僕らはそれに抵抗できない

僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた by アダム・オルター

アダム・オルター(Adam Alter)

ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスのマーケティング学科准教授。
専門は行動経済学、マーケティング、判断と意思決定の心理学。
『ニューヨークタイムズ』『ニューヨーカー』『WIRED』『ハフポスト』など、多数の出版物やウェブサイトで精力的に寄稿するほか、カンヌ国際広告祭やTEDにも登壇・・・

目次

プロローグ
自分の商品でハイになるな:ジョブズと「売人」に共通する教え

第1部 新しい依存症「行動嗜癖」とは何か
第1章 物質依存から行動依存へ
第2章 僕らはみんな依存症
第3章 愛と依存症の共通点

第2部 新しい依存症が人を操る6つのテクニック
第4章 <1>目標:ウェラブル端末が新しいコカインに
第5章 <2>フィードバック
第6章 <3>進歩の実感
第7章 <4>難易度のエスカレート
第8章 <5>クリフハンガー:ネットフリックスが僕たちに植え付けた恐るべき悪癖
第9章 <6>社会的相互作用:インスタグラムが使う「比較」という魔法

第3部 新しい依存症に立ち向かうための3つの解決策
第10章 <1>予防はできるだけ早期に:1歳から操作できるデバイスから子どもを守る
第11章 <2>行動アーキテクチャで立ち直る:「依存症を克服できなないのは意志が弱いから」は間違い
第12章 <3>ゲーミフィケーション

エピローグ
まだ見ぬ「未来の依存症」から身を守るために

僕らはそれに抵抗できない

僕らはそれに抵抗できない

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MEMO

「依存症ビジネス」のつっくられかた-僕らはそれに抵抗できない

◆ネットフィリックスが生んだ「ビンジ・ウォチング」という依存症

ドラマなどを何話もぶっとおしで観る
ビンジ・ウォチングという行為はすでに存在していた。

だが自動再生機能の導入後は、
これがエスカレートしている。

ビンジ・ウォチング依存症の人は、
番組のファーストシーズンを4日間から6日間ほどで観終わる。

通常、
連続テレビ番組の1シーズンは数ヶ月にわたって放送されるものだが、
それを1週間以内、1日平均2~2時間半というスピードで観ていく。

多くの人は、
ネットフィリックスのせいで、
(特に自動再生機能のせいで)
一度に1話ずつ観ることができなくなったと訴えている。

こうした傾向が生じた理由は、
クリフハンガー)が強い魅力をもつからであり、
それに加えて停止規則がなくなったからだ。

1話の終わりから次の話までを
区切る壁がなければ、
やめる理由がなくなってしまう。

:クリフハンガーとは作劇手法の一つで、
劇中で盛り上がる場面、
例えば主人公の絶体絶命のシーンや、
新展開をみせる場面などを迎えた段階で
結末を示さないまま物語を終了とすることである。

—————————-
2歳未満の乳幼児は
テレビその他の娯楽メディアに
触れさせるべきではない。

子どもの脳は
この時期に急速に発達する。

スクリーンではなく、
人と接することによって、
幼い子どもはもっともよく学習する。

◆2歳まではスクリーンに接するべきではない

子どもが体験する交流は、
直接的で、人を相手にして、
実感のあるものでなくてはならない。

生まれてから最初の2年間が、
その後の3歳から4歳で、
7歳から12歳で、
さらにそれ以降の年齢で
世界と向き合う方法の基準になってしまう。

子どもには睡眠と、
身体を動かす活動と、
家族と過ごす時間と、
自分の想像力を使う時間が必要となる。

◆テクノロジーが子どもの
コミュニケーション能力を貧弱にする

多くの子どもが(大人も)通話よりテキストメッセージの
やりとりを好む。

口で話すよりも、
伝えたいことを調節しやすいからだ。

SNSなどの返答で使う記号「w」や「!」の数(※)を
数えればいいので、
誤解を恐れてリスク回避型のコミュニケーションをとるなら、
テキストメッセージが理想的だ。

しかし大きな欠点として、
テキストメッセージの会話では、
言葉にならないもが偶然的に生じたり、
曖昧なものを許容したりする余地がない。

話すときの「間」や、
声のピッチを意識することもないし、
思わず吹き出したり、
鼻で笑ったりという動作が混じることもない。

非言語的な手がかりが存在しないので、
それらを読みとらなければならない対面の
コミュニケーションではどうすればいいのか、
そのスキルを学ぶ機会が奪われている。

顔を合わせたコミュニケーションが必須である理由は、
それが子どもにとって、
自分の言葉が他人にどう響くか知る唯一の方法だから。

※ジョークに対して「w」「ww」「www」と返したり、
叫びたい気持ちを伝えたいなら「!」
大声でわめく意味にしたいなら「!!」か「!!!」を使う。

こうした記号には数学的正確さがある、
「w」や「!」の数を数えればいい。

◆初期の適度な苦労が財産になる

あらゆることを簡単にするデバイスをもたせることで、
大人が子どもから苦労の体験を奪ってしまうのがどれほど危険か、
まだ何もわかっていない。

◆デジタル断食

現代の8歳から18歳の平均的児童は、
1日の3分の1を睡眠に使い、
さらに3分の1を学校で過ごし、
残りの3分の1をスマホやタブレットやテレビやパソコン
を通じて新しいメディアに接する時間として使っている。

