幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない

幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない by ラス ハリス

ハリス,ラス
医師で心理療法士であり、ストレスマネージメントの権威でもある。

自らもアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)によって不安との戦いを乗り越えた経験を持つ。

国の内外を旅して、人生のコーチや心理学者、医者、その他の医療関係者にマインドフルネスの利用方法を指導するワークショップを行っている。
英国生まれで現在はオーストラリア・メルボルン在住…

「幸福になりたい」と願う心があなたを幸福から遠ざける。
「マインドフルネス」で、
自分の身体や気持ちの状態に気づく力を育てて罠から抜け出そう。

目次

第1部 なぜ幸福の罠を仕掛けてしまったのか
第1章 幸福の罠を支える4つの神話
第2章 なぜ悪循環が生まれるのか

第2部 あなたの内面世界を変える
第3章 6つの基本行動原則
第4章 心は偉大なストーリーテラー
第5章 思考は単なる物語である
第6章 脱フュージョンがうまくいかない時は
第7章 恐怖のイメージをやりすごす
・・・

第3部 生きるに値する人生を創造する
第24章 心の奥底で望んでいること 価値
第25章 価値を見つけるための質問
第26章 価値が見つからない時は
第27章 目標をうまく設定する
第28章 求めるものは富か価値か
・・・

幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない

幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない

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MEMO

幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない

◆覚えておくべきことは、
どんなに苦痛でもすべての危機は成長の機会であり、
心理的柔軟性を鍛えてくれるということだ。

危機が訪れた時、自分に尋ねよう。

「これによってどんなふうに成長できるだろうか?
学べることは何だろうか?
どんなスキル、知識、性格の強みを伸ばせるだろうか?」

◆古くからのことわざにこんなものがある。

「目的地を決めなければ、
今自分が向いている方向に行くだけだ」。

意味ある人生を送るためには
目指す方向が必要だ。

そしてあなたの心の奥底には、
それを示してくれる「価値」がある。

価値をガイドにしよう。

目的意識を掘り下げよう。

意味ある目標を設定し、
それを精力的に追い求めよう。

同時に、
自分がすでに持っているものにも
感謝を捧げよう。

これはとても重要だ。

なぜなら今あなたに与えられているのは
現在この瞬間だけだからだ。

過去は存在しない。

それは現在の記憶以上のものではない。

未来も存在しない。

それは現在の思考やイメージでしかない。

あなたにあるのは現在この瞬間だけなのだ。

それを最大限に活かそう。

今何が起こっているかに注意を払おう。

それらを最大限に味わおう。

最後に覚えておいてほしい。

「人生は、
与えられたものを最大限に活かす者に
もっとも多くを与える」のだ。

◆自分ができることに集中する

あなたが何に挑戦しようと、
自分がコントロールできることに集中すれば、
最高の結果を引き出せる。

反対に、
コントロールできないことに集中すると最悪の結果を招く。

では、コントロールできることとは何か?

主に2つある。

自分の「行動」と、注意を向ける「方向」だ。

思考や感情が何を訴えてこようと、
行動はコントロール可能だ。

自分の注意をどのように方向づけるか、
つまり、何に集中するか、
心を開き、対象に興味を持って受容的にそうするかどうかなどは
コントロールできる。

逆に、行動や注意以外のことは
ほとんどコントロールできない。

従って、エネルギーを行動と注意に注ぐことが正しい策となる。

自分が価値を置くことをしよう。

現在の行動に没頭しよう。

そして行動がもたらす効果に注目しよう。

自分の価値に沿った行動をすれば、
それがどんな些細なものだろうと、
あなたは豊かで意味のある人生を作り上げているのだ。

◆人生の成功は自分の価値に沿って生きることだ

自分の目標を達していようがいまいが、
あなたはすぐに成功できる。

価値に従ってさえいれば、
満足は今この場所、この瞬間に与えられる。

そして他の人々からの承認を求める必要もない。

価値に沿って生きるのは目標を諦めることではない。

だが、視点を変えるだけで、
また手に入っていないものを追い求める人生ではなく、
今持っている物を楽しむ人生に切り替えられる。

◆価値との乖離(かいり)

価値を明確にするだけでは十分ではない。

あなたは常にそれとつながっていなければならない。

心の中で一番重要なものは何かを知り、
それをしばしば思い起こす必要がある。

また、目標は価値に沿ったものでなければならない。

これらを行おうと行動のための動機やインスピレーション、
行動の意味などを得ることができる。

だがあなたが価値と離れていると、
いとも簡単にやる気を失い、
あきらめ、脱線してしまう。

深い部分の価値から離れるほど、
目標は的外れで意味の薄い、
取るに足らないものに感じられる。

解決法は何か?

