人生は「2周目」からがおもしろい by 齋藤 孝
齋藤 孝
1960年静岡県生まれ。
東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。
専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。
ベストセラー作家、文化人として多くのメディアに登場。著書多数。
人生100年時代、50歳こそ飛躍のチャンスです。
新鮮な好奇心が涌き続ける考え方・動き方。教養・心身の「軽さ」・地位・お金・雑談・モテ・旅…新しい発見と可能性が広がるヒント。
目次
1章 心の庭に「うつの雑草」が伸びていませんか?
2章 1周目でたまった「重さ」を取り除く
3章 「身体の固さ」を取ると心が柔らかくなる
4章 毎日の「向上感」が新しいアイデンティティをつくる
5章 「お金」の考え方、使い方を整理する
6章 節度ある「雑談力」が人間関係を豊かにする
7章 好奇心、感動–2周目で初めてわかる楽しさがある
8章 学校教育を回収して「真善美」を追求する

MEMO
人生は「2周目」からがおもしろい
◆小人閑居して不善をなす
「小人」とは大したことのない人物という意味で、
立派な人格者である「君子」と対比させて使われる言葉。
「小人」は暇があると、
ろくなことをしない。
働かないのはまだいいとしても、
暇と時間を持て余した人物は、
たいていなにか「不善」、
すなわちよからぬことをしでかすものである。
特に、高齢者の方は
「小人閑居して不善をなす」
といったことをしないように肝に銘じるべき。
◆自分の子どもには家と、
自分の力で稼げる教育を与えればいい。
これが親が子どもにしてあげられることである。
下手に自分の財産を子どもに残さないこと。
財産があるならすべて寄付すべき。
◆お金は人生の充実感に
必ずしも直結していない。
むしろそれにとらわれることで
私たちは不自由で窮屈な生活をしている。
◆50歳からの人生後半は「自己承認」によって
真に自立した人生を取り戻す時期である。
◆50歳からの人生後半は、
他者承認から自己承認へとシフトする
幸せに生きるためには
「他者承認欲求」は不要であり、
むしろ妨げになる。
「他者承認」に気を取られると、
他人の評価を気にして、
その評価を得るために生きるようになる。
それでは自分の人生を生きていることにはならない。
本当の幸福に至ることができない。
大事なのは他者の評価に依存せず、
自分の中の尺度、
価値観に従い、
自分で自分を評価する力をつけること。
人生の前半、50歳までは「他者承認」=「他者評価」が主流であり、
他者に認められるかどうかが一番の課題であった。
50歳からの後半では、
他者承認から自己承認へとシフトすべき。
◆優先順位を明確にする
自分にとって何が一番大切か?
どんな時間が一番大事か?
優先順位を明確にすることが重要!
また、何かを選択するときは
「どうしても譲れないものは何か」を
明確にして判断基準を持つと即断即決できる。
◆「原因と結果の法則」の著者であるジェームズ・アレンは、
人間の心を「庭」に例えて心の扱い方を解説している。
仕事も「心の庭」と同じである。
放っておくと雑草が生え、
一杯になってしまう。
意識して不要な仕事、
無駄な仕事を整理して、
スッキリさせる必要がある。
◆愚か者、普通の人、一流の人の違い…
愚か者は簡単な仕事を複雑にする。
普通の人は普通の仕事を普通にこなす。
一流の人物は難しい仕事をシンプルにこなす。
◆給与を天引きするように、時間も天引きする生き方をする
まず自分の時間を確保し、残った時間で仕事をする。
人生100年時代となったいま、
50歳からの後半は「仕事」より「自分の時間」を優先する。
よく、
今日できることは今日やれと言われる。
でも、
それはどんどん仕事を抱えて
余裕をなくしてしまうことにつながる。
50歳からの後半人生では、
「今日やらないといけないことだけ今日やる。
明日でいいことは明日に回す」というふうに考え方を変える。
これにより仕事と時間に余裕ができる。
コツは、
年初など最初に休む日、
仕事をしない日を確保してしまう。
残りの時間で仕事をこなすようにする。
給与から天引きをして積み立てると
お金が貯まるように、
時間も天引きする。
忙して休む暇がない人は、
何のことはない、
時間の使い方が下手なだけなのだ。
◆頑張りすぎが一番よくない!
仕事のしすぎ、
無理はよくない。
ギリギリのスケジュールで
働くのが一番よくない。
私たちには
「余裕時間」が必要である。
◆「課題の分離」ができていないと思わぬ落とし穴に…
「自分の課題であるかどうか?」というのは、
コントロール可能かどうかと少し似ている。
なにか問題があったとして、
それが果たして自分の課題であるのか?
それとも他者の課題なのか?
それを混同することで問題をより複雑にして、
悩み=荷物をたくさん抱えてしまう。
これがアドラー心理学の
「課題の分離」という考え方である。
本来他人の課題や問題を、
まるで自分の問題のように考えてしまうことが、
私たちの身の回りには多い。
それによって相手の問題に土足で踏み込んだり、
逆に相手が自分の問題に対して土足で踏み込んできたりする。
人間関係のゴタゴタの多くも、
課題の分離がうまくできていないことから起こる。
何か問題が起きたときに、
「課題の分離」を適用してその問題を整理する。
すると、
本当に自分で考えて取り組むべき問題
というのは多くないことに気づくはず。
「自己コントロール不可能な問題」、
「他者の課題」を自分の荷台からおろす。
◆コントロールできない「問題」は忘れる
何か問題が起きたときに、
それが自分で「コントロール可能な問題であるか?」
自分の「課題であるかどうか?」を考える。
何か問題が起きたときに、
それが自分が努力したり注力することで解決する、
あるいは改善する問題かどうかを考える。
たとえば、
明日の天気が晴れか雨か、
いくら心配したところでどうすることもできない。
自分の力ではどうすることもできない問題を
くよくよ悩んでも仕方がない。
◆人生は後半がおもしろい
学ぶことのおもしろさと価値を知り、
そこから仕事やお金、地位、教養、人間関係、旅など、
人生を「前半」とは一味違った視点から見直す
「フェアな審判力」を磨き上げ、
仕事やいろいろなことに新鮮な好奇心や感動、
向上感をもって挑むことができる。
それが50歳からの「後半」である。
◆50歳を過ぎると、
軸足を完全に「ビジネス社会」や
「他者からの評価」に置かなくてよくなる。
つまり、
他者からの評価一辺倒ではなく、
人生の前半(50歳まで)で経験を積んで養ってきた
客観的な評価眼を生かして、
仕事ややりたいことを見直せるようになる。