顔を合わせて他人と交流する時間よりも、
スクリーンを介してコミュニケーションをする
時間のほうが長い。

この傾向が人間にをさせていることが
浮き彫りになっている。

人と接触せずに育った子どもは、
感情の手がかりを読み取る方法を学ぶ機会がない。

成長期に孤立した状況に置かれたせいで、
他人との交流が苦手になり、
生涯ずっと苦戦しつづける場合もある。

子どもが子ども同士で遊ぶ時間は、
互いのフィードバックを通じて
感情を読み取る能力を身につける時間でもあるのだ。

相手が玩具を差し出しているのは
一緒に遊びたいからなのか、
それとも玩具でぶつつもりなのか、
表情を見て察する。

そうした体験が学びになる。

光る画面を眺めて生活の3分の1を過ごすよりも、
他の子どもと一緒に自然環境の中で過ごしたほうが、
社会的相互関係の質を高める作業を上手にこなせようになる。

◆人間は完了した体験よりも、
完了していない体験のほうに、
強く心を奪われる。

これが「ツァイガルニク効果」呼ばれる現象だ。

ツァイガルニク効果は日常のあらゆる場面に見つかる。

たとえば、
頭の中で同じメロディが何度もしつこく流れて
止められなくなる経験は、
誰でも覚えがあるだろう。

◆「ウェアラブル端末」に追い立てられる人々

ウェラブル端末は、
運動を数値にして常に最新のデータを表示する。

こうした装置の多くは、
目標値を提示したり、
ユーザーに自分の目標を設定するように促す。

よくある目標値は距離や歩数だ。

こうしたデバイスが危険なのは、
数字に集中していると、
身体の声に耳を済ますことができないこと。

それは「目標」に依存しているのであって、
自分自身と向き合う運動ではない。

能動的に考えず、
ただ自動的に数字を追いかけるだけで、
自分の意思決定をデバイスに外注している。

理想としては、
数字で計測しにくい目標をもつほうが健康的だ。

心拍でも歩数でも、
とにかく何かをモニタリングするデバイスを
所持するのは危険なことである。

◆メールはまるでゾンビだ

いくら殺しても次々襲ってくる。

インボックスゼロ」を実現するために、
人は職場で過ごす時間の4分の1をメール対応に使っている。

そして平均して1時間に36回メールをチェックする。

◆メールをチェックせずにいられない現代人

あなたは仕事のメールを
どれくらい長く未読にしておけるだろうか。

答えはたった6秒だ。

仕事用メールの70%
受信から6秒以内に読まれている。

だが人は、
その短い6秒も待てずに、
そのときしていた作業を放り出して
メーラーをクリックし受信メールを読まずにいられないのだ。

この破壊力は大きい。

メールのために中断した作業に
集中力が戻るまで25分かかると言われている。

仮に1日の中で均等な間隔で25通のメールを開くとしたら、
理論上、生産性を最大限に発揮する時間はゼロということになる。

解決策は、
新着メールの通知機能をオフにして、
メールのチェックの頻度を下げることだ。

現代人の多くが、
「インボックスゼロ」という過酷な目標に
追い立てられている。

◆現代生活で「目標」から逃れることは、
難しくなる一方だ

インターネットを覗けば、
目標がたくさん見つかる。

そしてウェラブル端末が、
目標への道のりを簡単に、
かつ自動的に計測してくれる。

現代人は、
新しいメールが来れば、
反応せずにはいられない…

そのせいで生産性が落ち、
心の平穏が破られるとわかっていても。

◆現代の生活を支配する「目標」という呪い

目標というものは昨日今日に生まれた概念ではない。

この地球と同じだけの歴史があるといっても過言ではない。

では現代は何が変わったのかといいえば、
人の生活が目標追求に支配されるようになったことだ。

◆人生に大きな目標を掲げると、
それ自体が人間にとって多大なストレス源となる

目標が失敗すれば失望するし、
成功すれば次を目指さねばならず、
結局心の休まるときがない。

しかも現代において、
このがんじがらめの苦しさは、
過去とは比べ物にならないほど強くなった。

現代は目標追求文化の時代だ。

目標設定ありきの考え方には
マイナスの要素が多い。

にもかかわらず、
この慣習は過去数十年ほどで拡大する一方だ。

◆私たちはブルーライトに睡眠を阻害されている

そして起きているときは、
ノートパソコンやタブレット、
スマホを取り憑かれたように操りながら、
まさに典型的な行動嗜癖(しへき)の悪影響をこうむっている。

◆通常は、
脳の奥深くにある松果腺(しょうかせん)と呼ばれる小さな器官が、
夜中にメラトニンというホルモンを分泌する

メラトニンは眠気を誘うので、
時差ボケ対策としてメラトニンのサプリを摂取する場合もある。

ところがブルーライトが目の奥に刺激を与えると、
この松果腺がメラトニン生成をストップするため、
身体は昼間の活動に向けて準備する。

◆成人(18歳から64歳)の95%が、
光を出す電子デバイスを入眠まので1時間に使っている

そのうち半分以上が、
真夜中でもメールが来れば確認する。

また成人の60%は寝ているあいだも
スマホを枕元に置く習慣があり、
おそらくそのせいで、
全体の50%が「常にテクノロジーと繋がっているのでよく眠れない」
と答えている。

◆世界でもっとも猛威を振るう現代病とは?

糖尿病でも肥満でもない。

今、私たち直面しているのは
慢性的な睡眠不足である。

そして、
この睡眠不足にもっとも影響を与えているのが
スマホである。

◆現代人は毎月ほぼ100時間
スマホに使っている

平均寿命で計算すれば、
なんと11年分に相当する。

スマホは
現代人から時間を奪うものになった。

◆「スクリーン漬け」の現代人

現代人の1日のスマホ使用時間は平均は3時間くらい。

そしてスマホを手に取る回数は、
平均して1日39回くらいと言われている。

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