価値とつながることである。

◆もしあなたが目標に注目する人生を送るなら、
何を得ようと十分ではない。

だが、価値に注目すればそうはならない。

なぜなら、どのような状況だろうとあなたの価値は
常にそこにあるからだ。

目標を達成できないために惨めさを感じているなら、
次のことをするとよい。

まず目標の奥にある価値を見つけ、
次に自問する。

「今すぐ私ができる、
価値と一致した小さな行動は何だろう?」
そして、行動する。

あなたの価値はいつもあなたと共にあり、
なくなることはない。

価値に忠実であることは
通常大きな見返りを伴う。

あなたが価値をいつくしむほど、
充実感も大きくなる。

◆お金ではなく価値に沿った生き方

心理学者(A)とクライアント(B)との会話…

クライアントは30代のビジネスマンで、
良い収入を得ていたが、
もっと稼ぎたいという思いにとりつかれていた。

常により豊かな知人と自分を比較し、
惨めな気分に浸っていた。

A:ほんとうの望みは何なんだ?

B:正直なところ、半端ない大金持ちになりたんです。

A:いいだろう、じゃもし君が「半端じゃない大金持ち」だとしたら、どんなことが可能になる?

B:そりゃもういろんなことが。

A:たとえば?

B:世界旅行とか。

A:その旅行で何をするんだい?

B:ビーチでのんびり過ごしますよ、あとエキゾチックな国々を探検するのもいいですね。

A:では、ビーチでブラブラすることの価値は何だい?

B:リラックスすることですよ。心を落ち着けるにはもってこいです。

A:エキゾチックな国々を訪れることにはどんな価値がある?

B:新しい人々と知り合えるし、新しい料理を味わい、異国のアートや工芸品を発見できます。

A:わかった、一つはっきりさせておこう。私は君に自分の目標をあきらめろと言っているわけじゃない。どうしても金持ちになりたいなら、そうすればいいと思う。というか、そうなる方法についてブレインストーミングしたっていいくらいだ。だが私としては、君が金持ちにならなければという思いにとりつかれて満足を得られず、あと十年を惨めに過ごすのを見たくない。君は「リラックス」と「心を落ち着ける」ことが自分の価値に沿った行動だと認めた。金持ちにならなくてもリラックスして心を落ち着ける方法はそれこそ星の数ほどある。熱い風呂に浸かるとか、音楽を聴くとかヨガをするとか。

B:ええ、でも私はビーチでボーッとしていたんです。

A:分かるよ。そのためにお金を稼いでピーチの週末を計画したいというわけだね。しかしリラックスして満足するために金持ちになる必要はないだろう。
その気になれば毎日できることだ。他の価値にしても同じことだ。たとえば、エキゾチックな料理を味わうことが君の価値に合うなら、なぜ今そうしなんだ?

B:まあ、多分エスニックレストランに行くことはできますね。

A:そうだよ。エスニック料理の本を買ってくるのもいい。

B:でもそれは異国で現地の食べ物を味わうのとは違うでしょう。

A:私も同じだとは言っていない。ただエキゾチックなな料理を食べることが君の価値に沿っているなら、金持ちになって世界を旅できるまで待つ必要はないということだ。人々が知らないアートや工芸品に関しても同じだ。いますぐそれを鑑賞したいなら、まず何をすればいい?

B:アートギャラリーに行くとか?

A:その通りだ。あるいは美術館や地元のアートフェアに行くとか、本を読んだりインターネットでリサーチすることもできる。

B:ええ、でもそれとはちょっと違うと…

A:分かってるよ。もし君が海外に行きたいならお金をためて計画することは必要だ。私が言いたいのは、君がリラックスや変わった料理や珍しい芸術に価値を置いているなら、今すぐそれらを楽しむことは可能だということだ。それらを心待ちにするような人生を送る必要はないんだ。さて、金持ちになるとう目標に戻ろう。それが重要なその他の理由は?

B:人々の尊敬が受けられますね。

A:うん、必ず尊敬されるとも限らないと思うが、まあそうだとしよう。人々の尊敬を受けることがどうして重要なんだい?

