時間 vs 家の大きさ

  • A:全員が110坪の自宅に住み、渋滞のなかを片道1時間かけて通勤
  • B:全員が84坪の家に住み、電車で10分の職場に通勤

行動科学では、
Bの住民のほうが幸せである。

なぜか?

Aの場合、110坪の住宅は、
必要な住宅の大きさとして、
すぐに普通の感覚になってします。

Bの場合、全員が同じ広さの住宅に住んでいるので、
比較的狭い住宅に住んでいることによる損失がない。

ところが通勤時間については事情が違う。

自分だけが長時間通勤しているか、
全員が長時間通勤しているかは、
あまり重要ではない。

いずれにしても、渋滞のなかを通勤すれば、
満足度は低下する。

まとめると、
地位財(広い住宅)よりも
非地位財(快適な通勤時間、通勤時間の短縮)
を選択したほうが幸福度が増す

◆所得が4倍に増えても幸福度が変わらない日本人

お金と幸せの関係について、
実験に基づいた重要な事実が2つある。

  • 全員の所得が増えた時点で、幸福度に大きな違いは生じなくなる
  • 絶対的な所得が一定の値を超えると、全員の所得が同じ割合で増えても、幸福度はほとんど変化しなくなる

◆4つの命題

  1. 人には相対的な消費が重要だと感じる領域がある
  2. 相対的な消費への関心は「地位獲得競争」、つまり地位財に的を絞った支出競争につながる
  3. 地位獲得競争」に陥ると、資金が非地位財に回らなくなって幸福度が下がる(※)
  4. 中間所得層の家庭では、格差の拡大によって「地位獲得競争」から生じる損失がさらに悪化した

※たとえば、スタジアムで観客はもっとよく見えるようにと思って立ち上がるのに、全員が立ってしまうと、全員が座っていたときよりも見えにくくなる

◆中間所得層はどのようにお金を使うべきか?

中間所得層が限られた収入を地位財の競争に
振り向けるのではなく、
非地位財を意識してそちらにお金を振り向けるほうが、
人間の本能に反するけれども
結局は良い結果になり幸福度が増す。

◆休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、
良質な環境などは地位財に替えがたいものだと深く理解する必要がある。

非地位財に対してお金を配分していくこと。

そのことが不毛な競争的消費に
巻き込まれないことにつながり、
結果的に資産形成への確かなステップとなる。

非地位財へのお金の分配がカギ

私たちは地位財の価値観の世界に
どっぷり浸かっているため、
身近な非地位財、たとえば誰の指示も受けないで
自分の暮らしを決めるという「自由」を満喫し、
自主性」を発揮できることを、
それほど価値あるものとは思わない。

しかし、
視点を変えば、
この「自主性」こそがお金には
代えがたい意義のある非地位財であると
気づくはず。

◆私たちは目の前の地位財という
短期的な報酬を得ようというホットな衝動のために、
非地位財の長期にわたる報酬を犠牲にしてしまいがちである。

地位財という目先の報酬を犠牲にして、
それ自体に価値があり喜びを得ることができる
非地位財という長期の報酬を手に入れる必要がある。

◆地位財 vs 非地位財

  • 地位財
    他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの。
    例(所得、社会的地位、車、家など)
  • 非地位財
    他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの。
    例(休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など)

◆無意識のうちに参戦している
不毛な競争的消費から脱出しないかぎり、
私たちは誰ひとり幸せになれない。

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