「腸の力」であなたは変わる: 一生病気にならない、脳と体が強くなる食事法 by デイビッド パールマター, クリスティン ロバーグ
パールマター,デイビッド
神経科医。米国栄養学会会員。
米国栄養学会の「年間最優秀ヒューマニタリアン賞」や、神経変性疾患の先駆的研究に対する「ライナス・ポーリング賞」をはじめ、数々の賞を受賞。
医学関係のさまざまな出版物に著作を発表し、世界各地で講演を行なっている。
アメリカ全国ネットのテレビやラジオにも出演歴多数…
ロバーグ,クリスティン
健康・医療分野を得意とするライター。
コーネル大学卒
いつものパン、
安い野菜や肉、
化学薬品・抗生物質…
すべての不調は“炎症”から始まる…
目次
第1部 一生の健康を約束する、「腸内フローラ」を育てなさい(人は誕生から死まで「細菌」とともに生きている
恐るべき「炎症」―全身が燃えている
なぜ腸が荒れると、心も不安定になるのか
腸内フローラと食欲、肥満、そして脳の驚くべき関係
自閉症も腸に左右されているのか)
第2部 腸内の細菌たちにトラブルを起こさないために(果糖・グルテン―あなたの健康を破壊する「2つの悪魔」
医薬品・農薬・水道水…―これだけある「腸に有毒かもしれないもの」)
第3部 腸から脳をもっと元気にする「実践プログラム」(気持ちのいい腸内環境をつくる「6つの食べ物・食べ方」
人生最高の頭と体をつくる「サプリメント&7日間メニュー」)

MEMO
「腸の力」であなたは変わる
◆マイクロバイオームを健全にする食品
- 野菜:青菜、レタス、ホウレンソウ、ブロッコリー、キャベツ、タマネギ、カリフラワー、セロリ、アスバラガス、ニンニク、ショウガ、パセリ、キノコなど
- 低糖の実:アボカド、ピーマン、キュウリ、トマト、カボチャ、ナス、レモンなど
- 発酵食品:ヨーグルト、果物や野菜のピクルス、キムチなど
- 体にいい脂肪:エキストラ・バージン・オリーブオイル、ゴマ油、ココナッツオイル、アーモンドミルク、アボカド、ナッツ、種(アマニ、ヒマワリ、ゴマなど)
次にあげるものは、適度(1日1回少量、できれば週に2、3回だけにする)
- ニンジン
- 牛乳とクリーム
- 豆科食物:豆、ヒラマメ、エンドウ
- グルテンが含まれていない穀物:ソバ、米(玄米、白米)、オート麦(グルテンが含まれていないこと)
- 天然の果実:アプリコット、マンゴー、メロン、パパイヤ、プルーン、パイナップルなど
◆腸内を健康にするための6つのカギ
- 「プロバイオティクス」が豊富な食品を選ぶ
「プロバイオティクス」とは、人体にいい影響を与える細菌が豊富なものだ。発酵食品はプロバイオティクスが豊富に含まれている。
・生菌入ヨーグルト
・ケフィア
・キムチ
・ピクルス
・紅茶キノコのお茶(コンプ茶)
・発酵した肉・魚・卵 - 「プレバイオティクス」が豊富な食品を選ぶ
「プレバイオティクス」は、腸内細菌が好んでエサにし、その成長や活動のエネルギーになるもので、特定の食品から簡単に摂取できる。プレバイオティクスはさまざまな食物に自然に含まれる。
・生のニンニク
・生の西洋ネギ
・生の玉ねぎ
・調理した玉ねぎ
・生のアスパラガス
・生のキクイモ
・生のタンポポの葉 - 炭水化物を減らし、良質の脂肪をとる