B:より良い扱いが受けられますからね。大事にしてもらえます。

A:では人々が君により良く接し、大事にされ、敬(うらやま)われるとしよう。そこから何を得られる?

B:もっと気楽にくつろげると思います。そうなったら人々に自分を印象づけようとして努力する必要もなくなるし。ありのままの自分でいられます。

A:つまり君の本当の価値はありのままでいることなんだね?100パーセントの自分自身で。

B:ええまあ。自分自身でいたんです。

A:よし、では君は今100パーセントの自分でいられるかい?それとも金持ちになるまで待たなければいけないのかね?

B:金持ちになった方がそうなるのが簡単でしょうね。

A:多分そうだろう。だが完全な自分自身になるのに、金持ちになるまで待つつもりかい?

B:本当の自分になったとして、人々に好かれなかったらどうしたらいいんです?

A:金持ちだという理由で君を好きになるような人々と友情を築くことに人生を費やしたいかね?

B:いいえ。

A:ではどんな友人関係を作りたい?

B:私が自分のままでいられる友人関係です。あるがままの私を完全に受け入れてくれるような。

A:よし、では君の価値があるがままの自分でいることだとして、今ある人間関係の中でそれをすぐに始めてみてはどうかな?自分に言ってみるんだ、「真の自分にちょっとでも近づけるような小さな言動、行動は何かな?」

クライアントは人生の満足を得るためには
金持ちになるべきだと信じていた。

だが、その後徐々に価値に沿って生きるようになると、彼は深い満足感を得ることができた。

もちろんお金とビジネスを追求しながら…

◆富と価値

家を買うことは目標だ
(それは実現可能な目標で、
実現したらリストから消える)。

しかし、家を買うには長い時間がかかる。

もしあなたが家を買うまでは
豊かで満ち足りた人生を送れないと考えるならば、
あなたの人生は惨めなものになってしまう。

自分に尋ねてみよう。

「この目標は何のためのものか?
どのような『真の意義』を実現できるのか?」
答えが「家族に安心をもたらすこと」であれば、
その奥にある価値もおのずと理解できる。

「家族により良い生活をさせる」である。

そして、家族により良い生活をさせることは今すぐ可能で、
多くの方法を思いつけるだろう。

ヘルシーな夕食を料理する、
子供に本を読み聞かせる、
伴侶を抱きしめるなどだ。

もちろんあなたは目標を諦める必要はない。

家が欲しければ貯金を始めればよい。

しかし、家を買うまで家族を大切にすることの
喜びをおあずけにする必要はない。

◆価値を見つけるための質問

  1. 人間関係
    ・どのような人間関係を築きたいと思っているか?
    ・こうした関係の中でどのようにふるまいたいか?
    ・どんな個性を育てたいか?
    ・あなたが「理想の自分」であったとしたら他者にどんな風に接するか?
    ・これらの人々のうち何人かと一緒に、一生続けたい行動は何か?
  2. 仕事・教育について
    ・職場、あるいは学校に、自分のどのような資質を持ち込みたいか?
    ・「理想の自分」になったら、同僚や従業員、顧客や依頼人、同級生にどのように接したいか?
    ・職場や学校でどのような人間関係を築きたいか?
    ・どのようなスキル、知識、資質を開発したいか?
  3. 個人的成長・健康
    ・どんな活動を始めたいか、あるいは再開したいか?
    ・どんなグループや組織に入りたいか?
    ・自分のライフスタイルをどんなふうに変えたいか?
  4. 余暇
    ・どんな趣味、スポーツ、レジャーに参加したいか?
    ・健康的かつ人生を充実させるやり方でどのようにリラックスし、緊張を解き、楽しんでいきたいか?
    ・どんな活動に参加したいか、あるいは何を今以上に行いたいか?