私たちの祖先は野生動物や季節の野菜、たまにとれる果実を食料としてきた。しかし、現代人の食生活は穀物と炭水化物が中心である。その多くに、腸を破壊し、腸内フローラに損傷を与え、やがて脳にまで影響をおよぼすグルテンが含まれている。穀物や炭水化物の過剰な摂取は毒になる。理由は、血糖を上昇させるからだが、その度合は肉や魚、野菜なの比ではない。糖分をとればそれだけ、たとえ人口甘味料であっても、腸内フローラは病んでいく。糖質が多く繊維質が少ない食生活は、よくない細菌にエサを与え、腸管の透過性を増やし、ミトコンドリアにダメージを与え、免疫系を弱め、炎症を拡大して脳にまで到達する。これがまた悪循環を呼び、細菌のバランスをさらに破壊する。理想的な食事は、野菜が多く(1皿分の3分の2),タンパク質は85グラムから115グラムまでである。肉や食肉加工品はあくまでサイドディッシュで、メインにはしない。脂肪はタンパク質に自然に含まれるものや、タンパク質の料理や野菜を調理するとこのバターやオリーブオイルなど、それにナッツや種(シード)から摂取する。 - ワイン、紅茶、コーヒー、チョコレートを楽しむ
ワイン、コーヒー、チョコレートは適量を、紅茶は好きなだけ飲んでよい。これらには腸内細菌の健康を支える最高の「天然薬」が含まれている。 - 水道水は濾過して飲む
水道水に含まれる塩素なども腸を壊す化学物質である。この弊害を避けるために、浄水器をおすすめする。浄水器を購入するときは、塩素や他の汚染物質を除去するものを選ぶ。 - 季節ごとに断食する
人間の体には、飢餓のときに脂肪を変換して生命維持の燃料にする、という大事なメカニズムがある。脂肪を分解してケトン体と呼ばれる特別な分子をつくるが、そのひとつであるβヒドロキシ酪酸はとくに脳の燃料として優れている。ときどき断食するメリットはここにある。ココナッツオイルを食事に加えるだけで得られるβヒドロキシ酪酸は、抗酸化機能を高め、ミトコンドリアを増やし、新しい脳細胞の成長を促進することがわかっている。この遺伝子経路はミトコンドリアの成長を促す働きが大きいが、この経路にスイッチを入れるのは断食である。
◆運動すれば腸は健康になる
研究によると、
運動は腸内細菌のバランスを改善して
体重の増加を防ぐ。
◆「コーヒーが脳を守る」という研究がある。
報告によると、
コーヒーを飲む人のアルツハイマー病の
発症リスクが大幅に下がったという。
マイクロバイオームの働きにより、
コーヒーが2型糖尿病や心臓発作、
アルツハイマー病、パーキンソン病、
さらには、がんや心血管疾患のリスクを下げる
ことがわかっている。
これは腸内細菌を含む一連の
メカニズムによるものだ。
◆オリーブオイルや魚、亜麻の種(亜麻仁)、
草を食べて育った動物の肉に含まれる
「オメガ3脂肪酸」は、
脳機能を高め、炎症を抑え、
有害なオメガ6脂肪酸と戦って
バランスを保つ。
◆腸内細菌は直接、
体に影響するだけでなく、
脳や神経系全体の健康にもかかわる、
ある種の化学物質を生成する。
また、
腸内細菌は腸壁の強さと耐性も決定する。
そして、
ビタミンB12を含む脳の健康に不可欠な、
さまざまなビタミンも生成する。
B12のレベルが低いと、
うつ病のような神経性の問題はもちろんのこと、
認知症の大きなリスク要素になる。
◆マイクロバイオームとは?
あなたの体には、
自分自身の細胞数の10倍もの
大量の数の生物が住みついている。
これら約百兆の目に見えない生物、
すなわち細菌は、
体の内側も外側も
皮膚のすみずみまで
おおいつくしている。
こうした細菌は大半が
消化管を住みかとし、
人間の健康のおよそあらゆる面を支配し、
支えている。
そして人間の体は
これらの細菌だけでなく、
その遺伝物質とも相互に作用している。
この複雑な体内環境を、
「マイクロバイオーム」と呼ぶ。
「マイクロ」は微細な、
「バイオーム」は大きな住みかという意味だ。