◆価値とはあなたが人生で
どのようにふるまいたいか、
どのように世界と、他者と、
そして自分自身と関わりたいかについての、
心の最も深い部分から来る欲求なのだ。

価値はあなたが何をしたいか、
どのようにそれをしたいか、
友人や家族、隣人、自分の体、環境、
仕事などに対し、
どんな態度で接したいかを決める。

◆価値を発見するシンプルなエクササイズ

自分が80歳になったつもりで、
人生を今日1日の出来事のように
振り返ってみる。

  • 私は…を恐れるまりに多くの時間を費やす過ぎた。
  • 私は…のようなことにほとんど時間を使わずにきた。
  • もし時を戻せるなら、今までやらなかったことで、何をするだろうか。

◆生きる意味を見出した人は、
大抵のことは耐えられる

フリードリヒ・ニーチェ

◆価値と目的

価値は私たちが目指す方向であり、
終わりのない進化のプロセスだ。

目標は望んでいる成果であり、
達成可能なものである。

愛に満ちた気遣いのある
パートナーになることは価値のひとつだ。

それはあなたの人生おける
終わることのないプロセスだろう。

たとえば結婚することは一つの目標だ。

達成されればそれで終了であり、
目標リストの中から消去される。

価値とは、
西を目指して旅するようなものだ。

どこまで行こうと西はさらに向こうまで広がっている。

一方、目標は山や川のようなものだ。

そこに行ってしまえば、
それで目標達成なのだ。

より良い仕事に就きたいというのも目標だ。

仕事を得たら目標は達成だ。

しかし、全力で仕事がしたい、
細かい点まで注意を行き届かせたい、
同僚の助けになりたい、
親しみを込めて顧客に接したい、
仕事に没頭したいなどの望みは、
価値からくるものだ。

◆価値とは何か

価値とは次のようなものだ。

  • 心の中のもっとも深い欲望。
    何になりたいか、どんなものを支持したいか、
    世界とどのように関わりたいかなど
  • 人生を通して私たちを導き動機づける主要な原理

◆ACT(アクト)

  • A=Accept: 思考と感情を需要する
  • C=Connect: 自分の価値とつながる
  • T=Take effective action 効果的な行動をする

◆フュージョン(融合)とは何か?

「フュージョン」とは、
何かが混ざり合い混合することを言う。

2枚の金属が融合した状態を考えてみよう。

2つはしっかり混じり合っており、
分けることはできない。

ACTにおけるフュージョンは、
思考と、それが指し示すもの(物語と実際の出来事)
が混じり合い一つになった状態を指す。

フュージョンの状態では、
私たちは次のようにふるまう傾向にある。

  • 思考を、今ここで本当に起こった現実のように感じる
  • 思考を真実であると信じ込む
  • 思考を真剣に捉え、最大限の注意を向ける
  • 思考を命令と考え、自動的にそれに従う
  • 思考は賢いもの、全知であるとされ、そのアドバイスに従う
  • 思考は脅迫になり得る…ある種の思考は私たちをひどく動揺させ、震え上がらせる。
    そしてそれを取り除く必要を感じる

◆6つの基本行動原則

ACTは6つに行動原則からなる。

  1. 脱フュージョン
  2. 拡張
  3. 接続(つながる)
  4. 観察する自己
  5. 価値の確認
  6. 目標に向かっての行動

◆ACT(アクト)には決まり文句がある。

「解決しようという努力が
問題を作り出している!」

◆「幸福」という言葉は
2つの異なる意味を持っている。

一般的には「気分が良い」というもの。

言い換えれば、
喜び、嬉しさ、感謝などの感覚を
味わうことだ。

もう一つ、
あまり一般的にない方の幸福の意味は、
「豊かな、満ち足りた、意味ある人生」だ。

私たちが心の底から重要と考える問題に対して行動を起こす時、
価値があると思う方向に動き出す時、
人生を通じて信じるものを明確化し、
それに従って生きる時、
人生は豊かで満ち足りた、
意味あるものになり、
私たちの生命の力強い感覚を経験する。

◆現代の私たちの心が
「より多く、より良く」
を求めるのも無理はない。

もっとお金を、
良い仕事を、
より良い地位を、
素晴らしい肉体を、
愛を、素晴らしい伴侶を…。

運良くそれらを得ると
私たちは満足する。

ほんのしばらく間は。

だが遅かれ早かれ(大抵すぐに)、
私たちはもっと多くを求め始める。

◆今日、心が私たちに警告することは…

  • 失業すること
  • 拒否されること
  • スピード違反で捕まること
  • 公衆の面前で恥をかくこと
  • 癌になること

その他無数の一般的な恐怖だ。

私たちは多くの時間を、
ほとんどが実際には起こらない出来事を
心配することに費やす。

◆びっくろ仰天する事実がある。

二人に一人が人生のある時期、
真剣に自殺を考え、
2週間以上もその状態に悩まされるという。

もっと恐ろしいことに、
十人に一人は本当に自殺を試みてしまう。

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